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免疫療法薬

執筆者:

Peter J. Delves

, PhD, University College London, London, UK

最終査読/改訂年月 2018年 12月
本ページのリソース

免疫療法薬は,免疫機序を利用または修飾する。これらの薬剤の利用は急速に進展している;新規クラスの薬剤,新規薬剤,および既存薬の新規用途が開発されている。以下の異なるクラスの免疫療法薬がいくつか開発されている(臨床で用いられている主な免疫療法薬の表も参照):

  • モノクローナル抗体

  • 融合タンパク質

  • 可溶性サイトカイン受容体

  • 遺伝子組換えサイトカイン

  • 低分子ミメティクス

  • 細胞療法

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臨床で用いられている主な免疫療法薬

薬剤

作用

適応

モノクローナル抗体*

アブシキシマブ

抗糖タンパク質IIb/IIIa受容体

経皮的冠動脈インターベンションを受ける患者または一部の高リスクの急性冠症候群患者における,虚血性心合併症の予防

アダリムマブ

抗TNF-α

標準治療に抵抗性を示す中等度から重度のクローン病

中等度から重度の多関節型若年性特発性関節炎

中等度から重度の関節リウマチ

標準治療に抵抗性を示す中等度から重度の潰瘍性大腸炎

非感染性の中間部,後部,および汎ぶどう膜炎

尋常性乾癬

アレムツズマブ

抗B細胞(CD52)

標準治療に抵抗性を示すB細胞性慢性リンパ性白血病

2剤以上に対する反応が不十分であった患者における再発性の多発性硬化症

アリロクマブ

抗前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型

ヘテロ接合体の家族性高コレステロール血症または動脈硬化性心血管疾患の成人患者におけるLDLコレステロール値の低下,食事およびスタチン系薬剤の補助として

アテゾリズマブ

抗PD-L1

尿路上皮癌(移行上皮癌)の局所進行例もしくは遠隔転移例,または非小細胞肺癌の遠隔転移例において,プラチナベースの化学療法の施行中または終了後に腫瘍の進行がみられた場合

アベルマブ

抗PD-L1

尿路上皮癌の局所進行例または遠隔転移例において,プラチナベースの化学療法の施行中または終了後に進行がみられた場合

メルケル細胞癌の遠隔転移例

バシリキシマブ

抗IL-2受容体

移植腎の急性拒絶反応の予防

ベリムマブ

抗Bリンパ球刺激タンパク質(抗BLyS)

自己抗体陽性全身性エリテマトーデスの成人患者において,標準治療を受けている場合

ベンラリズマブ

抗IL-5受容体α

12歳以上の重度の好酸球性喘息患者における維持療法への追加薬

ベバシズマブ

抗VEGF-A

上皮性卵巣がん,卵管がん,または原発性腹膜癌(化学療法歴が2レジメンまでのシスプラチン抵抗性の再発例において,パクリタキセル,ドキソルビシン封入PEG化リポソーム製剤,またはノギテカンと併用;III期またはIV期例の初回の外科的切除後において,カルボプラチンおよびパクリタキセルと併用,その後ベバシズマブ単剤として投与;プラチナ感受性の再発例において,カルボプラチンおよびパクリタキセルまたはカルボプラチンおよびゲムシタビンと併用,その後ベバシズマブ単剤として投与)

成人の膠芽腫において,他の治療の実施/試行後に進行がみられた場合

遠隔転移を伴う大腸癌(一次または二次治療としてフルオロウラシルの静注をベースとする化学療法と併用)

遠隔転移を伴う大腸癌において,ベバシズマブを含む一次治療の途中で進行がみられた場合(二次治療としてフッ化ピリミジン系ベース,イリノテカンベース,またはフッ化ピリミジン系 + オキサリプラチンベースの化学療法と併用)

遠隔転移を伴う腎細胞癌(IFN-αと併用)

持続性,再発例,または遠隔転移を伴う子宮頸癌(パクリタキセルおよびシスプラチンまたはパクリタキセルおよびノギテカンと併用)

