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神経膠腫

執筆者:

Roy A. Patchell, MD

, MD, Barrow Neurological Institute

最終査読/改訂年月 2012年 12月
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神経膠腫は脳実質に由来する原発性腫瘍である。症状および診断は他の脳腫瘍と類似する。治療には外科的切除,放射線療法などがあり,一部の腫瘍には化学療法を行うこともある。切除による治癒はまれである。

神経膠腫には,星細胞腫,乏突起膠腫,髄芽腫,および上衣腫が含まれる。多くの神経膠腫はびまん性かつ不規則性に脳組織に浸潤する。

星細胞腫は最も頻度の高い神経膠腫である。悪性度の低い順に以下のように分類される:

  • グレード1または2:低悪性度星細胞腫

  • グレード3:退形成性星細胞腫

  • グレード4:膠芽腫(最も悪性度が高い多形性膠芽腫を含む)

低悪性度星細胞腫または退形成性星細胞腫は,より若年の患者に発生する傾向があり,膠芽腫に進行することもある(二次性膠芽腫)。膠芽腫は染色体構成が不均一な細胞で構成される。通常は中年または高齢者において,de novo腫瘍(原発性膠芽腫)として発生しうる。原発性膠芽腫と二次性膠芽腫には,それぞれ明確に異なる遺伝学的特徴があるが,これは腫瘍の進行に従って変化しうる。星細胞腫の中には乏突起膠腫細胞を含むものもあり,そのような腫瘍(乏突起星細胞腫と呼ばれる)を有する患者は,純粋な星細胞腫の患者と比べて予後良好である。

乏突起膠腫は最も良性の神経膠腫の1つである。主に大脳皮質,特に前頭葉を侵す。乏突起膠腫の中には,1番染色体短腕の欠損(1p欠損),19番染色体長腕の欠損(19q欠損),またはその両方を特徴とするものがある。これらの欠損がみられる場合は,より生存期間が長く,放射線療法および化学療法に対する反応が良好と予測される。退形成性乏突起膠腫は,より悪性度の高い乏突起膠腫の形態であり,その点を考慮して管理する。

髄芽腫および上衣腫は,通常は第4脳室付近に発生する。髄芽腫は主に小児および若年成人に生じる。上衣腫はまれな腫瘍であり,主に小児に発生する。いずれの腫瘍も閉塞性水頭症の素因になる。

症状と徴候は部位によって異なる( 脳腫瘍の一般的な局在症候を参照のこと)。診断はその他の脳腫瘍の場合と同じである。

治療

  • 外科的切除

  • 放射線療法

  • 一部の組織型には化学療法

退形成性星細胞腫および膠芽腫

治療としては,腫瘍量を減らすために手術,放射線療法,および化学療法を行う。できるだけ多くの腫瘍を切除する手術は,安全であり,生存期間を延長し,神経機能を改善する。

手術後には,腫瘍に対する最大線量(6週間かけて60Gy)で放射線療法を施行する;原体照射療法(腫瘍のみを標的とし,正常な脳組織を温存する方法)を用いるのが理想的である。

膠芽腫に対しては,現在,テモゾロミドによる化学療法が放射線療法と併用でルーチンに行われている。用量は75mg/m2/日で(放射線照射が行われない週末も含めて)42日間,次の1カ月間は150mg/m2,経口,1日1回で月5日,さらにその後の数カ月間は200mg/m2,経口,1日1回で月5日とし,全体で計6~12カ月間継続する。テモゾロミドによる治療中は,Pneumocystis jirovecii肺炎を予防するため,トリメトプリム/スルファメトキサゾール800mg/160mgを週3回投与する。

化学療法を受けている患者では,様々な間隔で血算を行う必要がある。

一部の患者では外科的切除中に化学療法用のウエハーのインプラントが適切となる場合もある。

研究段階の治療法(例,定位放射線手術,新規化学療法薬,遺伝子または免疫療法,放射線療法とテモゾロミドの併用)も考慮すべきである。

従来の集学的治療での膠芽腫患者の生存率は,1年後で50%,2年後で25%,5年後で10~15%である。以下の症例は予後が比較的良好である:

  • 患者が45歳未満である。

  • 病理組織が(多形性膠芽腫ではなく)退形成性星細胞腫である。

  • 最初の切除により神経機能が改善し,残存腫瘍が最小限である,または根絶されている。

標準治療を行った場合の生存期間中央値は,退形成性星細胞腫の患者で約30カ月,膠芽腫の患者で約15カ月である。

低悪性度星細胞腫

この腫瘍は可能であれば切除し,続いて放射線療法を施行する。放射線療法の開始時期については議論がある。早期治療により効力を最大化できる可能性があるが,より早い段階で脳損傷を招く恐れがある。

治療した場合の5年生存率は約40~50%である。

乏突起膠腫

低悪性度星細胞腫と同様に,切除および放射線療法により治療する。ときに化学療法も用いられる。

治療した場合の5年生存率は約50~60%である。

髄芽腫

治療は,約35Gyの全脳照射,15Gyの後頭蓋窩ブースト照射,および約35Gyの脊髄照射による。化学療法は補助療法として,また再発例に対して用いられることがある。特定の患者に効果的な薬剤がいくつかあり,具体的には,ニトロソウレア系薬剤,プロカルバジン,ビンクリスチン(単独使用または他剤との併用),メトトレキサートの髄腔内投与,多剤併用化学療法(例,メクロレタミン + ビンクリスチン[Oncovin]+ プロカルバジン + プレドニゾン[MOPP]),シスプラチン,カルボプラチンなどがある。しかしながら,いずれのレジメンも一貫して効果的となるわけではない。

治療した場合の生存率は,5年で50%以上,10年で約40%である。

上衣腫

通常は,腫瘍を切除して髄液路を確保するために手術を行い,続いて放射線療法を施行する。組織学的に良性の上衣腫では,放射線療法は腫瘍を標的として行い,より悪性で手術後の残存腫瘍がある場合には,全脳照射療法を選択する。播種の所見がみられる腫瘍に対しては,脳全体および脊髄を照射範囲とする。

腫瘍をどの程度切除できるかが,生存期間の予測に最も重要となりうる。治療した場合の5年生存率は全体では約50%であるが,残存腫瘍がない患者での5年生存率は70%を超える。

要点

  • 神経膠腫は脳実質に由来する原発性腫瘍であり,具体的には星細胞腫,乏突起膠腫,髄芽腫,上衣腫などがある。

  • 神経膠腫の発生部位,悪性度,治療,および予後は様々である。

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