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食物アレルギー

執筆者:

Peter J. Delves

, PhD, University College London, London, UK

最終査読/改訂年月 2016年 6月
本ページのリソース

食物アレルギーは,食物成分,通常はタンパクに対する過剰な免疫応答である。臨床像には大きな幅があり,アトピー性皮膚炎,消化管または呼吸器症状,アナフィラキシーなどがみられる。診断は病歴に加え,ときにアレルゲン特異的血清IgE検査,皮膚テスト,および/またはアレルゲン除去食による。治療は反応を誘発する食品の除去およびときに経口クロモグリク酸による。

食物アレルギーは,食物に対する非免疫性の反応(例,乳糖不耐症,過敏性腸症候群,感染性胃腸炎)および添加物(例,グルタミン酸モノナトリウム,メタビスルファイト,タートラジン)または食品の混入物(例,ラテックス製手袋を着用した従業員が扱った食品中のラテックス粉末)に対する反応と区別すべきであり,これらが多くの食物反応の原因となる。真の食物アレルギーの有病率は1%未満から3%の範囲で,地理的要因および確認方法によって異なる;患者は不耐性をアレルギーと混同する傾向がある。

病因

ほとんど全ての食物または食品添加物はアレルギー反応を引き起こす可能性があるが,最も多い誘発物質には以下のものがある:

  • 乳幼児:牛乳,大豆,卵,ピーナッツ,および小麦

  • より年長の小児および成人:ナッツ類および海産物

食物のアレルゲンと食物以外のアレルゲンとの交差反応がみられ,感作が非経口的に起こることがある。例えば,口腔アレルギー(典型的には,果物および野菜を食べたときの口腔のそう痒,紅斑,および浮腫)の患者は,食物抗原と抗原的に似ている花粉に曝露されることによって感作されている場合がある;ピーナッツアレルギーの小児は,発疹の治療に用いられるラッカセイ油を含む局所用クリームによって感作されている場合がある。ラテックスに対してアレルギー性の患者の多くは,バナナ,キウイ,アボカド,またはそれらの組合せに対してもアレルギー性である。

一般に,食物アレルギーは,IgE,T細胞,またはその両方が介在する。IgE介在性アレルギー(例,蕁麻疹,喘息,アナフィラキシー)は急性発症型で,通常は乳児期に出現し,アトピーの強い家族歴がある場合に最も多く発生する。T細胞介在性アレルギー(例,食事性タンパク胃腸炎,セリアック病)は緩徐発症型で,慢性である;乳児および小児で最も多くみられる。IgEおよびT細胞の両方が介在するアレルギー(例,アトピー性皮膚炎,好酸球性胃腸症)は発症が遅れたり,慢性となったりする傾向がある。

好酸球性胃腸症

このまれな疾患は,血中の好酸球増多症,消化管の好酸球浸潤,およびタンパク漏出性胃腸症を伴って,疼痛,痙攣,および下痢を引き起こす;患者にはアトピー性疾患の病歴がある。

好酸球性食道炎は,ときに好酸球性胃腸症を伴い,嚥下困難,非酸性の消化不良,および消化管運動障害を引き起こしたり,小児で食餌不耐症および腹痛を引き起こしたりすることがある。

症状と徴候

食物アレルギーの症状と徴候は,アレルゲン,機序,および患者の年齢によって様々である。乳児で最も多くみられる症状は,アトピー性皮膚炎単独または消化管症状(例,悪心,嘔吐,下痢)の合併である。小児は通常,これらの症状から脱して,次第に吸入アレルゲンに反応するようになり,喘息および鼻炎の症状がみられる;この進行過程はアトピーマーチと呼ばれる。10歳までは,たとえ皮膚テストが依然として陽性であっても,アレルギーの原因となる食物を摂取後に呼吸器症状を呈することはまれである。アトピー性皮膚炎が持続したり,年長の小児または成人で発現したりした場合,たとえ皮膚炎が広範にみられるアトピー患者で血清中IgE濃度が皮膚炎のないアトピー患者よりもはるかに高かったとしても,アトピー性皮膚炎の活動性はIgE介在性アレルギーとほとんど無関係と考えられる。

