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発熱

執筆者:

Allan R. Tunkel

, MD, PhD, Warren Alpert Medical School of Brown University

最終査読/改訂年月 2016年 5月
本ページのリソース

発熱とは,体温の上昇(例,口腔温 > 37.8℃または直腸温 > 38.2℃)ないしは個人の日常的な正常値を超えた体温上昇のことである。発熱は,身体の温度調節機構(視床下部にある)が正常より高い温度にリセットされることで発生する現象であり,その原因として最も多いのが感染に対する反応である。視床下部の体温設定値(セットポイント)のリセットによって引き起こされたものではない体温の上昇は,一般的に高体温(hyperthermia)と呼ばれる。

多くの患者は「発熱」という言葉をかなり曖昧に使用し,熱っぽい,寒気がする,激しく汗をかくなどの感覚で使用しているだけで,実際には体温を測ってはいない場合も多い。

発熱自体も悪寒,発汗,不快感を引き起こし,患者にほてりや熱感を覚えさせるが,みられる症状は主に発熱の原因となった病態に起因する。

病態生理

24時間の体温の推移は,早朝の最低水準と午後遅くの最高水準との間で変動する。変動幅の最大値は約0.6℃である。

体温は組織(特に肝臓および筋肉)での熱産生と末梢からの熱放散とのバランスによって決定される。正常では,視床下部の体温調節中枢によって体内温度は37~38℃の範囲で維持されている。発熱は何らかの原因で視床下部の設定値が引き上げられた際に発生し,血管収縮を誘発して末梢からの血流をシャントすることで熱放散を減少させ,ときにはシバリングを惹起して熱産生を増大させる。これらのプロセスは,視床下部に供給される血液の温度が新しい設定値に達するまで持続する。視床下部の設定値が低い値に設定されると(例,解熱薬による),発汗および血管拡張による熱放散が惹起される。

一部の患者(例,アルコール依存症患者,非常に高齢または若年の患者)では熱産生の能力が低下している。

発熱物質とは,発熱を引き起こす物質である。外因性発熱物質は,基本的に微生物やその産生物である。最もよく研究されているのは,グラム陰性細菌のリポ多糖体(一般的には内毒素と呼ばれる)と毒素性ショック症候群を引き起こす黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の毒素である。発熱は,サイトカイン受容体を刺激する内因性発熱物質(インターロイキン1[IL-1],腫瘍壊死因子α[TNF-α],IL-6,その他のサイトカインなど)の放出を誘導する外因性発熱物質,あるいはToll-like受容体を直接刺激する外因性発熱物質の作用によって生じる。

プロスタグランジンE2の合成が非常に重要な役割を果たすようである。

発熱の影響

多くの患者は発熱自体が害を引き起こさないかと心配するが,ほとんどの急性疾患による中等度かつ一過性の深部体温の上昇(すなわち38~40℃)は,健康な成人であれば十分に耐えられるものである。

ただし,極度の体温上昇(典型的には41℃を超える場合)では何らかの傷害が生じる可能性がある。そのような体温上昇は,環境による重度の高体温でよくみられるが,ときに違法薬物(例,コカイン,フェンシクリジン),麻酔薬,または抗精神病薬への曝露に起因する場合もある。この体温では,タンパクの変性が生じ,炎症カスケードを活性化する炎症性サイトカインが分泌される。その結果,細胞機能障害が起こり,多くの臓器の機能障害,そして最終的には機能不全が引き起こされる;さらに凝固カスケードも活性化され,播種性血管内凝固症候群へと進展する。

発熱時には37℃を超えて1℃上昇する毎に基礎代謝率が約10~12%上昇するため,心機能または肺機能不全がある成人では発熱は生理的ストレスとなりうる。発熱はまた,認知症患者の精神状態を悪化させることもある。

発熱は健康な小児で熱性痙攣の誘因となることがある。

病因

発熱は多くの疾患によって引き起こされる。発熱は以下のように大別される:

  • 感染性(最も頻度が高い)

  • 腫瘍性

  • 炎症性(リウマチ性,非リウマチ性,薬剤性を含む)

