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強迫症 (OCD)

執筆者:

Dan J. Stein

, MD, PhD, University of Cape Town

最終査読/改訂年月 2018年 6月

強迫症(OCD)は,反復的かつ持続的で,患者自身の意思に反し,かつ侵入的に生じる思考,衝動,もしくはイメージ(これらを強迫観念と称する),および/または強迫観念が引き起こす不安を軽減もしくは避けるために,患者が行わざるを得ないと感じる反復的な行動もしくは心の中の行為(これらを強迫行為と称する)により特徴づけられる。診断は病歴に基づく。治療は精神療法(特に曝露反応妨害法),薬物療法(特にSSRIもしくはクロミプラミン),またはその両方(特に重症例)から成る。

OCDは男性より女性でわずかに頻度が高く,人口の約1~2%が罹患する。OCDの平均発症年齢は19~20歳であるが,約25%は14歳までに発症する(Professional.see heading on page 小児および青年における強迫症 (OCD)および関連症群 小児および青年における強迫症 (OCD)および関連症群 強迫症は,強迫観念もしくは強迫行為またはその両方によって特徴づけられる。強迫観念とは,抑えがたく持続的な考え,イメージ,または何かを行いたいという衝動である。強迫行為とは,衝動に基づく行為に対する病的な強い衝動で,それを抵抗すると過度の不安および苦痛を来すものである。強迫観念および強迫行為は,多大な苦悩を引き起こし,さらに学業や社会的機能... さらに読む )。OCD患者の最大30%にチック症 小児および青年におけるチック症およびトゥレット症候群 チックとは,反復性かつ突発的で非律動的かつ急速な筋肉の運動で,音または発声を含む。トゥレット症候群は,運動チックと音声チックの両方が1年以上みられる場合に診断される。診断は臨床的に行う。チックは,それが小児の活動や自己イメージに支障を来している場合にのみ治療するが,治療法としては,認知行動療法やクロニジンまたは抗精神病薬の投与などがある。... さらに読む の既往または併発がみられる。

症状と徴候

強迫観念は,意思に反した侵入的な思考,衝動,またはイメージであり,通常,その存在が著しい苦痛または不安を引き起こす。強迫観念の主な内容は,危害,自己もしくは他者に対するリスク,危険,汚染,疑念,喪失,または攻撃性である。例えば,1日に2時間以上手を洗わないと汚れや微生物で汚染されると心配する患者もいる。こうした強迫観念は心地よいものではない。そのため,患者はその思考,衝動,またはイメージに,無視および/または抑圧で対処しようとする。または,患者は強迫行為を行うことで和らげようと試みる。

強迫行為(しばしば儀式と呼ばれる)は,自らの強迫観念により生じる不安を回避するか軽減するために,または強迫観念を和らげるために行わなければならないと患者が感じる,過剰で反復的な目的のある行動である。具体例を以下に示す:

  • 洗浄(例,手洗い,シャワー)

  • 確認(例,ストーブが消えていること,ドアの鍵をかけたこと)

  • 数を数える(例,ある行動を一定回数繰り返す)

  • 整頓(例,食器類または職場の物を特定のパターンに配置する)

手洗いまたは施錠の確認など大半の儀式は,他者が観察可能であるが,黙って繰り返し数を数える,小声でつぶやくなど,心の中で行う儀式には観察不能なものもある。典型的には,強迫的な儀式は厳格な規則に従って正確に行われる必要がある。儀式は恐れている出来事と実際に関連していることもあれば,そうでないこともある。実際に関連している場合(例,汚れることを避けるためにシャワーを浴びる,火災を防止するためにストーブを確かめる)も,その強迫行為は明らかに過剰であり,例えば,毎日数時間シャワーを浴びたり,または家を出る前にいつもストーブを30回確認したりする。全例において,強迫観念および/または強迫行為が時間を浪費(例,1日1時間,これよりはるかに長いことも多い)しているか,または患者に著しい苦痛または機能障害を引き起こしており,極端な場合には,強迫観念および強迫行為により社会生活が送れなくなることもある。

病識の程度は様々である。OCD患者の大半は,自らの強迫観念の背後にある信念が現実的ではないことをある程度認識している(例,灰皿に触っても実際にはがんにならない)。しかしながら,ときに病識が完全に欠如している(すなわち,患者が自らの強迫観念の背後にある信念が真実であり,強迫行為は妥当であると確信している)。

OCD患者は,恥または汚名を恐れることがあるため,しばしば自身の強迫観念および儀式を秘密にする。人間関係が破綻することがあり,学校の成績や職場での業績が低下することもある。二次的な特徴として抑うつがよくみられる。

OCD患者の多くは,以下のような併存精神障害を有する:

OCD患者の約半数では,いずれかの時点で自殺念慮がみられ,最大4分の1の患者が自殺企図に至る。患者がうつ病を併発している場合,自殺企図のリスクが高まる。

診断

  • 臨床基準

強迫症の診断は,強迫観念,強迫行為,またはその両方の存在に基づいて臨床的に行う。強迫観念または強迫行為が時間を浪費する(例,1日1時間以上)か,または臨床的に意味のある苦痛または機能障害を引き起こしている必要がある。

治療

  • 曝露反応妨害法

  • SSRIまたはクロミプラミン

強迫症患者では曝露反応妨害法がしばしば効果的であり,この治療法の基本的要素は,患者に儀式を行わないよう求めると同時に,不安を生じさせる強迫観念や儀式行為を引き起こす状況または人間に患者を徐々に曝露することである。例えば,汚染に関する強迫観念と洗浄に関する強迫行為がある患者に,便座に触って手を洗わないよう求めることがある。このアプローチでは,馴化【訳注:すなわち慣れの現象】によって,曝露により誘発される不安が軽減される。改善はしばしば何年間も持続し,特に,このアプローチを習得し,治療終了後にも自ら同じ方略を使うことができる患者では,改善効果が長く持続する。しかしながら,不完全な反応を示す患者もいる(一部の患者では薬物療法でも同様)。

一部のOCD症状には,認知療法の手法も有用となる場合がある。

SSRI 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI) うつ病の治療には,いくつかの薬物クラスおよび薬物が使用できる: 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI) セロトニン調節薬(5-HT2遮断薬) セロトニン-ノルアドレナリン再取り込み阻害薬 ノルアドレナリン-ドパミン再取り込み阻害薬 さらに読む およびクロミプラミン(強力なセロトニン作動性の作用を有する三環系抗うつ薬)がしばしば非常に効果的である。患者は,うつ病および大半の不安症群に対して一般的に必要とされるより高用量を必要とすることが多い。多くの専門医は,特に重症例に対して,曝露反応妨害法と薬物療法の併用が最良の治療法であると考えている。

要点

  • 強迫観念とは,通常は著しい苦痛または不安を引き起こす意思に反した侵入的な思考,イメージ,または衝動である。

  • 強迫行為とは,患者が自らの強迫観念により生じる不安を軽減するために,または強迫観念を和らげるために行わなければならないと患者が感じる,過剰で反復的な儀式である。

  • 強迫観念および/または強迫行為は,時間を浪費(例,1日1時間以上,これよりはるかに長いことも多い)するか,または患者に著しい苦痛もしくは機能障害を引き起こすものでなければならない。

  • 治療は,患者に儀式を行わないよう求めると同時に,不安を生じさせる強迫観念および儀式行為を引き起こす状況に患者を徐々に曝露することにより行う。

  • SSRIまたはクロミプラミンの投与も有用となりうる。

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