比較的年長の小児および成人で食物アレルギーが持続する場合,その反応はより重度な傾向がある(例,強烈な蕁麻疹,血管性浮腫,アナフィラキシーさえもみられる)。少数の患者で,食後すぐに運動した場合に限り,食物(特に小麦およびエビ)がアナフィラキシーを誘発する;機序は不明である。食物は非特異的症状(例,ふらつき,失神)を誘発することもある。ときに,食物アレルギーにより,口唇炎,アフタ性潰瘍,幽門痙攣,痙攣性便秘,肛門そう痒症,および肛門周囲の湿疹がみられる。

T細胞介在性反応は消化管を侵す傾向があり,亜急性または慢性の腹痛,悪心,痙攣,および下痢などの症状を引き起こす。

パール&ピットフォール

  • 患者に原因不明の亜急性または慢性の腹痛,悪心,嘔吐,痙攣,または下痢が認められた場合,食物アレルギーを考慮する。

診断

  • アレルゲン特異的血清IgE検査

  • 皮膚テスト

  • アレルゲン除去食を試みる(単独,または皮膚テストもしくはアレルゲン特異的血清IgE検査の後で)

重度の食物アレルギーは通常,成人で明瞭である。食物アレルギーが明瞭に認められない場合または小児(最もよくみられる年齢群)で発生した場合,診断が難しいことがあり,本疾患を機能性消化管障害と鑑別しなければならない。セリアック病の診断については, セリアック病 : 診断を参照のこと。

検査(例,アレルゲン特異的血清IgE検査,皮膚テスト)およびアレルゲン除去食は,IgE介在性反応の診断に最も有用である。

食物反応が疑われる場合,以下のいずれかによって食物と症状の関連性を評価する:

いずれの場合も,検査陽性により臨床的に重要なアレルギーが確定するわけではない。いずれの検査も偽陽性または偽陰性の結果となる可能性がある。皮膚テストは,概してアレルゲン特異的血清IgE検査より感度が高いが,偽陽性の結果となる可能性が高い。皮膚テストでは15~20分以内に結果が得られ,アレルゲン特異的血清IgE検査よりはるかに早い。いずれかの検査が陽性であれば,調べた食物を食事から取り除く;食物を取り除くことによって症状が軽減した場合は,その食物に再曝露させて(二重盲検試験が好ましい),症状が再発するか確認する。(National Institute of Allergy and Infectious Diseases [NIAID] medicalposition statement: Guidelines for the diagnosis and management of food allergy in the United Statesも参照のこと。)

皮膚テストの代替として以下のうちいずれかまたは両方が行われる:

  • 症状の原因であると疑われる食物の除去

  • 比較的アレルギーの原因となりにくい食材を使い,一般的な食物アレルゲンを除去した食事を摂る( アレルゲン除去食で許容できる食品*

後者の食事については,指定したもの以外の食物または飲み物を摂取してはならない。無添加の食品を常に用いなければならない。市販されている加工品および食品の多くには,望ましくない食物が大量に含まれていたり(例,市販のライ麦パンは小麦粉を含む),香料または増粘剤としてわずかに含まれていたりする場合があり,望ましくない食物が含まれているか判断が難しいことがある。

1週間経っても何ら改善がみられなければ,他の食事を試すべきである;T細胞介在性反応は消失するのに数週間かかることがある。症状が軽減すれば,新しい食品を1種類加え,24時間以上または症状が再発するまで大量に食べる。代わりに,医師の監督下で被検食品を少量食べさせて,患者の反応を観察する。食品を新たに追加した後の症状悪化または再燃は,最も有力なアレルギーのエビデンスとなる。

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アレルゲン除去食で許容できる食品*

食品

食事番号1

(牛肉,豚肉,鶏肉,牛乳,ライ麦,トウモロコシを含まない)

食事番号2

(牛肉,子羊の肉,牛乳,米を含まない)

食事番号3

(子羊の肉,鶏肉,ライ麦,米,トウモロコシ,牛乳を含まない)

