Msd マニュアル

Please confirm that you are a health care professional

honeypot link

ビタミンE

(トコフェロール)

執筆者:

Larry E. Johnson

, MD, PhD, University of Arkansas for Medical Sciences

最終査読/改訂年月 2016年 9月

ビタミンの概要も参照のこと。)

ビタミンEは,類似の生物学的活性をもつ化合物群(トコフェロール群およびトコトリエノール群を含む)である。最も生物学的活性が高いのはα‐トコフェロールであるが,β‐,γ‐,δ‐トコフェロール,4種類のトコトリエノール,およびいくつかの立体異性体も重要な生物学的活性を有する。これらの化合物は,細胞膜における多価不飽和脂肪酸の脂質過酸化を防ぐ抗酸化物質として働く( ビタミンの供給源,機能,および作用)。

血漿トコフェロール濃度は,血漿総脂質の濃度によって異なる。正常では,血漿α‐トコフェロール濃度は5~20μg/mL(11.6~46.4μmol/L)である。

高用量のビタミンEサプリメントによって心血管疾患が予防されることはない;遅発性ジスキネジアを予防できるか否か,前立腺癌のリスクを上げるか下げるかについては議論がある。2000IU/日までの用量がアルツハイマー病の進行を遅らせるという確かなエビデンスはない。

多くの強化食品やサプリメントに含まれるビタミンEの量はIUで記載されているが,現在ではmgの使用が推奨されている。

ビタミンE欠乏症

食事によるビタミンE欠乏症は発展途上国でよくみられる;先進国の成人ではまれであり,通常は脂肪の吸収不良による。主な症状は,溶血性貧血および神経脱落症状である。診断は血漿総脂質に対する血漿α-トコフェロールの比率の測定に基づく;比率が低ければビタミンE欠乏症が示唆される。治療はビタミンEの経口投与からなり,神経脱落症状があるか,または欠乏症が吸収不良によるものであれば,高用量を投与する。

ビタミンE欠乏症により,赤血球の脆弱性およびニューロン(特に末梢軸索および後角ニューロン)の変性が起こる。

病因

発展途上国では,ビタミンE欠乏症の最も一般的な原因は以下のものである:

  • 不十分なビタミンEの摂取

先進国では,最も一般的な原因は以下のものである:

脂肪の吸収不良を伴わないまれな遺伝性のビタミンE欠乏症が,肝臓代謝の障害の結果起こる。

症状と徴候

ビタミンE欠乏症の主な症状は,軽度の溶血性貧血および非特異的な神経脱落症状である。無βリポタンパク血症では,生後20年以内に進行性の神経障害や網膜症を来す。

ビタミンE欠乏症は,未熟児における未熟児網膜症 (後水晶体線維増殖症とも呼ばれる),ならびに新生児における脳室内および上衣下の出血の一部の一因となることがある。罹患した未熟児には筋力低下がみられる。

小児では,慢性胆汁うっ滞性の肝胆道疾患または嚢胞性線維症により,深部腱反射の消失,体幹および四肢の運動失調,振動覚および位置覚の低下,眼筋麻痺,筋力低下,眼瞼下垂,ならびに構音障害を伴う脊髄小脳失調症などの神経脱落症状が生じる。

成人では脂肪組織に大量のビタミンEが貯蔵されているため,吸収不良の成人ではビタミンE欠乏症により脊髄小脳失調症が起こることは非常にまれである。

診断

  • α‐トコフェロール低値または血清脂質に対する血清α‐トコフェロール比の低値

不十分な摂取歴や素因となる状況がなければ,ビタミンE欠乏症になる可能性は低い。診断の確定には通常,ビタミンE濃度の測定が必要である。過酸化物に反応する赤血球溶血の測定により,診断が示唆される可能性があるが,非特異的である。ビタミンE欠乏症により赤血球の安定性が損なわれるにつれ,溶血が亢進する。

血清α‐トコフェロール濃度の測定が最も直接的な診断法である。成人では,血清α‐トコフェロール濃度が5μg/mL未満(11.6μmol/L未満)の場合,ビタミンE欠乏症が示唆される。異常な脂質濃度がビタミンEの状態に影響する可能性があるため,高脂血症の成人では,血清脂質に対する血清α‐トコフェロールの比率の低値(<0.8mg/g総脂質)が最も正確な指標である。

無βリポタンパク血症の小児および成人では,血清α‐トコフェロール濃度は通常検出できない。

治療

  • α‐トコフェロールまたは混合トコフェロール(α-,β-,およびγ‐トコフェロール)の補給

吸収不良により臨床的に明らかな欠乏症が生じている場合は,α‐トコフェロール15~25mg/kgを1日1回経口投与すべきである。または,混合トコフェロール(200~400IU)を投与してもよい。しかし,早期の神経障害を治療するため,または無βリポタンパク血症におけるビタミンEの吸収および輸送の障害を克服するためには,より高用量のα‐トコフェロールの注射による投与が必要である。

予防

未熟児には補給が必要となることがあるが,ヒトの母乳や市販の人工乳には,正期産の新生児にとって十分なビタミンEが含まれている。

要点

  • ビタミンE欠乏症は通常,発展途上国では不十分な食事からの摂取によって,または先進国では脂肪の吸収不良を引き起こす疾患によって引き起こされる。

  • ビタミンE欠乏症により,主に軽度の溶血性貧血および非特異的な神経脱落症状が生じる。

  • 不十分な摂取または素因となる病態に加えて一致する所見のある患者では,診断を確定するためにトコフェロール濃度を測定する。

  • トコフェロールの補給により治療する。

ビタミンE中毒

多くの成人が,明らかな害なしに,比較的大量のビタミンE(α‐トコフェロール400~800mg/日)を数カ月から数年にわたって摂取する。ときに,筋力低下,疲労,悪心,および下痢が起こる。最も重大なリスクは出血である。しかしながら,用量が1000mg/日を超えない限り,または経口のクマリンまたはワルファリンを服用しない限り,出血はまれである。したがって,19歳以上の成人の上限用量は,あらゆる形態のα‐トコフェロールで1000mgである。

既存の研究の解析では,高用量のビタミンE摂取により,出血性脳卒中および若年死のリスクが増大する可能性があると報告された。

ここをクリックすると家庭版へ移動します
よく一緒に読まれているトピック

おすすめコンテンツ

ソーシャルメディア

TOP