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痙攣性疾患

執筆者:

Bola Adamolekun

, MD, University of Tennessee Health Science Center

最終査読/改訂年月 2016年 6月
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本ページのリソース

脳起源の発作(seizure)は,大脳皮質の灰白質で発生する無秩序な異常放電のために正常な脳機能が一過性に妨げられる現象である。典型的な発作では,意識変容,異常感覚,局所的な不随意運動,または痙攣(広範囲の随意筋に生じる激しい不随意収縮)が引き起こされる。診断は臨床的に下すこともあるが,新規発症の発作では神経画像検査,臨床検査,および脳波検査を,診断済みの痙攣性疾患では抗てんかん薬の血中濃度の測定を行う。治療としては,可能であれば原因の除去,抗てんかん薬の投与,および手術(抗てんかん薬が無効の場合)を行う。

熱性痙攣および 新生児痙攣。)

成人の約2%が生涯のいずれかの時点で発作を経験する。そのうちの3分の2では,発作が再発することはない。

定義

用語体系が混乱を招きやすい。

てんかん(epileptic seizure disorderとも呼ばれる)は,誘因なく起こり(すなわち可逆的なストレス因子が関係しない),24時間以上の間隔を空けて反復性(2回以上)に発生する発作を特徴とする,慢性脳疾患である。1回のみの発作は,てんかん発作とはみなさない。てんかんは特発性であることが多いが,奇形,脳卒中,腫瘍などの多様な脳疾患が症候性てんかんの原因となりうる。

症候性てんかんは,既知の原因(例,脳腫瘍,脳卒中)により生じるてんかんである。それにより生じる発作は症候性てんかん発作と呼ばれる。このような発作は,新生児( 新生児痙攣)と高齢者で最もよくみられる。

潜因性てんかんは,ある特定の原因に起因すると考えられるが,その具体的な原因が現時点で判明していないてんかんである。

非てんかん性発作は,一過性の疾患またはストレス因子(例,代謝性疾患,中枢神経系感染症,心血管疾患,薬物毒性または離脱,精神障害)により誘発される。小児では,発熱によって痙攣発作が誘発されることがある(熱性痙攣)。

心因性非てんかん性発作(偽発作)は,精神障害を有する患者でみられ,脳起源の発作に類似するものの,脳内の異常放電は関与しない症状である。

病因

脳起源の発作( 発作の原因)の一般的な原因は,発症年齢によって異なる:

  • 2歳未満:発熱,先天性または発育上の障害,分娩損傷,および代謝性疾患

  • 2~14歳:特発性

  • 成人:脳外傷,アルコール離脱,腫瘍,脳卒中,および原因不明(50%)

  • 高齢者:腫瘍および脳卒中

まれな疾患である反射性てんかんでは,反復音や点滅光,コンピュータゲーム,音楽,身体の特定部位に触れるなどの外的な刺激といった,予想可能なパターンで発作が誘発される。

潜因性てんかんおよび,多くの難治性てんかんにおいて,まれではあるが同定されることが増えている原因の1つに抗NMDA(N-メチル-d-アスパラギン酸)受容体脳炎があり,特に若年女性でよくみられる。この疾患は精神症状,運動障害,および髄液細胞増多を引き起こす。抗NMDA受容体脳炎の女性の約60%に卵巣奇形腫がみられる。卵巣奇形腫があれば除去し,さらに免疫療法を行うことで,抗てんかん薬よりもはるかによく発作をコントロールできる。

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発作の原因

病態

自己免疫疾患

脳血管炎,抗NMDA受容体脳炎,多発性硬化症(まれ)

脳浮腫

子癇,高血圧性脳症

脳の虚血または低酸素症

不整脈,一酸化炭素中毒,溺水,窒息,脳卒中,血管炎

頭部外傷*

分娩損傷,鈍的または穿通性損傷

中枢神経系感染症

AIDS,脳膿瘍,熱帯熱マラリア,髄膜炎,神経嚢虫症,神経梅毒,狂犬病,破傷風,トキソプラズマ症,ウイルス性脳炎

先天性また発生異常

皮質形成異常,遺伝性疾患(例,fifth day fit,テイ-サックス病などの脂質蓄積症),神経細胞移動障害(例,異所形成),フェニルケトン尿症

薬物および毒性物質

発作を引き起こすもの:カンフル,シプロフロキサシン,コカイン,その他の中枢刺激薬,シクロスポリン,イミペネム,鉛,ペンチレンテトラゾール,ピクロトキシン,ストリキニーネ,タクロリムス

発作の閾値を低下させるもの:アミノフィリン,抗うつ薬(特に三環系),鎮静性抗ヒスタミン薬,抗マラリア薬,一部の抗精神病薬(例,クロザピン),ブスピロン,フルオロキノロン系薬剤,テオフィリン