非扁平上皮非小細胞肺癌の切除不能例,局所進行例,再発例,または遠隔転移例(一次治療としてカルボプラチンおよびパクリタキセルと併用)

ベズロトクスマブ

Clostridium difficile毒素B

Clostridium difficile感染症の成人患者において,抗菌薬投与を受けており再発リスクが高い場合

ブリナツモマブ

二重特異性:抗CD19および抗CD3c

再発または難治性前駆B細胞ALL

前駆B細胞ALLにおいて初回または2回目の完全寛解後にMRD量が0.1%以上の場合

ブレンツキシマブ ベドチン

抗CD30(有糸分裂阻害薬のmonomethyl auristatin Eに結合)

ホジキンリンパ腫において,自家造血幹細胞移植(ASCT)に失敗した場合,またはASCTの候補ではない患者で2回以上の多剤併用化学療法レジメンに失敗した場合

1回以上の多剤併用化学療法レジメンに失敗した全身性未分化大細胞型リンパ腫

ブロダルマブ

抗IL-17受容体A

中等度から重度の尋常性乾癬の成人患者において,他の全身療法に反応しない場合

ブロスマブ

抗線維芽細胞増殖因子23

X連鎖性低リン血症

カナキヌマブ

抗IL-1β

2歳以上の患者における活動性の全身型若年性特発性関節炎

周期熱症候群:

セルトリズマブ(ペグ化Fab’断片)

抗TNF-α

従来の治療に対する反応が不十分な中等度から重度のクローン病

中等度から重度の尋常性乾癬

成人における中等度から重度の関節リウマチ

セツキシマブ

抗EGFR

頭頸部扁平上皮癌の局所領域進行例(放射線療法と併用)

頭頸部扁平上皮癌の局所領域再発例または遠隔転移例(プラチナベースの化学療法およびフルオロウラシルと併用)

頭頸部扁平上皮癌の再発例または遠隔転移例において,プラチナベースの化学療法の後に進行がみられた場合

EGFRを発現し遠隔転移を伴う大腸癌において,以下の方法で投与する:

  • 一次治療としてFOLFIRIと併用

  • イリノテカンベースの化学療法に抵抗性を示す場合,イリノテカンと併用

  • オキサリプラチンおよびイリノテカンベースの化学療法が無効である,または患者がイリノテカンに耐えられない場合,単剤療法として

ダラツムマブ

抗CD38

多発性骨髄腫において,以下の条件を満たす場合:

  • プロテアソーム阻害薬および免疫調節薬を含む3剤以上のレジメンによる治療を受けたことがある患者

    または

  • プロテアソーム阻害薬と免疫調節薬の両方に抵抗性を示すがん

デノスマブ

抗RANKL

多発性骨髄腫患者または固形腫瘍の骨転移がある患者における骨関連イベント(例,骨折,骨痛)の予防

成人または骨格が成熟している青年の骨巨細胞腫の治療において,腫瘍が切除不能であるか,または外科的切除によって重度の合併症が発生する可能性が高い場合

ビスホスホネートに抵抗性の悪性腫瘍による高カルシウム血症の治療

骨折リスクが高い患者の骨粗鬆症

非転移性前立腺癌に対するアンドロゲン遮断療法を受けている男性および乳癌に対するアジュバント療法としてアロマターゼ阻害薬療法を受けている女性において,骨折リスクが高い場合に骨量を増やすため

ジヌツキシマブ

抗GD2(糖脂質)

小児の高リスク神経芽腫において,一次治療の多剤併用療法または集学的治療により少なくとも部分奏効が得られた場合(GM-CSF,IL-2,およびイソトレチノイン[13-cis-レチノイン酸]と併用)

