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急性リンパ性白血病(ALL)

(急性リンパ芽球性白血病)

執筆者:

Jerry L. Spivak

, MD, Center for the Chronic Myeloproliferative Disorders, Johns Hopkins University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 1月
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急性リンパ性白血病(ALL)は,最も頻度の高い小児癌であるが,あらゆる年齢の成人にもみられる。異常に分化して長い寿命をもつ造血前駆細胞の白血化とその無秩序な増殖により,循環血液中の芽球数が増加し,白血病細胞による正常な骨髄の置換,中枢神経系および腹部臓器への白血病細胞浸潤の可能性が生じる。症状としては,易疲労感,蒼白,感染,骨痛,紫斑ができやすい状態,出血しやすい状態などがある。通常は,末梢血塗抹標本と骨髄の検査で診断がつく。典型的な治療としては,寛解を達成する多剤併用化学療法,中枢神経系予防のための髄腔内化学療法および/または白血病細胞の脳内浸潤に対する脳への放射線照射,造血幹細胞移植を伴うまたは伴わない地固め化学療法,再発予防のための最大3年間の維持化学療法がある。

白血病の概要および急性白血病の概要も参照のこと。)

急性リンパ性白血病の全症例の3分の2は小児にみられ,発生のピーク年齢は2~5歳である;ALLは,小児で最も多くみられる悪性腫瘍であり,15歳未満の小児で2番目に多い死亡原因である。45歳以降に発生率の2つ目のピークがみられる。

予後

予後因子は,治療プロトコルおよび治療強度を決定するのに役立つ。

予後良好因子は以下のものである:

  • 年齢が3~9歳

  • 白血球数が25,000/μL未満(小児では50,000/μL未満)

  • FAB(French-American-British)分類でL1の形態

  • 白血病細胞核型で,染色体数が50を超え,かつ相互転座t(12;21)を有する

  • 診断時に中枢神経系疾患がみられない

予後不良因子は以下のものである:

  • 白血病細胞核型で,染色体の数は正常であるが,形態が異常(偽性2倍体)

  • フィラデルフィア(Ph)染色体t(9;22)の存在

  • 成人で高齢

  • B細胞の免疫表現型で,表面または細胞質免疫グロブリンを伴う

  • 初期前駆T細胞の表現型;BCR-ABL様の遺伝子異常

  • 白血病細胞の染色体数が少ない

  • BCR/ABL様の遺伝子異常

予後因子にかかわらず,初回寛解導入成功の可能性は,小児で95%以上,成人で70~90%である。小児では,75%以上が5年間連続した無病生存期間に到達でき,治癒したとみられる。成人では,30~40%が5年間連続した無病生存期間に達できる。Ph染色体陽性ALLの成人および小児では,イマチニブにより予後が改善する。多くの探索的プロトコルは,より強力な治療でも予後不良となってしまう因子を有する患者で適応とされ,その理由は,治療に伴うリスク増加と治療による毒性を,治療が不成功に終わることで死亡するという,より重大なリスクが上回るからである。

治療

  • 化学療法

  • ときに造血幹細胞移植または放射線療法

  • 抗体療法

ALLに対する化学療法には,大きく分けて以下の4つの段階がある:

  • 寛解導入期

  • 中枢神経系予防期

  • 寛解後の地固め期または強化療法期

  • 維持療法期

寛解導入療法

目標は寛解に誘導することである。いくつかのレジメンでは,初期に強力な多剤併用レジメンにより寛解導入することを強く推奨している。プレドニゾンの連日経口投与およびビンクリスチンの週1回静脈内投与にアントラサイクリン系薬剤またはアスパラギナーゼを追加することで,寛解に導入することができる。治療初期から導入できる他の薬剤およびその組合せは,シクロホスファミドのほか,シタラビンおよびエトポシドである。一部のレジメンでは,ロイコボリンのレスキュー投与とともに,中用量または高用量の静注メトトレキサートを投与する。薬剤の組合せおよび投与量は,危険因子の有無に応じて修正する。Ph染色体陽性のALL患者では,薬剤レジメンにイマチニブが追加可能である。