フェニトインの血中濃度が非常に高い場合,逆説的に発作の頻度が高まる

頭蓋内病変の拡大

脳出血,水頭症,腫瘍

異常高熱

薬物毒性(例,アンフェタミンまたはコカインによる),発熱,熱中症

代謝障害

一般的には,低カルシウム血症(例,副甲状腺機能低下症に続発するもの),低血糖,低ナトリウム血症

頻度は低いが,アミノ酸尿症,肝性または尿毒症性脳症,高血糖,低マグネシウム血症,高ナトリウム血症

新生児では,ビタミンB6(ピリドキシン)欠乏症

神経皮膚疾患

神経線維腫症,結節性硬化症

圧力関連

減圧症,高圧酸素療法

離脱症候群

アルコール,麻酔薬,バルビツール酸系薬剤,ベンゾジアゼピン系薬剤

*外傷後の発作は,脳挫傷,頭蓋骨骨折,頭蓋内出血,遷延性の昏睡,または局所の神経脱落症状がみられる患者の25~75%に発生する。

Fifth day fit(良性新生児痙攣)は,それ以外は健康な生後4~6日の乳児に発生する強直間代発作であり,遺伝性の病型がある。

中毒量で投与された場合には,様々な薬剤が発作を引き起こしうる。

NMDA = N-メチル-d-アスパラギン酸。

分類

てんかん発作は全般発作と部分発作に分類される。

全般発作

全般発作では,発作開始時から異常放電が両側大脳半球の皮質全体にびまん性に発生し,通常は意識消失を伴う。全般発作は代謝性疾患に起因する場合が最も多いが,ときに遺伝性疾患に起因することもある。全般発作には以下のものがある:

  • 点頭てんかん

  • 欠神発作

  • 強直間代発作

  • 強直発作

  • 脱力発作

  • ミオクロニー発作(例,若年性ミオクロニーてんかん)

部分発作

部分発作では,一側大脳半球でニューロンの過剰発射が発生し,大抵は器質的異常が原因である。部分発作は以下に分類される:

  • 単純部分発作(意識障害を伴わないもの)

  • 複雑部分発作(意識減損を伴うが完全消失はしない)である。

部分発作は全般発作に移行することがあり(二次性全般化と呼ばれる),意識消失を来す。二次性全般化は,部分発作が拡大して大脳全体が両側性に賦活化されることで生じる。賦活化の拡大が非常に急速に進むことで,初期の部分発作が臨床的に明らかにならない場合や,非常に短い場合もある。

部分発作に対する新しい用語が提案されている(1)。この用語体系では,部分発作は焦点発作(focal seizure)と呼ばれ,それぞれの病型に対して以下の用語が使用される:

  • 単純部分発作に対応する用語:意識障害を伴わない焦点発作(focal seizures without impairment of consciousness or awareness)

  • 複雑部分発作に対応する用語:意識障害を伴う焦点発作(focal seizures with impairment of consciousness or awareness)

  • 二次性全般化発作に対応する用語:両側性痙攣発作に移行する焦点発作(focal seizures evolving to a bilateral, convulsive seizure)

この用語体系は,まだ広く使用されているものではない。

分類に関する参考文献

  • 1.Berg AT, Berkovic SF, Brodie MJ, et al: Revised terminology and concepts for organization of seizures and epilepsies: Report of the ILAE [International League Against Epilepsy] Commission on Classification and Terminology, 2005–2009. Epilepsia51: 676–685, 2010.

症状と徴候

発作に先立ち前兆がみられることがある。前兆は局所的に始まる単純部分発作である。前兆は,運動,感覚,自律神経,または精神症状(例,錯感覚,心窩部の何かが込み上げてくるような感覚,嗅覚異常,恐怖感,既視感または未視感)から構成される。未視感(jamais vu)は既視感(déjà vu)の反対の現象で,よく知っている場所や経験をほとんど知らないもののように感じることである。

大半の発作は1~2分で自然に終息する。

全般発作に続いてしばしば発作後朦朧状態がみられるが,この状態は深睡眠,頭痛,錯乱,および筋肉痛を特徴とし,数分から数時間持続する。ときに発作後朦朧状態では,発作焦点の対側に一過性の神経脱落症状(通常は筋力低下)を来たすトッド麻痺がみられる。

ほとんどの患者は発作間欠期は神経学的に正常に見えるが,痙攣性疾患の治療として使用される高用量の薬剤(特に抗てんかん薬)の作用で覚醒度が低下することがある。進行性の精神機能低下はいずれも,通常は発作そのものではなく,発作の原因となった神経疾患に関係している。