デュピルマブ

抗IL-4受容体α

中等度から重度のアトピー性皮膚炎において,外用療法では疾患の制御が不十分な場合または外用療法が推奨されない場合

デュルバルマブ

抗PD-L1

尿路上皮癌の局所進行例または遠隔転移例において,プラチナベースの化学療法の施行中または終了後に進行がみられた場合

切除不能III期非小細胞肺癌において,プラチナベースの化学療法と放射線療法の同時併用後に疾患進行がみられなかった場合

エクリズマブ

抗補体第5成分(C5)

エロツズマブ

抗SLAMF7

過去に1~3回の治療を受けたことのある多発性骨髄腫の患者(レナリドミドおよびデキサメタゾンと併用)

エミシズマブ

抗第IXa因子および抗第X因子の二重特異性

第VIII因子インヒビターを発現している血友病A患者における出血エピソードの予防または低減

エレヌマブ

カルシトニン遺伝子関連ペプチド受容体

エボロクマブ

抗前駆タンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型

冠動脈疾患患者における心血管系リスクの低減

ホモ接合体もしくはヘテロ接合体の家族性高コレステロール血症または動脈硬化性心血管疾患の成人患者におけるLDLコレステロール値の低下(食事およびスタチン系薬剤の補助として)

ゲムツズマブ

抗CD33抗体オゾガマイシン複合体

成人において新たに診断されたCD33陽性急性骨髄性白血病,または成人および2歳以上の小児における再発例もしくは難治例

ゴリムマブ

抗TNF-α

中等度から重度の関節リウマチ(メトトレキサートと併用)

中等度から重度の潰瘍性大腸炎において,以下の条件を満たす場合:

  • 前治療への反応が不十分または前治療に耐えられない

    または

  • コルチコステロイドによる治療の継続を必要とする

グセルクマブ

抗IL-23

中等度から重度の尋常性乾癬

イバリズマブ(ibalizumab

抗CD4

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)1型感染症(多剤耐性菌による感染症の成人患者で多くの治療歴を有する場合は他の抗レトロウイルス薬と併用)

イブリツモマブ

抗B細胞(CD20;放射性物質イットリウム90と結合)

再発または難治性かつ低悪性度の濾胞性リンパ腫または形質転換したB細胞性非ホジキンリンパ腫

イダルシズマブ

抗ダビガトラン

緊急手術/緊急処置に必要な場合,または生命を脅かすかコントロール不能の出血において,ダビガトランの抗凝固作用の中和

インフリキシマブ

抗TNF-α

従来の治療に対する反応が不十分な場合の中等度から重度のクローン病または潰瘍性大腸炎

中等度から重度の関節リウマチ(メトトレキサートと併用)

活動性の強直性脊椎炎

活動性の乾癬性関節炎

他の治療があまり適切でない慢性で重度の尋常性乾癬

イノツズマブ

抗CD22抗体オゾガマイシン複合体

成人の再発または難治性前駆B細胞ALL

イピリムマブ

抗CTLA-4

手術不能または転移性の進行黒色腫

所属リンパ節に1mmを超える病理学的転移を認める黒色腫で,リンパ節全切除を含む完全切除が行われた場合

未治療の腎細胞癌(ニボルマブと併用)

イキセキズマブ

抗IL17A

中等度から重度の尋常性乾癬

メポリズマブ

抗IL-5

12歳以上の重度の好酸球性喘息患者における維持療法への追加薬

ナタリズマブ

抗α4インテグリンサブユニット

多発性硬化症の再発例またはクローン病において,他の治療では不十分な場合

ネシツムマブ

EGFR1

遠隔転移を伴う扁平上皮非小細胞肺癌の一次治療(ゲムシタビンおよびシスプラチンと併用)

ニボルマブ

抗PD-1

切除不能または転移性の黒色腫(イピリムマブと併用,BRAFV600変異陽性の場合はBRAF阻害薬と併用)

遠隔転移を伴う非小細胞肺癌において,プラチナベースの化学療法の施行中または終了後に進行がみられた場合

進行腎細胞癌患者において,過去に血管新生阻害療法を受けたことがある場合またはイピリムマブと併用とするならば未治療の場合

ホジキンリンパ腫において,自家造血幹細胞移植(HSCT)とブレンツキシマブ ベドチンによる移植後治療を行った後,または自家HSCTを含む3ライン以上の全身療法を行った後に,再発または進行した場合

