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ポルフィリン症の概要

執筆者:

Herbert L. Bonkovsky

, MD, Wake Forest University School of Medicine;


Sean R. Rudnick

, MD, Wake Forest University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2019年 6月
本ページのリソース

ポルフィリン症は,ヘム生合成経路における遺伝的または後天的な酵素欠損によりヘモグロビンの代謝に異常が生じるまれな疾患である。これらの欠損によりヘム前駆体が蓄積し,毒性が生じる。ポルフィリン症はどの酵素が欠損しているかによって定義される。主な臨床像は,内臓神経異常(急性ポルフィリン症)と皮膚光線過敏症(皮膚ポルフィリン症)の2つである。

鉄含有色素であるヘムは,数多く存在するヘムタンパク質に不可欠な補因子である。人体のほぼ全ての細胞がヘムを必要とし,合成する。ただし,ヘムは大部分が骨髄(赤芽球および網状赤血球による)で合成されヘモグロビンに組み込まれる。骨髄の次に最も活発にヘムが合成される部位は肝臓であり,合成されるヘムの大半はチトクロムP450酵素に組み込まれる。ヘムの合成には8つの酵素が必要である(ヘム生合成経路の基質および酵素 ヘム生合成経路の基質および酵素,ならびにそれらの欠損に関連する疾患 ポルフィリン症は,ヘム生合成経路における遺伝的または後天的な酵素欠損によりヘモグロビンの代謝に異常が生じるまれな疾患である。これらの欠損によりヘム前駆体が蓄積し,毒性が生じる。ポルフィリン症はどの酵素が欠損しているかによって定義される。主な臨床像は,内臓神経異常(急性ポルフィリン症)と皮膚光線過敏症(皮膚ポルフィリン症)の2つである。... さらに読む の表を参照)。これらの酵素がポルフィリン(およびその前駆体)と呼ばれる分子群を産生し変換する;このような分子群が蓄積することでポルフィリン症の臨床症状が引き起こされる。

病因

常染色体優性のポルフィリン症のうち,ホモ接合および複合ヘテロ接合(すなわち,ある患者が1つの遺伝子のそれぞれのアレルに2つの異なる変異を有していること)の個体は,生存できない可能性があり,一般に胎生致死である。ヘテロ接合の浸透率は多様であるため,臨床的に発現する症例は遺伝学的な有病率と比較して頻度が低い。最も頻度の高いポルフィリン症であるPCTおよび急性間欠性ポルフィリン症(AIP)は,常染色体優性である(PCT症例の20%が常染色体優性である)。PCTの有病率は約1/10,000である。AIPの原因遺伝子変異の保有率は約1/1500人であるが,浸透率が低いため,有病率はやはり約1/10,000である。PCTおよびAIPの有病率は,いずれも地域および民族間で大きく異なる。

常染色体劣性ポルフィリン症では,ホモ接合および複合ヘテロ接合の個体だけが発症する。骨髄性プロトポルフィリン症は3番目に多いポルフィリン症で,常染色体劣性である。

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病態生理

ポルフィリン症は,ヘム生合成経路の後半7種の酵素のいずれかの欠損または同経路の1番目の酵素であるALA合成酵素-2(ALAS 2)の活性の亢進に起因する。(ALAS 2の欠損はポルフィリン症でなく鉄芽球性貧血 鉄芽球性貧血 鉄芽球性貧血は,環状鉄芽球(核周囲に鉄で満たされたミトコンドリアを伴う赤芽球)の存在を特徴とする多様な一群の貧血疾患である。鉄芽球性貧血は後天性の場合と遺伝性の場合がある。後天性鉄芽球性貧血は,骨髄異形成症候群に合併することが多く(ただし薬剤や毒性物質により生じることもある),大球性貧血を引き起こす。遺伝性鉄芽球性貧血は,数あるX連鎖また... さらに読む 鉄芽球性貧血 を引き起こす。)単一の遺伝子が各酵素をコードする;無数の突然変異の可能性があり,いずれの変異もその遺伝子によってコードされる酵素の濃度および/または活性を変化させうる。ヘム合成酵素に欠損または欠陥が生じると,正常ではその酵素によって修飾される基質および他のヘム前駆体が骨髄,肝臓,皮膚,または他の組織に蓄積して毒性作用をもつことがある。これらの前駆体が血中に過剰に出現し,尿中,胆汁中,または便中に排泄される。

ポルフィリン症は欠損している酵素に基づいて最も正確に定義されるが,主要な臨床的特徴(表現型)による分類がしばしば有用である。したがって,ポルフィリン症は一般的に次の2種類に分類される:

  • 急性

  • 皮膚性

急性ポルフィリン症 急性ポルフィリン症 急性ポルフィリン症は,ヘム生合成経路の特定の酵素の欠損に起因する疾患であり,結果としてヘム前駆体が蓄積し,腹痛および神経症状の間欠的発作が引き起こされる。発作は特定の薬剤やその他の因子によって誘発される。診断は,発作時に尿中に認められるポルフィリン前駆体のδ-アミノレブリン酸およびポルフォビリノーゲンが高値であることに基づく。発作の治療に... さらに読む は,腹部症状,精神症状,および神経症状の間欠的な発作として現れる。発作は典型的には薬物,若年女性でのホルモンの周期的活性,およびその他の外因性因子によって誘発される。ポルフィリン症 皮膚ポルフィリン症の概要 皮膚ポルフィリン症は,ヘム生合成経路の特定の酵素の欠損(およびある症例では過剰)に起因する疾患であり(ヘム生合成経路の基質および酵素の表を参照),その結果,光毒性ポルフィリンが肝臓または骨髄で比較的一定に産生される。これらのポルフィリンは皮膚に蓄積し,日光(可視光,近紫外線を含む)に曝露すると,再発性または持続性の皮膚症状を引き起こす細胞... さらに読む では,皮膚光線過敏症を含む症状が持続的または間欠的に引き起こされる傾向がある。一部の急性ポルフィリン症(遺伝性コプロポルフィリン症,異型ポルフィリン症)も皮膚症状を呈する場合がある。ヘテロ接合のポルフィリン症では浸透率が多様であることから,臨床的に発現する疾患は遺伝学的な有病率と比較して頻度が低い(最も一般的な2種のポルフィリン症の主な特徴 最も一般的な2種のポルフィリン症の主な特徴 ポルフィリン症は,ヘム生合成経路における遺伝的または後天的な酵素欠損によりヘモグロビンの代謝に異常が生じるまれな疾患である。これらの欠損によりヘム前駆体が蓄積し,毒性が生じる。ポルフィリン症はどの酵素が欠損しているかによって定義される。主な臨床像は,内臓神経異常(急性ポルフィリン症)と皮膚光線過敏症(皮膚ポルフィリン症)の2つである。... さらに読む の表を参照)。

骨髄性プロトポルフィリン症(EPP)とALAD欠損性ポルフィリン症を除く全てのポルフィリン症の症候期に,尿の変色(赤色または赤褐色)が生じる場合がある。変色はポルフィリノーゲン,ポルフィリン前駆体であるポルフォビリノーゲン(PBG),またはその両方の酸化に起因する。尿を数分間から数時間,空気または光に当てて非酵素的酸化の時間をとった後にも,ときに着色がみられる。ALAD欠損性ポルフィリン症を除く急性ポルフィリン症患者のうち,ヘテロ接合体の患者の約3名に1名(男性よりも女性で頻度が高い)では潜伏期にも尿中PBG排泄の増加(および尿の変色)を認める。

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診断

  • 血液検査または尿検査

キャリアであることが疑われる患者や発作間欠期にある患者を含む無症状の患者も同様に評価する。しかし,このような状況では検査の感度が下がる;赤血球または白血球の酵素活性測定の方がかなり感度が高い。遺伝子解析は極めて正確であり,突然変異が既知である場合に家系内で優先的に使用される。出生前検査(羊水穿刺または絨毛採取を伴う)は可能であるが,適応となることはまれである。

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二次性ポルフィリン尿症

いくつかの疾患で,ポルフィリン症とは無関係にポルフィリンの尿中排泄の増加がみられる場合がある;この現象は二次性ポルフィリン尿症(secondary porphyrinuria)と表現される。

血液疾患,肝胆道疾患,および毒素(例,アルコール,ベンゼン,鉛)が原因で,コプロポルフィリンの尿中排泄が増加することがある。胆汁がポルフィリンの排泄経路の1つであるため,コプロポルフィリンの尿中排泄増加があらゆる肝胆道疾患で起こりうる。肝胆道疾患の患者では,ウロポルフィリンが増加する場合もある。プロトポルフィリンは水に溶けないため,尿中には排泄されない。

一部の患者は,急性ポルフィリン症に似た腹痛および神経症状を呈する。そのような疾患では,尿中のALAおよびPBGが通常は増加しないため,正常値が二次性ポルフィリン尿症と急性ポルフィリン症を鑑別するのに役立つ。しかし,鉛中毒 鉛中毒 鉛中毒は,最初は最小限の症状しか引き起こさないことが多いが,急性脳症または不可逆性の臓器障害を引き起こす場合があり,小児では一般に認知障害を来す。診断は全血中鉛濃度により行う。治療としては,鉛への曝露の中止,およびときにサクシマー(succimer)またはエデト酸カルシウム二ナトリウムの単独またはジメルカプロールとの併用によるキレート療法... さらに読む の患者の一部で尿中ALA濃度が上昇する場合がある。これらの患者については,血中鉛濃度を測定すべきである。尿中のALAおよびPBGが正常またはわずかに増加している場合は,尿中総ポルフィリンの測定のほか,これらのポルフィリンの高速液体クロマトグラフィーでのプロファイルが,急性ポルフィリン症様の症状の鑑別診断に役立つ。

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