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毛細血管拡張性運動失調症

執筆者:

James Fernandez

, MD, PhD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University

最終査読/改訂年月 2016年 8月

毛細血管拡張性運動失調症はDNA修復障害に起因し,高い頻度で液性免疫不全および細胞性免疫不全を引き起こす;それにより進行性小脳性運動失調,眼皮膚の毛細血管拡張,反復性の副鼻腔肺感染症が生じる。

毛細血管拡張性運動失調症は,液性免疫および細胞性免疫の複合不全が関与する,常染色体劣性遺伝の原発性免疫不全症である。推定発生率は出生児20,000人に1人から100,000人に1人である。毛細血管拡張性運動失調症は,ATM(ataxia-telangiectasia–mutated)タンパクをコードする遺伝子の変異によって引き起こされる。ATMはDNA損傷の検出に関与し,細胞増殖および細胞分裂の速度調節を助けている。

患者は,しばしばIgAおよびIgEを欠失し,進行性のT細胞減少を呈する。

症状と徴候

神経症状の発症年齢および免疫不全症の所見は様々である。

運動失調が最初の症状であることが多く,通常は小児が歩き始める頃に現れる。神経症状が進行すると,重度の障害を来す。ろれつが回らなくなり,舞踏病アテトーゼ様運動および眼振が現れ,通常は筋力低下から筋萎縮へと進行する。

毛細血管拡張は4~6歳まで現れないことがある;眼球結膜,耳,肘窩および膝窩,ならびに頸部外側に最も顕著に現れる。

反復性の副鼻腔肺感染症は,反復性肺炎,気管支拡張症,慢性の拘束性肺疾患を招く。

特定の内分泌異常(例,性腺形成不全,精巣萎縮,糖尿病)が起こることがある。

癌(特に白血病,リンパ腫,脳腫瘍,および胃癌)の発生頻度が高い。典型的には癌は10歳以降1年に約1%の頻度で発生するが,癌は生涯にわたるリスクであり,あらゆる年齢で発生する可能性がある。

診断

  • IgAおよび血清α1フェトプロテイン値

  • 遺伝子検査

以下の臨床所見から毛細血管拡張性運動失調症が示唆される:

  • 小脳性運動失調(特に毛細血管拡張がある場合)

  • IgA低値(患者の80%にみられる)

  • 血清α1フェトプロテイン高値

核型分析を実施した場合,DNA修復の欠陥と一致した所見である染色体切断がみられることが多い。

毛細血管拡張性運動失調症の診断は,ATMタンパクの遺伝子の両アレルで変異が同定されることによって確定する。毛細血管拡張性運動失調症遺伝子に変異のある保因者は通常無症状であるため,キャリア状態に関する同胞の検査が罹患児が生まれる確率を予測するのに役立つことがある。

臨床像に基づいて内分泌異常および癌の検査を行う。

治療

  • 予防的抗菌薬投与または免疫グロブリン(IgG)補充による支持療法

毛細血管拡張性運動失調症の患者には,予防的抗菌薬投与または免疫グロブリンによる治療が有用でありうる。

ある小規模の試験では,アマンタジンによる治療で運動機能にわずかな改善がみられたが,進行性の神経機能の低下に対する効果的な治療法はなく,通常は30歳までに死に至る。

合併した癌の治療では化学療法が適応となることが多い。

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