(頭痛患者へのアプローチ 頭痛患者へのアプローチ 頭痛とは,頭皮,顔面(眼窩側頭部を含む),および頭蓋内部を含めた,頭部のあらゆる部位に起こる疼痛のことを指す。頭痛は医療機関の受診理由として最も頻度が高いものの1つである。 頭痛は,脳,頭蓋骨,顔面,副鼻腔,または歯の内部または周囲における痛覚感受部位が活性化されることによって生じる。... さらに読む も参照のこと。)
緊張型頭痛は発作性のこともあれば慢性のこともある。
反復発作性緊張型頭痛の頻度は15日/月未満である。反復発作性緊張型頭痛は非常に高い頻度でみられ,OTC医薬品の鎮痛薬で疼痛緩和が得られる場合が多く,ほとんどの患者は医療機関を受診しない。
慢性緊張型頭痛の頻度は15日/月以上である。
緊張型頭痛の症状と徴候
緊張型頭痛の疼痛は通常軽度から中等度で,しばしば締め付けられるような痛みと表現される。こうした頭痛は,後頭部または両側前頭部より発生し,頭部全体に波及する。
片頭痛 片頭痛 片頭痛は発作性の一次性頭痛である。症状は典型的には4~72時間持続し,重症例もありうる。疼痛はしばしば一側性,拍動性で,労作により増悪し,悪心,光,音,または匂いに対する過敏などの症状を伴う。前兆は約25%の患者に起こり,通常頭痛の直前に生じるが,ときに頭痛の後にも同様の症状が起こる。診断は臨床的に行う。治療はトリプタン系薬剤,ジヒドロエルゴタミン,制吐薬,および鎮痛薬による。予防的措置としては,生活習慣の改善指導(例,睡眠習慣や食生活... さらに読む と異なり,緊張型頭痛には悪心および嘔吐を伴わず,身体活動,光,音,または匂いで悪化することはない。
慢性緊張型頭痛の誘因には以下のようなものがある:
睡眠障害
ストレス
眼精疲労
発作性頭痛は30分~数日間持続しうる。典型的には起床後数時間で始まり,次第に増悪する。患者が頭痛によって眠りから覚めることはまれである。
慢性頭痛は強度が1日を通して変化しうるが,ほぼ常に存在する。
緊張型頭痛の診断
臨床的評価
緊張型頭痛の診断は,特徴的な症状の存在と 神経学的診察 神経学的診察に関する序論 神経学的診察は,診察室に入ってくる患者を注意深く観察することから始まり,観察は病歴聴取の間も継続する。機能面の障害が明確になるように,患者への介助は最小限に留めるべきである。姿勢や歩容とともに,患者が診察台に移動する際の速さ,対称性,および協調運動を注意深く観察する。また患者の物腰,服装,および応答から,患者の気分および社会的適応について... さらに読む を含めた身体診察の所見が正常であることに基づく。慢性緊張型頭痛の誘因となりうるものを同定し治療すべきである。
緊張型頭痛は,多くの片頭痛患者にみられる 片頭痛の不完全型 症状と徴候 と鑑別すべきである;このような頭痛は片頭痛の一部の特徴のみを有し,緊張型頭痛に類似するが,頭痛は軽度で片頭痛に特異的な薬物に反応する。
重度の頭痛は片頭痛であることが多いため,重度の頭痛を緊張型頭痛と考えている場合,診断を再考すべきである。
緊張型頭痛の治療
鎮痛薬
ときに行動面および精神面での介入
慢性緊張型頭痛には,アミトリプチリン
一部の 片頭痛予防薬 片頭痛に対する薬剤* ,特にアミトリプチリンは,慢性緊張型頭痛の予防に役立つ可能性がある。
軽度から中等度の緊張型頭痛のほとんどは,市販鎮痛薬(例,アスピリン,アセトアミノフェン)で緩和できる。患部をマッサージすることが症状緩和に役立つ可能性がある。
行動面および精神面の介入(例,リラクゼーションおよびストレス管理法)がしばしば用いられ,効果的であり,特に薬物療法と組み合わせると効果が高い。