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爪真菌症

(爪白癬)

執筆者:

Chris G. Adigun

, MD, Dermatology & Laser Center of Chapel Hill

最終査読/改訂年月 2017年 2月
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爪真菌症は爪甲,爪床,またはその両方に生じた真菌感染症である。典型的には,爪が変形し,白色または黄色に変色する。診断は病変の外観,KOH直接鏡検,培養,PCR法,またはこれらの併用による。適応がある場合の治療は,テルビナフィンまたはイトラコナゾールの内服による。

爪疾患の概要も参照のこと。)

人口の約10%(範囲2~14%)が爪真菌症に罹患している。危険因子としては以下のものがある:

  • 既存の爪異栄養症(例,乾癬患者の場合)

  • 高齢

  • 男性

  • 足白癬または爪真菌症を有する個人への曝露(例,家族または公衆浴場の利用者)

  • 易感染状態

足の爪の感染は手の爪の感染より10倍多い。全症例の約60~80%は皮膚糸状菌(例,Trichophyton rubrum)が原因であり,爪の皮膚糸状菌感染症は爪白癬と呼ばれる。残りの症例の多くは,皮膚糸状菌以外の真菌(例,Aspergillus Scopulariopsis Fusarium)によって引き起こされる。易感染性患者および慢性皮膚粘膜カンジダ症の患者では,カンジダ性爪真菌症(好発部位は手指)が生じることもある。足白癬を繰り返す患者では,無症状の爪真菌症が生じることもある。爪真菌症の患者では,下肢に蜂窩織炎が生じやすくなることがある。

症状と徴候

爪甲に白色または黄色の変色斑と変形が生じるが,自覚症状はみられない。頻度の高い特徴的なパターンが3つある:

  • 遠位爪甲下型(distal subungual)は,爪甲が肥厚および黄色化し,遠位部の爪甲下にケラチンおよび組織片が蓄積し,爪甲が爪床から分離する(爪甲剥離症)。

  • 近位爪甲下型(proximal subungual)は,近位部から始まり,免疫抑制のマーカーである。

  • 表在性白色型(white superficial)は,チョーク状の白色鱗屑が爪表面の下で徐々に拡大する。

診断

  • 臨床的評価

  • KOH直接鏡検

  • 切り取った爪甲と爪下の組織片のPAS(過ヨウ素酸シッフ染色)染色による病理組織学的検査

  • 培養

爪真菌症は外観から疑われ,有用な臨床的特徴としては,第3趾または第5趾の爪の罹患,同側の足の第1趾および第5趾の爪の罹患,片側性の爪変形などがあるが,足白癬がある場合にのみ認められる。足白癬を繰り返す患者では,無症状の爪真菌症を考慮すべきである。

治療法が異なるため,乾癬または扁平苔癬との鑑別が重要であり,典型的に確定診断は,鏡検と(鏡検所見が確定的でない場合)擦過検体の培養またはまれに切り取った爪でのPCR検査によって行う。擦過検体は罹患爪のできるだけ近位部から採取し,KOH直接鏡検で菌糸の有無を調べ,さらに培養を行う。切り取った爪甲と爪下の組織片のPAS(過ヨウ素酸シッフ染色)染色による病理組織学的検査も役立つ場合がある。

爪の培養用に十分な検体を得るのは,採取は容易であるものの,遠位部の爪下試料は生きた真菌を含んでいないことが多いため,困難となることがある。このため,検体採取の前に爪切りで爪の遠位部を除去するか,小さな鋭匙を用いてより近位部の爪下まで到達することで,検出率を高められる。培養が陰性で,かつ確定診断を得るための検査費用が担保されるのであれば,PCRを行うことができる。

治療

  • テルビナフィンまたはイトラコナゾール経口薬の選択的使用

  • ときに外用薬(例,エフィナコナゾール,tavaborole,8%シクロピロクス,アモロルフィン)の使用

爪真菌症は,多くの症例が無症状または軽度であり,合併症を引き起こす可能性が低く,また最も効果的な治療である経口薬が肝毒性や重篤な薬物相互作用を引き起こす可能性があることから,常に治療するわけではない。提唱されている治療適応としては以下のものがある:

  • 同側の蜂窩織炎の既往

  • 糖尿病の存在または蜂窩織炎の他の危険因子

  • 手こずる症状の存在

  • 心理社会的影響

  • 整容的改善の希望(異論もある)

治療は典型的にはテルビナフィンまたはイトラコナゾールの内服による。テルビナフィン250mg,1日1回,12週間(手指の爪では6週間)で75~80%の治癒率が得られ,イトラコナゾール200mg,1日2回,1週間/月,3カ月間では40~50%の治癒率が得られているが,再発率は10~50%に上ると推定されている。これらの薬剤は爪甲に結合して残留し,服用を中止しても効果を発揮し続けるため,爪の異常が全て消失するまで治療を継続する必要はない。侵された爪は正常には戻らないが,新しく成長する爪の外観は正常となる。

新しい外用薬であるエフィナコナゾールとtavaboroleは,爪甲を通過することができ,従来の外用薬よりも効果的である(1–4)

有害作用の頻度または重症度が低い研究段階の治療法として,レーザー療法,新規の外用薬(エフィナコナゾールを含む),テルビナフィンの新しいドラッグデリバリーシステムなどがある (5,6)。8%シクロピロクスまたは5%アモロルフィン(米国では入手できない)を含有するマニキュア型製剤の外用抗真菌薬がときに初期治療として効果的であり(治癒率は約30%),特に治療抵抗性の感染がある場合,経口薬の補助として使用すれば治癒率が改善することがある。

再発を抑制するため,患者に爪を短く切らせ,入浴後は足を乾燥させ,吸水性の高い靴下を履かせ,抗真菌薬の足用パウダーを使用させるべきである。古い靴には胞子が高密度に存在していることがあり,可能であれば履かせるべきでない。

治療に関する参考文献

  • Elewski BE, Tosti A: Tavaborole for the treatment of onychomycosis. Expert Opin Pharmacother 15(10):1439-1448, 2014. doi: 10.1517/14656566.2014.921158

  • Gupta AK, Daigle D: Tavaborole (AN-2690) for the treatment of onychomycosis of the toenail in adults. Expert Rev Anti Infect Ther 12(7):735-742, 2014. doi: 10.1586/14787210.2014.915738.

  • Elewski BE, Rich P, Pollak R, et al: Efinaconazole 10% solution in the treatment of toenail onychomycosis: Two phase III multicenter, randomized, double-blind studies. J Am Acad Dermatol 68(4):600-608, 2013. doi: 10.1016/j.jaad.2012.10.013.

  • Jo Siu WJ, Tatsumi Y, Senda H, et al: Comparison of in vitro antifungal activities of efinaconazole and currently available antifungal agents against a variety of pathogenic fungi associated with onychomycosis. Antimicrob Agents Chemother 57(4):1610-1616, 2013. doi: 10.1128/AAC.02056-12.

  • Adigun CG, Vlahovic TC, McClellan MB, et al: Efinaconazole 10% and tavaborole 5% penetrate across poly-ureaurethane 16%: Results of in vitro release testing and clinical implications of onychodystrophy in onychomycosis. J Drugs Dermatol 1;15(9):1116-1120, 2016.

  • Baker SJ, Zhang YK, Akama T, et al: Discovery of a new boron-containing antifungal agent, 5-fluoro-1,3-dihydro-1-hydroxy-2,1- benzoxaborole (AN2690), for the potential treatment of onychomycosis. J Med Chem 27;49(15):4447-4450, 2006.

要点

  • 爪真菌症は有病率の高い疾患であり,とりわけ高齢男性と末梢部の循環障害,爪異栄養症,足白癬を有する患者で特に多くみられる。

  • 診断は外観および爪症状のパターンにより疑い,鏡検のほか,ときに培養またはPCRにより確定する。

  • 治療は,爪真菌症が合併症や厄介な症状を引き起こしている場合にのみ必要である。

  • 治療が必要な場合は,テルビナフィン(最も効果的な治療法)と再発予防の対策(例,湿気の抑制,古い靴の廃棄,爪を短く切って整える)を考慮する。

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