成人における急性発熱(すなわち持続期間が4日以内)の原因としては,感染の可能性が非常に高い。感染以外の原因による発熱で受診した患者では,その発熱はほぼ常に慢性または反復性である。また,炎症性または腫瘍性疾患の存在が判明している患者の孤発性の急性発熱でも,やはり感染が原因である可能性が最も高い。健常者では,急性発熱が慢性疾患の初発症状である可能性は低い。

感染性の原因

実質的に全ての感染症が発熱を引き起こす可能性がある。ただし,全体的に最も可能性が高い原因は以下のものである:

  • 上気道および下気道感染症

  • 消化管感染症

  • UTI

  • 皮膚感染症

気道および消化管の急性感染症は大半がウイルス性である。

特定の患者因子や外因性の要因によっても最も可能性の高い原因は変わってくる。

患者因子としては,健康状態,年齢,職業,危険因子(例,入院,最近の侵襲的処置,静脈内または尿路カテーテルの留置,機械的人工換気の使用)などがある。

外因性の要因とは,患者を特定の疾患に曝露する因子のことであり,例えば,感染者との接触,局所的なアウトブレイク,疾患媒介動物(例,蚊,ダニ),疾患媒介物(例,食物,水),地域(疾患流行地域での居住または最近の旅行)などがある。

これらの因子が認められれば,特定の原因が優勢と推測される( 急性発熱の原因)。

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急性発熱の原因

素因

原因

なし(健常者)

上気道または下気道感染症

消化管感染症

尿路感染症

皮膚感染症

入院

静脈カテーテル感染症

尿路感染症(特にカテーテル留置患者)

肺炎(特に人工呼吸器を使用している患者)

無気肺

手術部位感染症(手術後)

深部静脈血栓症または肺塞栓症

下痢(Clostridium difficileによるもの)

薬物

血腫

輸血反応

褥瘡

流行地域への旅行

コクシジオイデス症

デング熱(比較的まれ)

下痢性疾患

ハンタウイルス

ヒストプラズマ症

レジオネラ症

マラリア

多剤耐性細菌

ペスト

野兎病

腸チフス

ウイルス性肝炎

ジカウイルス感染症

媒介動物への曝露(米国内)

ダニ:リケッチア症,エーリキア症,アナプラズマ症,ライム病,バベシア症,野兎病

蚊:アルボウイルス脳炎

野生動物:野兎病,狂犬病,ハンタウイルス感染症

ノミ:ペスト

家畜:ブルセラ症,ネコひっかき病,Q熱,トキソプラズマ症

鳥類:オウム病

爬虫類:サルモネラ (Salmonella)感染症

コウモリ:狂犬病,ヒストプラズマ症

易感染状態

ウイルス: 水痘帯状疱疹ウイルスまたはサイトメガロウイルス感染症

細菌: 莢膜を有する微生物(例,肺炎球菌,髄膜炎菌),黄色ブドウ球菌 (Staphylococcus aureus),グラム陰性細菌(例,緑膿菌[Pseudomonas aeruginosa]),Nocardia属,またはMycobacterium属細菌による感染症

真菌Candida属,Aspergillus属,Histoplasma属,Coccidioides属,Pneumocystis jirovecii,またはムコール症の原因真菌による感染症

寄生虫:Toxoplasma gondii,糞線虫(Strongyloides stercoralis),Cryptosporidium属,微胞子虫,またはCystoisospora(以前はIsospora)belliによる感染症

熱産生を増大させる可能性のある薬物

アンフェタミン

コカイン

メチレンジオキシメタンフェタミン(MDMA,エクスタシー)

抗精神病薬

麻酔薬

発熱の誘因となりうる薬物

β-ラクタム系抗菌薬

サルファ剤

フェニトイン

カルバマゼピン

プロカインアミド

キニジン

アムホテリシンB

インターフェロン

評価

急性発熱の初期評価では以下の2点が重要となる:

  • 局所症状の同定(例,頭痛,咳嗽):これらの症状は考えられる原因の範囲を絞り込むのに役立つ。局所症状は患者の主訴の一部のこともあれば,具体的に質問して初めて同定できることもある。

