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痙攣性疾患

執筆者:

Bola Adamolekun

, MD, University of Tennessee Health Science Center

最終査読/改訂年月 2018年 11月
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脳起源の発作(seizure)は,大脳皮質の灰白質で発生する無秩序な異常放電のために正常な脳機能が一過性に妨げられる現象である。典型的な発作では,意識変容,異常感覚,局所的な不随意運動,または痙攣(広範囲の随意筋に生じる激しい不随意収縮)が引き起こされる。診断は臨床的に下すこともあるが,新規発症の発作では神経画像検査,臨床検査,および脳波検査を,診断済みの痙攣性疾患では抗てんかん薬(抗痙攣薬)の血中濃度の測定を行う。治療法としては,可能な場合の原因の除去,抗てんかん薬の投与,手術(抗てんかん薬が無効の場合)などがある。

成人の約2%が生涯のいずれかの時点で脳起源の発作を経験する。そのうちの3分の2では,発作が再発することはない。

定義

脳起源の発作(seizure)に関連する用語体系は混乱を招きやすい。

てんかん(epilepsy)(epileptic seizure disorderとも呼ばれる)は,誘因なく起こり(すなわち可逆的なストレス因子が関係しない),24時間以上の間隔を空けて反復性(2回以上)に発生する脳起源の発作を特徴とする,慢性脳疾患である。1回のみの発作は,てんかん発作とはみなさない。てんかんは特発性であることが多いが,奇形,脳卒中,腫瘍などの多様な脳疾患が症候性てんかんの原因となりうる。

症候性てんかん(symptomatic epilepsy)は,既知の原因(例,脳腫瘍 頭蓋内腫瘍の概要 頭蓋内腫瘍は脳またはその他の構造物(例,脳神経,髄膜)を侵しうる。腫瘍は通常,成人期初期または中期に発生するが,どの年齢層でも発生しうる;現在は高齢者における頻度が増加している。脳腫瘍はルーチンの剖検の約2%で発見される。 腫瘍は良性の場合もあるが,頭蓋内には腫瘍が増大する余地がないため,たとえ良性の腫瘍でも重篤な神経機能障害や死を招く可... さらに読む 頭蓋内腫瘍の概要 脳卒中 脳卒中の概要 脳卒中とは,神経脱落症状を引き起こす突然の局所的な脳血流遮断が生じる多様な疾患群である。脳卒中には以下の種類がある: 虚血性(80%):典型的には血栓または塞栓によって生じる 出血性(20%):血管の破裂によって生じる(例,くも膜下出血,脳内出血) 明らかな急性脳梗塞の所見(MRIの拡散強調画像に基づく)を伴わない一過性(典型的には1時間... さらに読む 脳卒中の概要 )により生じるてんかんである。それにより生じる発作は症候性てんかん発作と呼ばれる。このような発作は新生児 新生児痙攣 新生児痙攣は,新生児の中枢神経系において異常な放電が生じる現象であり,通常は定型的な筋活動または自律性運動の変化として現れる。診断は脳波検査により確定され,原因を調べるための検査が適応となる。治療は原因に応じて異なる。 (Professional.See also heading... さらに読む と高齢者で最もよくみられる。

潜因性てんかん(cryptogenic epilepsy)は,ある特定の原因に起因すると考えられるが,その具体的な原因がその時点で判明していないてんかんである。

心因性非てんかん性発作(psychogenic nonepileptic seizure)(偽発作)は,精神障害を有する患者でみられ,脳起源の発作に類似するものの,脳内の異常放電が関与しない症状である。

病因

まれな疾患である反射性てんかんでは,反復音や点滅光,コンピュータゲーム,音楽,身体の特定部位に触れるなどの外的な刺激といった,予想可能なパターンで発作が誘発される。

潜因性てんかんおよび,多くの難治性てんかんにおいて,まれではあるが同定されることが増えている原因の1つに抗NMDA(N-メチル-d-アスパラギン酸)受容体脳炎があり,特に若年女性でよくみられる。この疾患は精神症状,運動障害,および髄液細胞増多を引き起こす。抗NMDA受容体脳炎の女性の約60%に卵巣奇形腫がみられる。卵巣奇形腫があれば除去し,さらに免疫療法を行うことで,抗てんかん薬よりもはるかによく発作をコントロールできる。

