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神経膠腫

執筆者:

Roy A. Patchell, MD

, MD, Barrow Neurological Institute

最終査読/改訂年月 2018年 6月
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本ページのリソース

神経膠腫は脳実質に由来する原発性腫瘍である。症状および診断は他の脳腫瘍と類似する。治療には外科的切除,放射線療法などがあり,一部の腫瘍には化学療法を行うこともある。切除による治癒はまれである。

神経膠腫には以下のものがある:

  • 星細胞腫

  • 乏突起膠腫

  • 多形性膠芽腫

  • 上衣腫

多くの神経膠腫はびまん性かつ不規則性に脳組織に浸潤する。

星細胞腫は,悪性度の低い順に以下のように分類される:

  • グレードI:毛様細胞性星細胞腫

  • グレードII:低悪性度星細胞腫

  • グレードIII:退形成性星細胞腫(および退形成性乏突起星細胞腫)

  • グレードIV:膠芽腫およびびまん性正中膠腫

毛様細胞性,低悪性度,または退形成性星細胞腫は,より若年の患者に発生する傾向があり,後に膠芽腫に進行することもある(二次性膠芽腫と呼ばれる)。膠芽腫はde novo腫瘍(原発性膠芽腫と呼ばれる)として発生することもあり,その場合は通常,中年または高齢者にみられる。膠芽腫は染色体構成が不均一な細胞で構成される。原発性膠芽腫と二次性膠芽腫には,それぞれ明確に異なる遺伝学的特徴があるが,それらは腫瘍の進行に従って変化する可能性がある。二次性膠芽腫は典型的にはIDH1変異を有する。

星細胞腫の中には乏突起膠腫細胞を含むものもあり,通常,そのような腫瘍(乏突起星細胞腫と呼ばれる)を有する患者は,純粋な星細胞腫の患者と比べて予後良好である。

乏突起膠腫(WHOグレードII)は最も増殖の遅い神経膠腫の1つである。前脳,特に前頭葉で最もよくみられる。乏突起膠腫は,典型的には1番染色体短腕の欠失(1p欠失),19番染色体長腕の欠失(19q欠失),またはその両方を特徴とする。これらの欠失は乏突起膠腫の診断につながる所見であり,このような特徴がみられる患者は生存期間が長く,放射線療法および化学療法に対する反応が良好と予測される。星細胞腫と同様に,乏突起膠腫も進行して退形成性乏突起膠腫(WHOグレードIII)などのより進行の速い型に変化することがあるため,それに応じた管理が行われる。

びまん性正中膠腫は,主に小児に発生する高悪性度(WHOグレードIII~IV)星細胞腫瘍である。この種の腫瘍にはびまん性内在性橋神経膠腫が含まれるが,これは進行が速く典型的には死に至る腫瘍であり,脳幹に浸潤して吻側へは視床下部および視床に進展し,下方では延髄および脊髄に浸潤する。神経線維腫症1型の小児では,これらの腫瘍の発生リスクが高い。

上衣腫は成人ではまれである。以下のように分類される:

  • グレードI:上衣下腫

  • グレードII:上衣腫

  • グレードIII:退形成性上衣腫

  • グレードIV:上衣芽腫(まれであり,主に乳児に発生する)

全ての上衣腫は典型的には脳室系の壁から発生するため,脳,脳幹,または脊髄に発生する可能性がある。特に第4脳室の上衣腫は,閉塞性水頭症を伴って発症することがある。

神経膠腫の症状と徴候は部位によって異なる(Professional.see table 原発性脳腫瘍の一般的な局在症候 原発性脳腫瘍の一般的な局在症候 原発性脳腫瘍の一般的な局在症候 )。診断はその他の脳腫瘍の場合と同じであり,MRIに続いて生検を行う。

神経膠腫の画像

総論の参考文献

  • 1.Louis DN, Perry A, Reifenberger G, et al: The 2016 World Health Organization classification of tumors of the central nervous system: A summary.Acta Neuropathol 131 (6):803–820, 2016.doi: 10.1007/s00401-016-1545-1.

治療

  • 外科的切除

  • 放射線療法

  • 一部の組織型には化学療法

退形成性星細胞腫および膠芽腫

治療としては,腫瘍量を減らすために手術,放射線療法,および化学療法を行う。できるだけ多くの腫瘍を切除する手術は,安全であり,生存期間を延長し,神経機能を改善する。

手術後には,腫瘍に対する最大線量(6週間かけて60Gy)で放射線療法を施行する;原体照射療法(腫瘍のみを標的とし,正常な脳組織を温存する方法)を用いるのが理想的である。

膠芽腫に対しては,現在,テモゾロミドによる化学療法が放射線療法と併用でルーチンに行われている。用量は以下の通りである:

