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くも膜下出血 (SAH)

執筆者:

Elias A. Giraldo

, MD, MS, California University of Science and Medicine School of Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 2月
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くも膜下出血は,くも膜下腔への突然の出血である。自然出血の最も一般的な原因は動脈瘤破裂である。症状としては突然の重度の頭痛などがあり,通常は意識消失または意識障害を伴う。二次性の血管攣縮(局所的な脳虚血を引き起こす),髄膜症,および水頭症(持続性の頭痛および意識障害を引き起こす)がよくみられる。診断はCTまたはMRIによる;脳画像検査が正常であれば,診断は髄液検査による。治療は支持療法と脳神経外科手術または血管内治療によるが,包括的脳卒中センターで行うのが望ましい。

病因

くも膜下出血は,くも膜と軟膜との間の空間への出血である。一般に,頭部外傷が最も一般的な原因であるが,外傷性くも膜下出血は通常,別の疾患とみなされる。自発性(一次性)くも膜下出血は通常,動脈瘤破裂に起因する。約85%の患者では,先天性の頭蓋内嚢状動脈瘤またはberry aneurysmが原因である。出血は自然に止まることがある。動脈瘤性出血はあらゆる年齢で起こりうるが,好発年齢は40~65歳である。

比較的頻度の低い原因は,感染性動脈瘤,動静脈奇形,および出血性疾患である。

病態生理

くも膜下腔に漏出した血液によって化学性髄膜炎が引き起こされ,それにより一般的には頭蓋内圧が数日間ないし数週間にわたって上昇する。二次性に生じた血管攣縮によって局所的な脳虚血が生じることがあり,約25%では一過性脳虚血発作(TIA)または虚血性脳卒中の徴候がみられる。72時間後から10日後までの期間には,脳浮腫が最も強くなり,血管攣縮とそれに続く梗塞(angry brainと称される)のリスクが最も高くなる。続発性の急性水頭症もよくみられる。ときに2度目の破裂(再出血)が起こることがあり,約7日以内が最も多い。

症状と徴候

頭痛は通常重度で,数秒以内にピークとなる。その後に意識消失が続くことがあり,通常は直ちに起こるが,ときに数時間経過してから起こることもある。重度の神経脱落症状が生じ,数分から数時間以内に不可逆性となることがある。意識は障害され,不穏を呈することもある。痙攣発作も起こりうる。通常,小脳扁桃ヘルニアが起こらない限り,初期には項部硬直がみられない。しかしながら,24時間以内には化学性髄膜炎によって中等度から著明な髄膜症と嘔吐のほか,ときに両側性の伸展性足底反応が生じることがある。心拍数または呼吸数が異常であることが多い。

最初の5~10日間は,発熱,持続性頭痛,および錯乱がよくみられる。二次性水頭症によって,何週間も持続する頭痛,意識障害,および運動障害が引き起こされることがある。再出血が起きれば,症状の再発や新たな症状の出現を招く。

診断

  • 通常は単純CT,陰性であれば腰椎穿刺

くも膜下出血の診断は特徴的な症状から示唆される。損傷が不可逆的になる前に,可能な限り迅速に検査を行うべきである。

発症から6時間以内に単純CTを行う。MRIも同等の感度があるが,すぐに施行できる可能性が比較的低い。血液の量が少ない場合や,著しい貧血のために血液が脳組織と等吸収になっている場合には,偽陰性となりうる。

くも膜下出血が臨床的に疑われるが脳画像検査で確認できない場合,またはCTを直ちに施行できない場合は,腰椎穿刺を行う。頭蓋内圧亢進が疑われる場合は,髄液圧が突然低下すると,凝血塊による破裂動脈瘤の圧迫が軽減されることで,さらなる出血が惹起される可能性があるため,腰椎穿刺は禁忌である。

パール&ピットフォール

  • 頭痛の強さが発症後数秒以内にピークに達した場合,または頭痛により意識消失を来した場合は,くも膜下出血を疑う。

  • くも膜下出血が臨床的に疑われるにもかかわらず,CTで出血がみられないか,CTを施行できない場合は,腰椎穿刺を行う;ただし,頭蓋内圧亢進が疑われる場合には腰椎穿刺は禁忌である。