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分類

最初の分類は起始の種類によるものである:

  • 全般起始発作(generalized onset seizure)

  • 焦点起始発作(focal onset seizure)

  • 起始不明発作(unknown onset seizure)

焦点起始発作は,意識レベル(自己および周囲の状況を自覚している程度)によってさらに分類される。全般起始発作では,ほとんどの(全てではない)発作型で意識障害がみられるため,全般起始発作の分類に意識レベルは用いられない。

さらに,全ての発作が可能なら以下のように分類される:

  • 運動起始発作(motor onset seizure)

  • 非運動起始発作(nonmotor onset seizure)

反応性(responsiveness)という用語は発作型の分類には使用しないが,記述用語としては有用となる可能性がある。反応性は,意識の有無に関係なく,正常な場合もあれば障害されている場合もある。

全般起始発作

全般起始発作(generalized-onset seizure)は,両側大脳半球のネットワークに起源をもつ。通常は意識が障害され,意識喪失となる。

全般起始発作は運動発作と非運動(欠神)発作に分類される。運動症状は通常,発作の起始時から両側性である。起始時から両側性の運動症状が非対称性である場合,起始が焦点性であるか全般性であるかを判断するのは困難なことがある。

全般起始運動発作は,発作型によってさらに以下のように分類されることがある:

  • 強直間代発作(tonic-clonic seizure)(かつての大発作)

  • 間代発作(clonic seizure)(持続性の律動的びくつき)

  • 強直発作(tonic seizure)(律動的びくつきを伴わない硬直)

  • 脱力発作(atonic seizure)(筋緊張の消失)

  • ミオクロニー発作(myoclonic seizure)(硬直が先行しない律動的びくつき)

  • ミオクロニー強直間代発作(myoclonic-tonic-clonic seizure)(ミオクローヌスに続いて起こる強直間代運動)

  • ミオクロニー脱力発作(myoclonic-atonic seizures)

  • てんかん性スパズム(epileptic spasm)(かつての点頭てんかん)

全般起始非運動発作(generalized-onset nonmotor seizure)は,発作の種類(最初期の著しい特徴により定義される)によって,さらに以下のように分類されることがある:

  • 定型欠神発作(typical absence seizure)

  • 非定型欠神発作(atypical absence seizure)(例,発作の起始または終息がそれほど唐突でない場合,筋緊張の異常な変化を伴う場合)

  • ミオクロニー発作(myoclonic seizure)

  • 眼瞼ミオクロニー(eyelid myoclonia)

欠神発作は全て全般起始発作である。以下は,欠神発作を焦点意識減損発作(focal impaired-awareness seizure)と鑑別するのに役立つが,この区別は絶対的なものではない:

  • 欠神発作はより若年者にみられる傾向がある。

  • 起始および終息がより唐突である。

  • 通常,欠神発作では焦点意識減損発作ほど複雑な自動症がみられない。

全般発作は代謝性疾患に起因する場合が最も多いが,ときに遺伝性疾患に起因することもある。

焦点起始発作

焦点起始発作(focal-onset seizure)は,一側大脳半球のネットワーク内に起源をもち,また皮質下構造に起始することがある。狭い範囲に局在する場合もあれば,広い範囲に分布する場合もある。

焦点起始発作は意識レベルによって以下のように分類されることがある:

  • 焦点意識保持発作(focal aware seizure)(かつての単純部分発作)

  • 焦点意識減損発作(focal impaired-awareness seizure)(かつての複雑部分発作)

発作のいずれかの時点で意識が障害された場合,その発作は焦点意識減損発作に分類される。

焦点起始運動発作は発作型によってさらに以下のように分類されることがある:

  • 自動症発作(automatism seizure)(協調性が保たれている無目的な反復性の運動)

  • 脱力発作(atonic seizure)(局在性の筋緊張消失)

  • 間代発作(clonic seizure)(局在性の律動的びくつき)

  • てんかん性スパズム(epileptic spasm)(局在性の上肢の屈曲または伸展および体幹の屈曲)

  • 運動亢進発作(hyperkinetic seizure)(ペダルこぎ運動やのたうち回るような動きを引き起こす)

  • ミオクロニー発作(myoclonic seizure)(不規則かつ短時間の局在性のびくつき)

