栄養素-薬物相互作用

執筆者:Adrienne Youdim, MD, David Geffen School of Medicine at UCLA
レビュー/改訂 2019年 5月
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    栄養は薬物に対する身体の反応に影響することがあり,逆に薬物は身体の栄養状態に影響することがある。

    食物は薬物の吸収を促進,遅延,または減少させることがある。食物は多くの抗菌薬の吸収を損なう。食物によって薬物代謝に変化がみられることがあり,例えば,高タンパク質食は,チトクロムP450を刺激することにより特定の薬物の代謝を促進することがある。 グレープフルーツを食べるとチトクロムP450 3A4が抑制されて,一部の薬物(例,アミオダロン,カルバマゼピン,シクロスポリン,特定のカルシウム拮抗薬)の代謝が遅延することがある。細菌叢に変化を与える食事は,特定の薬物の代謝全般に著しく影響することがある。

    一部の食物は,薬物に対する身体の反応に影響する。例えば,チーズの成分で強力な血管収縮物質であるチラミンは,モノアミン酸化酵素阻害薬を服用していてチーズを食べる一部の患者に,高血圧クリーゼを引き起こす可能性がある。

    栄養欠乏が薬物の吸収と代謝に影響することがある。重度のエネルギーおよびタンパク質の欠乏では,組織の酵素濃度が低下し,また吸収またはタンパク質の結合が低下し肝機能障害が引き起こされることによって薬剤への反応が損なわれることがある。消化管内の変化は,吸収を障害し薬物への反応に影響を及ぼす可能性がある。 カルシウム,マグネシウム,または亜鉛の欠乏によって薬物代謝が損なわれることがある。ビタミンC欠乏症により薬物代謝酵素の活性が低下し,この変化は高齢者で特に顕著である。

    多数の薬物が,食欲,食物の吸収,および組織代謝に影響する(を参照)。一部の薬物(例,メトクロプラミド)は消化管運動を増大させ食物の吸収を低下させる。消化管運動を低下させる薬物もある(例,オピオイド,抗コリン薬)。一部の薬物は,食事と一緒に服用すればよりよく耐えられるようになる。

    表&コラム

    特定の薬物はミネラル代謝に影響する(を参照)。特定の抗菌薬(例,テトラサイクリン系薬剤)は鉄の吸収を低下させ,また特定の食物(例,野菜,茶,ブラン)も同様である。

    表&コラム

    特定の薬物はビタミンの吸収または代謝に影響する(を参照)。

    表&コラム
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