くも膜下出血を示唆する髄液所見としては以下のものがある。

  • 多数の赤血球

  • キサントクロミー

  • 髄液圧高値

髄液中の赤血球は腰椎穿刺時の損傷が原因のこともある。1回の腰椎穿刺中に髄液を連続採取した試験管毎に赤血球数が減少する場合は,腰椎穿刺時の損傷が疑われる。また,くも膜下出血の発生から約6時間以上が経過すると,赤血球は鋸歯状になり溶血して,髄液上清が黄色調を呈し,鋸歯状赤血球(髄液の鏡検で検出できる)がみられるようになるため,この所見はくも膜下出血が腰椎穿刺より先に発生したことを示唆する。それでもなお疑わしい場合は,出血であると仮定するか,8~12時間後に腰椎穿刺を再度行うべきである。

くも膜下出血の患者では,最初の出血エピソード後可及的速やかに従来の脳血管造影を施行する;代替検査としてはMRアンギオグラフィーやCT血管造影などがある。最大20%の患者(ほとんどが女性)では複数の動脈瘤が存在するため,4本の動脈(2本の頸動脈および2本の椎骨動脈)全てに造影剤を注入すべきである。

心電図上では,くも膜下出血によってST上昇または低下を呈することがある。失神を起こして,心筋梗塞に類似することもある。可能性があるその他の心電図異常としては,QRSまたはQT間隔の延長,鋭いまたは深い左右対称性の逆転T波などがある。

予後

動脈瘤破裂による初回のくも膜下出血の後には,約35%の患者が死亡し,数週間以内にはさらに15%が再破裂により死亡する。6カ月後以降は,年に約3%のペースで2回目の破裂が起こる。一般に,動脈瘤がある場合の予後は非常に不良である一方,動静脈奇形での予後は比較的良好で,4血管の血管造影で病巣が検出されない場合(おそらく,出血源が小さく自然にふさがれることによる)に最も良好である。生存者には,たとえ至適な治療を行っても,神経学的後遺症がよくみられる。

治療

  • 包括的脳卒中センターでの治療

  • 平均動脈圧が130mmHgを超えている場合はニカルジピン

  • 血管攣縮を予防するためのニモジピン

  • 原因動脈瘤の閉塞

くも膜下出血患者の治療は,可能であれば常に包括的脳卒中センターで行うべきである。

高血圧の治療は,平均動脈圧が130mmHgを超えている場合に限り行うべきである;正常血液量を維持するとともに,脳内出血の場合と同様にニカルジピン静注の用量を調整する( 脳内出血)。

床上安静が必須である。不穏および頭痛には対症療法を行う。便秘はいきみにつながりうるため,予防のために便軟化剤を投与する。

抗凝固薬と抗血小板薬は禁忌である。

血管攣縮は,ニモジピン60mg,経口,4時間毎,21日間の投与により予防するが,血圧を望ましい範囲内(通常は平均動脈圧70~130mmHgかつ収縮期血圧120~185mmHgと考えられる)に維持する必要がある。

急性水頭症の臨床徴候が生じた場合は,脳室ドレナージを考慮すべきである。

動脈瘤は,再出血のリスクを減らすために閉塞する。動脈瘤を閉塞するには,血管造影中に離脱型の血管内コイルを挿入する方法が可能である。あるいは,動脈瘤が到達可能な位置にあるのであれば,特に除去可能な血腫または急性水頭症を有する患者に対しては,動脈瘤クリッピング術または血流バイパス術を施行することが可能である。患者が覚醒可能な場合は,ほとんどの血管脳神経外科医は再出血のリスクとangry brainによるリスクを最小限に留めるべく,発症後24時間以内に手術を行う。24時間以上が経過している場合については,10日間経過するまで手術を遅らせる脳神経外科医もおり,このアプローチによりangry brainによるリスクは減少するが,再出血のリスクと全死亡率は増加する。

要点

  • くも膜下出血後に起こりうる合併症として,化学性髄膜炎,血管攣縮,水頭症,再出血,脳浮腫などがある。

  • 頭痛が発症時から重度で痛みが数秒でピークに達する場合,または頭痛により意識消失を来した場合は,くも膜下出血を疑う。

  • 多くの患者は複数の動脈瘤を有するため,くも膜下出血の確定診断が得られたならば,従来の脳血管造影,MRアンギオグラフィー,またはCT血管造影にて両側の頸動脈と両側の椎骨動脈を撮影する。

  • 可能であれば,治療のために患者を包括的脳卒中センターに搬送する。

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