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橋本甲状腺炎

(自己免疫性甲状腺炎;慢性リンパ球性甲状腺炎)

執筆者:

Jerome M. Hershman

, MD, MS, David Geffen School of Medicine at UCLA

最終査読/改訂年月 2019年 5月
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橋本甲状腺炎は甲状腺の慢性自己免疫性炎症で,リンパ球の浸潤を伴う。所見には,無痛性の甲状腺腫大および甲状腺機能低下症状がある。診断には抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体の抗体価高値を証明することが含まれる。生涯にわたるl-チロキシン補充が典型的に必要となる。

橋本甲状腺炎は北米の原発性甲状腺機能低下症の最も一般的な原因であると考えられている。女性に数倍多く発生する。発生率は年齢とともに上昇し, ダウン症候群 ダウン症候群(21トリソミー) ダウン症候群は21番染色体の異常であり, 知的障害,小頭症,低身長,および特徴的顔貌を引き起こす。診断は身体奇形と発達異常から示唆され,細胞遺伝学的検査によって確定される。管理方針は具体的な臨床像および奇形に応じて異なる。 ( 染色体異常症の概要も参照のこと。) 出生児における全体の発生率は約1/700であるが,母体年齢が上がるにつれてリスクが増大する。母体年齢別の出生児におけるリスクは,20歳で1/2000,35歳で1/365,40歳... さらに読む ダウン症候群(21トリソミー) ターナー症候群 ターナー症候群 ターナー症候群の女児は,2つのX染色体のうち1つが部分的または完全に欠失した状態で出生する。診断は臨床所見に基づき,核型分析で確定する。治療法は臨床像に応じて異なり,心奇形に対して手術を行うこともあれば,しばしば低身長に対する成長ホルモン療法と思春期発来異常に対するエストロゲン補充を行うこともある。 ( 染色体異常症の概要および 性染色体異常の概要も参照のこと。) ターナー症候群は世界中で出生女児の約1/2500に発生する。しかしながら... さらに読む ターナー症候群 クラインフェルター症候群 クラインフェルター症候群(47,XXY) クラインフェルター症候群は,2つ以上のX染色体に加えて1つのY染色体が存在する異常であり,表現型は男性となる。 ( 染色体異常症の概要も参照のこと。) クラインフェルター症候群は最も頻度の高い 性染色体異常で,出生男児の約1/500に発生する。過剰なX染色体は60%の症例で母親由来である。胚細胞が精巣内で生存できないため,精子およびアンドロゲンが減少する。 患児は高身長で上下肢が不自然に長い傾向がみられる。しばしば小さく硬い精巣がみられ... さらに読む クラインフェルター症候群(47,XXY) などの染色体異常のある患者でも上昇する。甲状腺疾患の家族歴がよくみられる。

橋本甲状腺炎は, バセドウ病 病因 病因 と同様, アジソン病 アジソン病 アジソン病は潜行性で通常は進行性の副腎皮質の機能低下である。低血圧,色素沈着など種々の症状を引き起こし,心血管虚脱を伴う副腎クリーゼにつながる恐れがある。診断は臨床的に行われ,血漿副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)高値および血漿コルチゾール低値の所見によってなされる。治療は原因に応じて異なるが,一般にはヒドロコルチゾンや,ときに他のホルモンを用いる。 ( 副腎機能の概要も参照のこと。)... さらに読む アジソン病 (副腎機能不全),1型 糖尿病 糖尿病(DM) 糖尿病(DM)はインスリン分泌障害および様々な程度の末梢インスリン抵抗性であり,高血糖をもたらす。初期症状は高血糖に関連し,多飲,過食,多尿,および霧視などがある。晩期合併症には,血管疾患,末梢神経障害,腎症,および易感染性などがある。診断は血漿血糖測定による。治療は食事療法,運動,および血糖値を低下させる薬剤により,薬剤にはインスリンお... さらに読む 副甲状腺機能低下症 副甲状腺機能低下症 低カルシウム血症とは,血漿タンパク質濃度が正常範囲内にある場合に血清総カルシウム濃度が8.8mg/dL(2.20mmol/L)未満であること,または血清イオン化カルシウム濃度が4.7mg/dL(1.17mmol/L)未満となった状態である。原因には,副甲状腺機能低下症,ビタミンD欠乏症,および腎疾患がある。症状としては,錯感覚,テタニーのほか,重度であれば痙攣,脳症,心不全などがある。診断には,血清アルブミン値で補正された血清カルシウム... さらに読む 白斑 白斑 白斑とは,皮膚メラノサイトの欠損によって皮膚に様々な大きさの脱色素斑が生じる病態である。原因は不明であるが,遺伝因子と自己免疫因子が関与している可能性が高い。診断は通常,皮膚の診察所見から明らかとなる。一般的な治療法としては,コルチコステロイドの外用(しばしばカルシポトリオールとの併用),カルシニューリン阻害薬(タクロリムスおよびピメクロリムス),ナローバンドUVB(紫外線B波)療法またはソラレンとUVAの併用療法などがある。多くの疾患... さらに読む 白斑 ,若年性白髪,悪性貧血,結合組織疾患(例, 関節リウマチ 関節リウマチ(RA) 関節リウマチ(RA)は,主に関節を侵す慢性の全身性自己免疫疾患である。RAは,サイトカイン,ケモカイン,およびメタロプロテアーゼを介した損傷を引き起こす。特徴として,末梢関節(例,手関節,中手指節関節)に対称性に炎症が生じ,結果として関節構造が進行性に破壊される(通常は全身症状を伴う)。診断は特異的な臨床所見,臨床検査結果,および画像所見に基づく。治療としては,薬物療法,理学療法,およびときに手術を行う。疾患修飾性抗リウマチ薬は症状のコ... さらに読む 関節リウマチ(RA) 全身性エリテマトーデス 全身性エリテマトーデス(SLE) 全身性エリテマトーデス(SLE)は,自己免疫を原因とする慢性,多臓器性,炎症性の疾患であり,主に若年女性に起こる。一般的な症状としては,関節痛および関節炎,レイノー現象,頬部などの発疹,胸膜炎または心膜炎,腎障害,中枢神経系障害,血球減少などがある。診断には,臨床的および血清学的な基準が必要である。重症で進行中の活動性疾患の治療には,コルチコステロイドおよびときに免疫抑制薬を必要とする。... さらに読む 全身性エリテマトーデス(SLE) シェーグレン症候群 シェーグレン症候群(SS) シェーグレン症候群(SS)は,比較的よくみられる原因不明の慢性,自己免疫性,全身性,炎症性の疾患である。外分泌腺のリンパ球浸潤およびそれに続く二次的な分泌機能障害による,口腔,眼,およびその他の粘膜の乾燥を特徴とする。SSは様々な外分泌腺または他の器官に影響を及ぼすことがある。診断は,眼,口腔,および唾液腺の障害に関連する特異的な基準,自己抗体,ならびに(ときに)病理組織学的検査による。治療は通常,対症療法である。... さらに読む シェーグレン症候群(SS) ), セリアック病 セリアック病 セリアック病は,遺伝的感受性を有する者に免疫を介して発生する疾患で,グルテン不耐症によって引き起こされ,粘膜炎症および絨毛萎縮が生じ,その結果,吸収不良を来す。症状としては通常,下痢や腹部不快感などがみられる。診断は小腸生検により行い,生検では特徴的であるが非特異的な病理的変化である絨毛萎縮が示され,この変化は厳格なグルテン除去食で消失する。 セリアック病は 吸収不良を引き起こす疾患である。... さらに読む セリアック病 ,および 2型多腺性機能不全症候群 多腺性機能不全症候群2型(Schmidt症候群) 多腺性機能不全症候群(PDS)は,共通の原因による,数種の内分泌腺機能の連続的または同時的な低下を特徴とする。病因は自己免疫性であることが最も多い。機能不全の組合せにより,3つの病型のいずれかに分類される。診断には,ホルモン濃度と障害された内分泌腺に対する自己抗体の測定が必要である。治療法としては,欠損または欠乏しているホルモンの補充のほ... さらに読む (Schmidt症候群―アジソン病に,橋本甲状腺炎に続発する甲状腺機能低下症および/または1型糖尿病を合併する病態)など他の自己免疫疾患を伴うことがある。甲状腺腫瘍,およびまれに甲状腺リンパ腫の発生率が上昇する可能性がある。病理学的には,リンパ濾胞および瘢痕を伴う広範なリンパ球浸潤がみられる。

