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再生不良性貧血

(低形成性貧血)

執筆者:

Evan M. Braunstein

, MD, PhD, Johns Hopkins University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 7月
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再生不良性貧血は,血球前駆細胞の減少,骨髄の低形成または無形成,および2系統以上(赤血球,白血球,血小板)の血球減少が生じる造血幹細胞の疾患である。症状は貧血,血小板減少症(点状出血,出血),または白血球減少症(感染症)によって引き起こされる。診断には,末梢血塗抹での汎血球減少と骨髄生検での骨髄低形成の証明が必要である。治療としては通常,ウマ抗胸腺細胞グロブリン【訳注:現在,日本で使用できるのはウサギ抗胸腺細胞グロブリンのみである。】およびシクロスポリンによる免疫抑制療法か骨髄移植を行う。

病因

真の再生不良性貧血(青年および若年成人で最も多い)では,約半数の症例が特発性である。確認されている原因は以下のものである:

  • 化学物質(例,ベンゼン,無機ヒ素)

  • 放射線

  • 薬剤(例,抗腫瘍薬,抗菌薬,NSAID,抗てんかん薬,アセタゾラミド,金塩,ペニシラミン,キナクリン)

  • 妊娠

  • ウイルス(エプスタイン-バーウイルスおよびサイトメガロウイルス)

  • 肝炎(肝炎ウイルスに対して血清反応陰性のこともある)

正確な機序は依然として不明であるが,大多数の症例で造血幹細胞に対する免疫系による攻撃が関係している。クローン性造血がしばしばみられ,骨髄性悪性腫瘍に進行するリスクがある。

症状と徴候

再生不良性貧血は通常潜行性に始まり,毒性物質への曝露から数週間または数カ月経過して発現することが多いが,ときに急性の場合もある。

再生不良性貧血では,貧血が脱力と易疲労性を引き起こす一方,重度の血小板減少症 症状と徴候 血小板は,凝固系で機能する細胞片である。トロンボポエチンは,その細胞質から血小板を産生・分離する巨核球を産生するよう骨髄を刺激することによって,循環血小板の数をコントロールすることに役立っている。トロンボポエチンは,肝臓において一定のペースで産生され,その循環血中濃度は,循環血小板が除去される程度のほか,おそらく骨髄の巨核球によって規定さ... さらに読む 症状と徴候 によって,点状出血や斑状出血に加え,歯肉出血,結膜下出血,その他の組織への出血が生じることがある。無顆粒球症 好中球減少症 好中球減少症は,血中の好中球数が減少した状態である。重度の場合,細菌および真菌による感染症のリスクおよび重症度が増す。感染症の局所症状が弱い場合があるが,重篤な感染症の大半で発熱がみられる。診断は,白血球数と白血球分画によるが,評価には原因の同定が必要である。発熱がある場合は,感染が疑われるため,特に好中球減少症が重度であれば,直ちに広域抗菌薬の経験的投与が必要である。顆粒球コロニー刺激因子を用いた治療がときに役立つ。... さらに読む になると,生命を脅かす感染症がよくみられるようになる。輸血性ヘモジデリン沈着症により誘発されない限り,脾腫はみられない。

診断

  • 血算および網状赤血球数

  • 骨髄検査

再生不良性貧血は,汎血球減少症の患者,特に若年患者で疑われる。重度の再生不良性貧血は,以下の2つ以上が存在する状態と定義される:

  • 骨髄細胞密度30%未満

  • 好中球数500/μL未満

  • 網状赤血球数60,000/μL未満

  • 血小板数20,000/μL未満

治療

  • 造血幹細胞移植

  • 移植が選択肢とならない場合,ウマ抗胸腺細胞グロブリン【訳注:現在,日本で使用できるのはウサギ抗胸腺細胞グロブリンのみである】およびシクロスポリンによる免疫抑制療法

移植の適応がない患者やドナーがいない患者では,ウマ抗胸腺細胞グロブリン(ATG)とシクロスポリンを併用する免疫抑制療法によって,約60~80%の全奏効率が得られる。アレルギー反応や血清病が生じることがある。難治例では,臨床試験においてトロンボポエチン受容体作動薬がある程度の効力を示している【訳注:本邦では保険診療で使用可能となっている】。

要点

  • 再生不良性貧血では,貧血,白血球減少症,および血小板減少症を伴う骨髄の汎低形成を生じる。

  • 多くの症例が特発性であるが,化学物質,薬剤,または放射線が原因となる場合がある。

  • 骨髄検査では様々な程度の低形成が認められる。

  • 治療は幹細胞移植またはウマ抗胸腺細胞グロブリンおよびシクロスポリンを用いた免疫抑制による。

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