頭頸部扁平上皮癌の再発例または遠隔転移例において,プラチナベースの化学療法の施行中または終了後に進行がみられた場合

尿路上皮癌の局所進行例または遠隔転移例において,プラチナベースの化学療法の施行中または終了後に進行がみられた場合

高頻度マイクロサテライト不安定性またはミスマッチ修復欠損の遠隔転移を有する大腸癌において,フッ化ピリミジン系,オキサリプラチン,およびイリノテカンによる治療後に進行がみられた場合

ソラフェニブによる治療歴がある肝細胞癌

オビルトキサキシマブ(obiltoxaximab

抗炭疽菌(Bacillus anthracis)防御抗原

炭疽(抗菌薬と併用)

オビヌツズマブ

抗CD20

濾胞性リンパ腫において,リツキシマブを含むレジメンに抵抗性を示すか,この治療の終了後に再発した場合(まずベンダムスチンと併用し,その後単剤療法とする)

bulky病変を伴うII期,III期,またはIV期濾胞性リンパ腫の未治療成人患者(化学療法と併用,その後部分寛解以上が得られた患者ではオビヌツズマブ単剤療法)

未治療のCLL(クロラムブシルと併用)

オクレリズマブ

抗CD20

再発型または一次性進行型多発性硬化症

オファツムマブ

抗B細胞(CD20)

再発または進行性CLLにおいて,2剤以上を併用したレジメンで完全または部分奏効がみられた症例における長期治療

フルダラビンおよびアレムツズマブに抵抗性を示すCLL

再発CLL(フルダラビンおよびシクロホスファミドと併用)

オララツマブ

抗血小板由来増殖因子受容体α

アントラサイクリン系を含むレジメンが適する組織亜型で,放射線療法または手術による根治的治療が適さない,軟部肉腫の成人患者の治療において,ドキソルビシンと併用

オマリズマブ

抗IgE

アレルギー疾患が確認され,吸入コルチコステロイドによるコントロールが不十分な12歳以上の患者における中等度から重度の喘息

抗ヒスタミン薬(H1受容体拮抗薬)による治療にもかかわらず症状が残存する12歳以上の患者における慢性特発性蕁麻疹

パリビズマブ

抗RSウイルス(RSV)Fタンパク質

小児における重篤な下気道RSV感染症

パニツムマブ

抗EGFR

RAS遺伝子が野生型の遠隔転移を伴う大腸癌において,フッ化ピリミジン系,オキサリプラチン,およびイリノテカンによる前治療後に進行がみられた場合の一次治療(FOLFOXと併用または単剤療法として)

ペムブロリズマブ

抗PD-1

手術不能または転移性の進行黒色腫

EGFRまたはALKの腫瘍ゲノム異常(genomic tumor aberration)がないPD-L1陽性非小細胞肺癌(NSCLC)患者の一次治療に単剤として投与

PD-L1陽性NSCLCの遠隔転移例の治療において,プラチナベースの化学療法の施行中または終了後に進行がみられた場合,単剤として投与(EGFRまたはALK腫瘍ゲノム異常を有する患者では,ペムブロリズマブの投与前に,FDAに承認されている治療の施行中に進行がみられているべきである)

遠隔転移を伴わない非扁平上皮NSCLCの一次治療(ペメトレキセドおよびカルボプラチンと併用)

頭頸部扁平上皮癌の再発例または遠隔転移例において,プラチナベースの化学療法の後に進行がみられた場合

ホジキンリンパ腫の難治例または3ライン以上の治療後に再発した患者

原発性縦隔大細胞型B細胞リンパ腫の難治例または2ライン以上の治療後に再発した患者

PD-L1陽性尿路上皮癌の局所進行例または遠隔転移例において,シスプラチンを含む化学療法の適応がない患者,またはPD-1の発現状況とは無関係にあらゆるプラチナベースの化学療法の適応がない患者,プラチナベースの化学療法の施行中もしくは終了後またはネオアジュバントもしくはアジュバントとしてのプラチナベースの化学療法の12カ月以内に進行がみられた患者

