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培養

執筆者:

Kevin C. Hazen

, PhD, Duke University Health System

最終査読/改訂年月 2016年 10月
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培養とは,栄養を含む固形培地上または液体培地中で微生物を増殖されることであり,微生物数を増加させることで同定を容易にする。培養はまた,抗菌薬感受性の検査も容易にする。

臨床検査室との情報交換が不可欠である。ほとんどの検体は汎用培地(例,血液またはチョコレート寒天培地)に接種するが,一部の病原体は特定の栄養素および抑制物質の含有といった特殊な条件が要求されるため( 一般細菌の分離に用いる選択培地),そのような病原体が疑われる場合や患者がすでに抗菌薬を使用している場合には,臨床検査室に助言するべきである。臨床検査室が各部位の常在菌叢から病原体を鑑別できるようにするため,検体の採取源を報告する。

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一般細菌の分離に用いる選択培地

微生物

望ましい培地

Bacteroides

カナマイシン-バンコマイシン溶血血液寒天培地

Bacteroides fragilis

バクテロイデス(Bacteroides)胆汁-エスクリン培地(ゲンタマイシンと胆汁を添加)

百日咳菌(Bordetella pertussis

メチシリンまたはセファレキシンを添加したBordet-Gengou寒天培地

Regan-Loweセファレキシン寒天培地

ウマ血液チャコール寒天培地(horse blood-charcoal agar)

Burkholderia cepacia

Pseudomonas cepacia用寒天培地

Campylobacter jejuniまたは大腸菌(C. coli

Campylobacter選択寒天培地(例,セフォペラゾン-バンコマイシン寒天培地)

ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae

Tinsdale寒天培地

シスチン-亜テルル酸血液寒天培地

凝固血清培地(レフレル培地)

大腸菌(Escherichia coli)または腸管出血性病原菌(O157:H7などの志賀毒素産生菌)

マッコンキーソルビトール寒天培地

野兎病菌(Francisella tularensis

血液またはチョコレート-シスチン寒天培地

Legionella

BCYE寒天培地(活性炭と酵母エキス)

Leptospira

ウサギ血清を添加したFletcherもしくはStuart培地,またはウシ血清アルブミン-Tween80溶液を添加したLeptospira用培地

淋菌(Neisseria gonorrhoeae)または髄膜炎菌( N. meningitidis

改変Thayer-Martin寒天培地

ニューヨークシティー寒天培地

Salmonella属および赤痢菌(Shigella)属

標準マッコンキー培地またはエオジン-メチレンブルー培地で発育する。

代替:Hektoenまたはキシロース-リジン-デソキシコレート培地,Salmonella-Shigella寒天培地,グラム陰性菌用ブロスまたはセレナイト増菌培地

Vibrio

チオ硫酸-クエン酸-胆汁酸塩-ショ糖寒天培地

Yersinia

セフスロジン-イルガサン-ノボビオシン寒天培地

検体採取

検体採取は重要である。感染症の診断における経験則は,感染部位から検体を採取するということである。病変部の中でも,その中央部ではなく,先端部から採取すべきである。

スワブの使用は勧められない。それでもスワブを使用する場合は,より多くの検体を回収できることから,フロック加工されたスワブが望ましい。分子生物学的検査に使用するスワブ( 感染症に対する核酸検出法による同定法) は,予定される特定の分子生物学的検査に使用できるものでなければならない。スワブの種類を誤ると,偽陰性の原因となる可能性がある。木軸のスワブには,一部のウイルスに対して毒性がある。先端が綿のスワブには,一部の細菌(クラミジアを含む)に対して毒性がある。

血液培養では,皮膚の除染および消毒が必要になる(例,ポビドンヨードを塗布してから乾燥させ,70%アルコールで除去する)。通常はそれぞれ異なる部位から採取した複数の検体を使用し,可能であれば発熱のピーク時に採取する。1つの血液検体でのみ皮膚および粘膜の常在菌叢の増殖がみられた場合は,汚染と解釈するのが通常である。血液検体を中心静脈ラインから採取する場合は,カテーテル感染と全身性の菌血症との鑑別の参考にするため,末梢血検体も採取すべきである。感染したカテーテルから採取された血液の培養は通常,同時に採取された末梢血の培養より速やかに陽性となり,より多くの微生物が含まれている。一部の真菌,特に糸状菌(例,Aspergillus属)は通常,血液から培養することができない。

検体の輸送は,適切な培地を用いて,汚染の可能性があるあらゆる常在菌叢の発育を阻止する条件にて,迅速に行わなければならない。病原体を正確に定量するためには,病原体がさらに増殖するのを防ぐ必要があるため,検体は速やかに臨床検査室に輸送するか,輸送が遅れる場合は冷蔵(ほとんどの場合)するべきである。