ときに,てんかん重積状態のように,発作が持続する。

部分発作

部分発作にはいくつかの発作型がある。

単純部分発作では,意識消失を伴うことなく,運動,感覚,または精神運動症状が生じる。特異的な症状が脳の障害部位を反映している( 部位別に見た部分発作の臨床像)。ジャクソン発作では,局所の運動症状が片手から始まって,上肢を上行していく(ジャクソンマーチ)。他に焦点発作がまず顔面に生じてから,上肢のほか,ときに下肢に進展する場合もある。一部の部分運動発作では,上肢の挙上と挙上側の上肢への頭部の回転(フェンシング肢位と呼ばれる)から始まる。

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部位別に見た部分発作の臨床像

焦点症状

機能障害の部位

両側性の強直姿勢

前頭葉(補足運動野)

単純運動(例,手足の攣縮,ジャクソン発作[ジャクソンマーチ])

対側前頭葉

姿勢発作を伴う頭部および眼球の偏位

補足運動野

味覚の障害(味覚異常)

内臓または自律神経系の異常(例,上腹部前兆,流涎)

島-眼窩-前頭皮質

幻嗅

側頭葉前内側部

咀嚼運動,流涎,言語停止

扁桃体,弁蓋部

複雑な自動運動

側頭葉

精神医学的原因または睡眠障害を示唆する異常行動

前頭葉

幻視(有形像)

後側頭葉または扁桃体-海馬

限局性の感覚障害(例,四肢または半身のチクチク感またはしびれ)

頭頂葉(感覚野)

幻視(無形像)

後頭葉

持続性部分てんかん(epilepsia partialis continua)は,通常は腕,手,または顔面片側に焦点性運動発作を引き起こすまれな疾患であり,数秒ないし数分間隔で反復する発作が数日間からときに数年間にわたって発生する。原因は通常以下のものである:

  • 成人:器質的病変(例,脳卒中)

  • 小児:大脳皮質における局所性の炎症性プロセス(例,ラスムッセン脳炎)で,これ自体はおそらく慢性のウイルス感染または自己免疫的な過程によるものである

パール&ピットフォール

  • 精神症状のように見える一過性で説明のつかない反復性の異常(例,幻覚,複雑な自動運動,言語停止,凝視中の反応性低下)がみられる患者では,部分発作を考慮すべきである。

複雑部分発作には,しばしば前兆が先行する。発作中は一点を凝視することがある。意識は障害されるが,患者はある程度環境を認識している(例,侵害刺激から意図的に遠ざかる)。以下も起こりうる:

  • 口部自動症(不随意な咀嚼,口をモグモグさせる)

  • 四肢自動症(例,目的のない不随意な手の運動)

  • 本人も理解していない理解困難な発話

  • 介助への抵抗

  • 発作焦点と対側の強直性またはジストニア肢位

  • 頭部および眼球の偏位(通常は発作焦点の対側に向かう)

  • 発作の起源が内側前頭野または前頭眼窩野にある場合は,自転車漕ぎやペダル踏みなどの下肢の運動

運動症状は1~2分後に沈静化するが,錯乱および見当識障害はさらに1~2分間続くことがある。発作後健忘がよくみられる。発作中に拘束される際や全般発作後の意識回復中に,患者が殴りかかってくることがある。ただし,誘因のない攻撃行動はまれである。

左側頭葉てんかんは言語性記憶の異常を,右側頭葉てんかんは視空間記憶の異常を引き起こすことがある。

全般発作

意識は通常消失し,運動機能は発作発生時から異常となる。

点頭てんかんは,突然の両上肢の屈曲内転と体幹の前屈が特徴である。発作は数秒間続き,1日に何回も繰り返す。生後5年間だけにみられ,以降は他の発作型がみられるようになる。通常は発達面に異常がみられる。

定型欠神発作(以前は小発作と呼ばれていた)は,眼瞼のはためきを伴って10~30秒間にわたる意識消失がみられ,体軸筋の筋緊張は消失することもあれば,消失しないこともある。転倒や痙攣はみられず,突如活動を停止した後,突如それまでと変わらず活動を再開し,発作後症状はなく,発作が起きたことも認識しない。欠神発作は遺伝性で,ほとんどが小児で発生する。無治療の場合,このような発作が1日に何回も起こる可能性が高い。発作は静かに座っているときに出現することが多く,過呼吸により誘発されることがあるが,運動中にはめったに起こらない。神経学的診察と認知機能評価の結果は,通常は正常である。

非定型欠神発作は通常,4歳までに発症する重症型のてんかんであるLennox-Gastaut症候群の一部として生じる。この発作は以下の点で定型欠神発作と異なる:

  • より長く持続する。

  • 攣縮や自動運動がより明白である。

  • 意識消失がより不完全である。

多くの患者は,病歴として神経系の損傷,発達遅滞,神経学的診察での異常,および他の発作型がみられる。非定型欠神発作は通常,成人期に入っても持続する。

脱力発作は,小児に発生する場合が最も多く,通常はLennox-Gastaut症候群の一部としてみられる。脱力発作は短時間の筋緊張および意識の完全な消失を特徴とする。小児では,転倒または卒倒による外傷(特に頭部損傷)のリスクがある。

強直発作は,睡眠中に発生することが最も多く,通常は小児でみられる。通常はLennox-Gastaut症候群が原因である。体軸筋の強直性(持続的)収縮は,急激に始まることもあれば緩徐に始まることもあり,四肢の近位筋に拡大していく。通常,強直発作は10~15秒持続する。より長く持続する強直発作では,強直相の最後に速い間代性の筋攣縮が数回生じることがある。

強直間代発作には以下の種類がある:

  • 全般性(一次性)

  • 二次性全般化

一次性の全般発作は,典型的には叫声とともに始まり,意識消失と転倒に続いて,四肢,体幹,および頭部の筋に強直性収縮が生じた後,間代運動(収縮と弛緩がすばやく交互に繰り返される)に移行する。ときに尿および便失禁や咬舌がみられたり,口から泡を吹くこともある。通常,発作は1~2分持続する。前兆はない。

二次性全般化強直間代発作は単純または複雑部分発作から始まり,進行して他の全般発作に似たような形に進展する。

ミオクロニー発作は,一肢,数肢,または体幹の短時間かつ電撃様の筋収縮である。反復性となって,強直間代発作に移行することもある。筋収縮は両側性の場合もあれば片側性の場合もある。両側性の運動動作を伴う他の発作とは異なり,ミオクロニー発作では,全般性強直間代発作に進展しない限り,意識の消失は起きない。

若年性ミオクロニーてんかんは,ミオクロニー発作,強直間代発作,および欠神発作を特徴とするてんかん症候群である。典型的には青年期に発症する。発作は両側性かつ同期性の数回のミオクローヌスで始まり,90%の症例ではその後に全般性強直間代発作に移行する。しばしば,朝の覚醒時(特に睡眠不足時または飲酒後)に起こる。3分の1の患者では欠神発作がみられる。

熱性痙攣は,その定義上,発熱に伴って起こるが頭蓋内感染はなく,誘発性痙攣発作(provoked seizure)の一型とみなされている。生後3カ月から5歳の小児の約4%に出現する。良性熱性痙攣は,短時間かつ単発性の全般性強直間代発作の様相を呈する。複雑型熱性痙攣は焦点性で,15分以上持続するか,24時間以内に2回以上再発する。全体として,熱性痙攣患者の2%はその後に痙攣性疾患を発症する。しかしながら,以下のいずれかを有する小児では,痙攣性疾患の発生率と熱性痙攣の再発リスクがはるかに高くなる:

  • 複雑型熱性痙攣

  • 既存の神経学的異常

  • 1歳未満での発症

  • 痙攣性疾患の家族歴

てんかん重積状態

てんかん重積状態には,痙攣を伴う場合と伴わない場合の2つの病型がある。

全身痙攣重積状態では,以下のうち少なくとも1つがみられる:

  • 5~10分以上持続する強直間代発作

  • 間欠期に完全な意識の回復がみられない2回以上の発作

持続時間が30分以上という以前の定義は,より迅速な同定および治療を促すために改定された。無治療で60分以上持続する全般発作は,永続的な脳損傷につながる可能性があり,さらに長く持続すれば死に至ることもある。心拍数と体温は上昇する。全身痙攣重積状態には,頭部外傷や抗てんかん薬の急速な離脱をはじめとして,多くの原因がある。

非痙攣性てんかん重積状態には,複雑部分発作重積状態や欠神発作重積状態などがある。しばしば長期間の精神状態変化のエピソードという形態を呈する。診断には脳波検査が必要となることがある。

診断

  • 臨床的評価

  • 新規発症の発作には,神経画像検査,臨床検査,および通常は脳波検査

  • 既知の痙攣性疾患には,通常は抗てんかん薬の血中濃度の測定

  • 新規発症または既知の痙攣性疾患には,臨床的に適応のあるその他の検査

評価では,発生した事象が脳起源の発作であるのか他の原因による意識障害(例,偽発作,失神)であるのかを判断するとともに,考えられる原因または誘因を同定しなければならない。新規発症の発作を起こした患者には,救急部門において評価を行う;ときに徹底的な評価を行った上で退院させてよい場合もある。痙攣性疾患がすでに判明している患者は,一般診察室での評価でもよい。

