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慢性リンパ性白血病(CLL)

執筆者:

Ashkan Emadi

, MD, PhD, University of Maryland;


Jennie York Law

, MD, University of Maryland, School of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 12月
本ページのリソース

慢性リンパ性白血病(CLL)は,表現型的に成熟した悪性Bリンパ球が進行性に蓄積していくことを特徴とする。本疾患の原発部位としては,末梢血,骨髄,脾臓,およびリンパ節がある。症状および徴候は,認められない場合もあるが,リンパ節腫脹,脾腫,肝腫大,疲労,発熱,盗汗,意図しない体重減少,早期満腹感などが認められる場合もある。診断は末梢血でのフローサイトメトリーおよび細胞表面マーカー検査による。治療は症状が現れるまで待機し,一般に化学療法と免疫療法が用いられる。しかしながら,現在治療法に進歩がみられており,一次治療のレジメンにブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)阻害薬やBcl-2阻害薬などの分子標的薬が組み込まれて,単独または化学療法との併用で使用される場合がある。

慢性リンパ性白血病は,欧米諸国で最も一般的な種類の白血病である。 American Cancer Societyは,米国で2018年にCLLの新規症例数が約20,940人となり,約4510人が死亡すると推定しているが,ほとんどの症例とほぼ全ての死亡例が成人である。CLL患者の平均年齢は70歳である。小児におけるCLLは極めてまれである。男女ともCLLの平均生涯リスクは約0.57%(米国人175人に1人)である。

CLLの原因は不明であるが,一部の症例では遺伝的要因があると考えられる。日本と中国ではCLLはまれで,米国の日本人移住者でも発生率の増加がみられないことから,遺伝因子の重要性が示唆される。CLLは東欧系ユダヤ人で比較的多い。

病態生理

慢性リンパ性白血病では,CD5+ B細胞が悪性化する。B細胞が変異を獲得することによって持続的に活性化され,単クローン性B細胞リンパ球増加症(MBL)に至る。さらに遺伝子異常が蓄積され,その後に単クローン性B細胞が悪性化すると,CLLにつながる。リンパ球はまず骨髄に蓄積され,その後にリンパ節と他のリンパ系組織に拡がって,最終的には脾腫,肝腫大,全身症状(疲労,発熱,盗汗,早期満腹感,意図しない体重減少)を誘導する。

CLLの進行に伴い,造血異常により貧血,好中球減少症,血小板減少症が生じるとともに,免疫グロブリン産生が低下する。最大3分の2の患者が低ガンマグロブリン血症を発症する可能性があり,感染性合併症のリスクが高まる。自己免疫性溶血性貧血(直接抗グロブリン試験で陽性)および自己免疫性血小板減少症に対する患者の感受性が増大する。

症状と徴候

初期には無症状であることが多く,潜行性で非特異的な症状(例,易疲労感,筋力低下,食欲不振,体重減少,発熱,および/または盗汗)で発症し,それらが受診の契機となる場合がある。50%を超える患者にリンパ節腫脹がみられる。リンパ節腫脹は,限局性(頸部および鎖骨上リンパ節が最もよく侵される)の場合も,全身性の場合もある。脾腫および肝腫大は,リンパ節腫脹より頻度が低い。皮膚病変(皮膚白血病)はまれである。

診断

  • 血算および末梢血塗抹検査

  • 末梢血のフローサイトメトリー

  • 細胞表面マーカー検査

慢性リンパ性白血病は,末梢血で5000/µLを超えるリンパ球増多が明らかになった場合に初めて疑われる。末梢血のフローサイトメトリーにより,血中B細胞のクローン性が確定できる。血中リンパ球は,必ずCD5,CD19,CD20,CD23,およびκ型またはλ型の軽鎖を発現している。リンパ球数が5000/µLを下回るが,クローン性の証拠があれば,単クローン性B細胞リンパ球増加症と診断される。単クローン性B細胞リンパ球増加症では,年に約1~2%の症例がCLLに進行する(1 診断に関する参考文献 慢性リンパ性白血病(CLL)は,表現型的に成熟した悪性Bリンパ球が進行性に蓄積していくことを特徴とする。本疾患の原発部位としては,末梢血,骨髄,脾臓,およびリンパ節がある。症状および徴候は,認められない場合もあるが,リンパ節腫脹,脾腫,肝腫大,疲労,発熱,盗汗,意図しない体重減少,早期満腹感などが認められる場合もある。診断は末梢血でのフローサイトメトリーおよび細胞表面マーカー検査による。治療は症状が現れるまで待機し,一般に化学療法と免疫... さらに読む )。CLLの診断に骨髄穿刺および生検は必要ない。しかし,実施した場合は,骨髄に30%を超えるリンパ球が明らかになることが多い。