中枢神経系白血病の予防

白血病細胞浸潤の重要な部位は髄膜である;予防目的の治療としては,メトトレキサート,シタラビン,およびコルチコステロイドの併用またはメトトレキサートおよびシタラビン単独の髄腔内投与などが挙げられる。脳神経系または全脳への放射線照射も必要なことがあり,中枢神経系白血病のリスクが高い患者(例,白血球数高値,血清LDH高値,B細胞表現型など)に対して施行されることが多いが,近年では施行数が減少してきている。

地固め療法

地固めの目標は,白血病の再発を予防することである。地固め療法は,通常は数カ月にわたって継続して実施し,寛解導入レジメンで使用したものと作用機序の異なる薬剤を組み合わせて使用する。同種造血幹細胞移植は,Ph染色体陽性のALL成人患者に対して,または2回目以後の再発期もしくは寛解期における地固め療法として推奨される。

維持療法

ほとんどのレジメンには,メトトレキサートおよびメルカプトプリンによる維持療法が含まれる。治療期間は通常2年半から3年であるが,初期段階でより強力なレジメンを用いた場合は,治療期間を短縮できることがある。白血病細胞表面のタンパクを標的としたモノクローナル抗体の臨床試験が実施中で,いくつかの新規薬剤が有望である。

バーキット白血病,すなわち成熟B細胞の性質を有するALL(FAB分類でL3)に対する治療は,通常,短期間に強化して行われる。治療終了後1年間にわたり完全寛解が持続している患者では,再発リスクが低い。

再発

白血病細胞は,骨髄,中枢神経系,精巣,またはその他の部位に再発することがある。骨髄再発は特に好ましくない前兆である。新たな化学療法を追加することで,小児の80~90%(成人では30~40%)で再寛解に導入できる可能性があるが,それに続く寛解期間は短くなる傾向がある。早期に骨髄再発がみられる患者で,化学療法により2回目の長期無病状態での寛解に導入できる例や治癒が得られる例はほんのわずかである。

新しい免疫療法のアプローチについて,ALLの再発/難治例で目覚ましい初期の結果が示されている。T細胞を白血病性の芽球に接近させるブリナツモマブなどの抗体は,ALLの再発例で活性を示している。患者から採取して分離したT細胞から作製したキメラ抗原受容体発現T細胞は,かなりの副作用が見られるが,顕著な効力を示し,再発患者を寛解に導入することができる(1)。

HLA適合同胞を確保できる場合は,造血幹細胞移植を施行することで,長期寛解や治癒が大いに期待される。ときに同胞以外の血縁者またはHLA適合非血縁ドナーからの造血幹細胞を使用することがある。65歳以上の患者に対する移植は,成功の可能性が大幅に下がり,有害作用が致死的となる可能性がはるかに高いため,施行されることはまれである。

ALLが中枢神経系で再発した場合の治療としては,メトトレキサートを(シタラビンまたはコルチコステロイドを併用または非併用で)全ての徴候が消失するまで,週2回髄腔内投与する。全身に芽球が拡散する可能性があるため,ほとんどのレジメンに全身投与する再寛解導入化学療法が含まれている。髄腔内への薬剤の持続投与または中枢神経系への放射線照射の役割については,明らかになっていない。

精巣での再発は,精巣の無痛性の硬い腫脹で臨床的に明らかになることもあれば,生検で同定されることもある。片側の精巣で臨床的に浸潤が明らかであれば,外見上は浸潤がみられない他方の精巣について生検を行うべきである。治療は,患側精巣への放射線療法であり,孤発性の中枢神経系再発に対するものと同じように,全身投与する再寛解導入療法を施行する。

治療に関する参考文献

要点

  • ALLは,小児で最も多くみられる悪性腫瘍であるが,成人でもみられる。

  • 中枢神経系白血病はよくみられる;ほとんどの患者に対して,化学療法薬およびコルチコステロイドの髄腔内投与を行うが,ときに中枢神経系への放射線療法を行うこともある。

  • 治療に対する反応は良好で,小児では約75%,成人では30~40%の患者で治癒の可能性がある。

  • 再発に対しては,造血幹細胞移植および新しい免疫療法が有用な場合がある。

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