症状と徴候

患者は無痛性の甲状腺腫大やのどの詰まりを訴える。診察により,平滑または結節性で堅く,正常な甲状腺よりも弾性に富む圧痛のない甲状腺腫が明らかになる。多くの患者に 甲状腺機能低下症状 症状と徴候 甲状腺機能低下症は甲状腺ホルモンの欠乏である。診断は典型的な顔貌,嗄声および言語緩徐,乾燥皮膚などの臨床的特徴,ならびに甲状腺ホルモン低値による。原因の治療およびサイロキシン投与などにより管理を行う。 ( 甲状腺機能の概要も参照のこと。) 甲状腺機能低下症は年齢を問わず生じるが,特に高齢者でよくみられ,その場合症状が軽微で認識しにくい可能性がある。甲状腺機能低下症は以下に分類される:... さらに読む 症状と徴候 を認めるが,甲状腺炎によって生じることがある 甲状腺機能亢進症状 甲状腺機能亢進症 甲状腺機能亢進症は,代謝亢進および血清遊離甲状腺ホルモンの上昇を特徴とする。症状は多数あり,頻脈,疲労,体重減少,神経過敏,振戦などを呈する。診断は臨床的に行い,甲状腺機能検査を用いる。治療は原因により異なる。 ( 甲状腺機能の概要も参照のこと。) 甲状腺機能亢進症は,甲状腺放射性ヨード摂取率および血中の甲状腺刺激物質の有無に基づいて分類できる( 様々な病態における甲状腺機能検査の結果の表を参照)。... さらに読む 甲状腺機能亢進症 を呈する者もいる。

診断

  • サイロキシン(T4)

  • 甲状腺刺激ホルモン(TSH)

  • 甲状腺自己抗体

  • 甲状腺超音波検査

触知可能な結節があれば,甲状腺超音波検査を行うべきである。超音波検査では,しばしば甲状腺組織に不均一な低エコーのエコーテクスチャが認められ,低エコーの微小結節を形成する隔壁を伴う。

その他の自己免疫疾患に対する検査は,臨床症状が認められる場合にのみ必要となる。

治療

  • 甲状腺ホルモン補充

甲状腺機能低下症は一過性のこともあるが,大半の患者では甲状腺ホルモンの補充が生涯必要となり,一般にはl-チロキシン(レボチロキシン)75~150μg,1日1回の経口投与を行う。

要点

  • 橋本甲状腺炎は甲状腺の自己免疫性炎症である。

  • 患者はときにその他の自己免疫疾患を有する。

  • サイロキシン(T4)および甲状腺刺激ホルモン(TSH)の値は初期には正常であるが,その後T4は低下し,TSHは上昇し,ほとんどの患者が臨床的に甲状腺機能低下を示す。

  • 抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体は高値であり,また頻度は低いが抗サイログロブリン抗体が高値となる。

  • 生涯にわたる甲状腺ホルモン補充が一般的には必要となる。

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