高頻度マイクロサテライト不安定性のがんまたはミスマッチ修復欠損固形腫瘍の切除不能例または転移例において,過去の治療後に進行がみられ,良好な代替の治療選択肢がない場合

大腸癌において,フッ化ピリミジン系,オキサリプラチン,およびイリノテカンによる治療後に進行がみられた場合

PD-L1陽性の局所進行または転移性胃または食道胃接合部腺癌の再発例において,フッ化ピリミジン系およびプラチナベースの化学療法と適切ならばHER2/neu標的療法を含む二次以降の治療の施行中または終了後に進行がみられた場合

PD-L1陽性子宮頸癌の再発例または遠隔転移例において,化学療法の施行中または終了後に進行がみられた場合

ペルツズマブ

抗HER2

HER2陽性乳癌において,転移例として抗HER2療法および化学療法を受けたことがない場合(トラスツズマブおよびドセタキセルと併用)

HER2陽性,局所進行,炎症性,または早期乳癌(2cmを超えるかリンパ節転移陽性)におけるネオアジュバント療法として(トラスツズマブおよびドセタキセルと併用),早期乳癌の根治療法の一環として使用する

ラムシルマブ

抗VEGFR-2

遠隔転移を伴う大腸癌において,ベバシズマブ,オキサリプラチン,およびフッ化ピリミジン系を含む一次治療の施行中または終了後に進行がみられた場合(FOLFIRIと併用)

遠隔転移を伴う非小細胞肺癌において,プラチナベースの化学療法の施行中または終了後に進行がみられた場合(ドセタキセルと併用)

進行例または遠隔転移を伴うまたは食道胃接合部腺癌において,フッ化ピリミジン系またはプラチナ製剤を含む化学療法の施行中または終了後に進行がみられた場合

ラニビズマブ

抗VEGF

新生血管型(滲出型)加齢黄斑変性

網膜中心静脈閉塞症の後の黄斑浮腫

糖尿病黄斑浮腫

糖尿病黄斑浮腫患者の糖尿病網膜症

近視性脈絡膜血管新生

ラキシバクマブ(raxibacumab

抗炭疽菌(Bacillus anthracis)防御抗原

炭疽(抗菌薬と併用)

レスリズマブ(reslizumab

Anti-IL-5

12歳以上の重度の好酸球性喘息患者における維持療法への追加薬

リツキシマブ

抗B細胞(CD20)

再発または難治性のCD20陽性,低悪性度,または濾胞性のB細胞非ホジキンリンパ腫

CD20陽性CLL(フルダラビンおよびシクロホスファミドと併用)

TNF阻害薬に対する反応が不十分な中等度から重度の関節リウマチ(メトトレキサートと併用)

中等度から重度の尋常性天疱瘡

多発血管炎性肉芽腫症(以前のウェゲナー肉芽腫症)

サリルマブ

抗IL-6受容体

中等度から重度の関節リウマチの成人患者において,1剤以上のDMARDに対して反応が不十分であったか耐えられなかった場合

セクキヌマブ

抗IL-17A

中等度から重度の尋常性乾癬

シルツキシマブ(siltuximab

抗IL-6

HIVおよびHHV-8が陰性の患者における多中心性キャッスルマン病

チルドラキズマブ

抗IL-23

中等度から重度の尋常性乾癬の成人患者

トシリズマブ

抗IL-6受容体(抗IL-6R)

中等度から重度の関節リウマチにおいて,1剤以上のDMARDに対する反応が不十分な場合

2歳以上の患者における多関節型または全身型若年性特発性関節炎

CAR-T細胞療法後に重度または生命を脅かすサイトカイン放出症候群がみられた2歳以上の患者

トシツモマブ

抗B細胞(CD20;放射性ヨウ素[131I]と結合)

