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コロナウイルスおよび急性呼吸器症候群(COVID-19,MERS,SARS)

執筆者:

Brenda L. Tesini

, MD, University of Rochester School of Medicine and Dentistry

最終査読/改訂年月 2020年 5月
本ページのリソース

コロナウイルスは,感冒から致死的な肺炎に至るまでの様々な重症度の呼吸器疾患を引き起こす,エンベロープを有するRNAウイルスである。

1930年代に家禽で初めて発見された多くのコロナウイルスは,動物で呼吸器,消化管,肝臓,および神経系の疾患を引き起こす。ヒトに疾患を引き起こすことが知られているのは7種類のみである。

7種類のうち4種類は感冒の症状を引き起こすことが非常に多い。コロナウイルス229EおよびOC43は感冒を引き起こし,血清型NL63およびHUK1にも感冒との関連が認められている。まれに,肺炎を含む重度の下気道感染症が発生することもあり,これは主に乳児,高齢者,易感染性患者にみられる。

7種類のコロナウイルスのうち3種類は,他のコロナウイルスよりもはるかに重度で,ときに死に至る呼吸器感染症を引き起こし,21世紀になってから致死的な肺炎の大規模なアウトブレイクを引き起こしている。

  • SARS-CoV2は,COVID-19(coronavirus disease 2019)の原因として同定された新型コロナウイルスであり,2019年末に中国の武漢で流行が始まり,世界中に拡大した。

  • MERS-CoVは,中東呼吸器症候群(MERS)の原因として2012年に同定された。

  • SARS-CoVは,2002年の終わりごろに中国で始まった重症急性呼吸器症候群(SARS)のアウトブレイクの原因として2003年に同定された。

重度の呼吸器感染症を引き起こすこれらのコロナウイルスは人獣共通感染の病原体であり,感染動物から始まり,動物からヒトに伝播する。SARS-CoV2はヒト-ヒト間で強い感染力をもつ。

COVID-19

COVID-19は,新型のコロナウイルスであるSARS-CoV2によって引き起こされ,ときに重症化する急性呼吸器疾患である。

COVID-19は2019年後半に中国の武漢で最初に報告され,その後中国全土および世界中に広まった。現在の症例数および致死率については,Centers for Disease Control and Prevention: 2019 Novel CoronavirusおよびWorld Health Organization's Novel Coronavirus (COVID-2019) situation reportsを参照のこと。

COVID-19の伝播

初期にみられたCOVID-19の症例には,中国の武漢にある生きた動物を売買する生鮮市場との関連が認められ,このウイルスが最初は動物からヒトに伝播したことが示唆される。ヒトからヒトへの伝播は,ウイルスを含む分泌物への接触によって(主に大きな呼吸器飛沫への接触を介して)発生するが,呼吸器飛沫によって汚染された表面に触れることでも起きうるほか,小さな呼吸器飛沫のエアロゾル伝播によって起きる可能性もある。このウイルスがどれくらい確実にヒトからヒトに伝播するかは,依然として明らかにされていない。症状がみられる患者だけでなく,無症状の感染者や発症前の患者もウイルスを伝播する可能性があることが知られている。このウイルスはSARSより感染力が高いとみられている。

2003年のSARSのアウトブレイクでは,スーパースプレッダーが感染拡大に極めて大きな役割を果たしたが,現在のCOVID-19のアウトブレイクにおいてもスーパースプレッダーが大きな役割を果たし,伝播能力の推定にも大きく影響している可能性がある。スーパースプレッダーとは,平均的な感染者よりも著しく多くの人々に感染を広める個人のことである。症状がほとんどない人や全くない人も感染を拡大させる可能性があり,このことがアウトブレイクの制御を困難にしている。

感染のリスクが高い状況として,介護施設,長期療養施設,刑務所,船内などが挙げられる。このような状況では人の密集度が高く,感染回避策の維持がしばしば困難となる。介護施設の居住者は,年齢が高く,基礎疾患があるという理由でもリスクが高い。

このアウトブレイクの局所的,地域的,世界的な拡大を抑制するために,検疫および隔離措置が適用されている。特定の地域ではこれらの措置を徹底することで感染の拡大を抑制できている。

