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好酸球増多症候群

(特発性好酸球増多症候群)

執筆者:

Jane Liesveld

, MD, James P. Wilmot Cancer Institute, University of Rochester Medical Center;


Patrick Reagan

, MD, University of Rochester Medical

最終査読/改訂年月 2018年 12月
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好酸球増多症候群は,寄生虫性,アレルギー性,またはその他の好酸球増多の二次的原因 好酸球増多症に関連する重要な疾患および治療法 好酸球増多症は,末梢血中の好酸球数が500/μLを超える場合と定義される。好酸球増多症の原因および関連疾患は無数にあるが,多くの場合がアレルギー反応または寄生虫感染症である。診断には,臨床的に疑われる原因に標的を絞った検査が必要である。治療は原因に対して行う。 好酸球増多症では免疫応答の特徴がみられる:すなわち,旋毛虫(Trichinella spiralis)のような病原体では,好酸球数が比較的低値で一次応答が誘発されるものの,再び曝... さらに読む 好酸球増多症に関連する重要な疾患および治療法 が認められずに好酸球増多と直接関係する器官系の障害または機能不全の所見を伴う末梢血中の好酸球増多を特徴とする疾患である。機能不全の臓器に応じて,無数の症状が現れる。診断には,他の好酸球増多症の原因を除外することに加え,骨髄検査および細胞遺伝学的検査が必要である。治療は,一般にプレドニゾンの投与から開始するが,多くみられる亜型の1つではイマチニブを投与する。

好酸球増多症候群は,過去に特発性の疾患と考えられていたが,現在では様々な疾患に起因していることが知られており,その一部は原因が明らかになっている。好酸球増多症候群の従来からの定義における限界の1つは,好酸球増多症候群の既知の原因である同様な異常(例,染色体欠失)をいくつか有するが,好酸球増多の程度または持続期間に関して従来の好酸球増多症候群の定義を満たさない患者が含まれていないことである。もう1つの限界として,好酸球増多症候群の特徴である好酸球増多症および臓器障害を有する一部の患者では,従来の診断基準の確認に求められる6カ月を待たずに治療開始が必要なことが挙げられる。好酸球増多は病因を問わず,同じ種類の組織損傷を引き起こす可能性がある。

好酸球増多症候群はまれであり,有病率は明らかにされていないが,20~50歳の患者が最も多い。好酸球増多症 好酸球増多症 好酸球増多症は,末梢血中の好酸球数が500/μLを超える場合と定義される。好酸球増多症の原因および関連疾患は無数にあるが,多くの場合がアレルギー反応または寄生虫感染症である。診断には,臨床的に疑われる原因に標的を絞った検査が必要である。治療は原因に対して行う。 好酸球増多症では免疫応答の特徴がみられる:すなわち,旋毛虫(Trichinella spiralis)のような病原体では,好酸球数が比較的低値で一次応答が誘発されるものの,再び曝... さらに読む 好酸球増多症 が長期化した場合でも,好酸球増多症候群の特徴である臓器機能不全に至る患者は一部のみである。あらゆる臓器に障害が発生する可能性があるが,心臓,肺,脾臓,皮膚,および神経系の障害が一般的である。心臓に障害が及ぶと,重大な合併症および死亡の原因となることがある。

亜型

  • 骨髄増殖型

  • リンパ増殖型

骨髄増殖型は,4番染色体のCHIC2領域に微小中間部欠失を伴うことが多く,それによりFIP1L1/PDGFRA関連融合遺伝子(造血細胞を形質転換させることが可能なチロシンキナーゼ活性を有する)を生じる。この患者には,以下が多くみられる:

