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亜急性甲状腺炎

(de Quervain甲状腺炎,巨細胞性甲状腺炎,肉芽腫性甲状腺炎)

執筆者:

Jerome M. Hershman

, MD, MS, David Geffen School of Medicine at UCLA

最終査読/改訂年月 2016年 7月

甲状腺機能の概要も参照のこと。)

亜急性甲状腺炎は甲状腺の急性炎症性疾患であり,おそらくウイルスによって引き起こされる。症状は発熱および甲状腺の圧痛である。初期には甲状腺機能亢進症がよくみられ,ときに,それに続いて甲状腺機能低下症が一過性にみられる期間がある。診断は臨床的に行い,甲状腺機能検査を用いる。治療は高用量のNSAIDまたはコルチコステロイドによる。本疾患は通常数カ月以内に自然に消失する。

先行するウイルス性上気道感染症の病歴がよくみられる。組織学的検査では,橋本甲状腺炎無痛性リンパ球性甲状腺炎に比べて甲状腺へのリンパ球浸潤がみられることは少ないが,特徴的な巨細胞浸潤,多形核白血球,および濾胞破壊を認める。

症状と徴候

前頸部の疼痛,および37.8~38.3℃の発熱が認められる。頸部痛は左右に移動する特徴を示すが,やがて1カ所に落ち着くこともあり,しばしば下顎や耳に放散する。歯痛,咽頭炎,耳炎などとしばしば混同され,嚥下や頭位変換によって増強する。破壊された濾胞からホルモンが放出されるため,病初期には甲状腺機能亢進症状が一般的である。他の甲状腺疾患よりも倦怠感や疲労が強い。身体診察では,甲状腺は左右非対称に腫大し,固く,圧痛を認める。

診断

  • 臨床所見

  • 遊離サイロキシン(T4)および甲状腺刺激ホルモン(TSH)の各値

  • 赤沈

  • 放射性ヨード摂取率

診断は主に臨床的に行い,該当する病歴を有する患者で圧痛を伴う腫大した甲状腺の所見に基づく。TSHおよび少なくとも遊離T4の測定による甲状腺検査も通常実施する。診断の確定には,放射性ヨード摂取率を測定すべきである。診断が不確かであれば,穿刺吸引細胞診が有用である。カラードプラによる甲状腺の超音波検査では,バセドウ病における血流の増加とは対照的に,多数の不規則な無エコー領域および血流の低下が示される。

病初期の臨床検査所見としては,遊離T4およびトリヨードサイロニン(T3)の上昇,TSHおよび甲状腺の放射性ヨード摂取率の著明な低下(しばしば0),および赤沈の亢進がある。数週間後に,甲状腺に貯蔵されたT4およびT3は枯渇して一過性の甲状腺機能低下症が生じ,これに伴って遊離T4およびT3の低下,TSHの上昇,甲状腺放射性ヨード摂取率の回復がみられる。甲状腺抗体が弱陽性となることがある。2~4週間間隔での遊離T4,T3,およびTSHの測定により,病期が特定される。

予後

亜急性甲状腺炎は自然に軽快し,一般に数カ月で鎮静化するが,ときに再発し,濾胞破壊が広範である場合には恒久的な甲状腺機能低下症をもたらすことがある。

治療

  • NSAID

  • ときに,コルチコステロイド,β遮断薬,またはその両方

不快感は,高用量のアスピリンまたはNSAIDで治療する。重症例または遷延例では,コルチコステロイド(例,プレドニゾン15~30mg,1日1回経口投与,3~4週間かけて用量を漸減)により48時間以内に全症状が消失する。

甲状腺機能亢進による煩わしい症状は,短期間のβ遮断薬により治療する場合がある。甲状腺機能低下症が顕著または持続する場合には,甲状腺ホルモン補充療法が必要となる場合がある(まれに恒久的)。

要点

  • 臨床像は通常,発熱,頸部痛,および圧痛を伴う甲状腺の腫大である。

  • 初期には甲状腺機能亢進がみられ,TSHは低下し,遊離T4は上昇する;ときに,その後一過性の甲状腺機能低下がみられ,TSHは上昇し,遊離T4は低下する。

  • 治療はNSAID,ときにコルチコステロイドおよび/またはβ遮断薬との併用による。

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