症状と徴候

COVID-19の感染者は,症状がほとんどないか全くない場合もあれば,重症化して死亡する場合もある。症状としては以下がみられる:

  • 発熱

  • 咳嗽

  • 息切れまたは呼吸困難

  • 悪寒または繰り返す悪寒戦慄

  • 疲労

  • 筋肉痛

  • 頭痛

  • 咽頭痛

  • 嗅覚または味覚障害の出現

  • 悪心,嘔吐,および下痢

潜伏期間はウイルス曝露後2~14日間である。感染者の半数以上が無症状または軽症となる。COVID-19患者における重篤化および死亡のリスクは年齢とともに上昇し,ほかに重篤な疾患(心疾患,肺疾患,腎疾患,肝疾患,糖尿病,易感染状態,重度の肥満[BMI > 40]など)を有する患者で高くなる (1, 2)。重症例は呼吸困難,低酸素症,画像上での広範囲の肺浸潤影を特徴とする。進行して機械的人工換気を要する呼吸不全,ショック,多臓器不全に陥り,死に至る可能性がある。

急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に進行して死に至る可能性のある呼吸器疾患のほかにも,重篤な合併症として以下のものがある:

小児におけるSARS-CoV-2感染症のまれな合併症として,感染後にまれに生じる炎症症候群が報告されており,pediatric multi-system inflammatory syndrome(PMISまたはMIS-C)と呼ばれている。その病態はまだよく知られていないが,川崎病毒素性ショック症候群に類似する特徴がみられる。

症状と徴候に関する参考文献

診断

  • 上気道および下気道分泌物の逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査

公衆衛生施設だけでなく,商業検査施設や病院附属の検査施設でもCOVID-19の診断検査を受けられることが多くなっている。PCR法を用いたポイントオブケア検査も商業的に利用可能になっている。

COVID-19の初期診断検査としては,上気道検体を1検体採取して検査するよう,Centers for Disease Control and Prevention(CDC)は推奨している。以下のものが許容可能な検体である:

  • 医療従事者が採取した上咽頭検体(入手可能なら望ましい検体)

  • 医療従事者が採取した中咽頭検体

  • 医療従事者が採取した,または現場において監督下で(先細りのflocked swabを用いて)自己採取された鼻腔中部の拭い液検体

  • 医療従事者が採取した,または現場もしくは自宅において(flocked swabまたはspun polyester swabを用いて)自己採取された鼻腔検体(anterior nares specimen)

  • 医療従事者が採取した上咽頭洗浄/吸引検体または鼻腔洗浄/吸引検体

全ての検査プラットフォームおよび検査施設が全ての種類の検体を検査できるわけではないため,検体を受領する検査施設の検体採取指示を参照すること。上咽頭および中咽頭検体については,シャフトがプラスチック製またはワイヤー製の合成繊維スワブのみを使用すること。アルギン酸カルシウム製のスワブとシャフトが木製のスワブは,一部のウイルスを不活化してPCR検査を困難にする物質が含まれている可能性があるため,使用してはならない。検体を採取したスワブは,ポイントオブケア検査のように検体を直接分析するように設計された検査法を用いるのでなければ,ウイルス輸送用培地,輸送用アミーズ培地,滅菌食塩水のいずれか2~3mLが入った無菌の輸送用チューブに直ちに入れること。検体を採取する際は,適切な感染制御策を維持すること。

CDCは,可能ならば下気道検体で検査を行うことも推奨している。臨床的適応がある患者(例,侵襲的な機械的人工換気を受けている患者)では,下気道吸引液または気管支肺胞洗浄液を採取し,下気道検体として検査すべきである。喀痰の採取は湿性咳嗽がみられる患者でのみ行うべきである。喀痰の誘発は推奨されない。(CDC: Interim Guidelines for Collecting, Handling, and Testing Clinical Specimens from Persons for Coronavirus Disease 2019を参照のこと。)CDCはバイオセーフティの観点から,COVID-19の感染が疑われる患者を対象に各地の機関が細胞培養でウイルスの分離を試みたり,ウイルス性病原体の特性評価を行ったりしないよう勧告している。