培養に関する特別な注意点

ある種の培養では特別な注意が必要である。

嫌気性細菌については,常在菌叢と病原体の鑑別が不可能な場合があることから,常在菌叢として存在する部位から培養検体を採取するべきではない。検体を空気から遮断する必要があるが,困難な場合がある。拭い液検体については,嫌気性菌用の輸送用培地が使用できる。ただし,嫌気性細菌を回収するには,拭い液検体よりも液状検体(例,膿瘍内容)の方が優れている。液状検体は内部の空気を全て押し出した(検体と酸素の接触を最小限に抑えるため)注射器で採取し,注射器に入れたまま(針を外してキャップをかぶせる),または嫌気性菌用の輸送バイアルに移してから,検査室に送るべきである。

抗酸菌は培養が困難である。常在菌叢を含む検体(例,喀痰)は,まず除染して濃縮する必要がある。結核菌(Mycobacterium tuberculosis)とその他の抗酸菌の一部は,増殖させるのに時間がかかる。結核菌(M. tuberculosis)の増殖は,典型的には固形培地よりも液体培地の方が速く,液体培地を用いる自動装置をルーチンに使用すれば2週間以内に増殖させることができるのに対して,Lowenstein-Jensen寒天培地などの固形培地では4週間以上を要する。さらに,検体中に微生物がほとんど含まれていないこともある。同一部位から複数の検体を採取することが,収量の最大化に役立つ可能性がある。検体を廃棄するまでに8週間にわたり培養を続けるべきである。非定型抗酸菌が疑われる場合は,そのことを臨床検査室に連絡すべきである。

ウイルスは一般に,拭い液および組織検体から培養するが,それらの検体は通常,抗菌薬および抗真菌薬を含有する培地に入れて輸送する。疑われるウイルスは増殖させるが,その他のあらゆる微生物を阻害する細胞培養系に検体を接種する。非常に不安定なウイルス(例,水痘帯状疱疹ウイルス)は,採取後1時間以内に細胞培養系に接種するべきである。標準の細胞培養系が最も感度が高い。迅速培養法(シェルバイアル法)では,速やかに結果が得られる。一般的なウイルスの一部はルーチンの培養では検出できず,診断を下すには以下のように別の方法を用いる必要がある( ルーチンのウイルス培養では増殖しない一般的なウイルスに対する診断検査):

  • エプスタイン-バーウイルス,B型およびE型肝炎ウイルス,HIV,ならびにヒトTリンパ球向性ウイルスに対する酵素免疫測定法

  • A型およびD型肝炎ウイルスに対する血清学的検査

  • HIVに対する核酸検出法

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ルーチンのウイルス培養では増殖しない一般的なウイルスに対する診断検査

よくみられる病態

ウイルス

診断検査

急性熱性疾患,髄膜脳炎

アルファウイルス,フラビウイルス,ブニヤウイルス,(例,セントルイス脳炎ウイルス,ラクロス脳炎ウイルス)

EIA,核酸検出法

下痢

ロタウイルス,カリシウイルス(ノロウイルス),アストロウイルス

EMまたはIEM,核酸検出法

伝染性単核球症

エプスタイン-バーウイルス

EIA,核酸検出法

出血熱,リンパ球性脈絡髄膜炎

フィロウイルス,アレナウイルス(例,ラッサ熱,エボラウイルス)

EM,核酸検出法

肝炎

A型肝炎,D型肝炎ウイルス

血清学的検査,核酸検出法

B型肝炎,E型肝炎ウイルス

EIA,核酸検出法

C型肝炎,G型肝炎ウイルス

核酸検出法,EIA

突発性発疹,カポジ肉腫,播種性感染症

ヘルペスウイルス6型,7型,8型

核酸検出法,EIA

AIDS

HIV

核酸検出法,EIA,ウェスタンブロット

尖圭コンジローマ,性器の皮膚癌

ヒトパピローマウイルス

核酸検出法,EIA

伝染性紅斑

ヒトパルボウイルスB19

核酸検出法,EIA

成人T細胞白血病

ヒトTリンパ球向性ウイルス

EIA,核酸検出法

進行性多巣性白質脳症,腎臓感染症

ポリオーマウイルス(JCおよびBK)

核酸検出法

天然痘,サル痘,ワクシニア,伝染性軟属腫

ポックスウイルス

核酸検出法,EM,ウイルスに応じた培養

狂犬病

狂犬病ウイルス

EM,IFA,核酸検出法

風疹

風疹ウイルス

EIA,IFA,核酸検出法

EIA = 酵素免疫測定法;EM = 電子顕微鏡法;IEM = 免疫電子顕微鏡法;IFA = 蛍光抗体法。

真菌培養の検体は,無菌でない部位から採取した場合,抗菌薬を含有する培地に接種しなければならない。検体を廃棄するまでに3~4週間にわたり培養を続けるべきである。

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