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自己愛性パーソナリティ障害(NPD)

執筆者:

Lois Choi-Kain

, MD, Harvard Medical School

最終査読/改訂年月 2018年 5月
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自己愛性パーソナリティ障害は誇大性,賞賛への欲求,および共感の欠如の広汎なパターンを特徴とする。診断は臨床基準による。治療は精神力動的精神療法による。

自己愛性パーソナリティ障害患者は自尊心の調節に困難を有するため,賞賛および特別な人物または機関との関係を必要とする;優越感を維持するために,他者を低く評価する傾向もある。

自己愛性パーソナリティ障害の推定生涯有病率には大きな幅があるが,米国の一般集団では最大6.2%にも上る可能性があり,女性より男性に多い。

併存症がよくみられる。患者は 抑うつ障害 抑うつ障害群 抑うつ障害群は,機能を妨げるほど重度または持続的な悲しみ,および興味または喜びが減退することにより特徴づけられる。正確な原因は不明であるが,おそらくは遺伝,神経伝達物質の変化,神経内分泌機能の変化,および心理社会的因子が関与する。診断は病歴に基づく。通常,治療は薬物療法,精神療法,またはその両方,および電気痙攣療法から成る。 うつ病という用語は,しばしばいくつかの抑うつ障害群のいずれかを指して用いられる。一部はDiagnostic... さらに読む (例,うつ病,気分変調症), 神経性やせ症 神経性やせ症 神経性やせ症は,やせへの執拗な追求,肥満に対する病的な恐怖,身体像の歪み,および必要量に対する相対的な摂取量制限が有意な低体重につながっていることを特徴とする。診断は臨床的に行う。大半の治療は何らかの形態の精神療法および行動療法である。若年患者の治療では家族の関与が極めて重要である。オランザピンが体重増加に有用となることがある。 (摂食障害群に関する序論も参照のこと。) 神経性やせ症は主に女児および若年女性に生じる。通常,発症は青年期中... さらに読む 物質使用障害 物質使用障害 物質使用障害は物質関連障害の一種であり,物質の使用に関連する重大な問題を体験しているにもかかわらず,患者がその物質を使用し続ける病的な行動パターンを伴う。脳内神経回路の変化などの生理学的臨床像が認められることもある。 関わる物質は多くの場合,典型的に物質関連障害を引き起こす10種類の薬物クラスに含まれるものである。このような物質はいずれも脳内報酬系を直接活性化し,快感をもたらす。活性化が非常に強いために,患者はその物質を強く渇望し,その... さらに読む (特にコカイン),または他のパーソナリティ障害( 演技性 演技性パーソナリティ障害(HPD) 演技性パーソナリティ障害は,過度の情動性および注意を惹きたいという欲求の広汎なパターンを特徴とする。診断は臨床基準による。治療は精神力動的精神療法による。 (パーソナリティ障害の概要も参照のこと。) 演技性パーソナリティ障害患者は自分の身体的外見を利用し,他者の注意を得るために不適切に誘惑的または挑発的な形で行動する。患者は自主独往の感覚を欠いており,非常に被暗示性が高く,しばしば他者の注意を維持するために服従的に行動する。... さらに読む 境界性 境界性パーソナリティ障害(BPD) 境界性パーソナリティ障害は,対人関係の不安定性および過敏性,自己像の不安定性,極度の気分変動,ならびに衝動性の広汎なパターンを特徴とする。診断は臨床基準による。治療は精神療法および薬剤による。 (パーソナリティ障害の概要も参照のこと。) 境界性パーソナリティ障害患者は孤独に対する耐え難さを有する;見捨てられることを避けるために死に物狂いの努力を払い,他者が救助または面倒をみてくれるよう仕向ける形で自殺のそぶりをみせるなどの危機を生み出す... さらに読む 妄想性 妄想性パーソナリティ障害(PPD) 妄想性パーソナリティ障害は,他者の動機を悪意のあるものと解釈する,他者に対する根拠のない不信および疑念の広汎なパターンを特徴とする。診断は臨床基準による。治療は認知行動療法による。 (パーソナリティ障害の概要も参照のこと。) 妄想性パーソナリティ障害患者は他者を信用せず,何の根拠もない,または不十分な根拠しかない場合でも,他者が自分に害をなそうとしている,または自分を欺こうとしていると考える。... さらに読む )を有していることも多い。