米国内で入手可能な検査キットの数が増えてきていることから,検査対象とする患者の選択基準が緩和されており,症状がみられる患者の中で検査対象とされる範囲が以前と比べて広がっている。臨床医は,患者の症状と徴候がCOVID-19に一致するかどうか,また検査の実施が患者のケアや公衆衛生対策に影響をもたらすかどうかについて,自らの裁量で判断を下すべきである。検査を行うかどうかの決定を下す際には,地域におけるCOVID-19の疫学,発症後の経過,および患者の疫学的要因(発症前14日以内のCOVID-19確定症例との濃厚接触など)も考慮に入れてよい。また疫学的に適切であれば,同様の呼吸器疾患の他の原因(例,インフルエンザ)を調べる検査の実施も勧められる。地域の公衆衛生ガイダンスによっては,無症状の患者も検査対象になる場合がある。(CDC: Evaluating and Testing Persons for Coronavirus Disease 2019を参照のこと。)

COVID-19の検査では以下の対象者の優先順位を高く設定するようCDCは推奨している

  • 入院患者

  • 症状がみられる医療施設,集団生活施設,およびファーストレスポンダーの勤務者

  • 症状がみられる長期療養施設の居住者,その他の集団生活施設の居住者,刑務所の服役者,シェルターの滞在者

  • 公衆衛生当局によるクラスターおよび接触者調査で特定された個人

アウトブレイクが進行するにつれて,感染伝播が持続してみられる地域は変わってくる。米国内の地域であれば,医師は州または地域の公衆衛生当局に相談すべきである。これまでに全ての州で症例が報告されている。CDCは世界的なパンデミックを鑑み,全ての国際旅行およびクルーズ船での旅行を避けるよう推奨している;現在の情報についてはCDC: Coronavirus Disease 2019 Information for Travelを参照のこと。

検査結果が陽性であれば地域および州の公衆衛生当局に報告する必要があり,患者には自宅または医療施設での厳格な隔離が必要である。

注:急性期のCOVID-19を診断するのに血清学的(すなわち抗体)検査を用いてはならない。

より重症度の高い患者でみられるルーチン検査の所見としては,リンパ球減少のほか,やや特異度の低い所見として,アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT,AST)高値,乳酸脱水素酵素(LDH)高値,Dダイマー,フェリチン,炎症マーカー(C反応性タンパクなど)高値などがある。

胸部画像所見は,軽症例では正常となる可能性があり,重症度が高まるにつれて増加してくる。典型的な所見はウイルス性肺炎と一致し,具体的には胸部X線または胸部CTでのすりガラス陰影や硬化像(consolidation)などがある。

治療

  • 支持療法

  • ときに重症例に対してレムデシビル

COVID-19の治療は主に支持療法である。現時点で治療法およびワクチンの臨床試験が175以上登録されているが,効果的な治療法に関するデータは依然として少ない。COVID-19に対してFood and Drug Administration(米国食品医薬品局:FDA)の承認を受けた治療法は現時点で1つもないが,米国では治験薬としての抗ウイルス薬レムデシビルが,重症患者を対象とするFDAの緊急使用認可制度を介して使用可能になっている。米国の現行ガイドラインでは, レムデシビルを除き,治療薬を臨床試験外で使用することに対して注意が呼びかけられている(National Institutes of Health (NIH) COVID-19 Treatment GuidelinesInfectious Diseases Society of America (IDSA) Guidelines on the Treatment and Management of Patients with COVID-19を参照)。いずれの治療薬を用いる場合も,患者毎にその便益を考えられるリスクと比較しなければならない。

回復期血漿を介した免疫グロブリンの輸注やIL-1およびIL-6阻害薬などの免疫調節療法が用いられているが,臨床試験外でのルーチンな使用を推奨できるだけの十分なデータは得られていない。その他に使用されてきた薬剤として,クロロキン誘導体,アジスロマイシン,抗レトロウイルス薬などがある。これらの薬剤についても,臨床試験外での使用の妥当性を裏付ける十分なデータは得られておらず, クロロキンおよびヒドロキシクロロキンに関連する毒性により,これらを病院以外または臨床試験外で使用してはならないとするFDAの警告発出に至っている。