  • 患者の疾患が重篤または慢性であるかどうか(特にそのような疾患が見逃されていないかどうか)の判定:健常者に生じる発熱の原因の多くは自然に治癒する病態であり,ウイルス感染症と考えられるものの多くは,具体的に診断するのが困難である。検査対象を重篤な患者や慢性疾患患者に限定すれば,高価で不必要かつしばしば無駄に終わる多くの探索を回避することができる。

病歴

現病歴の聴取では,発熱の程度および持続期間と体温の測定方法を対象に含めるべきである。真の悪寒・振戦(歯がガタガタするほどの振戦を伴う重度の悪寒で,単なる寒気ではない)は,感染による発熱を示唆するが,それ以上の具体的情報は得られない。疼痛は考えられる原因への重要な手がかりの1つであり,患者に耳痛,頭痛,頸部痛,歯痛,咽頭痛,胸痛,腹痛,側腹部痛,直腸痛,筋肉痛,および関節痛について質問すべきである。

その他の局所症状としては,鼻閉および/または鼻漏,咳嗽,下痢,ならびに泌尿器症状(頻尿,尿意切迫,排尿困難)などがある。発疹(性状,部位,および他症状との関連を踏まえた発症時期を含める)およびリンパ節腫脹の存在が診断の参考となることがある。

感染者との接触と接触した感染者の診断を同定すべきである。

系統的症状把握(review of systems)では,回帰熱,盗汗,体重減少など慢性疾患の症状を同定すべきである。

既往歴の聴取では,特に以下の点を対象に含めるべきである:

  • 最近の手術

  • 感染の素因となる既知の疾患(例,HIV感染症,糖尿病,癌,臓器移植,鎌状赤血球症,心臓弁膜症[特に人工弁を使用している場合])

  • 発熱の素因となるその他の既知の疾患(例,リウマチ性疾患,SLE,痛風,サルコイドーシス,甲状腺機能亢進症,癌)

最近の旅行歴を尋ねる質問には,旅行先,帰ってきてからの経過時間,場所(例,田舎,都市部のみ),旅行前に受けた予防接種,および抗マラリア薬の予防投与(必要であれば)を含める。

考えられる曝露(例,安全ではない食物または水,昆虫刺咬,動物との接触,無防備な性行為)に関する質問を全例で行うべきである。

予防接種歴(特にAおよびB型肝炎,ならびに髄膜炎,インフルエンザ,または肺炎球菌感染症を引き起こす微生物に対するワクチン)に注意すべきである。

薬歴の聴取では,以下の点について具体的に質問すべきである:

  • 発熱を引き起こすことが知られている薬剤( 急性発熱の原因

  • 感染リスク増大の素因となる薬剤(例,コルチコステロイド,TNF阻害薬,化学療法薬,拒絶反応抑制薬,その他の免疫抑制薬)

  • 注射薬物の違法使用(心内膜炎,肝炎,敗血症性肺塞栓症,ならびに皮膚および軟部組織感染症の素因となる)

身体診察

身体診察は発熱の確認から始める。発熱は直腸温を測定することで最も正確に診断される。口腔温は正常では約0.6℃低いが,測定直前での冷たい飲み物の摂取,口呼吸,過換気,測定時間の不足(水銀体温計では数分間を要する場合もある)など,多くの理由で過小評価される可能性がある。赤外線センサーによる鼓膜温の測定は直腸温と比べて精度が劣る。温度感受性の結晶を組み込んだプラスチック片を額に当てて皮膚温をモニタリングする方法は,深部体温の上昇を検出する上で感度が不十分である。

その他のバイタルサインを評価して,頻呼吸,頻脈,または低血圧がないか確認する。

局所症状のある患者では,本マニュアルの別の箇所で考察した記載に従って診察を進める。局所症状のない発熱患者では,あらゆる器官系で診断の手がかりが得られる可能性があるため,全身の診察が必要である。

患者の全般的な外観(脱力,嗜眠,錯乱,悪液質,苦痛など)に注意すべきである。

全身の皮膚を視診して,発疹(特に点状出血,出血性の発疹,および皮膚または軟部組織感染を示唆する紅斑または水疱からなる病変ないし領域)がないか確認すべきである。頸部,腋窩,内側上顆,および鼠径部を診察して,リンパ節腫脹がないか確認すべきである。