病因

自己愛性パーソナリティ障害に寄与する生物学的因子に関する研究はほとんど行われていないが,有意な遺伝要素が存在すると考えられている。養育者が子供を適切に扱わなかった(例えば,過度に批判的であったり,過度に子供を賞賛,称揚,または甘やかしたりすることによる)可能性を仮定する理論もある。

特別な才能や能力をもっており,自己像および自己感覚を他者の賞賛や尊敬と結びつけるのに慣れている患者もいる。

症状と徴候

自己愛性パーソナリティ障害患者は自分の能力を過大評価し,自分の業績を誇張する。自分が優れている,独特である,または特別であると考えている。患者の自分の価値および業績についての過大評価はしばしば他者の価値および業績の過小評価を含意する。

患者は大きな業績という空想―圧倒的な知能または美しさについて賞賛されること,名声および影響力をもつこと,または素晴らしい恋愛を経験すること―にとらわれている。普通の人とではなく,自分と同様に特別で才能のある人とのみ関わるべきであると考えている。このような並はずれた人々との付き合いは患者の自尊心を裏付け,高めるために利用される。

自己愛性パーソナリティ障害患者は賞賛を受ける必要があるため,患者の自尊心は他者からの肯定的評価に依存し,このため通常は非常に脆弱である。この障害の患者はしばしば他者が自分のことをどのように考えているかを注視しており,自分がどれだけうまくやっているかを評定している。他者による批判ならびに恥辱感および敗北感を味わわせる失敗に敏感であり,これらを気にしている。怒りまたは軽蔑をもって反応したり,悪意をもって反撃したりすることがある。または,自分のうぬぼれの感覚(誇大性)を守るために,引きこもったり,その状況を表向きは受け入れたりすることがある。失敗する可能性のある状況を避けることがある。

診断

  • 診断基準(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition[DSM-5])

自己愛性パーソナリティ障害の診断を下すには,患者に以下が認められる必要がある:

  • 誇大性,賞賛の要求,および共感の欠如の持続的なパターン

このパターンは,以下のうちの5つ以上が認められることによって示される:

  • 自分の重要性および才能についての誇大な,根拠のない感覚(誇大性)

  • 途方もない業績,影響力,権力,知能,美しさ,または無欠の恋という空想にとらわれている

  • 自分が特別かつ独特であり,最も優れた人々とのみ付き合うべきであると信じている

  • 無条件に賞賛されたいという欲求

  • 特権意識

  • 目標を達成するために他者を利用する

  • 共感の欠如

  • 他者への嫉妬および他者が自分を嫉妬していると信じている

  • 傲慢,横柄

また,症状は成人期早期までに始まっている必要がある。

鑑別診断

自己愛性パーソナリティ障害は以下の障害と鑑別することができる:

治療

  • 精神力動的精神療法

基礎にある葛藤に焦点を当てた精神力動的精神療法が有効なことがある。境界性パーソナリティ障害用に開発されたアプローチの一部は,自己愛性パーソナリティ障害の患者用に効果的に改変できる場合がある。具体的には以下のものがある:

これらのアプローチでは,自分および他者を感情的に経験する仕方の問題に焦点を合わせる。

自己愛性パーソナリティ障害患者は,習熟度を高める機会を魅力的と捉えることがあるため,認知行動療法が患者にとって魅力的となる場合がある;患者の賞賛への欲求により治療者が患者の行動を方向づけられる場合がある。自己愛性パーソナリティ障害患者の中には,マニュアル化された認知行動療法のアプローチを簡単すぎる,または自分の特殊な欲求を満たすには一般的すぎると考える。

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