再発および難治性のCD20陽性かつ低悪性度の濾胞性リンパ腫または形質転換した非ホジキンリンパ腫

トラスツズマブ

抗HER2

HER2陽性乳癌

HER2陽性の遠隔転移を伴うまたは食道胃接合部腺癌

ウステキヌマブ

抗IL-12および抗IL-23

中等度から重度の尋常性乾癬

中等度から重度のクローン病

乾癬性関節炎

ベドリズマブ

抗α4β7インテグリン

従来の治療またはTNF阻害薬に対する反応が不十分な中等度から重度の活動性の潰瘍性大腸炎

従来の治療またはTNF阻害薬に対する反応が不十分な中等度から重度のクローン病

融合タンパク質

アバタセプト(IgG1のFc領域と融合させたCTLA-4細胞外ドメイン)

T細胞活性化の阻害

中等度から重度の関節リウマチ

デニロイキンジフチトクス(IL-2とジフテリア毒素を融合)

IL-2受容体のCD25成分への毒素の送達

CD25陽性の皮膚T細胞リンパ腫

エタネルセプト(二量体のCD120b TNF-α受容体とIgG1のFc領域を融合)

TNFレベルの低下

2歳以上の患者における多関節型若年性特発性関節炎

可溶性サイトカイン受容体

アナキンラ(anakinra)(IL-1受容体拮抗薬,ときにペグ化して半減期延長)

IL-1α活性およびIL-1β活性の競合的阻害

18歳以上の患者において:中等度から重度の関節リウマチクリオピリン関連周期熱症候群

サイトカイン

IFN-α

抗増殖性および抗ウイルス性

18歳以上の患者において:C型慢性肝炎,AIDS関連カポジ肉腫,有毛細胞白血病,慢性骨髄性白血病,転移性黒色腫

IFN-β

抗増殖性および抗ウイルス性

再発性の多発性硬化症における急性増悪(flare-up)の回数減少

IFN-γ

免疫賦活性および抗ウイルス性

慢性肉芽腫症における感染症の制御,重度の悪性大理石骨病の進行遅延

IL-2

免疫賦活性

転移性腎細胞癌および転移性黒色腫

IL-11

血小板増殖因子

骨髄抑制作用のある化学療法後の血小板減少症の予防

G-CSF

顆粒球産生の促進

化学療法,放射線療法,または両方を施行した後の好中球減少を回復させる

GM-CSF

顆粒球および単球/マクロファージ産生の促進

化学療法,放射線療法,または両方を施行した後の好中球減少を回復させる

細胞療法

アキシカブタゲン シロロイセル(axicabtagene ciloleucel)(CAR-T)

CD19を標的とする遺伝子改変自己T細胞

2ライン以上の全身療法後における再発または難治性大細胞型B細胞リンパ腫の成人患者

シプロイセル-T(sipuleucel-T

前立腺酸性ホスファターゼおよびGM-CSFで活性化した循環ICAM-1陽性の自己末梢血単核球

無症候性またはわずかに症候性の去勢(ホルモン療法)抵抗性の転移性前立腺癌

2ライン以上の全身療法後における再発または難治性大細胞型B細胞リンパ腫の成人患者

チサゲンレクルユーセル(CAR-T)

