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腫瘍の免疫診断

執筆者:

Dmitry Gabrilovich

, MD, PhD, The Wistar Institute

最終査読/改訂年月 2016年 2月
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腫瘍関連抗原(TAA)は,様々な腫瘍の診断に役立つ可能性があり,ときに治療に対する反応や再発の判定に役立つこともある。理想的な腫瘍マーカーとは,腫瘍組織のみから放出され,特定の種類の腫瘍に特異的であり,腫瘍細胞量が少なくても検出でき,腫瘍細胞量と直接相関し,その腫瘍の患者全員で認められるものである。しかしながら,ほとんどの腫瘍は,検出可能な抗原性高分子を循環血中に放出するものの,早期診断または癌の集団スクリーニング制度に使用できるだけの特異度または感度が得られる必須の特徴を全て備えた腫瘍マーカーが存在しない。

癌胎児抗原(CEA)は,結腸癌のほか,正常な胎児の腸,膵臓,および肝臓に存在するタンパク-多糖類複合体である。結腸癌患者では血中濃度が上昇するが,ヘビースモーカーに加え,肝硬変,潰瘍性大腸炎,その他の癌(例,乳癌,膵癌,膀胱癌,卵巣癌,子宮頸癌)の患者でも陽性となるため,特異度は比較的低い。CEA値のモニタリングは,最初にCEAが上昇していた患者で腫瘍切除後の癌再発を検出するため,および病期分類による予後の推定を改善するために有用な場合がある。

α-フェトプロテインは,胎児肝細胞の正常な産生物であり,原発性肝細胞癌,非セミノーマ胚細胞腫瘍のほか,高頻度で卵巣癌または精巣胎芽性癌の患者血清中にもみられる。この測定値は,ときに予後の推定や頻度は低いが診断に有用なことがある。

ヒト絨毛性ゴナドトロピンのβサブユニット(β-hCG)は,免疫測定法により測定され,妊娠絨毛性腫瘍(GTN)―胞状奇胎,非転移性GTN,転移性GTNを含む疾患スペクトラムの女性,および精巣胎芽性癌または絨毛癌の約3分の2の男性における主要な臨床マーカーである。βサブユニットは,hCGに特異的であることから,測定される。このマーカーは,健常者でも低濃度で認められる。妊娠中に上昇する。

前立腺特異抗原(PSA)は,前立腺の腺管上皮細胞にみられる糖タンパクであり,健康な男性の血清中にも低濃度で検出される。適切な正常上限を採用すれば,モノクローナル抗体を用いた測定により,たとえ明らかな転移病変が存在せずとも,進行前立腺癌患者の約90%においてPSAの血清中濃度の上昇が検出される。PSAの感度は,前立腺酸性ホスファターゼよりも高い。ただし,他の疾患(例,前立腺肥大症,前立腺炎,泌尿生殖器に対する最近の器具操作)でもPSAが上昇するため,特異度は低い。PSAは,前立腺癌と診断され,治療を行った後の再発のモニタリングに使用可能である。

CA 125は,卵巣癌のスクリーニング,診断,および治療のモニタリングに関して臨床的に有用であるが,何らかの腹膜炎症プロセスおよび他の一部の癌によって値が上昇することがある。

β2ミクログロブリンは,多発性骨髄腫と一部のリンパ腫でしばしば高値となる。主な用途は,予後判定である。

CA 19-9は,当初は大腸癌の検出を目的に開発されたが,膵癌に対する感度がより高いことが明らかにされた。主に進行膵癌患者の治療に対する反応の判定に使用される。CA 19-9は,他の消化管癌,特に胆管の癌に加え,一部の良性の胆管腺腫および胆汁うっ滞性疾患でも高値となることがある。

CA 15-3およびCA 27-29は,転移性乳癌患者のほとんどで上昇する。他の疾患でも高値となることがある。これらのマーカーは,主に治療に対する反応のモニタリングに使用される。

クロモグラニンAは,カルチノイドおよびその他の神経内分泌腫瘍のマーカーとして用いられる。神経内分泌腫瘍に対する感度および特異度は,75%を超えることがあり,診断精度は,限局性腫瘍よりもびまん性腫瘍で高い。肺癌および前立腺癌などの他の癌に加え,一部の良性疾患(例,原発性高血圧症,慢性腎臓病,慢性萎縮性胃炎)で高値となることがある。

サイログロブリンは,甲状腺により産生され,様々な甲状腺疾患で高値となることがある。主に甲状腺全摘後に甲状腺癌の再発を検出するために,また転移性甲状腺癌の治療に対する反応をモニタリングするために使用される。

TA-90は,高い免疫原性を示す尿中の腫瘍関連抗原のサブユニットであり,黒色腫,軟部肉腫,乳癌,結腸癌,および肺癌の70%で認められる。TA-90の値により黒色腫の手術後の生存期間および無症候性病変の存在を正確に予測できることを示した研究もある。

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