再発性髄膜炎は通常,細菌,ウイルス,または感染症以外の病態によって引き起こされる。
(髄膜炎の概要 髄膜炎の概要 髄膜炎は髄膜および,くも膜下腔の炎症である。感染症,その他の疾患,または薬剤への反応によって起こりうる。重症度および急性度は様々である。典型的な所見には,頭痛,発熱,項部硬直などがある。診断は髄液検査による。治療は適応に応じて抗菌薬を投与する他に,補助的手段などがある。 ( 脳感染症に関する序論および... さらに読む も参照のこと。)
再発性のウイルス性髄膜炎
再発性の ウイルス性髄膜炎 ウイルス性髄膜炎 ウイルス性髄膜炎は,急性細菌性髄膜炎より軽症となりやすい傾向がある。所見には,頭痛,発熱,項部硬直などがある。診断は髄液検査による。治療は,支持療法,単純ヘルペスの疑い例に対するアシクロビル,およびHIV感染症の疑い例に対する抗レトロウイルス薬による。 ( 髄膜炎の概要も参照のこと。) ウイルス性髄膜炎はときに無菌性髄膜炎と同義で用いられることがある。しかしながら,無菌性髄膜炎は通常,細菌(典型的には急性細菌性髄膜炎を引き起こす)以外の... さらに読む の原因として最もよくみられるのは以下のものである:
単純ヘルペスウイルス2型(HSV-2;Mollaret髄膜炎と呼ばれる)
HSV-2が原因である場合は,典型的には発熱,項部硬直,および髄液中リンパ球増多のエピソードが3回以上起こり,それぞれのエピソードは2~5日間続いてから自然軽快する。その他の神経脱落症状(例,意識変容,痙攣発作,脳神経麻痺)もみられることがあり,それらは髄膜脳炎を示唆する。
可能であれば原因を治療する。Mollaret髄膜炎は,アシクロビルの静注により治療する。ほとんどの患者は完治する。
再発性の急性細菌性髄膜炎
急性細菌性髄膜炎 急性細菌性髄膜炎 急性細菌性髄膜炎は,急速に進行する髄膜およびくも膜下腔の細菌感染症である。典型的な所見には,頭痛,発熱,項部硬直などがある。診断は髄液検査による。治療は抗菌薬およびコルチコステロイドにより,これらを可及的速やかに投与する。 ( 髄膜炎の概要および 新生児細菌性髄膜炎も参照のこと。) 最も一般的には,細菌が血流を介してくも膜下腔および髄膜に達する。細菌はまた,感染した近傍の構造物から,あるいは先天性または後天性の頭蓋骨または脊椎の欠損を介... さらに読む が先天性または後天性の頭蓋底または脊椎の欠損によって生じ,その欠損が是正されない場合,急性細菌性髄膜炎は再発しうる。原因が外傷である場合は,数年経って初めて髄膜炎が発生する場合がある。
再発性細菌性髄膜炎のある患者では,そのような欠損がないか徹底的に確認すべきである。高分解能CTでは通常頭蓋骨の欠損を同定できる。患者の下背部を調べ,くぼみまたは毛束がないか確認すべきであり,これらの存在は脊椎の欠損(例, 二分脊椎 二分脊椎 二分脊椎とは,脊柱の閉鎖に欠陥が生じた状態のことである。原因は不明であるが,妊娠中の葉酸低値によりリスクが増大する。無症状の患児もいるが,病変より下位に重度の神経機能障害を呈する患児もいる。開放性二分脊椎は,超音波検査による出生前診断が可能であり,母体血清中または羊水中α-フェトプロテイン濃度の高値からも示唆される。典型例では,出生後に背部に病変を見ることができる。通常,治療法は手術である。... さらに読む )を示す可能性がある。
まれに,再発性細菌性髄膜炎(通常は肺炎球菌[Streptococcus pneumoniae]または髄膜炎菌[Neisseria meningitidis]による)が補体系の欠損に由来することがある。治療は補体欠損のない患者に対するものと同じである。肺炎球菌(S. pneumoniae)および髄膜炎菌(N. meningitidis)に対する予防接種(米国疾病予防管理センター[Centers for Disease Control and Prevention:CDC]の推奨に従い補体欠損症の患者に行われる)は,感染の可能性を低減する可能性がある。
その他の再発性髄膜炎
非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)またはその他の薬剤に続発する急性髄膜炎は,原因薬剤が再度使用されると再発することがある。
脳嚢胞の破裂による髄膜炎も再発することがある。