CD19を標的とする遺伝子改変自己T細胞

25歳までの前駆B細胞ALL患者において,難治性の場合または2回目以降の再発がみられた場合

*診断検査および放射線学的検査に用いられるモノクローナル抗体は含めていない。

ALL = 急性リンパ芽球性白血病;ANCA = 抗好中球細胞質抗体;CAR = キメラ抗原受容体;CD = cluster of differentiation;CLL = 慢性リンパ性白血病;CTLA = 細胞傷害性Tリンパ球抗原;DMARD = 疾患修飾性抗リウマチ薬;EGFR =上皮増殖因子受容体;Fc = 結晶化フラグメント;FOLFIRI = ロイコボリン(ホリナート),フルオロウラシル + イリノテカン;FOLFOX = ロイコボリン(ホリナート),フルオロウラシル + オキサリプラチン;G-CSF = 顆粒球コロニー刺激因子;GM-CSF = 顆粒球マクロファージコロニー刺激因子;HER2 = human epidermal growth factor receptor 2;HHV-8 = ヒトヘルペスウイルス8型;ICAM = 細胞間接着分子;IFN = インターフェロン;mAb = モノクローナル抗体;MRD = 微小残存病変;PD-L1 = programmed death–ligand 1;RANKL = receptor activator of nuclear factor κβ ligand;SLAMF7 = シグナル伝達リンパ球活性化分子ファミリー7;TNF = 腫瘍壊死因子;VEGF-A = 血管内皮増殖因子A;VEGFR = VEGF受容体。

モノクローナル抗体

モノクローナル抗体(mAb)はin vitroで製造され,特定の標的抗原を認識する;固形腫瘍,造血器腫瘍,および炎症性疾患の治療に用いられる。現在臨床で使用されているモノクローナル抗体には以下の種類がある:

  • マウス抗体

  • キメラ抗体

  • ヒト化抗体

  • 完全ヒト型抗体

マウスモノクローナル抗体は,マウスに抗原を注射し,その脾臓を摘出して抗原特異的抗体を産生するB細胞を採取し,マウス由来の不死化骨髄腫細胞と融合することで作製したハイブリドーマ細胞を増殖させて(例,細胞培養で)抗体を採取することによって生産される。マウス抗体はヒト抗体と似ているが,マウスモノクローナル抗体はヒトで抗マウス抗体産生を誘導して免疫複合体血清病(III型過敏反応)を引き起こし,速やかに除去されるため,臨床での用途は限られている。

純粋なマウスモノクローナル抗体に起因する問題を最小限に抑えるため,一部がヒトで一部がマウスのモノクローナル抗体を作り出す組換えDNA技術が用いられている。ヒトの抗体分子が占める比率に応じて,最終産物は以下のいずれかの名称で呼ばれる:

  • キメラ抗体

  • ヒト化抗体

いずれの場合も生産工程は通常,上述のように求める抗原に対する抗体を作るマウスのハイブリドーマ細胞の作製から始まる。次に,マウスモノクローナル抗体の可変領域の一部または全てに対応するDNAをヒト免疫グロブリンに対応するDNAと結合する。その結果としてできたDNAを哺乳動物の培養細胞に移入すると,結合してできた遺伝子を発現し,求める抗体を作り出す。可変領域全体に対応するマウスの遺伝子をヒトの定常領域に接合した場合は,その産物を「キメラ抗体」と呼ぶ。可変領域のうち抗原結合超可変領域のみに対応するマウスの遺伝子を用いた場合は,その産物を「ヒト化抗体」と呼ぶ。

キメラモノクローナル抗体は,マウスモノクローナル抗体よりも効果的に抗原提示細胞(APC)およびT細胞を活性化するが,依然としてヒト抗キメラ抗体の産生を誘導する可能性がある。

多様な抗原に対するヒト化モノクローナル抗体大腸癌乳癌白血病,アレルギー,自己免疫疾患,移植片拒絶,およびRSウイルス感染症の治療に対して利用可能である。

完全ヒト型モノクローナル抗体は,ヒト免疫グロブリン遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを使用するか,ヒトB細胞から単離した免疫グロブリン遺伝子のファージディスプレイ(すなわち,バクテリオファージベースのクローニング技術)を利用して作製される。完全ヒト型モノクローナル抗体は免疫原性が低いため,患者への有害作用が少ないと考えられる。