病歴

前兆とその後の発作を示唆する異常な感覚について,また典型的な発作の内容について,患者に尋ねるべきである。大半の患者は全般発作時の記憶がなく,発作そのものの説明は目撃者から聴取する必要がある。

急激な脳全体の虚血(例,心室性不整脈によるもの)といった他の病態の臨床像も,意識消失やミオクローヌスなど,てんかんのそれと類似することがある。

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  • 急に意識を失った患者では,たとえ目撃者がミオクローヌスを報告したとしても,脳全体の虚血(例,心室性不整脈による)を考慮すること。

病歴には,初回発作とその後の全ての発作に関する情報(例,持続時間,頻度,一連の進展,発作間の最長および最短間隔,前兆,発作後朦朧状態,誘因)を含めるべきである。全ての患者に発作の危険因子について質問すべきである:

  • 先行する頭部外傷または中枢神経系感染症

  • 既知の神経疾患

  • 薬物(特にレクリエーショナルドラッグ)の使用または離脱

  • アルコール離脱

  • 抗てんかん薬のアドヒアランス不良

  • 脳起源の発作または神経疾患の家族歴

発作閾値を下げるまれな誘因(例,反復音,点滅光,コンピュータゲーム,身体の特定部位を触れる)と睡眠不足について,尋ねるべきである。

身体診察

意識消失を来した患者では,咬舌,失禁(例,衣服に付着した尿や便),または意識消失後の長い錯乱から,てんかんが示唆される。

偽発作においては,全身性の筋活動が認められ,言語刺激に対する反応を欠くことで,一見すると全般性強直間代発作が示唆されるように思えることがある。それでも,通常は以下の臨床的特徴により,偽発作を真の発作と鑑別することが可能である:

  • 偽発作は持続時間が長い(数分またはそれ以上)。

  • 発作後の錯乱を欠く傾向がある。

  • 強直相とそれに引き続く間代相という典型的なパターンが通常はみられない。

  • 筋活動の進展が真の発作のパターンと一致しない(例,片側から対側,さらに背側へと移動していく筋収縮[非生理的な進行]),誇張された骨盤の突き出し)。

  • 強度が増減することがある。

  • 通常,体温を含むバイタルサインが正常のままである。

  • 患者が受動的な開眼に対して積極的に抵抗することが多い。

身体診察では,特発性の発作であれば原因が示されることはまれであるが,症候性の発作であれば何らかの手がかりが得られやすい( 症候性てんかんの原因に対する臨床的な手がかり)。

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症候性てんかんの原因に対する臨床的な手がかり

所見

考えられる原因

発熱および項部硬直

髄膜炎

くも膜下出血

髄膜脳炎

乳頭浮腫

頭蓋内圧亢進

網膜の静脈拍動の消失(眼底検査で認められる)

頭蓋内圧亢進(特異度は80~90%*)

局所的な神経脱落症状(例,反射または筋力の非対称性)

器質的異常(例,腫瘍,脳卒中)

発作後の麻痺

全般化した神経筋の易刺激性(例,振戦,反射亢進)

薬物毒性(例,交感神経刺激薬)

離脱症状(例,アルコール,鎮静薬)

特定の代謝性疾患(例,低カルシウム血症,低マグネシウム血症)

皮膚病変(例,腋窩のそばかすまたはカフェオレ斑,低メラニン性色素斑,粒起革様皮)

神経皮膚疾患(例,神経線維腫症,結節性硬化症)

*頭蓋内圧亢進を来した患者では,全例で網膜の静脈拍動が消失する;一方,頭蓋内圧が正常な患者の10~20%でも静脈拍動の消失が認められるが,それらもときに一時的なものでしかない。

検査

検査はルーチンに行うが,それらの結果が正常であっても,必ずしも痙攣性疾患は除外されない。そのため,最終的には臨床的に診断することもある。行う検査は病歴および神経学的診察の結果に依存する。

既知の痙攣性疾患があり,診察結果が正常または変化なしであれば,抗てんかん薬の血中濃度以外の検査はほとんど必要ない。外傷や感染症,代謝性疾患などの治療可能な疾患の症候がみられる場合は,追加検査の適応となる。

発作が新規発症である場合と診察結果が初めて異常となった場合は,神経画像検査が必要である。発作が新規発症であるか臨床像が典型的でない患者には,さらに血液検査(血清電解質,BUN,クレアチニン,グルコース,カルシウム,マグネシウム,およびリン濃度)と肝機能検査を含めた臨床検査も必要となる。その他の検査は臨床的に疑われる疾患に基づいて以下のように行う:

  • 神経画像検査が正常な髄膜炎または中枢神経系感染症:腰椎穿刺が必要である。

  • 発作の原因または要因となりうるレクリエーショナルドラッグの未報告の使用:薬物スクリーニングを行ってもよいが,陽性となっても因果関係が判断できず,また結果自体も不正確な場合があるため,その実施については論議がある。

