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鼠径リンパ肉芽腫(LGV)

執筆者:

Sheldon R. Morris

, MD, MPH, University of California San Diego

最終査読/改訂年月 2016年 1月
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鼠径リンパ肉芽腫(LGV)は,Chlamydia trachomatisの3種類の株によって引き起こされる疾患であり,小さな,しばしば症状を伴わない皮膚病変を特徴とし,それに続いて鼠径部または骨盤の所属リンパ節腫脹を生じる。あるいは,肛門性交で感染した場合は,重度の直腸炎を呈することがある。無治療の場合,LGVはリンパの流れを閉塞し,性器組織の慢性的腫脹を引き起こすことがある。診断は臨床徴候によるが,血清学的検査または蛍光抗体法を用いた臨床検査による確認も通常可能である。治療は,テトラサイクリン系薬剤またはエリスロマイシンの21日間投与による。

LGVは,細菌であるChlamydia trachomatisの血清型 L1,L2,およびL3によって引き起こされる。これらの血清型は,トラコーマ,封入体結膜炎,尿道炎,および子宮頸管炎を引き起こす血清型のクラミジアとは異なり,所属リンパ節内に侵入して増殖することができる。

LGVは米国で散発的に発生しているが,アフリカの一部,インド,東南アジア,南米,およびカリブ海諸国では風土病である。女性よりも男性に診断されることの方がはるかに多い。

症状と徴候

第1期は,約3日間の潜伏期間の後に始まり,侵入部位に小さな皮膚病変ができる。被覆する皮膚を破壊(潰瘍を生じる)することがあるが,非常に早く治癒するため,気づかれないうちに消失する場合がある。

第2期は,通常男性では2~4週間後に始まり,片側または両側の鼠径リンパ節腫脹を来し,大きな圧痛を伴う,ときに動揺性の腫瘤(横痃)を形成する。横痃はより深部の組織に付着し,被覆する皮膚の炎症を引き起こし,ときに発熱および倦怠感を来す。女性では背部痛または骨盤痛がよくみられる;最初の病変は子宮頸部または腟の上部に生じる可能性があり,その結果より深部の直腸周囲および骨盤リンパ節の腫脹および炎症を来す。瘻孔が複数形成され,そこから膿または血液が排出されることがある。

第3期には,病変が瘢痕を残して治癒するが,瘻孔は遺残または再発する。未治療の感染症による持続性の炎症は,リンパ管を閉塞し,腫脹および皮膚のただれを引き起こす。

肛門性交の受け側の人は,第1期に重度の直腸炎または直腸結腸炎を発症することがあり,血性かつ膿性の直腸分泌物を伴う。慢性期には,クローン病に類似した大腸炎から,しぶり腹と直腸狭窄や,骨盤リンパ節の炎症による疼痛が引き起こされる可能性がある。直腸鏡検査により,びまん性の炎症,ポリープ,および腫瘤または粘液膿性の滲出液を同定できることがあり,これは炎症性腸疾患に類似した所見である。

診断

  • 抗体の検出

  • ときに核酸増幅検査(NAAT)

陰部潰瘍,鼠径リンパ節腫脹,または直腸炎を有する患者,およびこの感染症がよくみられる地域に在住する,訪問する,または現地の人と性的接触をもつ患者では,LGVが疑われる。横痃を有する患者でもLGVが疑われるが,横痃は他の細菌によって引き起こされる膿瘍と間違われることがある。

診断には通常,クラミジア内毒素に対する抗体の検出(補体結合抗体価 > 64倍またはmicroimmunofluorescence[MIF]法による抗体価 > 256倍)か,PCRベースのNAATによる遺伝子型判定が用いられてきた。抗体値は通常発症時またはその後まもなくして上昇し,高値を維持する。免疫測定法(例,酵素結合免疫吸着測定法[ELISA])もしくはモノクローナル抗体を用いて膿を染色する蛍光抗体法によるクラミジア抗原の直接検査,またはNAATが,基準となる検査施設(例,米国ではCenters for Disease Control and Prevention[疾病予防管理センター])を通して実施できる場合がある。

全てのセックスパートナーを診断すべきである。

治療が成功したと思われる場合は,その後6カ月にわたりフォローアップを継続すべきである。

治療

  • 経口のテトラサイクリン系薬剤またはエリスロマイシン

  • 場合により,症状の緩和のために横痃のドレナージ

ドキシサイクリン100mg,経口,1日2回,エリスロマイシン500mg,経口,1日4回,またはテトラサイクリン500mg,経口,1日4回,いずれも21日間の服用は,早期例に効果的である。アジスロマイシン1g,経口,週1回,1~3週間はおそらく効果的であるが,クラリスロマイシンと同様十分に評価されていない。

後期に生じた損傷組織の腫脹は,細菌を排除しても消退しないことがある。症状緩和に必要であれば,穿刺または外科的手技により横痃をドレナージするが,ほとんどの患者は抗菌薬に速やかに反応する。横痃および瘻孔は手術を要することがあるが,直腸狭窄は通常は拡張できる。

現在のセックスパートナーが感染している場合は治療すべきである。

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