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ジストニア

執筆者:

Hector A. Gonzalez-Usigli

, MD,

  • HE UMAE Centro Médico Nacional de Occidente
  • Movement Disorders Clinic

最終査読/改訂年月 2017年 2月
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ジストニアは身体の同じ部位の拮抗する筋群の,持続的な不随意収縮であり,異常姿勢,または振戦,アテトーゼ,もしくは舞踏病アテトーゼに類似した,発作的でよじるような間欠的な攣縮につながる。ジストニアは原発性または続発性のことがあり,全身性,局所性,または分節性の場合がある。診断は臨床的に行う。ボツリヌス毒素の注入は局所性または分節性のジストニアの治療のために使用される。重症の全身性ジストニアの治療には,経口抗コリン薬,筋弛緩薬,およびベンゾジアゼピン系薬剤の併用が必要になる場合がある。治療抵抗性の,重症な分節性または全身性のジストニアは,手術が必要になることがある。

ジストニアは以下のように分類できる:

  • 原発性(特発性)のもの

  • 中枢神経系疾患または薬剤投与に続発するもの

ジストニアを引き起こす中枢神経系疾患としては以下のものがある:

ジストニアを最もよく引き起こす薬剤としては以下のものがある:

  • 抗精神病薬(例,フェノチアジン系,チオキサンテン系,ブチロフェノン系)

  • 制吐薬(例,メトクロプラミド,プロクロルペラジン)

アテトーゼまたは舞踏病アテトーゼに見える,障害された運動は,ジストニアが原因である場合がある。

分類

ジストニアは以下に基づき分類される:

  • 病因

  • 臨床的特徴

病因には以下の種類がある:

  • 遺伝性:遺伝性の起源が証明されていて(以前は原発性として知られていた),常染色体優性,常染色体劣性,またはX連鎖遺伝の疾患がある

  • 特発性:家族性のこともあれば孤発性のこともある

  • 獲得性:その他の疾患による神経解剖学的異常と関連する

臨床的特徴としては以下のものがある:

  • 発症:乳児期から成人期後期まで,どの年齢層でも発症しうる

  • 身体的分布:局所性(身体の1部位に限られる),分節性(顔面上部と顔面下部,または顔面と頸部など,連続する2つ以上の身体部位に及ぶ),全身性(体幹と2つの異なる身体部位に及ぶ),または半身性(身体の半分に及ぶ;hemidystoniaとも呼ばれる)である

  • 時間的パターン:静的,進行性,発作性,または持続性であり,日内変動があったり,特定の動作に誘発されたりする(動作特異性ジストニア)

  • 孤立性:(他の運動障害疾患の所見がない)または混合性(その他の不随意運動[振戦以外]を伴うが,ジストニアが優位)

パール&ピットフォール

  • 突然の説明できないジストニアの原因として,抗精神病薬および制吐薬を考慮する。

原発性全身性ジストニア( DYT1 ジストニア)

このまれなジストニアは進行性であり,持続性のしばしば奇妙な姿勢をとることが特徴である。DYT1遺伝子の変異に起因する不完全浸透の常染色体優性遺伝疾患として遺伝する場合が多い;一部の家系員では,遺伝子が最小限しか発現していない。患者の無症状の同胞(保因者)では,不完全型の疾患となる場合がある。

原発性全身性ジストニアの症状は通常小児期に,歩行時の足の内反および底屈として始まる。ジストニアは初期には体幹または下肢のみを侵すが,しばしば全身を侵すように(通常は頭側に向かって)進行する。最も重度の患者では身体がねじれ,グロテスクな,ほぼ固定された姿勢になり,最終的には車椅子生活を余儀なくされる場合がある。成人期に始まる症状は,通常は顔面と腕のみを侵す。

通常,精神機能は保たれる。

ドパ反応性ジストニア

このまれなジストニアは遺伝性である。

通常,ドパ反応性ジストニアの症状は小児期に始まる。典型的には,片側の下肢がまず侵される。結果として,小児はつま先で歩きがちになる。症状は夜に悪化する。歩行は次第により困難になり,腕および下肢が侵される。しかしながら,一部の小児では運動後の筋痙攣といった軽度の症状しかみられない。ときに後年になってから症状が出現し,パーキンソン病の症状に類似する。運動は緩徐で,平衡を保つのが難しいことがあり,静止時に手に振戦が起こる場合がある。

