Msd マニュアル

Please confirm that you are a health care professional

honeypot link

循環抗凝固因子による凝固障害

執筆者:

Joel L. Moake

, MD, Baylor College of Medicine

最終査読/改訂年月 2018年 7月

循環抗凝固因子は通常,in vivoで特定の凝固因子を中和する自己抗体(例,第VIII因子または第V因子に対する自己抗体),またはin vitroでリン脂質結合タンパク質を阻害する自己抗体(抗リン脂質抗体)である。後者のタイプの自己抗体は,まれにin vivoでプロトロンビン-リン脂質複合体に結合することにより出血を引き起こす。

タンパク質/リン脂質複合体に対する自己抗体は,典型的に動脈および/または静脈の血栓症(抗リン脂質抗体症候群 抗リン脂質抗体症候群(APS) 抗リン脂質抗体症候群は自己免疫疾患であり,患者にはリン脂質結合タンパク質に対する自己抗体がみられる。静脈または動脈に血栓が生じることがある。病態生理は正確にはわかっていない。診断は血液検査による。予防および治療にはしばしば抗凝固薬が用いられる。 (血栓性疾患の概要も参照のこと。) 抗リン脂質抗体症候群(APS)は,1つまたは複数のリン脂質結合タンパク質(例,β2糖タンパク質1,プロトロンビン,アネキシンA5)に対する種々の抗体によって引... さらに読む [APS])を引き起こす。APSにおける血栓症の正確な病態生理は不明である。このタンパク質-リン脂質に対する自己抗体は高頻度でβ2糖タンパク質-1に結合するが,この相互作用が血栓症にどのように作用するかは明確になっていない。一部の患者では,この自己抗体がプロトロンビン-リン脂質複合体と結合し,低プロトロンビン血症および出血を誘発する。

第VIII因子および第IX因子に対する抗凝固因子

重度の血友病A 血友病 血友病はよくみられる遺伝性出血性疾患で,第VIII因子または第IX因子のいずれかの凝固因子の欠乏に起因する。因子の欠乏の度合いで出血の確率および重症度が決まる。通常は外傷の数時間以内に深部組織または関節内への出血が生じる。診断は,PTおよび血小板数が正常でPTTの延長を認める患者で疑い,特異的因子の測定により確定する。治療には,急性出血が疑われる場合,確認された場合,または発生する可能性が高い場合(例,外科手術の前)の欠乏因子の補充療法... さらに読む 患者の約30%では,補充療法 治療 血友病はよくみられる遺伝性出血性疾患で,第VIII因子または第IX因子のいずれかの凝固因子の欠乏に起因する。因子の欠乏の度合いで出血の確率および重症度が決まる。通常は外傷の数時間以内に深部組織または関節内への出血が生じる。診断は,PTおよび血小板数が正常でPTTの延長を認める患者で疑い,特異的因子の測定により確定する。治療には,急性出血が疑われる場合,確認された場合,または発生する可能性が高い場合(例,外科手術の前)の欠乏因子の補充療法... さらに読む 中に正常な第VIII因子分子に繰り返し曝露したことによる合併症として第VIII因子に対する同種抗体が発現する。第VIII因子に対する自己抗体は,分娩後の女性(基礎にある全身性自己免疫疾患または一過性の免疫調節異常の症状として)や他の基礎疾患を示唆する明白な所見がない高齢患者などの血友病のない患者でも,ときに発現することがある。第VIII因子に対する抗凝固因子を有する患者は,生命を脅かす出血を来す可能性がある。

同様に,重度の血友病Bの患者では,第IX因子に対する同種抗体が発現することがあるが,これはまれで,約3%のみにみられる。

抗第VIII因子抗体を含む血漿はPTTの延長を示し,正常血漿またはその他に由来する第VIII因子を患者血漿に1:1の比率で混合しても改善しない。混合直後に検査を実施し,インキュベーション後に再検査する。抗第IX因子抗体についても,同様な検査を実施する。

治療

  • 非血友病患者では,シクロホスファミド,コルチコステロイド,またはリツキシマブ

  • 血友病患者では,遺伝子組換え活性化第VII因子

非血友病患者(例,分娩後の女性)では,シクロホスファミド,コルチコステロイド,またはリツキシマブ(リンパ球表面のCD20に対するモノクローナル抗体)を用いた治療により,自己抗体産生を抑制できることがある。自己抗体は自然に消失する場合がある。

エミシズマブは,第IX因子と第X因子の両方に結合して,それらをXase様の活性型複合体に連結することで第VIII因子を不必要にする,遺伝子組換えヒト化二重特異性モノクローナル抗体である。エミシズマブは,第VIII因子インヒビターを有する血友病A患者に出血エビソードの予防または頻度低減を目的として使用できる。

治療に関する参考文献

  • 1. Sehgal A, Barros S, Ivanciu L, et al: An RNAi therapeutic targeting antithrombin to rebalance the coagulation system and promote hemostasis in hemophilia.Nat Med 21:492–497, 2015.

  • 2. Chowdary P, Lethagen S, Friedrich U, et al: Safety and pharmacokinetics of anti-TFPI antibody (concizumab) in healthy volunteers and patients with hemophilia: A randomized first human dose trial.J Thromb Haemost 13:743–754, 2015.

  • 3. Kempton CL, Abshire TC, Deveras RA, et al: Pharmacokinetics and safety of OBI-1, a recombinant B domain-deleted porcine factor VIII in subjects with hemophilia A.Haemophilia 18:798–804, 2012.

ここをクリックすると家庭版へ移動します
よく一緒に読まれているトピック
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS

おすすめコンテンツ

医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
TOP