プロトロンビン(第II因子)20210遺伝子変異

執筆者:Joel L. Moake, MD, Baylor College of Medicine
レビュー/改訂 2021年 1月
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ある遺伝子変異がプロトロンビン(第II因子)の血漿中濃度の上昇を引き起こし,静脈血栓症の素因となる。

血栓性疾患の概要も参照のこと。)

プロトロンビン(第II因子)は,凝固カスケードの最終産物としての酵素であるトロンビンのビタミンK依存性の前駆体である(血液凝固経路の図を参照)。一方(または頻度は下がるが両方)のプロトロンビン遺伝子の遺伝子座20210における一塩基の変異は,血漿プロトロンビン濃度の上昇を招き(トロンビン生成の増加を伴う可能性あり),静脈血栓塞栓のリスクを高める。

この変異の保有率は,調査対象集団によって1%未満から6.5%までの幅がある。

血液凝固経路

診断は,血液検体を用いたプロトロンビン20210の遺伝子解析により行う。

プロトロンビン(第II因子)20210遺伝子変異の治療

  • 抗凝固療法

ヘパリンまたは低分子ヘパリンに続いてワルファリンを投与する抗凝固療法は,静脈血栓症に対して,または血栓症のリスクが高い患者(例,不動状態,重度の外傷,手術により)の予防に用いられる。

トロンビン(ダビガトラン)または第Xa因子(例,リバーロキサバン,アピキサバン)を阻害する直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)が本疾患に対してワルファリンの代わりにおそらく使用可能であるが,依然として確実ではない。

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