  • 強直発作(tonic seizure)(持続的な局在性の筋硬直)

脱力発作とてんかん性スパズムでは,意識レベルは通常特定されない。

焦点起始非運動発作は,最初期の顕著な特徴に基づいてさらに以下のように分類されることがある:

  • 自律神経障害(消化管感覚症状,温冷感,紅潮,性的興奮,立毛[鳥肌],動悸などの自律神経症状)

  • 動作停止発作(behavior arrest seizure)(発作の全経過にわたって動作停止が優勢な症状となる)

  • 認知機能障害(言語もしくは関連する認知領域の障害または陽性症状[既視感,幻覚,錯覚,または知覚の歪みなど])

  • 情動機能障害(不安,恐怖,喜びなどの情動変化,または主観的な感情変化を伴わない情動徴候[affective sign]を呈する)

  • 感覚機能障害(体性感覚,嗅覚,視覚,聴覚,味覚,もしくは前庭感覚または温冷感を引き起こす)

焦点起始発作は全般起始強直間代発作(焦点起始両側強直間代発作[focal-to-bilateral tonic–clonic seizure])に移行することがあり(かつては二次性全般化と呼ばれていた),意識消失を来す。焦点起始両側強直間代発作は,焦点起始発作が拡大して大脳全体が両側性に賦活化されることで生じる。賦活化の拡大が急速に進むことで,初期の焦点起始発作が臨床的に明らかにならない場合や,非常に短くなる場合もある。

起始不明発作

起始に関する情報がない発作は通常,起始不明発作(unknown-onset seizure)に分類される。その後に発作についてより詳細な情報が得られれば,焦点起始または全般起始発作に分類し直すことができる。

起始不明発作には運動発作と非運動発作がある。

起始不明運動発作(unknown-onset motor seizure)は,さらに以下のように分類されることがある:

  • 強直間代発作(tonic-clonic seizure)

  • てんかん性スパズム(epileptic spasm)

起始不明非運動発作(unknown-onset nonmotor seizure)は,さらに以下のように分類されることがある:

  • 動作停止発作(behavior arrest seizure)

起始が曖昧な強直間代発作は,しばしば起始不明発作に分類される。後にてんかん性スパズムまたは動作停止発作と同定される発作が,当初は起始不明発作に分類されることがある。

起始が焦点性と全般性のどちらかを明確にするのに詳細なビデオ脳波モニタリングが役立つ可能性があり,起始が焦点性であれば原因が治療可能である場合があることから,これは重要である。

分類に関する参考文献

  • 1.Fisher RS, Cross JH, D'Souza C, et al: Instruction manual for the ILAE [International League Against Epilepsy] 2017 operational classification of seizure types.Epilepsia 58 (4):531–542, 2017.doi: 10.1111/epi.13671.

症状と徴候

発作に先立ち前兆がみられることがある。前兆とは,患者が発作の開始をどのように感じるかを表したものである。前兆は,運動症状または感覚症状,自律神経症状,または心理的変化(例,錯感覚,心窩部の膨隆感,異常な匂い,恐怖の感覚,既視感または未視感)で構成される。未視感とは,既視感の反対で,見慣れた場所や経験が見知らぬもののように見える感覚であるほとんどの症例で,患者が報告する前兆は焦点意識保持発作の一部である。

大半の発作は1~2分で自然に終息する。

全般起始発作に続いてしばしば発作後朦朧状態がみられるが,この状態は深睡眠,頭痛,錯乱,および筋肉痛を特徴とし,数分から数時間持続する。ときに発作後朦朧状態では,発作焦点の対側に一過性の神経脱落症状(通常は筋力低下)を来すトッド麻痺がみられる。

ほとんどの患者は発作間欠期では神経学的に正常に見えるが,痙攣性疾患の治療として使用される高用量の薬剤,特に鎮静作用のある抗てんかん薬の作用で覚醒度が低下することがある。進行性の精神機能低下はいずれも,通常は発作そのものではなく,発作の原因となった神経疾患に関係している。

ときに,てんかん重積状態のように,発作が持続する。

焦点起始発作

焦点起始発作(focal-onset seizure)には以下のものがある:

  • 焦点意識保持発作(focal aware seizure)(かつての単純部分発作)

  • 焦点意識減損発作(focal impaired-awareness seizure)(かつての複雑部分発作)