入院患者では,静脈カテーテル,経鼻胃管,尿道カテーテルをはじめとする留置されたチューブないしラインに注意すべきである。最近手術を受けた患者の場合は,手術部位を徹底的に視診すべきである。

頭頸部の診察では,以下を行うべきである:

  • 鼓膜:診察して感染がないか確認する

  • 副鼻腔(前頭洞および上顎洞):打診

  • 側頭動脈:触診して圧痛がないか確認する

  • 鼻部:視診して鼻閉および鼻漏(清澄または膿性)がないか確認する

  • 眼:視診して結膜炎または黄疸がないか確認する

  • 眼底:視診してRoth斑(心内膜炎を示唆する)がないか確認する

  • 中咽頭および歯肉:視診して炎症または潰瘍(易感染性を示唆するカンジダ症病変など)がないか確認する

  • 頸部:屈曲して不快感,硬直,またはその両方(髄膜炎を示唆する)が生じないか,触診してリンパ節腫脹がないか確認する

肺を診察して,断続性ラ音や肺硬化の徴候がないか確認し,心臓を聴診して,雑音(心内膜炎の可能性を示唆する)がないか確認する。

腹部を触診して,肝脾腫および圧痛(感染症を示唆する)がないか確認する。

側腹部を打診して,腎臓部に圧痛(腎盂腎炎を示唆する)がないか確認する。

女性患者では内診を行い,子宮頸部の移動痛や付属器の圧痛がないか確認する;男性患者では性器の診察を行い,尿道分泌物や局所圧痛がないか確認する。

直腸診を行い,直腸周囲膿瘍(免疫抑制患者では不顕性のこともある)を示唆する圧痛および腫脹がないか確認する。

全ての大関節を診察して,腫脹,紅斑,および圧痛(関節感染症またはリウマチ性疾患を示唆する)がないか確認する。手足を視診して,爪下線状出血,疼痛を伴う指尖部の紅斑性皮下結節(オスラー結節),圧痛を伴わない手掌または足底の出血斑(Janeway病変)など,心内膜炎の徴候がないか確認する。

脊椎を打診して,局所に圧痛がないか確認する。

神経学的診察を行って,局所神経脱落症状を検出する。

警戒すべき事項(Red Flag)

以下の所見は特に注意が必要である:

  • 精神状態の変化

  • 頭痛,項部硬直,またはその両方

  • 点状出血

  • 低血圧

  • 呼吸困難

  • 有意な頻脈または頻呼吸

  • 40℃を超える高体温または35℃未満の低体温

  • 重篤な疾患(例,マラリア)が流行している地域への最近の旅行

  • 免疫抑制薬の最近の使用

所見の解釈

通常,体温上昇の程度から感染の可能性や感染原因を予測することはできない。発熱パターンには,かつて考えられていたような意義はない。

重篤な疾患の可能性を考慮する。重篤な疾患が疑われる場合は,直ちに積極的な検査を行う必要があり,しばしば入院が必要となる。

レッドフラグサインは重篤な疾患を強く示唆する。以下のようなものがある:

  • 頭痛,項部硬直,および点状出血または紫斑は髄膜炎を示唆する。

  • 頻脈(発熱時に通常みられる穏やかな上昇を超えるもの)および頻呼吸は,低血圧や精神状態の変化の有無にかかわらず,敗血症を示唆する。

  • 流行地域を最近訪れた患者では,マラリアを疑うべきである。

易感染状態についても,それが既知の疾患や免疫抑制薬によって引き起こされたものであれ,診察所見(例,体重減少,口腔カンジダ症)から示唆されたものであれ,他の慢性疾患,注射薬物使用,および心雑音の場合と同様に懸念される。

高齢者(特に介護施設の入居者)では特に,重篤な細菌感染症のリスクが高くなる( 発熱 : 老年医学的重要事項:発熱)。

病歴聴取または身体診察で同定された局所所見を評価して解釈する(本マニュアルの他の箇所を参照のこと)。その他の示唆的な所見として,全身性のリンパ節腫脹および発疹などがある。

