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演技性パーソナリティ障害(HPD)

執筆者:

Lois Choi-Kain

, MD, Harvard Medical School

最終査読/改訂年月 2018年 5月
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演技性パーソナリティ障害は,過度の情動性および注意を惹きたいという欲求の広汎なパターンを特徴とする。診断は臨床基準による。治療は精神力動的精神療法による。

演技性パーソナリティ障害患者は自分の身体的外見を利用し,他者の注意を得るために不適切に誘惑的または挑発的な形で行動する。患者は自主独往の感覚を欠いており,非常に被暗示性が高く,しばしば他者の注意を維持するために服従的に行動する。

推定有病率は一般集団の2%未満である。女性の方が多く診断されるが,この所見は,データ得られた臨床状況において女性の有病率が高かったことを反映しているに過ぎない可能性がある。いくつかの研究では女性と男性の有病率は同程度であった。

併存症,特に他のパーソナリティ障害(反社会性 反社会性パーソナリティ障害(ASPD) 反社会性パーソナリティ障害は,結果や他者の権利を軽視する広汎性のパターンを特徴とする。診断は臨床基準による。治療には,認知行動療法,抗精神病薬,および抗うつ薬がある。 (パーソナリティ障害の概要も参照のこと。) 反社会性パーソナリティ障害患者は,個人的利益や快楽のために違法行為,欺瞞行為,搾取的行為,無謀な行為を行い,良心の呵責を感じない;患者は以下のことを行うことがある: 自分の行動を正当化または合理化する(例,敗者は負けるべくして負... さらに読む 境界性 境界性パーソナリティ障害(BPD) 境界性パーソナリティ障害は,対人関係の不安定性および過敏性,自己像の不安定性,極度の気分変動,ならびに衝動性の広汎なパターンを特徴とする。診断は臨床基準による。治療は精神療法および薬剤による。 (パーソナリティ障害の概要も参照のこと。) 境界性パーソナリティ障害患者は孤独に対する耐え難さを有する;見捨てられることを避けるために死に物狂いの努力を払い,他者が救助または面倒をみてくれるよう仕向ける形で自殺のそぶりをみせるなどの危機を生み出す... さらに読む 自己愛性 自己愛性パーソナリティ障害(NPD) 自己愛性パーソナリティ障害は誇大性,賞賛への欲求,および共感の欠如の広汎なパターンを特徴とする。診断は臨床基準による。治療は精神力動的精神療法による。 (パーソナリティ障害の概要も参照のこと。) 自己愛性パーソナリティ障害患者は自尊心の調節に困難を有するため,賞賛および特別な人物または機関との関係を必要とする;優越感を維持するために,他者を低く評価する傾向もある。 自己愛性パーソナリティ障害の推定生涯有病率には大きな幅があるが,米国の一... さらに読む )がよくみられ,これらの障害に共通の生物学的脆弱性があることを示唆しているか,または演技性パーソナリティ障害が別個の障害であるかどうかについての疑問を投げかけていると言える。 身体症状症 身体症状症 身体症状症は,その症状に関係する過剰かつ不適応的な思考,感情,および行動に関連した持続的な複数の身体的愁訴により特徴づけられる。症状は意図的に作り出されたり,捏造されたりせず,既知の身体疾患を伴うこともあれば,伴わないこともある。診断は患者およびときに家族から聴取する病歴に基づく。治療としては,患者が不必要な診断検査や治療を受けることを回避する,一貫した支持的な医師患者関係を構築することに焦点が置かれる。... さらに読む も認められる患者がおり,これが受診理由となる場合がある。 うつ病 うつ病(単極性障害) 抑うつ障害群は,機能を妨げるほど重度または持続的な悲しみ,および興味または喜びが減退することにより特徴づけられる。正確な原因は不明であるが,おそらくは遺伝,神経伝達物質の変化,神経内分泌機能の変化,および心理社会的因子が関与する。診断は病歴に基づく。通常,治療は薬物療法,精神療法,またはその両方,および電気痙攣療法から成る。 うつ病という用語は,しばしばいくつかの抑うつ障害群のいずれかを指して用いられる。一部はDiagnostic... さらに読む 気分変調症 持続性抑うつ障害 抑うつ障害群は,機能を妨げるほど重度または持続的な悲しみ,および興味または喜びが減退することにより特徴づけられる。正確な原因は不明であるが,おそらくは遺伝,神経伝達物質の変化,神経内分泌機能の変化,および心理社会的因子が関与する。診断は病歴に基づく。通常,治療は薬物療法,精神療法,またはその両方,および電気痙攣療法から成る。 うつ病という用語は,しばしばいくつかの抑うつ障害群のいずれかを指して用いられる。一部はDiagnostic... さらに読む ,および 変換症 変換症 変換症は,無意識かつ意図的ではなく発生する神経症状または神経学的障害から成り,通常は運動または感覚機能を障害する。その臨床像は既知の病態生理学的機序または解剖学的神経支配と合致しない。変換症状の発症,増悪,または持続は,ストレスや心的外傷などの精神的因子に起因しているのが一般的である。診断は,原因としての身体疾患を除外した後,病歴に基づいて行う。治療は一貫した支持的な医師患者関係を確立することから始まり,精神療法が役立つことがあり,催眠... さらに読む が併存することもある。

