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小児性愛障害

(小児性愛)

執筆者:

George R. Brown

, MD, East Tennessee State University

最終査読/改訂年月 2019年 7月
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小児性愛障害は,思春期前の小児または若年青年(通常13歳以下)を対象とする性的興奮をもたらす反復的な強い空想,衝動,または行動を特徴とするが,本人が16歳以上で,かつ空想または行動の対象である小児より5歳以上年長の場合に限り診断される。

小児性愛は他者に害をもたらすパラフィリアの一種であり,このためパラフィリア障害とみなされる。

小児に対する性犯罪は,報告される性犯罪行為の中で大きな割合を占めている。より年長の青年(すなわち,17~18歳)の場合,12~13歳の小児に対する持続的な性的関心または関与があっても障害の臨床診断基準を満たさない場合がある。ただし,法律上の基準は精神医学的な基準と異なる場合がある。例えば,19歳と16歳の間の性行為は,法律の管轄区域によっては,犯罪となるが小児性愛障害とならない場合がある。診断年齢のガイドラインは欧米文化を対象としたものであり,欧米文化と比べてはるかに低年齢での性行為,結婚,妊娠が許容されている,あるいはセックスパートナー間ではるかに大きな年齢差が許容されている多く文化には適用できない。

大半の小児性愛者は男性である。魅力を感じる対象は男児,女児,または両方の場合がある。ただし,小児性愛者が嗜好する対象は異性の方が同性より2倍多い。ほとんどの例において,成人の小児性愛者は対象の小児の知人であり,家族,義理の親,権威をもつ人間(例,教師,コーチ)である場合がある。性器の接触よりも,眺めたり触ったりする行為の方が多いようである。小児性愛者は小児にしか魅力を感じない場合(純粋型)と,成人にも魅力を感じる場合(非純粋型)があり,自分の身内である小児にしか魅力を感じない小児性愛者もいる(近親相姦)。

小児性愛の経過は慢性的で,加害者はしばしば物質乱用,物質依存 物質関連障害群の概要 物質関連障害群には,脳内報酬系を直接活性化する薬物が関与する。報酬系が活性化されると,典型的には快感が生じるが,具体的にどのような快感が誘発されるかは,薬物に応じて広い幅がある。このような薬物は,薬理学的機序の差異(全く別とは言えない)に基づき10のクラスに分類される。該当する薬物クラスとしては以下のものがある:... さらに読む うつ病 抑うつ障害群 抑うつ障害群は,機能を妨げるほど重度または持続的な悲しみ,および興味または喜びが減退することにより特徴づけられる。正確な原因は不明であるが,おそらくは遺伝,神経伝達物質の変化,神経内分泌機能の変化,および心理社会的因子が関与する。診断は病歴に基づく。通常,治療は薬物療法,精神療法,またはその両方,および電気痙攣療法から成る。 うつ病という用語は,しばしばいくつかの抑うつ障害群のいずれかを指して用いられる。一部はDiagnostic... さらに読む を有していたり,新たに発症したりすることがある。広範な家族機能不全,性的虐待の既往,夫婦間の不和がよくみられる。その他の併存症としては,注意欠如・多動症 注意欠如・多動症(ADD,ADHD) 注意欠如・多動症(ADHD)は,不注意,多動性,および衝動性から構成される症候群である。不注意優勢型,多動性・衝動性優勢型,混合型の3つの病型に分類される。診断は臨床的な基準により下される。治療では通常,精神刺激薬による薬物療法,行動療法,教育的介入などが行われる。 注意欠如・多動症(ADHD)は,神経発達障害と考えられている。神経発達障... さらに読む 不安症 不安症の概要 恐怖や不安は誰もが日常的に経験するものである。恐怖とは,直ちに認識可能な外部からの脅威(例,侵入者,凍結した路面でスピンする車)に対する情動的,身体的,および行動的な反応である。不安とは,神経過敏や心配事による苦痛で不快な感情状態であり,その原因はあまり明確ではない。脅威が生じる厳密な時期と不安との間に強い結びつきはなく,不安は脅威の前に... さらに読む 心的外傷後ストレス障害 心的外傷後ストレス障害(PTSD) 心的外傷後ストレス障害(PTSD)は,圧倒的な外傷的出来事の侵入的な想起が反復して生じる病態であり,その想起は1カ月以上続き,出来事から6カ月以内に始まる。本疾患の病態生理は完全には解明されていない。症状としては,外傷的出来事に関連する刺激の回避,悪夢,フラッシュバックなどもある。診断は病歴に基づく。治療は曝露療法および薬物療法から成る。 (心的外傷およびストレス因関連障害群の概要も参照のこと。)... さらに読む などがある。