全身性リンパ節腫脹は,急性単核球症の児童および若年成人でみられ,通常は著明な咽頭炎,倦怠感,および肝脾腫を伴う。全身性リンパ節腫脹がみられる患者(ときに関節痛,発疹,またはその両方を伴う)では,急性HIV感染症(primary HIV infection)または第2期梅毒を疑うべきである。HIV感染症は曝露後2~6週間で発生する(ただし,患者が無防備な性的接触やその他の危険因子を常に報告するとは限らない)。第2期梅毒では下疳が先行するのが通常で,全身症状は4~10週間後に出現する。ただし,下疳は痛みを伴わず,直腸内,腟内,口腔内の視界に入らない部位に発生することがあるため,患者が下疳に気づいていない場合もある。

発熱と発疹には,感染および薬剤に由来する原因が数多く存在する。点状出血または紫斑を主体とする発疹は特に注意が必要であり,髄膜炎菌血症,ロッキー山紅斑熱(特に手掌または足底が侵されている場合),または(頻度はやや低くなるが)一部のウイルス感染症(例,デング熱,出血熱)の可能性を示唆する。その他の示唆的な皮膚病変としては,ライム病の古典的な遊走性紅斑,スティーブンス-ジョンソン症候群の標的病変,蜂窩織炎やその他の軟部組織の細菌感染症でみられる疼痛と圧痛を伴う紅斑などがある。遅延型の薬物過敏症の可能性にも(たとえ長期使用後でも)留意すべきである。

局所所見を認めない場合,急性発熱と非特異的な所見(例,倦怠感,全身の痛み)のみを認める健常者では,感染者との接触歴(新たな無防備な性的接触を含む),疾患媒介動物への曝露歴,または疾患流行地域(最近の旅行など)での曝露歴から別の疾患が示唆されない限りは,自然に軽快するウイルス性疾患である可能性が最も高い。

有意な基礎疾患を有する患者では,不顕性の細菌または寄生虫感染症が生じている可能性がより高い。注射薬物使用者と人工心臓弁を使用している患者では心内膜炎の可能性がある。易感染性患者は特定の微生物による感染症を発症する可能性が高い( 急性発熱の原因)。

薬剤熱(発疹を伴う場合と伴わない場合がある)は除外診断により診断され,しばしば被疑薬の試験的な中止が必要となる。1つの難しい点は,抗菌薬が原因の場合,その治療対象の疾患もまた発熱の原因となっている可能性があるということである。ときに,元の症状が悪化も再発もすることなく,当初の感染症に臨床的改善がみられた後に発熱や発疹が始まることが手がかりとなる(例,肺炎の治療を受けている患者で,咳嗽,呼吸困難,低酸素症が生じることなく再び発熱がみられる)。

検査

検査は局所所見の有無に依存する。

局所所見を認める場合は,臨床での疑いと所見に基づき(本マニュアルの別の箇所も参照のこと),以下の検査を施行する:

  • 単核球症またはHIV感染症:血清学的検査

  • ロッキー山紅斑熱:確定診断のための皮膚病変の生検(急性期の血清学的検査は有用でない)

  • 細菌または真菌感染症:考えられる血流感染症を検出するための血液培養

  • 髄膜炎:直ちに腰椎穿刺ならびにデキサメタゾンおよび抗菌薬の静脈内投与(脳ヘルニアのリスクがある患者では,腰椎穿刺の前に頭部CTを施行すべきであり,血液培養検体を採取してから頭部CTを施行するまでの間に直ちにデキサメタゾンと抗菌薬を静脈内投与しなければならない)

  • 曝露(例,接触,媒介動物,流行地域)に応じた特定の疾患:それらの疾患の検査,特にマラリアでは血液塗抹検査

局所所見を認めない場合,他の点では健康で重篤な疾患の疑いもない患者では,通常は検査を行わずに自宅で経過観察とすることが可能であるほとんどの場合,症状は速やかに消失するが,懸念される症状や局所症状が出現する少数の患者には,新たな所見に基づいて再評価と検査を行うべきである。