  • 潜因性てんかん:抗NMDA受容体抗体の検査を考慮すべきであり(特に若年女性では26%が陽性となる可能性がある),そこで陽性となれば抗NMDA受容体脳炎が示唆される。

神経画像検査(典型的には頭部CT,ときにMRI)は通常,腫瘤または出血を除外する目的で直ちに施行する。一部の専門家は,CTは後回しにしてもよく,典型的な熱性痙攣の小児では神経学的状態が迅速に正常に戻った場合には省略してもよいと述べている。

CTで陰性の場合は,フォローアップMRIが推奨される。脳腫瘍および膿瘍をより高い分解能で描出でき,また皮質形成異常,脳静脈血栓,およびヘルペス脳炎を検出することが可能となる。てんかんプロトコルの頭部MRIでは,高分解能のT1およびT2強調冠状断像を撮影するが,これらにより海馬の萎縮や硬化を検出することができる。MRIでは,幼児における皮質発生上の奇形や成人における内側側頭葉硬化症,外傷性グリオーシス,微小腫瘍など,発作の一般的な原因の一部を検出できる。

脳波検査は,てんかん発作の診断に不可欠であり,特に複雑部分発作と欠神発作重積状態の診断においては,脳波が発作の最も確定的な検査となる場合がある。脳波検査では,てんかん様異常波形(棘波,鋭波,棘徐波複合,多棘徐波複合)が検出されることがある。てんかん様異常波形は,一次性の全般発作が起きた患者では両側性,対称性,同期性のことがあり,部分発作が起きた患者では局在性のことがある。脳波検査所見としては以下のものがある:

  • 側頭葉起源の複雑部分発作における,発作間欠期(発作と発作の間)の側頭葉を焦点とするてんかん様異常波形

  • 一次性の全般性強直間代発作における,発作間欠期の両側性かつ対称性の4~7Hzのてんかん様活動の群発

  • 二次性全般化発作における焦点性のてんかん様放電

  • 定型欠神発作における,3回/秒の頻度で生じる両側性の棘徐波複合と通常は正常な発作間欠期脳波

  • 非定型欠神発作における,通常は2.5回/秒以下の頻度で生じる緩徐な棘波放電,および典型的には発作間欠期の背景活動の出現不良とびまん性の徐波

  • 若年性ミオクロニーてんかんにおける,4~6Hzの頻度で生じる両側性の多棘徐波複合

しかしながら,脳波検査が正常でもてんかん発作を除外することはできず,診断は臨床的に行う必要がある。発作頻度が高くない場合は,脳波検査で異常を検出できる可能性は低くなる。てんかんが既知の患者でも最初の脳波検査でてんかん様異常を検出できる割合は30~55%にすぎない。一連の脳波検査では,同様の患者の80~90%でてんかん様異常を検出できる。一般に,記録時間を延長して断眠後に測定を行う一連の脳波検査では,てんかん発作の患者でてんかん様異常を検出できる可能性が大幅に高まる。

入院下でのビデオ脳波モニタリング(通常は2~7日間)では,脳波活動と臨床的な行動を同時に記録する。利用可能な脳波検査で最も感度が高く,したがって,てんかん発作を非てんかん性発作と鑑別するのに有用である。

てんかん焦点領域の外科的切除を考慮する場合は,そのような領域を同定するために,てんかん専門施設での高度な画像検査が利用可能である。機能的MRIは,機能している皮質を同定し,外科的切除の指針とすることができる。脳波検査およびMRIでてんかん焦点を明確に同定できない場合は,脳波測定を伴う脳磁図検査(magnetic source imagingと呼ばれる)により,病変の局在を同定することで,侵襲的な術中マッピング手技の必要性を回避できる可能性がある。発作時SPECT(単一光子放出型CT)は,発作焦点の血流増加を検出でき,外科的に切除すべき領域を特定する上で有用である。発作時に造影剤を注射することが必要であるため,発作時SPECTを施行する場合は,長時間ビデオ脳波モニタリングのために患者を入院させる必要がある。

神経心理学的検査は,術前および術後に機能的障害を同定し,社会的および心理的予後とリハビリテーションの余地を予測するのに役に立つ。

予後

治療により,3分の1の患者で発作が生じなくなり,別の3分の1の患者では発作頻度が50%以上減少する。薬剤で十分なコントロールが得られる患者の約60%は,最終的に投与を中止して無発作状態を維持することができる。

