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骨髄癆性貧血

執筆者:

Evan M. Braunstein

, MD, PhD, Johns Hopkins University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 7月

骨髄癆性貧血は,正常な骨髄腔に非造血性細胞または異常な細胞が浸潤し,置き換わることにより生じる正球性正色素性貧血である。原因としては,腫瘍,肉芽腫性疾患,脂質蓄積症,原発性骨髄線維症などがある。しばしば二次的変化として骨髄線維化も生じる。脾腫が生じることもある。末梢血の特徴的な変化としては,赤血球大小不同,変形赤血球増多,赤血球および白血球の前駆細胞数の過剰などが挙げられる。通常は診断に骨髄生検が必要である。治療は支持療法で,基礎疾患に向けた対処も含まれる。

この貧血を表すために使用される用語は紛らわしいことがある。骨髄線維症(myelofibrosis)は,線維性の組織帯によって骨髄が置換された状態であり,特発性(原発性)のものと二次性のものがある。原発性骨髄線維症 原発性骨髄線維症 原発性骨髄線維症(PMF)は,骨髄線維化,脾腫,ならびに有核および涙滴赤血球を伴う貧血を特徴とする,慢性の骨髄増殖性腫瘍である。診断には骨髄検査が必要で,骨髄線維化(二次性骨髄線維症)の原因となりうる他の疾患を除外する。治療は支持療法となることが多いが,ルキソリチニブなどのJAK2阻害薬により症状を軽減できる場合があり,造血幹細胞移植により治癒が得られる可能性もある。 (骨髄増殖性腫瘍の概要も参照のこと。)... さらに読む は幹細胞の異常であり,この場合の線維化は,骨髄内における他の造血性の事象に起因するものである。骨髄硬化症(myelosclerosis)は,ときに骨髄線維症を伴う骨新生である。骨髄化生(myeloid metaplasia)とは,肝臓,脾臓,またはリンパ節における髄外造血のことを指し,何らかの原因による骨髄癆を伴うことがある。古い用語である特発性骨髄化生(agnogenic myeloid metaplasia)は,原発性骨髄線維症を指し,骨髄化生を伴う場合と伴わない場合がある。

病因

骨髄癆性貧血の最も一般的な原因は次のものである:

  • がんの転移による骨髄の置換

最も関与することが多いがんは乳癌や前立腺癌などであり,原因となる頻度が比較的低いがんは腎癌,肺癌,副腎癌,甲状腺癌などである。髄外造血は軽度となる傾向がある。

その他の原因には,骨髄増殖性疾患(原発性骨髄線維症 原発性骨髄線維症 原発性骨髄線維症(PMF)は,骨髄線維化,脾腫,ならびに有核および涙滴赤血球を伴う貧血を特徴とする,慢性の骨髄増殖性腫瘍である。診断には骨髄検査が必要で,骨髄線維化(二次性骨髄線維症)の原因となりうる他の疾患を除外する。治療は支持療法となることが多いが,ルキソリチニブなどのJAK2阻害薬により症状を軽減できる場合があり,造血幹細胞移植により治癒が得られる可能性もある。 (骨髄増殖性腫瘍の概要も参照のこと。)... さらに読む のほか,真性多血症 真性多血症 真性多血症(PV)は,形態学的に正常な赤血球,白血球,および血小板の増加を特徴とする慢性骨髄増殖性腫瘍であり,赤血球増多が典型的にみられる。10~30%の患者で最終的に骨髄線維症および骨髄不全が生じ,1.0~2.5%では急性白血病が自然発生する。出血および動脈血栓症または静脈血栓症のリスクが高い。一般的な臨床像には,脾腫,微小血管イベント(例,一過性脳虚血発作,肢端紅痛症,眼性片頭痛),およびaquagenic... さらに読む または本態性血小板血症 本態性血小板血症 本態性血小板血症(ET)は,血小板数の増加,巨核球の過形成,および出血性または血栓性傾向を特徴とする骨髄増殖性腫瘍である。症状および徴候として,筋力低下,頭痛,錯感覚,出血,および指の虚血を伴う肢端紅痛症がみられることがある。診断は,450,000/μLを超える血小板数,十分な鉄貯蔵の存在下での正常赤血球量または正常ヘマトクリットに加え,骨髄線維症,フィラデルフィア染色体(またはBCR-ABL再構成),または血小板増多を引き起こす可能性... さらに読む からの進行など),肉芽腫性疾患,脂質蓄積症(ゴーシェ病 ゴーシェ病 ゴーシェ病は,グルコセレブロシダーゼの欠乏により生じるスフィンゴリピドーシス(遺伝性代謝疾患の1つ)であり,グルコセレブロシドおよび関連化合物の沈着を引き起こす。症状と徴候は病型によって異なるが,最も多いのは肝脾腫または中枢神経系変化である。診断はDNA解析および/または白血球の酵素分析による。 詳細については,表「スフィンゴリピドーシス」を参照のこと。 遺伝性代謝疾患が疑われる患者へのアプローチも参照のこと。... さらに読む など),骨髄線維化の他の原因などがある。