局所症状のない患者で重篤な疾患が疑われる場合には,検査が必要である。敗血症を示唆するレッドフラグサインを認める患者では,培養(尿および血液),胸部X線,ならびに血清電解質,グルコース,BUN(尿素窒素),クレアチニン,乳酸,および肝酵素の測定による代謝異常の評価を行う必要がある。血算は一般的に施行されるが,重篤な細菌感染症を診断する上では感度および特異度がともに低い。ただし,免疫抑制の可能性がある患者では,白血球数が予後予測に重要となる(すなわち,白血球数の低値は予後不良と関連する場合がある)。

特定の基礎疾患を有する患者では,たとえ局所所見を認めず,重篤感がない場合でも,検査が必要になる場合がある。発熱のある注射薬物使用者については,心内膜炎のリスクと心内膜炎発症時に想定される極めて重篤な結果を考慮し,通常は入院させた上で継続的な血液培養としばしば心エコー検査を施行する。免疫抑制薬を服用している患者には血算が必要であり,そこで好中球減少症を認めた場合は検査を開始し,胸部X線を施行するとともに,血液,喀痰,尿,便,および疑わしい皮膚病変の培養を行う。好中球減少症のある患者では,菌血症と敗血症が発熱の原因として頻度が高いことから,培養結果を待つことなく経験的な広域抗菌薬の静脈内投与を速やかに開始すべきである。

発熱のある高齢患者には,しばしば検査が必要である( 発熱 : 老年医学的重要事項:発熱)。

治療

特異的な発熱の原因があれば感染症治療を行い,重篤な感染症が強く疑われる場合は,経験的な感染症治療が必要である。

感染に起因する発熱を解熱薬で治療すべきかどうかについては,依然として議論がある。実験的なエビデンスからは,発熱が宿主の防御能を増強している可能性が示唆されているが,臨床研究ではそのような結果は得られていない。

心機能または肺機能不全や認知症のある成人など,特にリスクの高い特定の患者においては,おそらく発熱は治療すべきと考えられる。

脳のシクロオキシゲナーゼを阻害する薬剤により,効果的に発熱を軽減することができる:

  • アセトアミノフェン650~1000mgを6時間毎に経口投与

  • イブプロフェン400~600mgを6時間毎に経口投与

毒性を回避するため,アセトアミノフェンの1日用量は4gを超えないようにする;アセトアミノフェンを含有する感冒またはインフルエンザの一般用医薬品を同時に服用しないように患者に警告するべきである。その他のNSAID(例,アスピリン,ナプロキセン)も解熱薬として効果的である。サリチル酸はライ症候群との関連が報告されているため,ウイルス性疾患の小児患者における発熱の治療に使用してはならない。

体温が41℃以上まで上昇した場合は,他の冷却法(例,微温湯ミストを用いた気化冷却,冷却ブランケット)も開始すべきである。

老年医学的重要事項:発熱

フレイルな高齢者では,感染が生じても発熱が起きる可能性が低く,たとえ感染により体温が上昇した場合でも,標準的な発熱の定義より体温が低いことがある。同様に,局所の疼痛など他の炎症性症状もあまり著明とならないことがある。しばしば,肺炎やUTIの発症初期に他に精神状態の変化や日常生活機能の低下しかみられないこともある。

疾患の臨床像はあまり重症ではないにもかかわらず発熱がみられる高齢者では,発熱がみられる若年成人と比べて,重篤な細菌感染症が生じる可能性が著しく高い。若年成人の場合と同様に,呼吸器感染症またはUTIが原因であることもよくある一方,高齢者では皮膚および軟部組織感染症が原因の上位を占めている。

若年患者の場合と同様に局所所見を評価する。ただし,若年患者とは異なり,高齢患者では尿検査,尿培養,および胸部X線がおそらく必要である。敗血症を除外するために血液培養を行うべきであり,敗血症が疑われる場合またはバイタルサインに異常を認める場合は,患者を入院させるべきである。

要点

  • 健常者における発熱の大半は,ウイルス性の呼吸器または消化管感染症によるものである。

  • 局所症状が評価の指針となる。

  • 基礎にある慢性疾患を考慮すること(特に免疫系に障害のある患者)。

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