焦点意識保持発作では,意識は清明である。発作のいずれかの時点で意識が障害された場合,その発作は意識減損を伴う焦点発作に分類されるが,意識が障害されても完全な消失に至らない場合もある。

焦点意識保持発作では,意識消失を伴うことなく,運動,感覚,または精神運動症状が生じる。特定の症状は脳の障害部位を反映する(部位別に見た焦点起始発作の臨床像 部位別に見た焦点起始発作の臨床像 脳起源の発作(seizure)は,大脳皮質の灰白質で発生する無秩序な異常放電のために正常な脳機能が一過性に妨げられる現象である。典型的な発作では,意識変容,異常感覚,局所的な不随意運動,または痙攣(広範囲の随意筋に生じる激しい不随意収縮)が引き起こされる。診断は臨床的に下すこともあるが,新規発症の発作では神経画像検査,臨床検査,および脳波... さらに読む の表を参照)。ジャクソン発作では,局所の運動症状が片手から始まって,上肢を上行していく(ジャクソンマーチ)。他に焦点起始発作がまず顔面に生じてから,上肢のほか,ときに下肢に進展する場合もある。一部の焦点起始運動発作では,上肢の挙上と挙上側の上肢への頭部の回転(フェンシング肢位と呼ばれる)から始まる。

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持続性部分てんかん(epilepsia partialis continua)は,まれな疾患であり,持続性の焦点意識保持発作である。通常は腕,手,または顔面片側に症状が現れ,数秒ないし数分間隔で反復する発作が数日間からときに数年間にわたって発生する。原因は通常以下のものである:

  • 成人:器質的病変(例,脳卒中)

  • 小児:大脳皮質における局所性の炎症性プロセス(例,ラスムッセン脳炎)で,これ自体はおそらく慢性のウイルス感染または自己免疫的な過程によるものである

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  • 精神症状のように見える一過性で説明のつかない反復性の異常(例,幻覚,複雑な自動運動,言語停止,凝視中の反応性低下)がみられる患者では,焦点起始発作を考慮すべきである。

焦点意識減損発作には,しばしば前兆が先行する。発作中は一点を凝視することがある。意識は障害されるが,患者は周囲の状況をある程度認識している(例,侵害刺激から意図的に遠ざかる)。以下も起こりうる:

  • 口部自動症(不随意の咀嚼,口をモグモグさせる)

  • 四肢自動症(例,目的のない不随意な手の運動)

  • 本人も理解していない理解困難な発話

  • 介助への抵抗

  • 発作焦点と対側の強直性またはジストニア肢位

  • 頭部および眼球の偏位(通常は発作焦点の対側に向かう)

  • 発作の起源が内側前頭野または前頭眼窩野にある場合は,自転車こぎやペダル踏みなどの下肢の運動

運動症状は1~2分後に沈静化するが,錯乱および見当識障害はさらに1~2分間続くことがある。発作後健忘がよくみられる。発作中に拘束される際や全般発作後の意識回復中に,患者が殴りかかってくることがある。ただし,誘因のない攻撃行動はまれである。

左側頭葉てんかんは言語性記憶の異常を,右側頭葉てんかんは視空間記憶の異常を引き起こすことがある。

全般起始発作

意識は通常,障害されるか消失し,運動機能は起始時から異常となる。全般起始発作は運動発作と非運動(欠神)発作に分類される。

定型欠神発作(typical absence seizure)(以前は小発作と呼ばれていた)は,眼瞼のはためきを伴って10~30秒間にわたる意識消失がみられ,体軸筋の筋緊張は消失することもあれば,消失しないこともある。転倒や痙攣はみられず,突如活動を停止した後,突如それまでと変わらず活動を再開し,発作後症状はなく,発作が起きたことも認識しない。欠神発作は遺伝性で,ほとんどが小児で発生する。無治療の場合,このような発作が1日に何回も起こる可能性が高い。発作は静かに座っているときに出現することが多く,過呼吸により誘発されることがあるが,運動中にはめったに起こらない。神経学的診察と認知機能評価の結果は,通常は正常である。

非定型欠神発作(atypical absence seizure)は通常,4歳までに発症する重症型のてんかんであるレノックス-ガストー症候群の一部として生じる。この発作は以下の点で定型欠神発作と異なる:

  • より長く持続する。

  • 攣縮や自動運動がより明白である。

  • 意識消失がより不完全である。

多くの患者は,病歴として神経系の損傷,発達遅滞,神経学的診察での異常,および他の発作型がみられる。非定型欠神発作は通常,成人期に入っても持続する。

ミオクロニー欠神発作(myoclonic absence seizure)では,腕および肩が律動的に(3回/秒)びくつき,腕が徐々に持ち上がる。この発作は典型的には10~60秒持続する。意識障害は明らかでない場合がある。ミオクロニー欠神発作は様々な遺伝性疾患によって引き起こされ,ときに原因が不明のこともある。

眼瞼ミオクロニー(eyelid myoclonia)は,眼瞼のミオクローヌスと眼球の上方偏位から成り,しばしば閉眼または光で誘発される。眼瞼ミオクロニーは運動発作でも非運動発作でも起こりうる。

脱力発作(atonic seizure)は,小児に発生する場合が最も多く,通常はレノックス-ガストー症候群の一部としてみられる。脱力発作は短時間の筋緊張および意識の完全な消失を特徴とする。小児では,転倒または卒倒による外傷(特に頭部損傷)のリスクがある。

強直発作(tonic seizure)は,睡眠中に発生することが最も多く,通常は小児でみられる。通常はレノックス-ガストー症候群が原因である。体軸筋の強直性(持続的)収縮は,急激に始まることもあれば緩徐に始まることもあり,四肢の近位筋に拡大していく。しばしば頸部が硬直する。通常,強直発作は10~15秒持続する。より長く持続する強直発作では,強直相の最後に速い間代性の筋攣縮が数回生じることがある。

間代発作(clonic seizure)では,持続性の律動的びくつきが両側の四肢に加え,しばしば頭部,頸部,顔面,および体幹に生じる。間代発作は通常,乳児期に発生するため,jitterinessや身震い発作と鑑別すべきである。間代発作は強直間代発作と比べてはるかにまれである。

強直間代発作(tonic-clonic seizure)には以下の種類がある:

  • 全般起始発作(かつての一次性の全般発作)

  • 焦点起始両側強直間代発作(かつての二次性全般化発作)

一次性の全般発作は,典型的には叫声とともに始まり,意識消失と転倒に続いて,四肢,体幹,および頭部の筋に強直性収縮が生じた後,間代運動(収縮と弛緩がすばやく交互に繰り返される)に移行する。ときに尿および便失禁や咬舌がみられたり,口から泡を吹くこともある。通常,発作は1~2分持続する。前兆はない。

焦点起始両側強直間代発作は焦点意識保持または焦点意識減損発作から始まり,進行して他の全般起始発作に類似する形態となる。

ミオクロニー発作(myoclonic seizure)は,一肢,数肢,または体幹の短時間かつ電撃様の筋収縮である。反復性となって,強直間代発作に移行することもある。筋収縮は両側性の場合もあれば片側性の場合もある。両側性の運動動作を伴う他の発作とは異なり,ミオクロニー発作では,全般性強直間代発作に進展しない限り,意識の消失は起きない。

ミオクロニー脱力発作(myoclonic-atonic seizures)では,四肢または体幹が一時的にびくつき,その後脱力して崩れ落ちる(転倒発作[drop attack])。発作は通常,生後6カ月から6歳までの間に始まる。3分の2の患児では,熱性痙攣と全般起始痙攣発作(generalized-onset convulsive seizure)がミオクロニー脱力発作に先行する。これらの発作は男児(男性)により多くみられる(2:1)。発達および認知機能は一般に正常であるが,発作の開始以降に障害される可能性がある。

てんかん性スパズム(epileptic spasm)は,以前の点頭てんかん(infantile spasm) 点頭てんかん 点頭てんかんは,両上肢の突然の屈曲,体幹の前屈,下肢の伸展,および脳波上のヒプスアリスミアを特徴とするてんかん発作である。 点頭てんかんの発作は数秒間続き,1日に何回も繰り返すことがある。通常は1歳未満の小児に発生する。発作は約5歳までに自然に消失するが,しばしば他の発作型に置き換わる。... さらに読む に取って代わる用語であるが,乳児期に起こるてんかん性スパズムにはinfantile spasmという用語が使用されることがある。てんかん性スパズムの起始は焦点性,全般性,不明のいずれかである。突然の両上肢の屈曲内転と体幹の前屈を特徴とする。発作は数秒間続き,1日に何回も繰り返す。生後5年間だけにみられ,以降は他の発作型がみられるようになる。通常は発達面に異常がみられる。

