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異性装障害

(服装倒錯;異性装フェティシズム)

執筆者:

George R. Brown

, MD, East Tennessee State University

最終査読/改訂年月 2019年 7月
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服装倒錯(transvestism)では,異性装により反復的な強い性的興奮が生じるもので,それが空想,衝動,または行動として現れることがある。異性装障害(transvestic disorder)は,著しい苦痛または機能障害を引き起こす服装倒錯である。

服装倒錯はパラフィリアの一種であるが,異性装者の大半はパラフィリア障害の臨床診断基準を満たさず,その基準では,本人の空想,強い衝動,または行動によって苦痛または機能障害が生じてるか,他者が害を被っていることが要件とされている。また,この状態が6カ月以上認められることも条件の1つである。

異性装を行う男性の一部はそれを強迫的に行い,自身の行動により苦痛と機能障害が生じていることがなお事実であるとしても,国際疾病分類(International Classification of Diseases:ICD)の次回改訂時には異性装フェティシズムを削除すべきであると考えている学者もいる。

「クロスドレッサー(cross-dresser)」は,「異性装者(transvestite)」よりも一般的で容認されやすい用語である。 異性装および異性装障害は出生時の性が女性である場合は極めてまれである。

女性の衣服を着用する異性愛の男性は,典型的にはそのような行動を小児期後期に始める。男性の最大3%が異性装を行って,それにより少なくとも一度は性的刺激を覚えるが,定期的な異性装を報告する男性はそれよりはるかに少ない。異性装は,少なくとも当初は,強い性的興奮を伴う。衣服それ自体によりもたらされる性的興奮はフェティシズム フェティシズム障害 フェティシズムとは,性的興奮をもたらす手段として無生物の物体(フェティッシュ)を好むものである。しかしながら,通俗的には,この用語は性的ロールプレイ,特定の身体的特徴に対する嗜好,および性行為または対象物の嗜好など,特定の性的関心について述べるために用いられることが多い。フェティシズム障害とは,無生物の物体の使用または性器以外の体の部分に対する非常に特異的な注目により反復的に強い性的興奮を生じ,著しい苦痛または機能障害を引き起こすものを... さらに読む の一種と考えられ,異性装とともに生じる場合もあれば,異性装とは別で生じる場合もある。

異性装を行う男性のパーソナリティプロファイルは,一般的に年齢および人種をマッチさせた標準集団と同様である。

パートナーが協力的または前向きに参加している場合,異性装の男性は部分的または完全に女装して性行為を行うことがある。パートナーが非協力的な場合は,異性装への欲求のために,不安,抑うつ,罪悪感,恥辱感を抱くことがあり,その関係において性機能障害を経験することがある。このような感情に対する反応として,このような男性はしばしば自身の女性用の衣服を処分する。こうした処分を行った後に,また女性の衣類,かつら,化粧品を集める期間が続き,さらに罪悪感や羞恥心を抱いて再び処分を行うこともある。

診断

  • Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition(DSM-5)の特異的な診断基準

異性装障害の診断を下すには,以下の条件を満たす必要がある:

  • 患者が異性装により反復的な強い性的興奮を覚えており,その興奮が空想,強い衝動,または行動で表現されている。

  • そのような空想,強い衝動,または行動が著しい苦痛を引き起こしているか,仕事,社会的状況,またはその他の重要領域において機能障害を引き起こしている。

  • この状態が6カ月以上認められる。

治療

  • 社会的支援団体

  • ときに精神療法

大半の異性装者は治療を求めて受診しない。受診するのは通常,困った配偶者に連れて来られた人,裁判所から紹介されてきた人,または社会的および職業的に好ましくない結果を経験することへの懸念から自ら受診した人である。併存する性別違和 診断 性別違和は,長期間持続する異性への強い同一化を特徴とし,不安,抑うつ,いらだちのほか,しばしば出生時に割り当てられた性とは異なる性別として生きたいという望みを伴う。性別違和を有する人は,しばしば自分のことを生物学的な事故の被害者と認識し,非情にも自身の主観的な性同一性と相容れない肉体に閉じ込められていると確信している。最も極端なタイプの性別違和は,性転換症と呼ばれることがある。... さらに読む 物質乱用 物質関連障害群の概要 物質関連障害群には,脳内報酬系を直接活性化する薬物が関与する。報酬系が活性化されると,典型的には快感が生じるが,具体的にどのような快感が誘発されるかは,薬物に応じて広い幅がある。このような薬物は,薬理学的機序の差異(全く別とは言えない)に基づき10のクラスに分類される。該当する薬物クラスとしては以下のものがある:... さらに読む ,または抑うつ 抑うつ障害群 抑うつ障害群は,機能を妨げるほど重度または持続的な悲しみ,および興味または喜びが減退することにより特徴づけられる。正確な原因は不明であるが,おそらくは遺伝,神経伝達物質の変化,神経内分泌機能の変化,および心理社会的因子が関与する。診断は病歴に基づく。通常,治療は薬物療法,精神療法,またはその両方,および電気痙攣療法から成る。 うつ病という用語は,しばしばいくつかの抑うつ障害群のいずれかを指して用いられる。一部はDiagnostic... さらに読む の治療のために受診する異性装者もいる。

異性装を行う男性のための社会的支援団体がしばしば大きな助けとなる。

確実に効果を示す薬剤は存在しない。

精神療法の適応がある場合は,自己受容とリスク行動の修正が目標となる。

後年,ときに50代または60代になって,異性装の男性が性別違和の症状のために医療機関を受診することがあり,性別違和の診断基準を満たす場合もある。

要点

  • 大半の異性装者は異性装障害の臨床基準を満たさない。

  • 異性装障害の診断は,異性装によって著しい苦痛が引き起こされているか機能が障害されており,かつその状態が6カ月以上認められる場合にのみ下される。

  • 受診する異性装者は通常,好ましく思わない配偶者に連れて来られた人,裁判所から紹介されてきた人,自身の行動により社会的・職業的に悪い結果を招くことへの懸念から自ら受診した人のいずれかである。

  • 確実に効果を示す薬剤は存在しないが,精神療法および支援団体が助けになることがある。

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