てんかん発作が10年以上みられておらず,過去5年間にわたり抗てんかん薬の使用がない場合,てんかん発作は寛解したとみなされる。

てんかん患者における予期せぬ突然死(sudden unexplained death in epilepsy:SUDEP)は,原因不明のまれな合併症である。

治療

  • 可能であれば原因の除去

  • 意識消失が生命を脅かす事態となりうる状況の回避,またはそのような状況での対応策

  • 発作をコントロールする薬剤

  • 治療量での2剤以上の併用で発作をコントロールできない場合は手術

発作に対する至適な治療は,可能な限り原因を除去することである。

原因を是正も同定もできない場合には,しばしば抗てんかん薬(特に2回目の発作後)が必要となるが,最初の発作後の抗てんかん薬の有用性については議論があるため,リスクとベネフィットについて患者と話し合うべきである。引き続いて発作が発生するリスクは低いため,2回目の発作が起こるまで薬剤は使用しないことも可能である(特に小児の場合)。小児では,特定の抗てんかん薬において,行動面および学習面に重大な問題が生じる。

全般性強直間代発作の発作中には,衣服の襟をゆるめて頭の下に枕を置くことにより,外傷を予防すべきである。舌を保護する試みは無益であり,患者の歯や救助者の指の損傷につながる可能性が高い。誤嚥を予防するため,左側が下を向くように患者の体を回転させるべきである。これらの対応策を患者の家族および同僚に教示すべきである。

部分発作は全般化する可能性があり,患者が意識を失うリスクがあるため,特定の予防策を講じておくように助言すべきである。患者には発作がコントロールされるまで,意識消失が生命を脅かす事態となりうる活動(例,運転,水泳,登山,電動工具の操作,入浴)を控えさせるべきである。発作が完全にコントロールされたら(典型例では6カ月以上を要する),このような活動の多くは適切な安全策(例,ライフガード)を講じた上で再開することができ,患者には運動や社会活動を含めた通常の生活を送るように勧めるべきである。

米国のいくつかの州では,医師に対して関係機関へのてんかん患者の報告が義務づけられている。しかしながら,ほとんどの州は,無発作状態が6カ月から1年間持続した患者に自動車運転を許可している。

患者には,発作を誘発する可能性があることから,コカインやその他一部の違法薬物(例,フェンシクリジン,アンフェタミン)は使用せず,飲酒も控えるよう助言するべきである。一部の薬剤(例,ハロペリドール,フェノチアジン系薬剤)は発作の閾値を低下させる可能性があるため,可能であれば使用を控えるべきである。

家族には,患者に対する良識ある接し方を教えなければならない。過保護ではなく,陰性感情(例,劣等感や自意識について)を弱めるような思いやりのある支持的な態度を取らせるべきである;長期の病弱状態に陥る事態を防止すべきである。

施設でのケアが妥当となる状況はまれであり,重度の認知機能障害のある患者や,薬物療法にもかかわらず発作があまりに頻繁かつ激しいために他の場所では介護できない患者のみを対象とすべきである。

急性発作およびてんかん重積状態

大半の発作は,数分以内に自然に終息し,緊急の薬物治療は必要とならない。しかしながら,てんかん重積状態と5分以上持続する発作の大半では,発作を終結させる薬剤の投与と呼吸状態のモニタリングが必要になる。気道に何らかの問題が示唆される場合は,気管挿管が必要である。

抗てんかん薬による治療の開始が早いほど,発作のコントロールは良好となる。

静脈ラインを迅速に確保して,ロラゼパム0.05~0.1mg/kg(典型的には成人では4mg)を2mg/分の速度で静脈内投与すべきである。ときに,より高用量の投与が必要となる。ロラゼパムの投与後には,作用時間の長い2剤目の抗てんかん薬が適応となる。

長時間作用型の抗てんかん薬のうちどれが望ましいかを示したコンセンサスまたはエビデンスに基づくガイドラインは存在しない。専門医の多くが以下のいずれかを使用している:

  • ホスフェニトイン15~20 PE(フェニトイン当量)/kgを100~150 PE/分で静注

  • フェニトイン15~20mg/kgを50mg/分で静注

これらの薬剤を使用した後も発作が持続する場合は,追加でホスフェニトイン5~10 PE/kgまたはフェニトイン5~10mg/kgの投与が可能である。

代替の抗てんかん薬としては以下のものがある:

  • バルプロ酸20~40mg/kg(負荷量)を30分かけて静注後,4~8mg/kgを経口で1日3回

  • レベチラセタム1500~3000mgを25分かけて静注後,1500mgを経口で1日2回

静脈ラインが確保できない場合は,ホスフェニトインの筋注やベンゾジアゼピン系薬剤の舌下または経直腸投与などが選択肢となる。

ロラゼパムおよびフェニトイン(または第2選択の別の抗てんかん薬)の使用後も持続する発作は,難治性てんかん重積状態と定義される。

3剤目の抗てんかん薬に関する推奨は一様でなく,フェノバルビタール,プロポフォール,ミダゾラム,レベチラセタム,バルプロ酸などがある。フェノバルビタールの用量は,まず15~20mg/kgを100mg/分(小児では3mg/kg/分)で静注し,発作が続く場合はさらに5~10mg/kgの投与が必要となる。バルプロ酸20~40mg/kg,静注の負荷投与が代替法である。