低用量のレボドパを使用すると劇的に症状は軽快する。レボドパが症状を軽減するなら,診断は確実となる。

局所性ジストニア

このジストニアでは身体の一部位が侵される。典型的には,20~30歳以降の成人期に始まる。

初期には,姿勢は間欠的であったり動作特異的である場合がある(よって,ときに攣縮と説明される)。運動は活動時にはより顕著であり静止時には目立たなくなる傾向があるが,この違いは時間経過とともに小さくなり,しばしば侵された身体部位の歪みや重度の障害に帰着する。しかしながら,局所性原発性頸部ジストニア(痙性斜頸)およびパーキンソン病においてレボドパへの反応が減弱し始めるときに起こるジストニア(下肢を侵すことが最も多い[例,足部の内反])を除いて,疼痛はまれである。

職業性ジストニアは,熟練した作業を行うことによって生じる,動作特異的な局所のジストニア性痙攣である(例,書痙,音楽家ジストニア,ゴルファーの精神不安)。

痙攣性発声障害は,喉頭筋の局所性ジストニアにより,緊張した,かすれた,またはしわがれた声を発するものである。

{痙性斜頸は,頸筋の不随意の強直性収縮または間欠的な攣縮として現れる。

分節性ジストニア

この種のジストニアでは,連続する2つ以上の身体部位が侵される。

Meige症候群(眼瞼痙攣および口下顎ジストニア)は,不随意の瞬目,顎のグラインディング,しかめ面を示すもので,通常は成人期後期に始まる。遅発性ジスキネジアの口舌顔面舞踏運動および遅発性ジストニア(遅発性ジスキネジアの亜型)と鑑別すべきである。

診断

  • 臨床的評価

ジストニアの診断は臨床的に行う。

治療

  • 全身性ジストニアには,抗コリン薬,筋弛緩薬,または両方

  • 局所性または分節性ジストニアには,筋を麻痺させるためのボツリヌス毒素注入(化学的除神経)

  • ときに脳神経外科的手技

}全身性ジストニアには,抗コリン薬(トリヘキシフェニジル2~10mg,経口,1日3回,ベンツトロピン3~15mg,経口,1日1回)が最も頻用されており,用量は目標値まで緩徐に漸増する。筋弛緩薬(通常はバクロフェン),ベンゾジアゼピン系薬剤(例,クロナゼパム),またはその両方を使用することで,付加的な効果が得られることがある。

重症または薬剤に反応しない全身性ジストニアは,定位脳手術である淡蒼球内節(GPi)の脳深部刺激術によって治療される。片側のGPiを凝固する定位脳手術が適応となる症例もある。

局所性もしくは分節性ジストニア,または主に身体の一部位を侵す全身性ジストニアに対する第1選択の治療は以下のものである:

  • 経験を積んだ医療従事者が精製されたA型またはB型ボツリヌス毒素を症状のある筋肉に注入する(筋電図ガイド下に行われることがある)

ボツリヌス毒素は化学的除神経により過剰な筋収縮を減弱させるが,ジストニアを起こす脳の異常な回路を変えるわけではない。毒素の注入は眼瞼痙攣および斜頸に対して最も効果的であるが,他の多くの病型の局所性ジストニアに対しても非常に効果的となりうる。用量は非常に幅がある。毒素の効果の持続期間は限られているため,治療は3~4カ月毎に繰り返すべきである。しかしながら,少数の症例では,毒素が繰り返し注入された場合に,毒素タンパクに対する中和抗体が生じ,この治療の効果は減弱するが,生じる全ての抗体が毒素を中和するわけではない。

要点

  • ジストニアでは,異常姿勢および/またはよじるような発作的な運動が起きる。

  • 局所性ジストニアは一般的であり,通常は成人期に始まる。

  • 全身性ジストニアは,通常は疾患や薬剤に続発し,原発性疾患であることはまれである。

  • 診断は臨床的に行う。

  • 全身性ジストニアは抗コリン薬および/または筋弛緩薬で治療する;局所性または分節性ジストニア,および主に身体の一部を侵す全身性ジストニアは,ボツリヌス毒素注入により治療する。

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