診断

  • 臨床的評価

児童ポルノの広範な使用は,小児に対する性的嗜好の信頼性の高いマーカーであり,この障害の唯一の指標となる場合もある。ただし,児童ポルノの使用は,典型的には違法であるが,それだけで小児性愛障害の診断基準を満たすものではない。

患者が小児に対する性的嗜好を否定するが,状況からそれが事実でない可能性が示唆される場合は,特定の診断ツールがそのような性的嗜好の確認に役立つ可能性がある。具体的な方法としては,陰茎プレチスモグラフィー(男性),腟フォトプレチスモグラフィー(女性),標準化された性的素材の視聴時間などがあるが,そのような素材の所持は,それが診断目的であっても,特定の司法管轄区域では違法となる場合がある。

小児性愛障害の臨床診断基準(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition[DSM-5]に基づく)は以下の通りである:

  • 思春期前の小児(通常13歳以下)を対象とする性的興奮をもたらす反復的な強い空想,衝動,または行動が6カ月以上にわたり認められる。

  • 本人が衝動を行動化しているか,その衝動および空想によって著しい苦痛または機能障害が生じている。そのような衝動または行動に関わる苦痛の経験は診断の要件とされていない。

  • 本人が16歳以上で,かつ空想または行動の対象である小児より5歳以上年長である(ただし,12~13歳の小児と持続的関係をもっている年長の青年は除く)。

患者を潜在的な小児性愛者として特定することは,ときに医療従事者にとって倫理的な危機につながる場合がある。しかしながら,医療従事者には小児のコミュニティを保護する責任がある。医療従事者は各州で制定されている報告義務を把握しておくべきである。医療従事者が小児の性的または身体的虐待 小児虐待の概要 小児虐待は,小児に対する常軌を逸した行動であり,身体的または情緒的な危害を与える多大なリスクを伴う。一般的に4種の虐待が認識されている;身体的虐待,性的虐待,情緒的虐待(心理的虐待)【訳注:米国では"emotional abuse"と"psychological abuse"が同義で使用されている[参考:NATIONAL... さらに読む 小児虐待の概要 について合理的な疑いをもった場合には,当局に報告することが法律により義務付けられている。報告義務は州によって異なる(Child Welfare Information Gatewayを参照)。

治療

  • 精神療法

  • 併存症の治療

  • 薬物療法(例,抗アンドロゲン薬,選択的セロトニン再取り込み阻害薬[SSRI])

通常,長期にわたる個人または集団精神療法が必要であり,これは社会生活技能訓練,併存する身体および精神障害の治療,ならびに薬物療法を含めた集学的治療の一部として行われる場合に,特に役立つ可能性がある。

判決を受けた性犯罪者の多くには,集団精神療法と抗アンドロゲン薬の併用などの治療が有益であるが,裁判所の命令で行われる小児性愛の治療は効果が低くなる。

治療とモニタリングを積極的に継続する一部の小児性愛者は,小児性愛的な行動を抑制して,社会復帰することが可能である。このような結果が得られる可能性は,他の精神障害,特にパーソナリティ障害が並存しない場合に高くなる。

薬剤

米国における小児性愛に対する第1選択の治療法は以下のものである:

  • 酢酸メドロキシプロゲステロンの筋注

メドロキシプロゲステロンは,下垂体での黄体形成ホルモン(LH)および卵胞刺激ホルモン(FSH)の産生を阻害することでテストステロン産生を減少させ,それにより性欲を低下させる。典型的な用法・用量は,メドロキシプロゲステロン200mg,筋注,週2~3回,2週間に続いて,200mg,週1~2回,4週間の後,以降は200mg,2~4週毎である。

下垂体でのLHおよびFSHの産生を減少させることでテストステロン産生を減少させるゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストであるリュープロレリンも選択肢の1つであり,その場合はメドロキシプロゲステロンよりも筋肉内投与の頻度が少なくて済む(1~6カ月間隔)。ただし,その費用は通常かなりの高額となる。欧州では,テストステロン受容体を遮断する酢酸シプロテロンが使用されている。男性患者では,血清テストステロン濃度をモニタリングして,女性の正常範囲内(62ng/dL未満[2.15nmol/L])に維持すべきである。多くの場合,治療を中止すると数週間から数カ月で偏った空想が再発するため,通常は長期の治療が必要になる。肝機能検査を行うべきであり,また必要に応じて血圧,骨密度,および血算のモニタリングを行うべきである。

女性の小児性愛者における抗アンドロゲン薬の有用性については,十分に確立されていない。

抗アンドロゲン薬に加えて,SSRI(例,高用量フルオキセチン60~80mg,1日1回またはフルボキサミン200~300mg,経口,1日1回)が有用となりうる。

薬剤は集学的治療プログラムの一環として使用される場合に最も効果的となる。

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