  • 脾腫

  • 血小板減少症

  • 貧血

  • 血清ビタミンB12の高値

  • 低顆粒または空胞化した好酸球

  • 骨髄線維症

骨髄増殖型の患者は,心内膜心筋線維症を発症することが多く,まれであるが,急性骨髄性白血病 急性骨髄性白血病(AML) 急性骨髄性白血病(AML)では,異常に分化して長い寿命をもつ骨髄前駆細胞の白血化とその無秩序な増殖により,循環血液中の幼若な血球数が増加し,悪性細胞で正常な骨髄が置換される。症状としては,易疲労感,蒼白,紫斑ができやすい状態,出血しやすい状態,発熱,感染などがある;髄外白血病細胞浸潤による症状は,約5%の患者のみにみられる(皮膚症状として現れることが多い)。末梢血塗抹標本と骨髄の検査で診断に至る。治療としては,寛解に導入する導入化学療法... さらに読む 急性骨髄性白血病(AML) または急性リンパ芽球性白血病 急性リンパ芽球性白血病(ALL) 急性リンパ芽球性白血病(ALL)は,最も頻度の高い小児がんであるが,あらゆる年齢の成人にもみられる。異常に分化して長い寿命をもつ造血前駆細胞の白血化とその無秩序な増殖により,循環血液中の芽球数が増加し,悪性細胞による正常な骨髄の置換,中枢神経系および精巣への白血病細胞浸潤の可能性が生じる。症状としては,易疲労感,蒼白,感染,骨痛,中枢神経系症状(例,頭痛),紫斑ができやすい状態,出血しやすい状態などがある。通常は,末梢血塗抹標本と骨髄の... さらに読む 急性リンパ芽球性白血病(ALL) を発症することもある。FIP1L1/PDGFRA関連融合遺伝子を有する患者は,男性がはるかに多く,低用量イマチニブ(チロシンキナーゼ阻害薬)に反応を示す可能性がある。

リンパ増殖型は,表現型が異常なクローン性T細胞集団と関連している。PCRによりクローン性T細胞受容体再構成が明らかになる。この患者には,以下がより多くみられる:

  • 血管性浮腫,皮膚の異常,またはその両方

  • 高ガンマグロブリン血症(特にIgE型)

  • 循環免疫複合体(ときに血清病を伴う)

リンパ増殖型の患者もコルチコステロイドに良好な反応を示すことが多いが,ときにT細胞リンパ腫を発症することがある。

好酸球増多症候群のその他の亜型としては,慢性好酸球性白血病,Gleich症候群(周期性の好酸球増多症と血管性浮腫),5q 31-33にマップされる家族性好酸球増多症候群,その他の臓器特異的症候群などがある。臓器特異的な好酸球症候群では,好酸球浸潤が単一臓器に限局している(例,好酸球性胃腸疾患,慢性好酸球性肺炎 慢性好酸球性肺炎 慢性好酸球性肺炎(CEP)は,肺における好酸球の慢性的かつ異常な集積を特徴とする,原因不明の疾患である。 (好酸球性肺疾患の概要も参照のこと。) 慢性好酸球性肺炎は実際は慢性というわけではない;むしろ,再発性の急性または亜急性疾患である(そのため,再発性好酸球性肺炎という名称の方がふさわしい)。慢性好酸球性肺炎の有病率および発生率は不明である。病因としてアレルギー体質が疑われている。ほとんどの患者は非喫煙者である。... さらに読む 2 総論の参考文献 好酸球増多症候群は,寄生虫性,アレルギー性,またはその他の好酸球増多の二次的原因が認められずに好酸球増多と直接関係する器官系の障害または機能不全の所見を伴う末梢血中の好酸球増多を特徴とする疾患である。機能不全の臓器に応じて,無数の症状が現れる。診断には,他の好酸球増多症の原因を除外することに加え,骨髄検査および細胞遺伝学的検査が必要である。治療は,一般にプレドニゾンの投与から開始するが,多くみられる亜型の1つではイマチニブを投与する。... さらに読む )。

好酸球性白血病で好酸球数が極めて多い(例,100,000/μLを超える)患者では,白血球増多症を発症することがある。好酸球は,凝集体を形成し,微小血管を閉塞させて,組織の虚血および微小梗塞を引き起こすことがある。一般的な症状としては,脳または肺の低酸素症(例,脳症,呼吸困難,呼吸不全)などがある。

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総論の参考文献

  • 1. Apperley JF, Gardembas M, Melo JV, et al: Response to imatinib mesylate in patients with chronic myeloproliferative diseases with rearrangements of the platelet-derived growth factor receptor beta. N Engl J Med347:481–487, 2002.

