(甲状腺機能の概要も参照のこと。)
先行するウイルス性上気道感染症の病歴がよくみられる。組織学的検査では,橋本甲状腺炎や無痛性リンパ球性甲状腺炎に比べて甲状腺へのリンパ球浸潤がみられることは少ないが,特徴的な巨細胞浸潤,多形核白血球,および濾胞破壊を認める。
症状と徴候
診断
診断は主に臨床的に行い,該当する病歴を有する患者で圧痛を伴う腫大した甲状腺の所見に基づく。TSHおよび少なくとも遊離T4の測定による甲状腺検査も通常実施する。診断の確定には,放射性ヨード摂取率を測定すべきである。診断が不確かであれば,穿刺吸引細胞診が有用である。カラードプラによる甲状腺の超音波検査では,バセドウ病における血流の増加とは対照的に,多数の不規則な無エコー領域および血流の低下が示される。
病初期の臨床検査所見としては,遊離T4およびトリヨードサイロニン(T3)の上昇,TSHおよび甲状腺の放射性ヨード摂取率の著明な低下(しばしば0),および赤沈の亢進がある。数週間後に,甲状腺に貯蔵されたT4およびT3は枯渇して一過性の甲状腺機能低下症が生じ,これに伴って遊離T4およびT3の低下,TSHの上昇,甲状腺放射性ヨード摂取率の回復がみられる。甲状腺抗体が弱陽性となることがある。2~4週間間隔での遊離T4,T3,およびTSHの測定により,病期が特定される。