症状と徴候

演技性パーソナリティ障害患者は継続的に注目の的になることを求め,そうなっていない場合にしばしば抑うつを生じる。患者はしばしば活発,劇的,情熱的でなれなれしく,新しい知人を魅了することもある。

このような患者は,潜在的な恋愛的関心によってだけでなく,様々な状況(例,職場,学校)でしばしば不適切に誘惑的かつ挑発的な形で衣服を着用し,行動する。患者は自分の外見で他者に印象づけたいと考え,そのため自分の外見にとらわれていることが多い。

感情の表現は表面的(急に感情を消したり,見せたりする)で誇張されていることがある。話しかたは劇的で,強い意見を述べるが,その意見を裏付ける事実または詳細はほとんどない。

演技性パーソナリティ障害患者は他者および最新の流行に容易に影響を受ける。非常に人を信用しやすく,特に,自分のあらゆる問題を解決してくれると考える権威者を盲信する。しばしば自分と他者との関係を実際よりも親密であると考える。新奇なものを渇望し,すぐに飽きる傾向がある。このため,仕事や友人を頻繁に変えることがある。遅れて来る充足感は患者にとって非常に苛立たしいものであるため,しばしば即座の満足を得ることに興味をもつ。

感情的または性的に親密な関係を得ることが困難な場合がある。患者は,しばしば気づくことなく,ある役割(例,被害者)を演じることがある。患者は誘惑的または感情的操作を利用してパートナーを支配しようとする一方で,パートナーに強く依存するようになることがある。

診断

  • 診断基準(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition[DSM-5])

演技性パーソナリティ障害の診断を下すには,患者に以下が認められる必要がある:

  • 過度の情動性および注意を惹きたいという欲求の持続的なパターン

このパターンは,以下のうちの5つ以上が認められることによって示される:

  • 注目の的になっていないと不快感を感じる

  • 他者との交流が不適切なほど性的に誘惑的または挑発的である

  • 感情の急激な変化および浅薄な表現

  • 自分に注意を惹くため常に身体的外見を利用する

  • 極めて主観的かつ漠然とした会話

  • はったり,芝居がかったふるまい,および感情の大げさな表現

  • 被暗示性(他者または状況に容易に影響を受ける)

  • 人間関係を実際より親密なものとして解釈する

また,症状は成人期早期までに始まっている必要がある。

鑑別診断

演技性パーソナリティ障害は,特有な特徴に基づいて他のパーソナリティ障害と鑑別することが可能である:

治療

  • 精神力動的精神療法

演技性パーソナリティ障害に対する認知行動療法および薬物療法の有効性に関してはほとんど知られていない。

基礎にある葛藤に焦点を当てた精神力動的精神療法を試みてもよい。治療者は発言を行動に置き換えるよう促すことから始め,これにより患者が自分を理解し,より劇的ではない形で他者とコミュニケーションを取れるようにする。治療者はそうして,他者の注意を惹き,自分の自尊心を保つ上で演技的行動がどれほど不適応なやり方であるか患者が理解するよう支援できる。

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