診断時のその他の所見としては,低ガンマグロブリン血症(症例の15%未満),乳酸脱水素酵素(LDH)高値,尿酸高値,肝酵素高値,まれに高カルシウム血症がみられることがある。診断時に末梢血を用いて細胞遺伝学的および分子遺伝学的検査を行うことが予後の判定に役立つ。

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診断に関する参考文献

予後

慢性リンパ性白血病の自然経過は非常に多様である。生存期間は約2年から20年に及び,中央値は約10年である。初診時のRai 病期が0~II期の患者は,無治療でも5~20年生存できる場合がある。

CLLの予後の特徴には他に以下のものがある:

  • リンパ球の倍増時間

  • 特定の遺伝子異常

リンパ球の倍増時間は,リンパ球の絶対数が2倍になるのに要する月数である。リンパ球の倍増時間が12カ月を下回る無治療の患者は,より進行の速い臨床経過をたどる。

特定の高リスク細胞遺伝学的異常には,del(17p)およびdel(11q)が含まれる。他の有害な予後の特徴としては,免疫グロブリン重鎖可変領域の遺伝子変異なし,フローサイトメトリー法でのCD38の存在,およびZAP-70の発現がある。

治療

  • 化学免疫療法,分子標的療法,およびときに放射線療法

  • 支持療法

慢性リンパ性白血病は,現行の標準治療では治癒不能と考えられており,治療は症状改善が目標となる。したがって,以下のいずれかを認めるまで治療は保留される:

  • CLLに起因する症状

  • 進行性のリンパ球増多で,2カ月間で50%以上の増加

  • リンパ球の倍増時間が6カ月未満

CLL患者で治療を要する症状には以下のものがある:

  • 全身症状(発熱,盗汗,極度の疲労,体重減少)

  • 著明な肝腫大,脾腫,またはリンパ節腫脹

  • 繰り返す感染症

  • 症候性貧血および/または血小板減少症

疾患に向けた治療の選択肢には以下のものがある:

  • 化学免疫療法

  • 分子標的療法

  • 放射線療法

支持療法としては以下のものがある:

  • 貧血に対する濃厚赤血球輸血

  • 血小板減少症に伴う出血に対する血小板輸血

  • 細菌,真菌,またはウイルス感染に対する抗微生物薬の投与

好中球減少症と低ガンマグロブリン血症により,細菌に対する殺菌能が制限されているため,抗菌薬療法は殺菌性のものにすべきである。低ガンマグロブリン血症で難治性の感染症の患者に対する治療,または重症感染症が6カ月以内に2回以上みられた場合の予防として,ガンマグロブリン点滴を考慮すべきである。

初期治療

化学免疫療法では以下を目的とする:

  • 症状の緩和

  • 持続的寛解への誘導

  • 生存期間の延長

標準的な化学免疫療法レジメンはない。初期治療の選択は,患者特性,del(17p)の存在などの疾患特異的特徴,包括的な治療目標に依存する。

プリン類似体(例,フルダラビン)に加え,アルキル化薬(ベンダムスチン,クロラムブシル,シクロホスファミド)が抗CD20モノクローナル抗体のリツキシマブとの併用で使用されている。化学療法に耐えられる未治療患者には,フルダラビン,シクロホスファミド,およびリツキシマブの併用療法が提供されることが多い。一方で,高齢の未治療患者には,忍容性が得られやすいため,ベンダムスチンおよびリツキシマブのレジメンが提供されることが多い(1 治療に関する参考文献 慢性リンパ性白血病(CLL)は,表現型的に成熟した悪性Bリンパ球が進行性に蓄積していくことを特徴とする。本疾患の原発部位としては,末梢血,骨髄,脾臓,およびリンパ節がある。症状および徴候は,認められない場合もあるが,リンパ節腫脹,脾腫,肝腫大,疲労,発熱,盗汗,意図しない体重減少,早期満腹感などが認められる場合もある。診断は末梢血でのフローサイトメトリーおよび細胞表面マーカー検査による。治療は症状が現れるまで待機し,一般に化学療法と免疫... さらに読む )。