この時点で,てんかん重積状態が頓挫していない場合は,挿管および全身麻酔が必要である。至適な麻酔薬については議論があるが,多くの医師は,プロポフォール1~2mg/kgを100mg/分で投与するか,ペントバルビタール5~8mg/kg(負荷量)の投与に続いて2~4mg/kg/時での静注を脳波検査で発作活動が抑制されるまで行っている。吸入麻酔薬はまれにしか使用されない。

初期治療後には,てんかん重積状態の原因を同定して治療しなければならない。

外傷後てんかん

頭部外傷により著しい構造的損傷(例,大きな挫傷または血腫,脳の裂創,頭蓋骨陥没骨折)が生じている場合,およびグラスゴー昏睡スケール(Glasgow Coma Scale:GCS)が10未満の場合は,発作を予防するために薬剤を投与する。それらの薬剤は,受傷後1週間は発作のリスクを軽減するが,数カ月後および数年後の永続的な外傷後てんかんは予防しない。発作が起こらない限り,投薬は1週間後に中止すべきである。

発作が頭部外傷の受傷から1週間以降に始まった場合は,長期の薬物治療が必要になる。

長期の薬物療法

抗てんかん薬が無期限に必要になる場合もあるが,多くの発作型(例,大半の熱性痙攣,アルコール離脱に伴う発作,再発しない痙攣)には抗てんかん薬による治療は必要ない。

単剤で全ての発作型をコントロールできる薬剤はなく,必要になる薬剤は患者毎に異なる。複数の薬剤が必要になる患者もいる。望ましい薬剤は発作型によって異なる( 発作型に応じた薬剤の選択)。具体的な薬剤に関する詳細な情報については, てんかんの薬物治療 : 長期治療での抗てんかん薬の選択を参照のこと。

手術

約10~20%の患者は,薬物治療に反応しない難治性の発作を示し,手術適応となりうる。脳局所の切除可能な領域に発作の起源がある場合には,通常はてんかん焦点の切除により発作のコントロールが著明に改善される。焦点が側頭葉前内側部にある場合は,約60%の患者で切除により発作が生じなくなる。外科的切除後には,抗てんかん薬の服用なしに発作がなくなる患者もいるが,多くは投薬が必要であるが,用量を減らした単剤療法となりうる。

手術には広範な検査やモニタリングを必要とするため,そうした患者の治療はてんかん専門施設で行うのが最良である。

迷走神経刺激療法

ペースメーカー様の植込み型機器(迷走神経刺激装置)による左迷走神経の間欠的電気刺激は,難治性てんかん発作がみられるが,てんかん手術の適応がない患者において,薬物療法の補助として用いられる。この治療は約40%の患者で部分発作を50%以上減少させる。機器をプログラムしておけば,磁石を用いて機器を作動させることで,患者自身が切迫した発作を終結させることができる。

迷走神経刺激療法の有害作用としては,刺激中の声の低音化,咳嗽,嗄声などがある。合併症は最小限である。

有効性の持続期間は不明である。

要点

  • てんかんの一般的な原因としては,2歳未満の小児では先天異常,分娩損傷,発育障害,および代謝性疾患,2~14歳の小児では特発性,成人では頭部外傷,アルコール離脱,腫瘍,および脳卒中,高齢者では腫瘍および脳卒中などがある。

  • 意識消失を来した患者に咬舌,失禁(例,衣服への尿や便の付着),または長時間の錯乱がみられる場合は,意識消失はてんかんによって引き起こされた可能性が高い。

  • 可能性のある原因の徴候(例,発熱,項部硬直,局所の神経脱落症状,神経筋の易刺激性および反射亢進,乳頭浮腫)について発作を起こした患者を評価し,その結果に従って検査を行う。

  • 新規発症または原因不明の発作がみられた患者には,全例で神経画像,脳波,および血液検査による評価を行う。

  • 発作の誘因を回避または最小化する方法と発作時の合併症リスクを低下させる方法(例,単独で運転や水泳をしない)を患者に説明する。

  • 抗てんかん薬が無期限に必要になる場合もあるが,多くの発作型(例,大半の熱性痙攣,アルコール離脱に伴う発作,再発しない痙攣)には抗てんかん薬による治療は必要ない。

  • 2剤以上の抗てんかん薬を治療域で投与しても発作がコントロールできない場合は,手術を考慮する。

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