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腎移植

執筆者:

Martin Hertl

, MD, PhD, Rush University Medical Center

医学的にレビューされた 2018年 8月
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本ページのリソース

腎移植の主な適応は以下の通りである:

  • 末期腎不全

絶対的禁忌としては以下のものがある:

  • 移植片の生着を危うくしかねない併存症(例,重度の心疾患,悪性腫瘍),これらは徹底的なスクリーニングにより検出可能

相対的禁忌としては以下のものがある:

  • コントロール不良の糖尿病(同種移植片の急速な生着不全につながる可能性がある)

70歳代およびときに80歳代の患者でも,他の点では健康で,良好な社会的支援のもとで身体機能に関して自立している,妥当に長い余命がある,そして移植により単なる透析からの離脱以上に身体機能および生活の質が実質的に改善する可能性が高い場合には,移植の対象となる場合がある。1型糖尿病患者は,膵腎同時移植または腎移植後膵臓移植の候補となる場合がある。

腎移植ドナー

提供される腎臓は,生前に健康であった脳死者からのものが半数を超えている。これらの腎臓の約3分の1は使用限界に近く,生理学的損傷または手技に関連する損傷がみられるが,需要が非常に高いために用いられる。

心停止ドナーからの腎臓(心停止後臓器提供[DCD]移植片と呼ばれる)がより多く用いられている。これらの腎臓は,ドナーの死亡前の虚血によって損傷していることがあり,急性尿細管壊死のために機能が低下していることが多い;しかし,長期的には,標準の適合基準を満たすドナー(標準基準ドナー[SCD]と呼ばれる)からの腎臓と同様に機能すると考えられる。

提供される腎臓の残り(約40%)は生体ドナーからのものである;供給が限られているため,慎重に選択した非血縁生体ドナーからの同種移植片を使用することが多くなってきている。生体ドナーは,腎臓の予備能力を失い,手技による合併症および長期の病的状態のリスクに自らを曝す可能性があり,また臓器提供について精神的葛藤を抱えることもある;そのため,両側の腎機能が正常なこと,全身性疾患がないこと,組織適合性,精神的安定性,およびインフォームド・コンセントを与える能力について評価される。生体ドナー候補者に高血圧,糖尿病,および悪性腫瘍(場合により中枢神経系腫瘍は除く)があれば,通常は腎臓提供ができない。

非血縁生体ドナーからの腎臓を用いることが増えてきている;そのため,腎臓交換プログラムでは,不適合のドナー候補者とレシピエントのペアを他の同様な不適合のペアと組み合わせることが多い。そのようなペアが多く特定されることで,連鎖的な交換が可能となり,レシピエントとドナー間で良好な適合が得られる可能性が大幅に増加する。

ABO適合が不可能であれば,ときにABO不適合の移植を行うことがある;その場合でも,ドナーおよびレシピエントの慎重な選択ならびに移植前治療(血漿交換および/または免疫グロブリン静注[IVIG])により,ABO適合移植と同程度の転帰が得られる可能性がある。

手技

ドナーの腎臓は腹腔鏡(または,まれに開腹)手術で摘出し,比較的高濃度の難透過性物質(例,マンニトール,ヘタスターチ)を含有し,細胞内レベルとほぼ等しい電解質濃度の冷却溶液で灌流した後,氷冷溶液中で保存する。この方法で保存した腎臓は,24時間以内に移植すれば,通常良好に機能する。あまり用いられることはないが,酸素化した血漿を基本とした灌流液による拍動性の持続低温灌流法により,ex vivoで腎臓の生存能を最長で48時間延長できる。

レシピエントは,移植前に比較的正常な代謝状態を確保するために透析が必要なことがあるが,移植前に長期間の透析を開始していないレシピエントでは,生体ドナーの同種移植片がわずかながら良好に生着するとみられる。

生来の腎臓が感染していない限り,通常レシピエントの腎摘出は不要である。

同種移植を予定しており貧血がみられる患者に輸血が有用かどうかは不明である;輸血により患者が同種抗原に感作されることがあるが,おそらく輸血によりある種の耐性が誘導されるため,輸血を受けても感作されなかったレシピエントでは,同種移植片がより良好に残存する可能性がある。

移植する腎臓は通常,腸骨窩に配置する。腎血管を腸骨動静脈に吻合し,ドナーの尿管を膀胱の中へ植え込むか,レシピエントの尿管と吻合する。膀胱尿管逆流症が約30%のレシピエントで起こるが,通常は有害作用を伴わない。

