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クラミジア,マイコプラズマ,およびウレアプラズマによる粘膜感染症

執筆者:

Sheldon R. Morris

, MD, MPH, University of California San Diego

最終査読/改訂年月 2016年 1月
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非淋菌性STDとしての尿道炎,子宮頸管炎,直腸炎,および咽頭炎は,主にクラミジアが原因であるが,まれにマイコプラズマまたはUreaplasma属細菌によることもある。クラミジアは,卵管炎,精巣上体炎,肝周囲炎,新生児結膜炎,および乳児肺炎も引き起こすことがある。未治療のクラミジア卵管炎は慢性化し,引き起こす症状は最小限であるが,重篤な転帰を招く。診断は培養,抗原の免疫測定法,または核酸検査による。治療はアジスロマイシンの単回投与,またはオフロキサシン,レボフロキサシン,エリスロマイシン,もしくはテトラサイクリン系薬剤の1週間投与による。

複数の病原体が非淋菌性STDの原因となり,女性では子宮頸管炎,男女で尿道炎,直腸炎,および咽頭炎が生じることがある。これらの病原体には以下のものがある:

  • Chlamydia trachomatis(このような尿道炎症例の約50%と粘液膿性子宮頸管炎症例の大半の原因である)

  • Mycoplasma genitalium

  • Ureaplasma urealyticum

  • 腟トリコモナス(Trichomonas vaginalisトリコモナス症

クラミジアは鼠径リンパ肉芽腫も引き起こしうる。「非特異的尿道炎」という不正確な用語が使用されることもあるが,検査でクラミジアおよび淋菌が陰性で他の病原体が特定されない場合にのみ使用できる。

症状と徴候

男性は7~28日間の潜伏期後に症候性の尿道炎を発症し,通常軽度の排尿困難,尿道不快感,および透明ないし粘液膿性の分泌物により始まる。分泌物はわずかで,症状は軽度のことがあり,早朝にはより著明となる場合が多い;その後,外尿道口がしばしば赤くなり,乾燥した分泌物により塞がれ,下着を汚すこともある。ときに発症がより急性かつ重症で,重度の排尿困難,頻尿,および淋菌性尿道炎に類似した多量の膿性分泌物を伴うことがある。感染が進行して精巣上体炎を来す場合もある。感染者との直腸または口腔性器接触の後に,直腸炎または咽頭炎が発生することがある。

女性では通常は無症状に経過するが,帯下,排尿困難,頻尿および切迫尿意,骨盤痛,性交痛,ならびに尿道炎の症状が起こりうる。黄色の粘液膿性滲出液と子宮腟部びらん(赤い頸管内上皮が頸部の腟表面上まで拡大した状態)を伴う子宮頸管炎が特徴的である。骨盤内炎症性疾患(PID;卵管炎および骨盤腹膜炎)は下腹部不快感(典型的には両側性)のほか,腹部,付属器,および子宮頸部を触診されたときに著しい圧痛を引き起こすことがある。骨盤内炎症性疾患(PID)の長期的影響としては,異所性妊娠や不妊症などがある。Fitz-Hugh-Curtis症候群(肝周囲炎)では,右上腹部痛,発熱,および嘔吐が生じることがある。

クラミジアは,眼に移動し急性結膜炎を引き起こすことがある。

性器および腸管感染症に対する免疫反応による反応性関節炎は,成人におけるクラミジア感染症のまれな合併症である。反応性関節炎は,ときに皮膚および眼の病変,ならびに非感染性再発性尿道炎を引き起こす。

クラミジア子宮頸管炎の女性から生まれた乳児は,クラミジア肺炎または新生児眼炎(新生児結膜炎)を発症することがある。

診断

  • 子宮頸部,尿道,咽頭,または直腸滲出液もしくは尿の核酸検査

尿道炎,卵管炎,子宮頸管炎,または原因不明の直腸炎を有する患者ではクラミジア,マイコプラズマ,またはウレアプラズマ感染症が疑われるが,淋菌感染症でも類似の症状が生じうる。

尿道炎の臨床所見は不確定的であるが,Center for Disease Control and Prevention(CDC)の2015 STDs Treatment Guidelinesによると,以下のいずれかがあれば尿道炎の証拠とできる:

  • 検査でみられる粘液性,粘液膿性,または膿性の分泌物

  • 遠心分離後の早朝尿中に,強拡大で1視野に10以上の白血球を認める

  • 早朝尿で白血球エステラーゼ検査陽性

  • グラム染色した尿道分泌物中の白血球数が油浸で視野当たり2個以上

クラミジアをチェックするため,子宮頸部もしくは腟の擦過検体,または男性の尿道もしくは直腸滲出液を採取する。子宮頸部または尿道検体の代わりに尿検体を使用することもできる。咽頭や直腸の感染症を検査するには,これらの部位の拭い液が必要になる。

クラミジアDNAに対する市販の核酸検査(NAT)は,非増幅検体または,数種の核酸増幅法の1つにより増幅された検体を使用して行われることがある。検査は通常擦過検体で行われるが,核酸増幅検査(NAAT)は極めて感度および特異度が高く,尿でも検査ができるため,尿道または子宮頸部の不快なスワブを行う必要がない。一般に,咽頭および直腸の検体の検査は,これらの部位の検査の妥当性が確かめられた施設でのみ行うべきである。高リスクの患者(例,新たなまたは複数のパートナーとの無防備な性行為,以前の性感染症[STD]の病歴,薬物または金銭の代償となる性交渉)におけるスクリーニングおよび診断には,増幅技術をルーチンに使用すべきである。

