Msd マニュアル

Please confirm that you are a health care professional

読み込んでいます

失行

執筆者:

Juebin Huang

, MD, PhD, Memory Impairment and Neurodegenerative Dementia (MIND) Center, University of Mississippi Medical Center

最終査読/改訂年月 2015年 9月

失行とは,脳損傷の結果として,身体能力と行う意思はあるにもかかわらず,かつて習得した運動課題を意図的に行うことができなくなった状態である。診断は臨床的に行うが,しばしば神経心理学的検査のほか,原因を同定するために脳画像検査(例,CT,MRI)も施行される。予後は損傷の原因および程度と患者の年齢に依存する。特異的な治療法はないが,理学療法および作業療法によって機能および患者の安全をいくらか改善できることがある。

失行は通常,頭頂葉やその連絡路の損傷(例,梗塞,腫瘍,外傷)または変性に起因するが,これらの部位では習得済みの運動パターンに関する記憶が保持されている。比較的頻度は低いが,脳のその他の領域,例えば運動前野(前頭葉の運動野前方),前頭葉のその他の部位,または脳梁への損傷,あるいは変性性認知症に伴うびまん性障害などに起因して失行が生じることもある。

症状と徴候

運動,感覚,および協調機能に異常がなく,個々の運動要素は実行できるにもかかわらず,習得済みの複雑な運動課題を概念化ないし実行することができない。例えば,構成失行を有する患者は,提示された単純な幾何学図形を見て認識でき,ペンを持って使用することができ,課題を理解できるにもかかわらず,その図形を模写できないことがある。典型例では,患者は自身の障害を認識していない。

診断

  • ベッドサイド検査および神経心理学的検査

  • 脳画像検査

ベッドサイド検査には,習得済みの一般的な課題(例,挨拶する,立ち止まったり歩き始めたりする,髪を束ねる,マッチに火を付けてから消す,鍵で錠を開ける,ドライバーまたはハサミを使用する,深呼吸してそのまま息を止める)を実行させることなどがある。運動の強さおよび範囲を評価し,症状の原因として筋力低下および筋骨格系の異常を除外しなければならない。

神経心理学的検査または理学療法士もしくは作業療法士による評価が,より微妙な失行の同定に役立つことがある。

介護者には,患者の日常生活動作,特に家庭用品(例,食器,歯ブラシ,調理用品,金づち,ハサミなどの正しく安全な使用)および書字が関わる動作の実行能力について質問すべきである。

脳画像検査(例,CT,MRI;場合により血管造影も併用)は,中枢病変(例,梗塞,出血,腫瘤,局所的萎縮)の有無および特徴を判断するために必要である。

予後

一般に,患者は依存的になり,日常生活動作の介助と少なくともある程度の監視が必要になる。脳卒中患者は安定な経過をたどり,ある程度の改善が得られることさえある。

治療

  • 理学療法および作業療法

特異的な内科的治療法はない。認知症の進行を遅らせる薬剤の有益性は確認されていない。

理学療法および作業療法により,ある程度の機能改善が得られることがあるが,これらは周囲環境をより安全にし,主要な障害を回避するための補助器具を提供する上でより有用となることが多い。

要点

  • 患者は個々の運動要素は実行できるにもかかわらず,習得済みの複雑な運動課題を概念化ないし実行できなくなる。

  • ベッドサイドで患者に一般的な課題を行わせるとともに,神経心理学的検査を勧め,脳画像検査を施行する。

  • 支持的な理学療法および作業療法を勧めることを考慮する。

ここをクリックすると家庭版へ移動します
よく一緒に読まれているトピック

おすすめコンテンツ

ソーシャルメディア

TOP