免疫抑制レジメンは多様である(移植の拒絶反応を治療するために用いられる免疫抑制薬 移植の拒絶反応を治療するために用いられる免疫抑制薬 移植の拒絶反応を治療するために用いられる免疫抑制薬 の表を参照)。ほぼ全ての腎移植レシピエントで,導入薬(例,抗胸腺細胞グロブリン,アレムツズマブ)を術中に開始する。一般的には,移植直後にカルシニューリン阻害薬の投与を開始し,拒絶反応の予防に十分な高い血中トラフ値を維持しつつ毒性および拒絶反応を最小限にするよう用量を調節する。移植当日に,静注または経口コルチコステロイドを開始する;その後数週間(プロトコルによって異なる)にわたって用量を漸減する。

合併症

拒絶反応

免疫抑制薬を使用しても,腎移植レシピエントのうち約20%で,移植後1年以内に 拒絶反応 拒絶反応 移植組織は以下のいずれかを利用する: 患者自身の組織(自家移植片[autograft];例,骨,骨髄,皮膚) 遺伝的に同一の(同系[一卵性双生児])ドナーの組織(同系移植片[isograft]) 遺伝的に異なるドナーの組織(同種移植片[allograftまたはhomograft])... さらに読む が1回以上みられる。ほとんどの拒絶反応はコルチコステロイドの静注で容易に治療できる;ただし,長期間の機能不全,生着不全,またはその両方の一因となる。拒絶反応の徴候はその種類によって異なる(カテゴリー別腎移植拒絶反応の症状 カテゴリー別腎移植拒絶反応の症状 カテゴリー別腎移植拒絶反応の症状 の表を参照)。

診断が臨床的に不明確であれば,拒絶反応は経皮針生検で診断できる。生検は,抗体介在性の拒絶反応とT細胞介在性の拒絶反応を識別したり,移植片の機能不全または生着不全の他の一般的な原因(例,カルシニューリン阻害薬の毒性,糖尿病性または高血圧性腎症,ポリオーマウイルス1型感染症)を特定したりするのに役立つ場合もある。拒絶反応の診断精度を改善する可能性のある先進的な検査として,拒絶反応のメディエータをコードする尿中のmRNAの測定およびDNAマイクロアレイを用いる生検検体の遺伝子発現プロファイリングなどがある。

強化免疫抑制療法(例,高用量のステロイドパルス療法または抗リンパ球グロブリン)により通常は促進性または急性拒絶反応から回復する。免疫抑制薬が無効であれば,用量を漸減し,次の移植が可能になるまで血液透析を再開する。

免疫抑制薬の中止後に血尿,移植片に起因する圧痛,または発熱がみられた場合には,移植腎の摘出が必要である。

慢性移植腎症

慢性移植腎症とは,移植後3カ月以上経過して発生する移植片の機能不全または生着不全をさす。ほとんどの場合,カルシニューリン阻害薬の毒性,糖尿病性または高血圧性腎症,ポリオーマウイルス1型感染症などに起因する。慢性移植腎症という用語は,生検で他の原因を同定できない慢性の間質線維化および尿細管萎縮が認められる状況で移植腎の機能不全または生着不全を報告する場合にのみ用いるべきと考える専門家もいる。

がん

一般集団と比べて,腎移植レシピエントではがんが発生する可能性が10~15倍高くなるが,これはおそらく免疫系が修飾を受けることにより,がん(および感染症)への反応が弱まるためと考えられる。腎移植レシピエントでは一般集団と比べてリンパ系の悪性腫瘍(リンパ腫)が30倍以上多くみられるが,それでもリンパ腫はまれな病気である。皮膚悪性腫瘍は,長年にわたり免疫抑制を受けた腎移植レシピエントで発生しやすくなる。

予後

ほとんどの拒絶反応の発生および他の合併症は移植後3~4カ月以内にみられる;ほとんどの患者は移植後に比較的正常な健康および活動を取り戻すが,免疫抑制薬を維持量で無期限に服用しなければならない。

腎移植から1年後の生存率は以下の通りである:

  • 生体ドナーからの移植:98%(患者)および94%(移植片)

  • 死体ドナーからの移植:95%(患者)および88%(移植片)

その後の移植片の年間損失率は,生体ドナーからの移植で3~5%,死体ドナーからの移植で5~8%である。

最初の1年間まで移植片が残存した患者のうち半数は,移植片の機能が正常な状態で他の原因(例,心血管疾患,感染症)により死亡する;半数は,1~5年で移植片が機能不全となり慢性移植腎症を発症する。晩期の生着不全の発生率は,白人よりも黒人で高い。

移植後3カ月以上経ってからのドプラ超音波検査による腎区域動脈の収縮期ピーク血流および拡張末期最低血流の測定は,予後評価に役立つことがある。

最良の臨床予測因子は,依然として以下の通りである:

  • 血清クレアチニンの連続測定

個別の患者において新たに測定したクレアチニン濃度を前回の測定値と比較すべきである;クレアチニンの突然の増加は拒絶反応または他の問題(例,血行障害,尿管閉塞)を考慮する必要性を示す。理想的には,全ての腎移植患者で移植後4~6週間までに血清クレアチニンが正常になるべきである。

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