支持療法には,機械的人工換気および昇圧薬投与による救命処置が含まれる場合もある。早い段階で治療目標を話し合っておくことが推奨されてる。

COVID-19の合併症が発生したら,それも治療すべきである。COVID-19の入院患者は,血栓塞栓症のリスクが高まっている可能性がある。薬剤の予防的投与を病院のガイドラインに従って行うべきであり,血栓塞栓症に対する臨床的な警戒を高く維持するべきである。血栓塞栓症が強く疑われ,確定診断のための画像検査が行えない場合には,治療としての抗凝固薬投与を開始すべきである。

アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)やコルチコステロイドなどの薬剤は,併存症に対して必要であれば継続すべきであるが,COVID-19の治療として開始すべきではない。非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)の使用が予後の悪化につながるとしたエビデンスはなく,COVID-19の治療中にはアセトアミノフェンまたはNSAIDのいずれかを使用できる。

挿管の有無にかかわらずCOVID-19患者の呼吸管理では,低酸素症への傾向を考慮に入れるべきである。治療に関する決定は,患者の管理を最適化することを目的とするべきであるが,医療従事者への曝露のリスクと医療資源の最善の利用についても考慮に入れるべきである。挿管は医療従事者が感染性エアロゾルに曝露するリスクが特に高い行為であり,最大限の注意を払って行うべきである。

疑い例からの伝播を防ぐために,医療従事者は標準予防策,接触感染予防策,およびアイシールドを用いる空気感染または飛沫感染予防策を講じるべきである。空気感染予防策は,患者にエアロゾルが発生する処置を行う場合に特に重要である。呼吸器症状のある患者が医療施設に入ってきたら,直ちに特定し,マスクを着用させるべきである。個人用防護具(PPE)の供給状況をモニタリングして確保するための戦略を検討すべきであり,そのためのツールがCDCから提供されている。(CDC: Infection Control Guidance for Healthcare Professionals about Coronavirusを参照のこと。)

より詳細な情報

中東呼吸器症候群(MERS)

中東呼吸器症候群(MERS)は,MERSコロナウイルス(MERS-CoV)によって引き起こされる重症急性呼吸器疾患である。

MERS-CoV感染症は,2012年9月にサウジアラビアで最初に報告されたが,その後,2012年4月に発生していたヨルダンでのアウトブレイクが遡及的に確認された。2019年までに,全世界の27カ国から2500例近くのMERS-CoV感染症例(と少なくとも850例の関連する死亡例)が報告されているが,MERSは全ての症例にアラビア半島およびその周辺諸国への旅行または居住との関連が認められており,80%以上がサウジアラビアに関係するものである。アラビア半島以外で起きたMERSの最大のアウトブレイクは,2015年に韓国で発生したものである。このアウトブレイクにはアラビア半島から帰国した1人の旅行者が関係していた。欧州全域の国々とアジア,北アフリカ,中東,そして米国で症例が確認されており,それらの症例は治療を受けるために中東から移送された患者か中東から帰国後に発症した患者である。

血清抗体保有率の予備的調査から,この感染症がサウジアラビアの広範囲には及んでいないことが示されている。

World Health Organization(世界保健機関)は,ウムラ(小巡礼)やハッジ(大巡礼)のためにサウジアラビアを訪れる巡礼者がMERS-CoVに感染するリスクは非常に低いと考えている。中東への巡礼に関する詳細は,World-travel advice on MERS-CoV for pilgrimages を参照のこと。

MERS-CoVに感染した患者の年齢中央値は56歳で,男女比はおよそ1.6:1である。高齢患者と糖尿病,慢性心不全,慢性腎疾患などの基礎疾患がある患者では,感染症がより重度化する傾向がある。

MERS-CoVの伝播

MERS-CoVは直接接触,呼吸器飛沫(5μm以上の粒子),またはエアロゾル(5μm未満の粒子)を介してヒトからヒトへ伝播する。MERS患者との濃厚接触が唯一のリスクであった個人に感染症が発生したことで,ヒトからヒトへの伝播が確認された。

MERS-CoVの病原巣はヒトコブラクダと考えられているが,ラクダからヒトへの伝播が起きる機序は不明である。報告症例のほとんどが医療機関で起きたヒトからヒトへの伝播に関連したものである。MERSが疑われる場合は,医療現場での感染伝播を防止するために速やかに感染制御対策を開始する必要がある。