穀物

米製品

トウモロコシ製品

なし

野菜

アーティチョーク,ビート,ニンジン,レタス,ホウレンソウ

アスパラガス,トウモロコシ,エンドウ,カボチャ,サヤインゲン,トマト

ビート,ライマメ,イモ(ジャガイモおよびサツマイモ),サヤインゲン,トマト

子羊の肉

ベーコン,鶏肉

ベーコン,牛肉

小麦粉(パンまたはビスケット)

トウモロコシ,100%ライ麦(通常のライ麦パンは小麦を含む)

ライマメ,イモ,大豆

果物

グレープフルーツ,レモン,西洋ナシ

アンズ,モモ,パイナップル,プルーン

アンズ,グレープフルーツ,レモン,モモ

脂肪

綿実油,オリーブ油

トウモロコシ油,綿実油

綿実油,オリーブ油

飲料

コーヒー(ブラック),レモネード,茶

コーヒー(ブラック),レモネード,茶

コーヒー(ブラック),レモネード,許可された果実の果汁,茶

その他

ショ糖,ゼラチン,かえで糖,オリーブ,食塩,タピオカプディング

ショ糖,コーンシロップ,ゼラチン,食塩

ショ糖,ゼラチン,かえで糖,オリーブ,食塩,タピオカプディング

*食事番号4:患者が上記3種類のいずれかのアレルゲン除去食に従っている間も症状が持続しており,一方で依然として食事が原因として疑われる場合,毎日の食事を成分栄養食(広範な加水分解による人工栄養またはアミノ酸ベースの人工栄養を用いる)に限定することがある。

治療

  • 除去食

  • ときに経口クロモグリク酸

  • 好酸球性腸炎に対して,ときにコルチコステロイド

食物アレルギーの治療は,アレルギー反応を引き起こす食品を除去することによる。それゆえ,診断と治療は重複する。アレルゲン除去食の効果を評価する際,医師は,食物過敏症が自然に消失する可能性があることを考慮しなければならない。

経口脱感作療法(まず,アレルギーを起こす食品を当面の間除去し,それから少量を与えて毎日増量する)および食品抽出物の舌下ドロップを用いる免疫療法が研究段階にある。

経口クロモグリク酸は,アレルギー反応を低下させるために用いられ,明らかな効果が得られている。抗ヒスタミン薬は,蕁麻疹および血管性浮腫を伴う急性の全身反応を除き,ほとんど役立たない。長期間のコルチコステロイド療法は,症候性の好酸球性腸炎に対して有用である。

重度の食物アレルギーの患者には,抗ヒスタミン薬およびアドレナリン充填済みの自己注射器を携行し,反応が開始したら抗ヒスタミン薬を服用し,重度の反応に必要であればアドレナリンを注射するよう忠告しておくべきである。

予防

長年にわたり,食物アレルギーの回避の手段として,アレルギーを引き起こす食物(例,ピーナッツ)を乳児期早期に食べさせないことが推奨されてきた。しかしながら,最近の研究によると,ピーナッツを含む食物を早くから定期的に食べさせることで,ピーナッツアレルギーを発症するリスクが高い乳児(例,卵アレルギーまたは湿疹のある乳児)において,このアレルギーを予防できることが証明されている。

要点

  • 食物アレルギーは,IgE(典型的には急性の全身性アレルギー反応を来す)またはT細胞(典型的には慢性の消化管症状を来す)が介在していることが多い。

  • 食物アレルギーは,食品に対する非免疫性の反応(例,乳糖不耐症,過敏性腸症候群,感染性胃腸炎)および添加物(例,グルタミン酸モノナトリウム,メタビスルファイト,タートラジン)または食品の混入物に対する反応と区別すべきである。

  • 成人で診断が臨床的に明確でない場合,また小児を評価する場合は,皮膚テスト,アレルゲン特異的血清IgE検査,またはアレルゲン除去食を用いることがある。

  • アレルゲン除去食では,リストに載っている食品しか食べられず,純粋な食品しか食べられない(市販されている加工食品の多くが除外される)ことについて,患者が理解していることを確認する。

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