  • 2. Gotlib J : World Health Organization-defined eosinophilic disorders: 2017 update on diagnosis, risk stratification, and management.Am J Hematol 92:1243–1259, 2017.

症状と徴候

診断

  • 二次性好酸球増多症の除外

  • 臓器障害を同定する検査

  • 骨髄検査とともに細胞遺伝学的検査

臓器障害の評価には,血液生化学検査(肝酵素,クレアチンキナーゼ,腎機能,およびトロポニンを含む),心電図検査,心エコー検査,肺機能検査,ならびに胸部,腹部,および骨盤CTを含めるべきである。骨髄穿刺および骨髄生検とともにフローサイトメトリー,細胞遺伝学的検査,および逆転写PCRまたは蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)検査を施行して,FIP1L1/PDGFRA関連融合遺伝子およびその他の可能性のある好酸球増多症の原因を同定する。

予後

死亡原因は,一般に臓器機能不全によるもので,特に心不全が多い。好酸球増多症の程度または持続期間による心臓障害の予測はできない。治療に対する反応に応じて,予後は様々である。FIP1L1/PDGFRA関連融合遺伝子を始めとする治療に反応する遺伝子融合をもつ患者でイマチニブが奏効すれば,予後は良好となる。最新の治療法により予後は改善されている。

治療

  • 好酸球増多症に対して,また多くの場合,臓器障害の継続的治療に対してコルチコステロイド

  • FIP1L1/PDGFRA関連融合遺伝子またはその他の同様な遺伝子融合を有する患者に対してイマチニブ

  • ときに好酸球数をコントロールする薬剤(例,ヒドロキシカルバミド,インターフェロンα,エトポシド,クラドリビン)

  • 支持療法

緊急療法

極めて重度の好酸球増多症,白血球過増多症の合併症,またはその両方を有する患者(通常,好酸球性白血病の患者)に対しては,できるだけ早く高用量コルチコステロイド(例,プレドニゾン1mg/kgまたは同等の薬剤)の静注を開始すべきである。24時間後に好酸球数が大幅に減少していた(例,50%以上)場合は,コルチコステロイドの1日1回投与を繰り返してもよい;それ以外では,代替療法(例,ヒドロキシカルバミド)を開始する。好酸球数が減少に転じ,うまくコントロールできるようになった時点で,別の薬剤を開始してもよい。

根治療法

FIP1L1/PDGFRA関連融合遺伝子(または同様の融合遺伝子)を有する患者では,通常はイマチニブ(2 治療に関する参考文献 好酸球増多症候群は,寄生虫性,アレルギー性,またはその他の好酸球増多の二次的原因が認められずに好酸球増多と直接関係する器官系の障害または機能不全の所見を伴う末梢血中の好酸球増多を特徴とする疾患である。機能不全の臓器に応じて,無数の症状が現れる。診断には,他の好酸球増多症の原因を除外することに加え,骨髄検査および細胞遺伝学的検査が必要である。治療は,一般にプレドニゾンの投与から開始するが,多くみられる亜型の1つではイマチニブを投与する。... さらに読む )による治療を行うとともに,特に心障害が疑われる場合にはコルチコステロイドを併用する。イマチニブが無効または忍容性不良の場合は,別のチロシンキナーゼ阻害薬(例,ダサチニブ,ニロチニブ,ソラフェニブ)が使用可能で,これ以外にも同種造血幹細胞移植 造血幹細胞移植 造血幹細胞(HSC)移植は,造血器悪性腫瘍(白血病,リンパ腫,骨髄腫)および他の血液疾患(例,原発性免疫不全症,再生不良性貧血,骨髄異形成)で治癒をもたらす可能性がある手技で,急速に発展しつつある。HSC移植は,ときに化学療法に反応する固形腫瘍(例,一部の胚細胞腫瘍)に用いられることもある。(移植の概要も参照のこと。) HSC移植は,以下の機序によって寛解に導く: 骨髄破壊的前処置によって骨髄を再建する... さらに読む が利用できる。

