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性行動の概要

執筆者:

George R. Brown

, MD, East Tennessee State University

最終査読/改訂年月 2015年 6月

(男性の性機能障害については, 男性性機能の概要;女性の性機能障害については, 女性の性機能および性機能障害の概要。)

性行動および性的態度に関する容認基準は,同一文化内および複数文化間で非常に多様である。医療従事者は,たとえ社会的な圧力があったとしても,決して性行動の是非を判断してはならない。一般に,何が正常で何が異常であるかは医学的に決定できることではない。しかしながら,性行動または性的問題が患者やそのパートナーに著しい苦痛を引き起こしている場合や,それらのために害が生じている場合には,治療が必要となる。

セクシュアリティおよび性別に関する社会の態度

セクシュアリティや性別(gender)に関する社会の態度は時代とともに変化するものであり,現在では以下のような変化がみられる:

  • 自慰:かつては一種の倒錯で精神障害の原因の1つと広くみなされていた自慰は,現在では生涯を通して正常な性行為であると認識されている。自慰が異常とみなされるのは,それがパートナーに向けられる行動を阻害する場合,公衆の面前で行われる場合,および苦痛をもたらすほど強迫的である場合に限られる。男性の97%,女性の80%程度が自慰行為を行う。自慰行為自体に害はないが,それを非難して罰しようとする他者の態度によってもたらされる罪悪感が大きな悩みとなり,性的能力が損なわれることがある。自慰は,性的に健全な関係においてさえ,しばしば一定の水準で継続する。

  • 同性愛:American Psychiatric Associationは,40年以上前から同性愛を障害とみなしていない。人口の約4~5%が,その生涯にわたって自身を完全な同性愛者であると認識している。同性愛も異性愛と同様,複雑な生物学的因子および環境因子による作用の結果として,同性の相手によって性的な興奮が呼び起こされるようになる。異性愛と同じく,同性愛は選択の問題ではない。

  • 乱交:多数のパートナーとの頻繁な性行為(しばしば名前を知らない相手との関係または一度きりの関係を含む)は,親密な関係を構築する能力が減退していることを意味している場合がある。ただし,乱交それ自体では性心理障害の証拠とならない。欧米の文化では不特定多数とのセックスがよくみられるが,AIDS,単純ヘルペスウイルス感染症,その他の性感染症に対する恐れから減少してきている。

  • 婚外性交渉:ほとんどの文化において,婚姻外での性行為は許容されていないが,婚前の性交渉または未婚者の性行為は正常として許容されている。米国では,先進諸国でみられる性の自由化の傾向として,大半の人が婚前性交渉または未婚での性交渉をもっている。婚外性交渉は,社会的タブーであるにもかかわらず,既婚者の間でよくみられる。この行動は警戒していない配偶者やセックスパートナーに疾患を伝染させる可能性がある。

  • 性同一性:性同一性(gender identity)とは,自分がどの性別(gender)に属しているかを認識する主観的感覚である。一部の人は伝統的な男性・女性の二分法に当てはまらない(また必ずしも当てはめられることを望まない)という文化的認識が広がってきている。

セクシュアリティに対する両親の影響

性行動および性的態度に関する容認基準は両親の影響を大きく受ける。

親が体の触れ合いなどの身体的愛情行為を厳しく禁欲的に拒絶すると,子に罪および恥の感覚が植え付けられ,成人として性を享受し,健全な愛情関係を育む能力が阻害される。

両親との関係は以下の要因により損なわれることがある:

  • 過度の情緒的関係

  • 懲罰的行動

  • あからさまな誘惑的態度および性的搾取

言語的および身体的な敵意,拒絶,ならびに虐待に曝された小児は,性的および情緒的な愛情関係に問題を来す可能性が高くなる。例えば,愛情と性的興奮が解離することにより,同じ社会階層または知的集団の個人と情緒的な絆を築くことはできるものの,性的関係については,典型的には自身より下の階層とみなしている個人や何らかの形で見下している個人など,情緒的な愛情関係のない相手(例,娼婦,匿名のパートナー)としか築けなくなる場合がある。

医療従事者の役割

医療従事者が十分な知識をもっていれば,セクシュアリティに関するデリケートなアドバイスを適切に与えることが可能であり,貴重な介入の機会を逃がしてはならない。患者を性感染症のリスクに曝す行動には対応を講じる必要がある。医療従事者には,性機能障害( 男性性機能の概要女性における性機能障害),性別違和パラフィリアなどの性心理の問題を認識して対応を講じる機会がある。

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