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自己愛性パーソナリティ障害(NPD)

執筆者:

Lois Choi-Kain

, MD, Harvard Medical School

最終査読/改訂年月 2016年 1月
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自己愛性パーソナリティ障害は誇大性,賞賛への欲求,および共感の欠如の広汎なパターンを特徴とする。診断は臨床基準による。治療は精神力動的精神療法による。

パーソナリティ障害の概要も参照のこと。)

自己愛性パーソナリティ障害患者は自尊心の調節に困難を有するため,賞賛および特別な人物または機関との関係を必要とする;優越感を維持するために,他者を低く評価する傾向もある。

一般人口の0.5%が自己愛性パーソナリティ障害を有していると推定されており,女性よりも男性に多い。

併存症がよくみられる。患者は抑うつ障害(例,うつ病,気分変調症),神経性やせ症物質使用障害(特にコカイン),または他のパーソナリティ障害(演技性境界性妄想性)を有していることも多い。

病因

自己愛性パーソナリティ障害に寄与する生物学的因子に関する研究はほとんど行われていないが,有意な遺伝要素が存在すると考えられている。養育者が子供を適切に扱わなかった(例えば,過度に批判的であったり,過度に子供を賞賛,称揚,または甘やかしたりすることによる)可能性を仮定する理論もある。

特別な才能や能力をもっており,自己像および自己感覚を他者の賞賛や尊敬と結びつけるのに慣れている患者もいる。

症状と徴候

自己愛性パーソナリティ障害患者は自分の能力を過大評価し,自分の業績を誇張する。自分が優れている,独特である,または特別であると考えている。患者の自分の価値および業績についての過大評価はしばしば他者の価値および業績の過小評価を含意する。

患者は大きな業績という空想—圧倒的な知能または美しさについて賞賛されること,名声および影響力をもつこと,または素晴らしい恋愛を経験すること—にとらわれている。普通の人とではなく,自分と同様に特別で才能のある人とのみ関わるべきであると考えている。このような並はずれた人々との付き合いは患者の自尊心を裏付け,高めるために利用される。

自己愛性パーソナリティ障害患者は賞賛を受ける必要があるため,患者の自尊心は他者からの肯定的評価に依存し,このため通常は非常に脆弱である。この障害の患者はしばしば他者が自分のことをどのように考えているかを注視しており,自分がどれだけうまくやっているかを評定している。他者による批判ならびに恥辱感および敗北感を味わわせる失敗に敏感であり,これらを気にしている。怒りまたは軽蔑をもって反応したり,悪意をもって反撃したりすることがある。または,自分のうぬぼれの感覚(誇大性)を守るために,引きこもったり,その状況を表向きは受け入れたりすることがある。失敗する可能性のある状況を避けることがある。

診断

  • 診断基準(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition[DSM-5])

自己愛性パーソナリティ障害の診断を下すには,以下の5つ以上により示される,誇大性,賞賛への欲求,および共感の欠如の持続的パターンが認められる必要がある。

  • 自分の重要性および才能についての誇大な,根拠のない感覚(誇大性)

  • 途方もない業績,影響力,権力,知能,美しさ,または無欠の恋という空想にとらわれている

  • 自分が特別かつ独特であり,最も優れた人々とのみ付き合うべきであると信じている

  • 無条件に賞賛されたいという欲求

  • 特権意識

  • 目標を達成するために他者を利用する

  • 共感の欠如

  • 他者への嫉妬および他者が自分を嫉妬していると信じている

  • 傲慢,横柄

また,症状は成人期早期までに始まっている必要がある。

鑑別診断

自己愛性パーソナリティ障害は以下の障害と鑑別することができる:

  • 双極性障害自己愛性パーソナリティ障害患者はしばしば抑うつにより受診し,その誇大性のために,双極性障害と誤診されることがある。自己愛性パーソナリティ障害患者は抑うつを有することがあるが,他者より上にいたいという欲求が常にあることによって,双極性障害患者から鑑別される。また,自己愛性パーソナリティ障害では,気分の変化は自尊心に対する侮辱によって引き起こされる。

  • 反社会性パーソナリティ障害自分のために他者を利用することは両方のパーソナリティ障害の特徴である。しかしながら,その動機は異なる。反社会性パーソナリティ障害患者は物質的な利益のために他者を利用するが,自己愛性パーソナリティ障害患者は自尊心を維持するために利用する。

  • 演技性パーソナリティ障害他者の注意を惹こうとすることは両方のパーソナリティ障害に特徴的である。しかし,自己愛性パーソナリティ障害患者は,演技性パーソナリティ障害患者とは異なり,注意を惹くために気取ったことやばかげたことをするのを非常に嫌い,賞賛されることを望む。

治療

  • 精神力動的精神療法

自己愛性パーソナリティ障害の一般的治療は全てのパーソナリティ障害に対するものと同じである。

基礎にある葛藤に焦点を当てた精神力動的精神療法が有効なことがある。境界性パーソナリティ障害用に開発されたアプローチの一部は,自己愛性パーソナリティ障害の患者用に効果的に改変できる場合がある。具体的には以下のものがある:

これらのアプローチでは,自分および他者を感情的に経験する仕方の問題に焦点を合わせる。

自己愛性パーソナリティ障害患者は,習熟度を高める機会を魅力的と捉えることがあるため,認知行動療法が患者にとって魅力的となる場合がある;患者の賞賛への欲求により治療者が患者の行動を方向づけられる場合がある。自己愛性パーソナリティ障害患者の中には,マニュアル化された認知行動療法のアプローチを簡単すぎる,または自分の特殊な欲求を満たすには一般的すぎると考える。

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