FIP1L1/PDGFRA関連融合遺伝子を有しない患者では,症状がみられない場合でも,プレドニゾン60mg(または1mg/kg)を単回経口投与して,コルチコステロイドに対する反応性(つまり好酸球数の減少)を判定することがよくある。症状または臓器障害がみられる患者では,プレドニゾンを一定用量で2週間継続し,その後に漸減する。症状および臓器障害がみられない患者では,これらの合併症について6カ月間以上のモニタリングを行う。コルチコステロイドが容易に漸減できない場合は,コルチコステロイドを減量するための薬剤(例,ヒドロキシカルバミド,インターフェロンα)が使用可能である。

支持療法

心症状(例,浸潤性の心筋症,弁膜病変,心不全)に対しては,支持療法として薬物療法および手術が必要な場合がある。血栓性合併症では,抗血小板薬(例,アスピリン,クロピドグレル,チクロピジン)の投与が必要になることがあり,左室壁在血栓がみられる場合,またはアスピリンを使用しているにもかかわらず一過性脳虚血発作を繰り返す場合は,抗凝固療法が適応となる。

実験的治療

メポリズマブとその他の抗IL‐5抗体は,好酸球増多症候群に対する治験段階の治療法である。メポリズマブは,インターロイキン5(好酸球産生の調節因子)に対する完全ヒトモノクローナル抗体である。メポリズマブは好酸球増多を減少させるとともに,大量ステロイド療法の必要性を低下させ(3 治療に関する参考文献 好酸球増多症候群は,寄生虫性,アレルギー性,またはその他の好酸球増多の二次的原因が認められずに好酸球増多と直接関係する器官系の障害または機能不全の所見を伴う末梢血中の好酸球増多を特徴とする疾患である。機能不全の臓器に応じて,無数の症状が現れる。診断には,他の好酸球増多症の原因を除外することに加え,骨髄検査および細胞遺伝学的検査が必要である。治療は,一般にプレドニゾンの投与から開始するが,多くみられる亜型の1つではイマチニブを投与する。... さらに読む ),米国では現在,難治性の好酸球増多症候群患者に対する例外使用(compassionate use)により利用できる。

治療に関する参考文献

要点

  • 好酸球増多症候群は,末梢血中の好酸球増多(1500/μLを超える)を示すが,寄生虫性,アレルギー性,またはその他の二次性の原因により好酸球増多を生じたものではなく,6カ月以上にわたり持続し,器官系の障害または機能不全を来したものである。

  • 好酸球増多症候群は,いくつかの造血器疾患の臨床像の1つと考えられており,その一部には遺伝的原因が認められる。

  • あらゆる臓器に障害が発生する可能性があるが,心臓,肺,脾臓,皮膚,および神経系の障害が一般的であり,心臓に障害が及ぶと,重大な合併症および死亡の原因となることがある。

  • 肝酵素;クレアチンキナーゼ,クレアチニン,およびトロポニンの濃度;心電図および心エコー検査;肺機能検査;胸部,腹部,および骨盤のCTを含めた臓器障害の検査を実施する。

  • 原因を同定するために,骨髄検査とともに細胞遺伝学的検査を実施する。

  • 重度の好酸球増多症および/または臓器障害に対しては,コルチコステロイドを投与する。特徴的な染色体異常を伴う亜型では,低用量イマチニブなどのチロシンキナーゼ阻害薬が有益となる場合がある。

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