(免疫不全疾患の概要および免疫不全疾患が疑われる患者へのアプローチも参照のこと。)
Chédiak-Higashi症候群は,食細胞の異常が関与する,常染色体劣性遺伝のまれな原発性免疫不全症である。この症候群はLYST(lysosomal trafficking regulator;CHS1)遺伝子の変異によって引き起こされる。好中球および他の細胞(例,メラノサイト,神経シュワン細胞)に巨大ライソゾーム顆粒が生じる。異常なライソゾームは,ファゴソームと融合できず,そのため捕食した細菌を正常に溶解できない。
症状と徴候
診断
治療
予防的抗菌薬投与は感染症予防に有用なことがあり,インターフェロンγは一部の免疫系機能の回復に有用なことがある。コルチコステロイドのパルス投与および脾臓摘出では,ときに一過性の寛解へ誘導できる。
しかし,造血幹細胞移植を行わない限り,ほとんどの患者は7歳までに感染症で死亡する。移植前細胞除去化学療法(pretransplantation cytoreductive chemotherapy)後に未分画のHLA一致骨髄を移植することで,治癒に至る可能性がある。移植後の5年生存率は約60%である。