機能している造血組織が骨髄浸潤のために減少することが,貧血の主な原因である。

症状と徴候

診断

  • 血算,赤血球指数,網状赤血球数,および末梢血塗抹標本

  • 骨髄検査

骨髄癆性貧血は,正球性貧血の患者において,特に脾腫またはがんの可能性がある場合に疑われる。骨髄癆性貧血が疑われる場合は,白赤芽球性パターン(塗抹標本における未熟な骨髄系細胞および正赤芽球などの有核赤血球)から骨髄癆性貧血が示唆されるため, 末梢血塗抹検査 血液塗抹検査 貧血では,赤血球の数が減少する(ヘマトクリットまたは赤血球ヘモグロビン量で測定する)。男性では,貧血はヘモグロビン さらに読む 血液塗抹検査 を行うべきである。髄外造血や骨髄洞の破綻により,未熟な骨髄系細胞や有核赤血球の末梢への放出が引き起こされる。異常な形状の赤血球(典型的には涙滴状[涙滴赤血球])もみられる。

貧血は通常中等度で,特徴としては正球性を示すが,わずかに大球性の場合もある。赤血球形態では,大きさおよび形状に極端なばらつき(赤血球大小不同および変形赤血球増多)がみられることがある。白血球数は様々である。血小板数はしばしば低値となり,血小板は大型で異形であることが多い。

末梢血の検査は示唆的なこともあるが,通常は診断に骨髄検査 骨髄穿刺および骨髄生検 貧血では,赤血球の数が減少する(ヘマトクリットまたは赤血球ヘモグロビン量で測定する)。男性では,貧血はヘモグロビン さらに読む 骨髄穿刺および骨髄生検 が必要である。適応としては,白赤芽球症パターンや原因不明の脾腫などがある。骨髄の穿刺吸引は困難な場合があり,通常は針生検が必要である。所見は基礎疾患により異なる。赤血球産生は正常か,一部の症例で亢進している。脾臓および肝臓で造血がみられることもある。

偶然入手されたX線写真により,長期にわたる骨髄線維症に特徴的な骨病変(骨髄硬化症),または他の骨変化(すなわち,腫瘍による造骨性または溶骨性病変)が明らかになることがあり,それにより貧血の原因が示唆される。

治療

要点

  • 骨髄癆性貧血は,正常な骨髄腔に非造血性細胞または異常な細胞が浸潤し,置き換わることにより発生する正球性正色素性貧血である。

  • 最も一般的な原因は,転移性のがんによる骨髄の置換であり,その他の原因としては,骨髄増殖性疾患,肉芽腫性疾患,脂質蓄積症などがある。

  • 正球性貧血を伴い,末梢血塗抹標本に特徴的な所見がみられる患者,特に脾腫の患者または原因疾患が明らかな患者では骨髄癆性貧血を疑う;骨髄検査で確認する。

  • 原因を治療し,必要に応じて輸血を行う。

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