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腎疾患に伴う貧血

執筆者:

Evan M. Braunstein

, MD, PhD, Johns Hopkins School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 7月
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腎疾患に伴う貧血は,主にエリスロポエチン(EPO)の欠乏またはEPOに対する反応性の低下に起因する産生低下による貧血(hypoproliferative anemia) 赤血球産生低下の概要 貧血(赤血球数,ヘモグロビン量,またはヘマトクリットの減少)は,赤血球産生(赤血球造血)の低下,赤血球崩壊の増加,失血,またはこれらの因子の組合せの結果として生じることがある。(貧血患者へのアプローチも参照のこと。) 赤血球産生低下による貧血(hypoproliferative... さらに読む であり,これは正球性および正色素性の傾向を示す。治療法としては,基礎疾患を是正する治療やEPOの補充のほか,ときに鉄剤の投与などがある。

慢性腎臓病に伴う貧血は多因子性である。

最も一般的な機序は次のものである:

  • EPOの産生低下による増殖低下

その他の因子としては以下のものがある:

  • 尿毒症(赤血球の変形の増加による軽度の溶血がよくみられる)

  • 血小板の機能障害,透析,および/または血管異形成による失血

  • 二次性副甲状腺機能亢進症

まれに赤血球断片化(物理的損傷による溶血性貧血 物理的損傷による溶血性貧血 物理的損傷による溶血性貧血(traumatic hemolytic anemia)は,循環血中の過剰なずり応力または乱流により引き起こされる血管内溶血である。 (溶血性貧血の概要も参照のこと。) 物理的損傷によって末梢血中に破砕赤血球と呼ばれる断片化した赤血球(例,三角形,ヘルメット型)が生じ,末梢血塗抹標本でのこれらの所見を認めれば診断できる。破砕赤血球により赤血球分布幅が大きくなるが,これは赤血球大小不同を反映する。... さらに読む 物理的損傷による溶血性貧血 )がみられ,腎血管内皮の損傷時(例,悪性高血圧 高血圧緊急症 高血圧緊急症は,標的臓器(主に脳,心血管系,および腎臓)障害の徴候を示す重症高血圧である。診断は血圧測定,心電図,尿検査,血清BUNおよびクレアチニンの測定による。治療法は,静注薬(例,クレビジピン[clevidipine],フェノルドパム[fenoldopam],ニトログリセリン,ニトロプルシド,ニカルジピン,ラベタロール,エスモロール,ヒドララジン)を用いた迅速な降圧である。... さらに読む 膜性増殖性糸球体腎炎 膜性増殖性糸球体腎炎 膜性増殖性糸球体腎炎は,腎炎とネフローゼが混合した特徴と顕微鏡的所見を共有する非均一的な疾患群である。ほとんどが小児で発生する。原因は免疫複合体の沈着で,特発性または全身性疾患への続発性である。診断は腎生検による。予後は一般的に不良である。治療は,適応の場合はコルチコステロイドおよび抗血小板薬による。 (ネフローゼ症候群の概要も参照のこと。) 膜性増殖性糸球体腎炎は,光学顕微鏡検査での糸球体基底膜(GBM)の肥厚および増殖性変化を組織学... さらに読む 膜性増殖性糸球体腎炎 結節性多発動脈炎 結節性多発動脈炎(PAN) 結節性多発動脈炎は,典型的には中型の筋性動脈およびときに小型の筋性動脈を侵す全身性壊死性血管炎で,組織の二次的虚血を来す。腎臓,皮膚,関節,筋肉,末梢神経,および消化管が侵される頻度が最も高いが,どの臓器も侵される可能性がある。しかし,肺は通常障害を免れる。患者は典型的には全身症状(例,発熱,疲労)を呈する。診断には生検または動脈造影を必要とする。コルチコステロイドおよび免疫抑制薬による治療がしばしば効果的である。... さらに読む ,または急性皮質壊死 腎皮質壊死 腎皮質壊死は,腎細動脈の損傷により皮質組織が破壊され,慢性腎臓病に至る病態である。このまれな疾患は,新生児や敗血症または妊娠合併症を起こした妊婦または褥婦に発生するのが典型的である。症状と徴候は肉眼的血尿,側腹部痛,尿量低下,発熱,尿毒症の症状である。基礎疾患の症状が優勢の場合がある。診断はMRI,CT,腎シンチグラフィー,または腎生検による。1年死亡率は20%を超える。治療は基礎疾患および腎機能の維持に向けられる。... さらに読む )に生じる。

腎臓でのEPO産生の低下と貧血の重症度は,必ずしも腎機能障害の程度と相関するわけではないが,クレアチニンクリアランスが45mL/minを下回ると貧血が生じる。腎糸球体病変(例,アミロイドーシス アミロイドーシス アミロイドーシスは,異常凝集したタンパク質から成る不溶性線維の細胞外蓄積を特徴とする多様な疾患群である。これらのタンパク質は局所に蓄積してほとんど症状を引き起こさない場合もあるが,全身の複数の臓器に蓄積して,重度の多臓器不全をもたらすこともある。アミロイドーシスは原発性の場合と,種々の感染症,炎症,または悪性疾患に続発する場合とがある。診... さらに読む アミロイドーシス 糖尿病性腎症 糖尿病性腎症 糖尿病性腎症は,糖尿病による代謝および血行動態の変化に起因する糸球体の硬化および線維化である。悪化する高血圧および腎機能不全を伴って緩徐に進行するアルブミン尿として発症する。診断は病歴,身体診察,尿検査および尿中アルブミン/クレアチニン比に基づく。治療は厳格な血糖コントロール,アンジオテンシン阻害(ACE阻害薬またはアンジオテンシンII受容体拮抗薬を使用),ならびに血圧および脂質のコントロールによる。... さらに読む 糖尿病性腎症 による)は,その排泄不全の程度に応じて一般に最も重度の貧血を引き起こす。

診断

  • 血算および末梢血塗抹検査

腎疾患に伴う貧血の診断は,腎機能不全,正球性貧血,および末梢血の網状赤血球減少の証明に基づく。

骨髄で赤芽球低形成を認めることがある。末梢血塗抹標本 血液塗抹検査 貧血では,赤血球の数が減少する(ヘマトクリットまたは赤血球ヘモグロビン量で測定する)。男性では,貧血はヘモグロビン さらに読む 血液塗抹検査 で赤血球断片化がみられ,特に血小板減少症が認められる場合は,物理的損傷による溶血の併存が示唆される。

治療

  • 基礎にある腎疾患の治療

  • ときにエリスロポエチン鉄剤サプリメント

腎疾患に伴う貧血の治療は以下を目指して行う:

  • 腎機能の改善

  • 赤血球産生の増加

腎機能が正常化すれば,貧血は徐々に改善する。

長期透析を受けている患者では,鉄剤とともにEPOを50~100単位/kg,週3回の静注または皮下注で開始することが選択すべき治療となる。ほぼ全ての症例で,8~12週までに赤血球が最大値に達する。その後はEPOを開始用量の約半分,週1~3回投与に減量することが可能である。輸血が必要になることはまれである。ヘモグロビンが12g/dLを超えた場合は,有害作用を避けるために,反応の慎重なモニタリングが必要である。

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