  • 75/mg/m2/日,42日間(放射線照射を行わない週末を含む)

  • 続く1カ月間は150mg/m2,経口,1日1回,5日間/月

  • 以降は全体で6~12カ月間にわたり,200mg/m2,経口,1日1回,5日間/月

化学療法を受けている患者では,様々な間隔で血算を行う必要がある。

一部の患者では外科的切除中に化学療法用のウエハーのインプラントが適切となる場合もある。

一部の患者には,腫瘍治療電場療法とテモゾロミドによるアジュバント療法の併用が適切となる場合がある。腫瘍治療電場療法では,交流電場を頭皮に印加することで,膠芽腫の細胞分裂と細胞小器官の組立てを阻害する。あるランダム化臨床試験では,腫瘍治療電場療法によって膠芽腫患者の生存率が改善されたようである(1 治療に関する参考文献 神経膠腫は脳実質に由来する原発性腫瘍である。症状および診断は他の脳腫瘍と類似する。治療には外科的切除,放射線療法などがあり,一部の腫瘍には化学療法を行うこともある。切除による治癒はまれである。 神経膠腫には以下のものがある: 星細胞腫 乏突起膠腫 多形性膠芽腫 さらに読む 治療に関する参考文献 )。

研究段階の治療法(例,定位放射線手術,新規化学療法薬,遺伝子または免疫療法,放射線療法とテモゾロミドの併用)も考慮すべきである。

従来の集学的治療での膠芽腫患者の生存率は,1年後で50%,2年後で25%,5年後で10~15%である。以下に該当する場合は比較的予後良好である:

  • 患者が45歳未満である。

  • 組織像が(膠芽腫ではなく)退形成性星細胞腫または低悪性度腫瘍のそれである。

  • 最初の切除により神経機能が改善し,残存腫瘍が最小限である,または根絶されている。

  • 腫瘍にIDH1変異がある。

  • MGMT(メチルグアニン-メチルトランスフェラーゼ)プロモーターのメチル化が認められる。

標準治療を行った場合の生存期間の中央値は,退形成性星細胞腫の患者で約30カ月,膠芽腫の患者で約15カ月である。

低悪性度星細胞腫および低悪性度乏突起膠腫

低悪性度星細胞腫および乏突起膠腫には,安全な範囲での最大限の摘出(maximum safe resection)が適応となる。40歳未満の患者での完全切除後には,経過観察を考慮してもよい。その他の患者では,放射線療法とアジュバント化学療法の併用により生存期間が延長する(2 治療に関する参考文献 神経膠腫は脳実質に由来する原発性腫瘍である。症状および診断は他の脳腫瘍と類似する。治療には外科的切除,放射線療法などがあり,一部の腫瘍には化学療法を行うこともある。切除による治癒はまれである。 神経膠腫には以下のものがある: 星細胞腫 乏突起膠腫 多形性膠芽腫 さらに読む 治療に関する参考文献 )。

生存期間の中央値は,高リスク患者(IDH1変異がなく切除が不完全)で1~2年,予後良好因子がある患者で10年超と幅がある。高リスク患者では,悪性腫瘍がさらに進行する可能性が高い。

びまん性正中膠腫

びまん性正中膠腫の患者では,進行を遅らせるために放射線療法が用いられることがあるが,生存期間が典型的には1年未満であるため,主に緩和目的で施行される。

上衣腫

上衣腫の病期分類および中枢神経系内部での進展の評価には,髄液の採取と頭蓋脊髄の画像検査を行うべきである。

上衣腫の治療としては,単一病巣または症候性腫瘍に対する安全な範囲での最大限の摘出(maximum safe resection)などがある。より悪性度の高い腫瘍には,腫瘍の進展度に応じて,局所的に,または頭蓋脊髄全域に対して放射線療法を施行することができる。化学療法の役割は明確に定義されていない。

治療した場合の5年生存率は全体では約50%であるが,残存腫瘍がない患者での5年生存率は70%を超える。

治療に関する参考文献

  • 1.Stupp R, Taillibert S, Kanner A, et al: Effect of tumor-treating fields plus maintenance temozolomide vs maintenance temozolomide alone on survival in patients with glioblastoma: A randomized clinical trial.JAMA 318 (23):2306–2316, 2017.doi: 10.1001/jama.2017.18718.

  • 2.Buckner JC, Shaw EG, Pugh SL, et al: Radiation plus procarbazine, CCNU, and vincristine in low-grade glioma.N Engl J Med 374 (14):1344-1355, 2016.doi: 10.1056/NEJMoa1500925

要点

  • 神経膠腫は脳実質に由来する原発性腫瘍であり,具体的には星細胞腫,乏突起膠腫,上衣腫などがある。

  • 神経膠腫の発生部位,悪性度,治療,および予後は様々である。

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