Msd マニュアル

Please confirm that you are a health care professional

honeypot link

脊髄腫瘍

執筆者:

Roy A. Patchell, MD

, MD, Barrow Neurological Institute

最終査読/改訂年月 2018年 6月
患者さん向けの 同じトピックページ はこちら

脊髄腫瘍は,脊髄実質に発生して直接組織を破壊することもあれば,脊髄実質外に発生して脊髄または神経根を圧迫することも多い。症状としては,脊髄または脊髄神経根に関連する進行性の背部痛および神経脱落症状などがみられる。診断はMRIによる。治療法としては,コルチコステロイド,外科的切除,放射線療法などがある。

脊髄腫瘍は髄内腫瘍(脊髄実質内)または髄外腫瘍(脊髄実質外)として発生する。

髄内腫瘍

髄外腫瘍

髄外腫瘍には以下のものがある:

  • 硬膜内:硬膜内かつ脊髄の表面上にある(実質内ではない)

  • 硬膜外:硬膜外にある

大半の硬膜内腫瘍は良性で,通常は髄膜腫または神経線維腫であり,これらは最も頻度の高い原発性脊髄腫瘍である。

大半の硬膜外腫瘍は転移性である。それらは通常,肺,乳房,前立腺,腎臓,または甲状腺の癌腫として,あるいはリンパ腫(最も多いのは非ホジキンリンパ腫 非ホジキンリンパ腫 非ホジキンリンパ腫(NHL)は,リンパ節,骨髄,脾臓,肝臓,および消化管を含むリンパ細網部位におけるリンパ系細胞の単クローン性悪性増殖に起因する疾患の混成群である。通常は,初発症状として末梢のリンパ節腫脹がみられる。ただし,リンパ節腫脹は認められないが,循環血中に異常なリンパ球が認められる患者もいる。ホジキンリンパ腫と比べ,診断時に播種性である可能性が高い。通常は,リンパ節生検,骨髄生検,またはその両方に基づいて診断を下す。治療には,一... さらに読む 非ホジキンリンパ腫 であるが,ホジキンリンパ腫 ホジキンリンパ腫 ホジキンリンパ腫は,リンパ細網系細胞の限局性または播種性の悪性増殖であり,主にリンパ節組織,脾臓,肝臓,および骨髄に浸潤する。症状にとしては,無痛性のリンパ節腫脹のほか,ときに発熱,盗汗,意図しない体重減少,そう痒,脾腫,肝腫大などがある。診断はリンパ節生検に基づく。治療により,約75%の症例で治癒が得られ,化学療法のほか,放射線療法を併用する場合も併用しない場合もある。 (リンパ腫の概要も参照のこと。)... さらに読む ホジキンリンパ腫 ,リンパ肉腫,および細網肉腫もある)として発生する。

硬膜内腫瘍と硬膜外腫瘍はどちらも,実質への浸潤ではなく,脊髄および神経根の圧迫によって影響を及ぼす。大半の硬膜外腫瘍は,脊髄圧迫を引き起こす前に骨に浸潤し,骨組織を破壊する。

症状と徴候

早期症状の1つに疼痛があり,特に硬膜外腫瘍でよくみられる。進行性で,運動との関連はみられず,臥位により悪化する。疼痛は背部に起こることもあれば,特定のデルマトームの感覚分布域に放散する(根性痛)こともあり,その両方が起こる場合もある。

最終的には,病変のある脊髄髄節に関連した神経脱落症状が発生する。一般的な例は,痙性筋力低下,失禁,および特定の脊髄髄節とそれ以下に生じる一部または全ての感覚神経路の機能障害である。神経機能の障害は通常両側性である。

硬膜内髄外腫瘍は,神経根が圧迫されると痛みを伴うこともあるが,神経根に触れず脊髄が直接圧迫されている場合は,痛みを伴わないこともある。

硬膜内腫瘍患者の一部(髄膜腫および神経線維腫が最も多い)は,下肢遠位部の感覚障害,髄節性の神経脱落症状,脊髄圧迫症状,またはこれらの組合せを来す。

脊髄圧迫症状は急速に悪化し,対麻痺および便および尿失禁を来すことがある。

神経根圧迫症状もよくみられ,具体的には疼痛および錯感覚,それに続く感覚消失,筋力低下などがあり,圧迫が慢性化すると,腫瘍が浸潤した神経根の支配領域に沿って筋萎縮が起こる。

診断

  • MRI

髄節性の神経脱落症状または脊髄圧迫の疑いのある患者には,緊急の診断および治療が必要である。

以下のものがあれば脊髄腫瘍が示唆される:

  • 進行性かつ原因不明の夜間に生じる背部痛または根性痛

  • 髄節性の神経脱落症状

  • 脊髄または神経根の異常が推定できる原因不明の神経脱落症状

  • がん,特に肺,乳房,前立腺,腎臓,または甲状腺に腫瘍がある患者やリンパ腫の既往がある患者における原因不明の背部痛

脊髄腫瘍の診断は,脊髄の侵された領域のMRIによる。CT脊髄造影が代替手段の1つであり,これは腫瘍の局在診断に役立ちうるが,得られる情報はMRIより少ない。

他の理由で撮影された脊髄X線写真において,骨破壊,椎弓根間距離の拡大,または脊髄近傍組織の変形がみられることがある(特に腫瘍が転移性の場合)。

治療

  • コルチコステロイド

  • 切除,放射線療法,またはその両方

脊髄圧迫 脊髄圧迫 様々な病変が脊髄を圧迫して,髄節性の感覚,運動,反射,および括約筋障害を引き起こしうる。診断はMRIによる。治療は圧迫の軽減を目標として行う。 (脊髄疾患の概要および脊椎・脊髄外傷の応急処置も参照のこと。) 圧迫の原因としては,脊髄内部の病変(髄内病変)より脊髄外部の病変(髄外病変)の方がはるかに頻度が高い。 圧迫は以下の場合がある: 急性 さらに読む 脊髄圧迫 による神経脱落症状がある患者には,コルチコステロイド(例,デキサメタゾン100mg,静注に続いて10mg,経口,1日4回)を直ちに開始することで,脊髄浮腫を軽減して機能を温存する。神経脱落症状はすぐに不可逆的になるため,脊髄を圧迫している腫瘍は可及的速やかに治療する。

限局性の高い原発性脊髄腫瘍では外科的切除が可能な場合もある。これらの患者の約半数では障害が解消される。腫瘍を外科的に切除できない場合は,放射線療法とともに,場合により外科的減圧を行う。圧迫性の転移性硬膜外腫瘍は通常椎体(椎骨体部)から外科的に切除し,その後放射線療法で治療する。非圧迫性の転移性硬膜外腫瘍では放射線療法のみで治療することがあるが,効果がない場合には切除が必要となりうる。

要点

  • 脊髄腫瘍は髄内腫瘍(脊髄実質内)または髄外腫瘍(脊髄実質外)として発生する。

  • 髄外腫瘍は硬膜内または硬膜外に発生する。

  • 大半の硬膜内腫瘍は良性の髄膜腫か神経線維腫であり,これらは最も頻度の高い原発性脊髄腫瘍である;硬膜外腫瘍の大半は転移性である。

  • 脊髄圧迫による神経脱落症状のある患者には,コルチコステロイドを投与する。

  • 脊髄腫瘍には外科的切除と放射線療法の一方または両方を施行する。

患者さん向けの 同じトピックページ はこちら
家庭版で同じトピック をみる
よく一緒に読まれているトピック

おすすめコンテンツ

ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
医学事典MSDマニュアル モバイルアプリ版はこちら! ANDROID iOS
TOP