del(17p)を伴うCLLでは,化学免疫療法に難治性の場合が多いが,イブルチニブにより転帰の改善が示されている。イブルチニブは,新規の経口ブルトン型チロシンキナーゼ(Btk)阻害薬で,BtkはCLL細胞の生存を促進するいくつかの経路の活性化に不可欠な酵素である。イブルチニブ単剤療法とイブルチニブ+化学免疫療法を比較する研究が進行中である。

併存疾患のある高齢患者では,抗CD20モノクローナル抗体のオビヌツズマブがクロラムブシルに追加される。オビヌツズマブは,リツキシマブと同じCLL細胞表面タンパク質を標的としている。最近,オビヌツズマブ+クロラムブシルは,無増悪生存期間の延長および完全奏効の達成の点で,リツキシマブ+クロラムブシルより優れていることが明らかにされた(2 治療に関する参考文献 慢性リンパ性白血病(CLL)は,表現型的に成熟した悪性Bリンパ球が進行性に蓄積していくことを特徴とする。本疾患の原発部位としては,末梢血,骨髄,脾臓,およびリンパ節がある。症状および徴候は,認められない場合もあるが,リンパ節腫脹,脾腫,肝腫大,疲労,発熱,盗汗,意図しない体重減少,早期満腹感などが認められる場合もある。診断は末梢血でのフローサイトメトリーおよび細胞表面マーカー検査による。治療は症状が現れるまで待機し,一般に化学療法と免疫... さらに読む )。

再発または難治性CLL

再発または難治性CLLは,治療を再開する前に組織学的に確認すべきである。特に大細胞型リンパ腫への形質転換(Richter症候群)を除外すべきである。CLLが再発しても無症状の患者では,治療を要する症状がみられるまで綿密にモニタリングを行う。再発時の治療選択に影響する因子には以下のものがある:

  • 初期治療の療法

  • 初期の奏効期間

再発または難治性CLLでは,イブルチニブ(Btk阻害薬)により,奏効率および無増悪生存期間が改善される可能性がある。イブルチニブは,毒性発現または疾患進行まで継続する。再発CLLに効果的なその他の分子標的療法としては,イデラリシブ(経口のPI3K[phosphoinositide 3'-kinase ]δ阻害薬)やベネトクラクス(経口のBcl-2阻害薬)などがある。ベネトクラクスは,1つ以上の前治療を受けdel(17p)を有する患者に使用できる。

抗CD20モノクローナル抗体(リツキシマブ,オファツムマブ,オビヌツズマブ)による単剤療法では,一時的に症状が緩和される場合がある。

放射線療法

化学療法に反応しないリンパ節腫脹の領域または肝臓および脾臓の病変に対しては,症状緩和目的で放射線照射が施行できる。ときに,低線量の全身照射で一時的に症状の改善が得られることがある。

治療に関する参考文献

  • 1. Eichhorst B, Fink AM, Bahlo J et al: First-line chemoimmunotherapy with bendamustine and rituximab versus fludarabine, cyclophosphamide, and rituximab in patients with advanced chronic lymphocytic leukaemia (CLL10): an international, open-label, randomised, phase 3, non-inferiority trial.Lancet Oncol 17:928–942, 2016.

  • 2. Goede V, Fischer K, Busch R, et al: Obinutuzumab plus chlorambucil in patients with CLL and coexisting conditions.New Engl J Med 370:1101–1111, 2014.

要点

  • 慢性リンパ性白血病(CLL)は,成熟リンパ球が関与する緩徐進行性のリンパ増殖性悪性腫瘍で,主に高齢者が罹患する。

  • CLLは,欧米諸国で最も多くみられる種類の白血病である。

  • 自然経過は非常に多様である。

  • 一般に治療しても治癒は得られず,症状が出現するまで治療は開始されない。

  • 化学免疫療法により症状が緩和し,生存期間が延長する。

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