他のSTD(特に淋菌感染症)がしばしば併存するため,症状を伴う尿道炎がある患者には淋菌の検査も行うべきである。その他のSTDの検査(梅毒やHIVの血清学的検査など)も検討すべきである。

マイコプラズマおよびUreaplasma属細菌の検出は,現在のところルーチンの施行は現実的でない;マイコプラズマに対するNAATが開発中であるが,広く利用できるわけではない。

米国では,クラミジア感染症,淋菌感染症,および梅毒の確定症例は,公衆衛生機関に報告しなければならない。

スクリーニング

NAATによる尿検査は,性器診察が不要であるため,STDのリスクが高い無症状の個人のスクリーニングに特に有用である。スクリーニングの推奨は性別,年齢,性習慣,および状況により変化する。

妊娠していない女性(女性と性交する女性を含む)には,以下に該当する場合,年1回のスクリーニングを実施する

  • 性的に活動的で24歳以下である

  • STDの既往がある

  • 高リスクの性行動をとっている(例,新たなセックスパートナーまたは複数のセックスパートナーをもつ,風俗業に従事している,コンドームを一貫して使用していない)

  • 高リスク行動をとるパートナーがいる

妊婦中の女性には,初回の妊婦健診時にスクリーニングを実施するほか,24歳以下であるか危険因子を有している場合は,第3トリメスターにも再度スクリーニングを実施する。

異性間で性的に活動的な男性には,クラミジア感染の有病率が高い状況(複数のセックスパートナーがいる,青年クリニックまたはSTD外来の受診時,および矯正施設への入所時など)を除いて,ルーチンにスクリーニングは実施しない。

男性と性交する男性には,過去1年間に性的に活動的であった場合,スクリーニングを実施する(挿入側の場合は尿スクリーニング検査,受け側の場合は直腸拭い液,口腔性交の場合は咽頭拭い液)。

(US Preventive Services Task Forceのクラミジア感染症のスクリーニングに関する推奨の要約も参照のこと。)

治療

  • 経口抗菌薬(アジスロマイシンが好ましい)

  • 除外されていない場合は,淋菌感染症に対する経験的治療

  • セックスパートナーの治療

合併性を伴わないクラミジア,ウレアプラズマ,またはマイコプラズマ感染症が証明されているか疑われる場合は,以下のいずれかにより治療する:

  • アジスロマイシン1g,経口,単回

  • ドキシサイクリン100mg,経口,1日2回,7日間

  • エリスロマイシン塩基500mg,経口またはエチルコハク酸エリスロマイシン,800mg,1日4回,7日間

  • オフロキサシン300mg,経口,1日2回,7日間

  • レボフロキサシン500mg,経口,1日1回,7日間

アジスロマイシン(単回投与)は,7日間以上の反復投与を要する薬剤よりも好ましい。

妊婦には,アジスロマイシンを1g,経口,単回で使用すべきである。

これらのレジメンでは,クラミジア感染症患者の多くに併存する淋菌感染症を確実に治療することができない。したがって,淋菌感染症が除外されていない場合は,セフトリアキソン250mg,筋注の単回投与を治療に含めるべきである。

再発する患者(約10%)は,通常はクラミジアに対する治療法に反応しない病原体に同時感染しているか,治療後に再感染したと考えられる。クラミジア感染症と淋菌感染症のほか,可能であればトリコモナス症の検査も行うべきである。そのような患者はアジスロマイシンにより治療すべきである(アジスロマイシンによる治療を受けたことのある場合を除く)。アジスロマイシンが無効であれば,モキシフロキサシンを試すべきである。トリコモナス症の流行地域では,PCRによって患者がトリコモナス症陰性であることがわかっている場合を除き,メトロニダゾールによる経験的治療が推奨される。

現在のセックスパートナーも治療すべきである。自身およびそのパートナーが1週間以上治療を受けるまで,患者は性交を控えるべきである。

クラミジア性器感染症は無治療で放置しても,症状および徴候は約3分の2の患者で4週間以内に消失する。しかしながら,女性では無症候性の子宮頸部感染症が持続することがあり,慢性子宮内膜炎,卵管炎,または骨盤腹膜炎ならびにそれらの続発症(骨盤痛,不妊,異所性妊娠リスクの増加)を来す。クラミジア感染症は,症状が軽度またはない時でさえ,女性では長期的に重篤な結果を招きうるため,女性の感染症を発見し,患者およびセックスパートナーを治療することは極めて重要である。

要点

  • 性感染症としてのクラミジア,マイコプラズマ,およびウレアプラズマ感染症は,尿道,子宮頸部,子宮付属器,咽頭,または直腸を侵すことがある。

  • 核酸増幅検査により診断する。

  • また,淋菌感染症,梅毒,HIV感染症など,他のSTDの同時感染がないか検査する。

  • 無症状の高リスク患者には,クラミジア感染症のスクリーニングを行う。

  • 淋菌感染症が除外されていない場合は,淋菌感染症に治療効果のある抗菌薬レジメンを使用する。

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