抗腫瘍応答のダウンレギュレーションを防ぎ,従来の治療抵抗性のがんの一部を効果的に治療するために,T細胞上または腫瘍細胞上のチェックポイント分子を標的とするモノクローナル抗体(免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれる―臨床で用いられている主な免疫療法薬の表を参照)が用いられている。しかしながら,免疫チェックポイント分子は他の種類の免疫応答にも関与するため,免疫チェックポイント阻害薬は免疫関連の重度の炎症反応および自己免疫反応(全身性および臓器特異的のいずれも起こりうる)を引き起こす可能性がある。

融合タンパク質

このようなハイブリッドタンパク質は,2種類の異なるタンパク質の全てまたは一部をコードする遺伝子配列を結合することによって,親分子から望ましい特性を取り入れたキメラのポリペプチド(例,細胞毒素を結合した細胞標的成分)を作り出す。治療用タンパク質の血中半減期は,もともと血清中半減期の長い他のタンパク質(例,IgGのFc領域)と融合することによって改善できることも多い。

可溶性サイトカイン受容体

サイトカイン受容体の可溶型は,治療薬として用いられる。サイトカインが正常細胞表面の受容体に結合する前に可溶性サイトカイン受容体と結合することによってサイトカインの作用が阻害される。

融合タンパク質のエタネルセプトは,腫瘍壊死因子(TNF)-αに対するCD120b受容体に由来する2本の同一鎖から成る。そのため,この薬剤はTNF-αを阻害し,他の治療に抵抗性を示す関節リウマチ強直性脊椎炎乾癬性関節炎,および尋常性乾癬の治療に用いられる。

可溶性IL受容体(例,IL-1,IL-2,IL-4,IL-5,およびIL-6に対する受容体)が炎症性疾患,アレルギー疾患,およびがんの治療に対して開発中である。

遺伝子組換えサイトカイン

コロニー刺激因子(CSF)として,エリスロポエチン,顆粒球CSF(G-CSF),顆粒球マクロファージCSF(GM-CSF)などが血液疾患やがんに対する化学療法または移植を受けた患者に用いられている(臨床で用いられている主な免疫療法薬の表を参照)。インターフェロンα(IFN-α)およびIFN-γは,がん,免疫不全疾患,およびウイルス感染症の治療に用いられている;IFN-βは,再発した多発性硬化症の治療に用いられている。他にも多くのサイトカインが研究段階にある。

関節リウマチの治療に用いられるアナキンラ(anakinra)は,自然界に存在するIL-1R拮抗物質をわずかに改変した遺伝子組換え型である;この薬剤はIL-1受容体に結合して,IL-1の結合を阻止するが,IL-1と違い,受容体を活性化させることはない。

サイトカイン受容体を発現する細胞は,関連するサイトカインの修飾型によって標的にできる可能性がある(例,IL-2由来およびジフテリア毒素由来の遺伝子配列を含む融合タンパク質であるデニロイキンジフチトクス)。デニロイキン(denileukin)は,皮膚T細胞リンパ腫に用いられており,IL-2受容体のCD25成分を発現する細胞を標的に毒素を送達する。

低分子ミメティクス

小さな直鎖状ペプチド,環状ペプチド,および小さな有機分子が様々な用途の作動薬または拮抗薬として開発されている。ペプチドおよび有機化合物のスクリーニングライブラリーにより,可能性のあるミメティクス(例,エリスロポエチン,トロンボポエチン,およびG-CSFの受容体に対する作動薬)を同定できる。

細胞療法

免疫系の細胞を採取して(例,白血球除去療法により),in vitroで活性化させ,患者の体内に戻す。この目的は,正常ではがんに対する不十分な自然免疫応答を増強することである。免疫細胞を活性化する方法としては,サイトカインを用いて抗腫瘍性の細胞傷害性T細胞を刺激してその数を増加させる方法や,樹状細胞などの抗原提示細胞を腫瘍抗原にパルス的に曝露させる方法などがある。T細胞を患者に戻す前に,腫瘍抗原を認識できるキメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体(TCR)を発現するように遺伝子改変を加えることが可能であり,このアプローチは白血病およびリンパ腫の患者において効力が示されている。

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