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蟯虫症

(腸蟯虫症;蟯虫感染症)

執筆者:

Richard D. Pearson

, MD, University of Virginia School of Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 2月
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蟯虫症は,ヒト蟯虫(Enterobius vermicularis)による腸管感染症で,通常は小児に発生する。主な症状は肛門周囲のそう痒である。診断は,肛門周囲の視診による糸状の虫体の検出または虫卵のセロファンテープ検査による。治療はメベンダゾールまたはアルベンダゾールによる。

寄生虫感染症へのアプローチも参照のこと。)

蟯虫症は米国で最もよくみられる蠕虫感染症である。ほとんどの症例は学齢期の小児,小児を世話する成人,または患児の家族に発生する。

病態生理

通常,虫卵が肛門周囲から媒介物(衣類,寝具,家具,敷物,玩具,便座)に移動し,そこから新たな宿主に捕捉されて口に入り,嚥下されることにより蟯虫の寄生が成立する。親指しゃぶりは危険因子である。肛門周囲から口へ指を介して虫卵が運ばれることにより,再寄生(自家感染)が容易に起こる。蟯虫感染症は,成人の肛門接吻にも起因すると考えられている。

蟯虫は下部消化管において2~6週間で成熟する。雌虫は卵を産みつけるために(通常は夜間に)肛門から出て肛門周囲に移動する。内部に虫卵が産みつけられた粘着性のゼラチン状物質,および雌虫の動きが,肛門周囲のそう痒を引き起こす。通常の室温では,虫卵は媒介物上で3週間も生き延びることができる。

症状と徴候

感染者のほとんどは症状も徴候も示さないが,一部の患者は肛門周囲にそう痒を覚え,引っ掻くことにより肛門周囲の表皮剥離を来す。まれに移動中の雌虫がヒトの女性性器を上行し,腟炎およびさらにまれに腹膜病変を引き起こす。

その他にも多数の病態(例,腹痛,不眠症,痙攣)が蟯虫症に関連付けられてきたが,因果関係がある可能性は低い。虫垂炎の症例において蟯虫による虫垂管腔の閉塞が発見されているが,寄生虫の存在は偶然の可能性がある。

診断

  • 肛門周囲の診察により虫体,虫卵,またはその両方がないか確認する

蟯虫症の診断は,体長約8~13mmの雌虫(雄虫は平均2~5mm)を,小児が夜就寝してから1~2時間後もしくは朝に肛門周囲で発見すること,またはセロファンテープ上の虫卵を低倍率の顕微鏡で同定することによる。早朝小児が起床する前に1片のセロファンテープで肛門周囲の皮膚のひだを軽く叩いて虫卵を採取し,テープの粘着面をスライドガラスに張りつけて顕微鏡で観察する。50 × 30μmの虫卵は薄い殻に包まれた卵円形で,2つ折りになった幼虫が入っている。テープとスライドガラスの間にトルエンを1滴入れると粘着剤が溶け,虫卵の同定の妨げとなるテープ下の気泡を除去できる。必要であればこの手技を連続3日間,毎朝繰り返すべきである。

便,尿,または腟の塗抹標本でも虫卵がみられることがあるが,頻度は低い。

治療

  • メベンダゾール,アルベンダゾール,またはパモ酸ピランテル

蟯虫症は,ほとんど無害であること,有病率が高いこと,および再寄生がよくみられることから,症候性の感染症のみが治療の適応となる。しかしながら,自分の子供に蟯虫が寄生すると,ほとんどの親が積極的に治療を求める。

以下のいずれかを単回投与し,2週間以内に同量を再投与することで,90%以上の症例で蟯虫を完全に駆除できる(虫卵は完全には駆除できない):

  • メベンダゾール100mg,経口(年齢は問わない)

  • アルベンダゾール400mg,経口

  • パモ酸ピランテル11mg/kg(最大1g),経口

石炭酸入りのワセリン(carbolated petrolatum)または他の止痒薬クリームもしくは軟膏を肛門周囲に塗布すると,そう痒が緩和することがある。

予防

生存能力のある虫卵が治療後1週間排出されること,および治療前に環境中に排出された虫卵は3週間生存可能であることから,蟯虫の再寄生がよくみられる。家庭内の複数のメンバーに寄生があることは一般的であり,家族全員の治療が必要になる場合がある。

以下の対策により蟯虫の拡散を予防できる:

  • トイレの使用後,おむつの交換後,および食品の取扱い前に石鹸および温水で手を洗う(最も成功率が高い)

  • 衣服,寝具,および玩具を頻繁に洗濯する

  • 感染者は,皮膚に付いた虫卵を除去するために毎朝シャワーを浴びる

  • 虫卵を除去するため,居住環境に掃除機をかける

要点

  • 蟯虫症は米国で最もよくみられる蠕虫感染症である;ほとんどの症例は学齢期の小児,小児を世話する成人,または患児の家族に発生する。

  • 蟯虫症が有害となることはまれであるが,再寄生は一般的である。

  • 環境中に排出された虫卵は3~4週間生き延びる。

  • 肛門周囲を引っ掻いた後,または汚染された衣類やその他の物(例,寝具)に触れた後に口を触ると,虫卵が摂取される可能性がある。

  • 感染者のほとんどは症状も徴候も示さないが,一部の患者は肛門周囲にそう痒を覚える。

  • 蟯虫症の診断は,朝にセロファンテープで採取した虫卵を低倍率顕微鏡で観察して同定することによる;子供が就寝して1~2時間後,肛門周囲に雌の成虫が現れるのを目撃することによって診断されることもある。

  • 患者に症状があれば,メベンダゾール,アルベンダゾール,またはパモ酸ピランテルにより治療する。

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