症状と徴候

MERS-CoVの潜伏期間は約5日である。

報告されたほとんどの症例で入院を要する重症呼吸器疾患がみられ,致死率は約35%であったが,少なくとも21%の患者は軽症または無症状であった。発熱,悪寒,筋肉痛,および咳嗽がよくみられる。消化管症状(例,下痢,嘔吐,腹痛)が約3分の1の患者でみられる。ICU管理を要するほどの重症例もあるが,近年ではそのような症例の割合は急速に減少している。

診断

  • 上気道および下気道分泌物ならびに血清検体のRT-PCR(逆転写ポリメラーゼ連鎖反応)検査

発熱を伴う原因不明の急性下気道感染症があり,発症前14日以内に以下のいずれかの経験がある患者では,MERSを疑うべきである:

  • MERSが最近報告された地域または伝播が起きている可能性がある地域への旅行または同地域での居住

  • MERSの伝播が起きている医療施設との接触

  • MERSが疑われていた患者との濃厚接触

MERSの疑いがある患者と濃厚接触した発熱がみられる患者でも,呼吸器症状の有無にかかわらず,MERSを疑うべきである。

Centers for Disease Control and Prevention(米国疾病予防管理センター)から最新の勧告が公開されている(MERS: Interim Guidance for Healthcare Professionals)。

検査には上気道および下気道分泌物のリアルタイムRT-PCR検査を含めるべきであり,理想的には異なる部位から異なる時点で採取された複数の検体を使用する。患者に加えて,医療従事者を含めた濃厚接触者全員(無症状の者も含む)から血清検体を採取すべきである(軽症または無症候性MERSの同定に役立てるため)。MERSが疑われた直後または曝露があった直後(急性期血清)と3~4週間後(回復期血清)に血清検体を採取する。検査は州の保健当局またはCenters for Disease Control and Preventionで実施される。

胸部画像検査により全ての患者で異常が検出されるが,その異常は軽微なこともあれば広範に及ぶこともあり,片側性のこともあれば両側性のこともある。一部の患者では,LDHおよびASTの高値や血小板数およびリンパ球数の減少がみられる。少数の患者では急性腎障害がみられる。播種性血管内凝固症候群と溶血が発生することもある。

治療

  • 対症療法

MERSの治療は対症療法である。疑い例からの伝播を防止するために,医療従事者は標準予防策と接触および空気感染予防策を講じるべきである。

ワクチンはない。

より詳細な情報

重症急性呼吸器症候群(SARS)

重症急性呼吸器症候群(SARS)は,SARSコロナウイルス(SARS-CoV)によって引き起こされる重症急性呼吸器疾患である。

SARSは他のコロナウイルス感染症よりはるかに重症の疾患である。SARSは,ときに進行性に重症化する呼吸機能不全を来すインフルエンザ様疾患である。

SARS-CoVは,2002年11月に中国の広東省で最初に検出され,その後30を超える国々に拡大した。このアウトブレイクでは,世界中で8000例以上の症例と774例の死亡が報告された(死亡率は約10%であるが,年齢によるばらつきが大きく,24歳以下では1%未満,65歳以上では50%以上であった)。Centers for Disease Control and Preventionが特定地域への旅行中止を推奨したのは,このSARS-CoVのアウトブレイクが初めてであった。このアウトブレイクは鎮静化し,2004年以降新たな症例は同定されていない。直接の発生源はジャコウネコであると推定され,この動物は生きた動物を売買する市場で食材として販売されていたもので,ジャコウネコは商用として捕獲される前にコウモリとの接触を介して感染した可能性が高い。コウモリはしばしばコロナウイルスの宿主となる。

SARS-CoVは濃厚接触によってヒトからヒトへと伝播する。感染者が咳嗽やくしゃみをしたときに生じる呼吸器飛沫を介した伝播が最も起きやすいと考えられている。

SARSの診断は臨床的に行い,治療は支持療法による。2002年のアウトブレイクでは,迅速かつ厳格な感染制御の協力体制が迅速な制御の一助となった。

2004年以降新たな症例は報告されていないが,原因ウイルスが動物に病原巣をもち,そこから再び出現する可能性も想定されることから,SARSは根絶されたと考えるべきではない。

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