若年性ミオクロニーてんかん(juvenile myoclonic epilepsy)は,ミオクロニー発作,強直間代発作,および欠神発作を特徴とするてんかん症候群である。典型的には青年期に発症する。発作は両側性かつ同期性の数回のミオクローヌスで始まり,90%の症例ではその後に全般性強直間代発作に移行する。しばしば,朝の覚醒時(特に睡眠不足時または飲酒後)に起こる。3分の1の患者では欠神発作がみられる。

熱性痙攣(febrile seizure) 熱性痙攣 熱性痙攣は,体温が38℃を超える6歳未満の小児において,無熱性痙攣の既往がなく,原因が同定できず,かつ基礎に発達または神経系の異常が存在しない場合に診断される。他の原因を除外した上で,臨床的に診断する。15分未満で治まる痙攣の治療は支持的に行う。15分以上続く痙攣は,ロラゼパムの静注,ジアゼパムの直腸内投与,またはミダゾラムの鼻腔内投与に... さらに読む は,その定義上,発熱に伴って起こるが頭蓋内感染はなく,誘発性痙攣発作(provoked seizure)の一型とみなされている。生後3カ月から5歳の小児の約4%に出現する。良性熱性痙攣は,短時間かつ単発性の全般性強直間代発作の様相を呈する。複雑型熱性痙攣は焦点性で,15分以上持続するか,24時間以内に2回以上再発する。全体として,熱性痙攣患者の2%はその後に痙攣性疾患を発症する。しかしながら,以下のいずれかを有する小児では,痙攣性疾患の発生率と熱性痙攣の再発リスクがはるかに高くなる:

  • 複雑型熱性痙攣

  • 既存の神経学的異常

  • 1歳未満での発症

  • 痙攣性疾患の家族歴

てんかん重積状態

てんかん重積状態(status epilepticus)は持続性の発作活動であり,起始は全般性のこともあれば焦点性のこともある。てんかん重積状態には2つの病型がある:

  • 痙攣性(convulsive)(顕著な運動症状を伴う)

  • 非痙攣性(nonconvulsive)(顕著な運動症状を伴わない)

全身痙攣重積状態では,以下のうち少なくとも1つがみられる:

  • 5~10分以上持続する強直間代発作

  • 間欠期に完全な意識の回復がみられない2回以上の発作

持続時間が30分以上という以前の定義は,より迅速な同定および治療を促すために改定された。無治療で60分以上持続する全般発作は,永続的な脳損傷につながる可能性があり,さらに長く持続すれば死に至ることもある。心拍数と体温は上昇する。全身痙攣重積状態には,頭部外傷や抗てんかん薬の急速な離脱をはじめとして,多くの原因がある。

非痙攣性てんかん重積状態には,複雑部分発作重積状態や欠神発作重積状態などがある。しばしば長期間の精神状態変化のエピソードという形態を呈する。診断には脳波検査が必要となることがある。

てんかん患者における予期せぬ突然死

てんかん患者における予期せぬ突然死(sudden unexplained death in epilepsy:SUDEP)は,てんかん発作のまれな合併症の1つで,原因は不明である。

SUDEPは通常,夜間または睡眠中に発生する。

発作,特に全般性強直間代発作が頻回に起こる患者で最もリスクが高い。

診断

  • 臨床的評価

  • 新規発症の発作には,神経画像検査,臨床検査,および通常は脳波検査

  • 既知の痙攣性疾患には,通常は抗てんかん薬の血中濃度の測定

  • 新規発症または既知の痙攣性疾患には,臨床的に適応のあるその他の検査

評価では,発生した事象が脳起源の発作であるのか他の原因による意識障害(例,偽発作,失神)であるのかを判断するとともに,考えられる原因または誘因を同定しなければならない。新規発症の発作を起こした患者には,救急部門において評価を行う;ときに徹底的な評価を行った上で退院させてよい場合もある。痙攣性疾患がすでに判明している患者は,一般診察室での評価でもよい。

病歴

発作歴がある患者には,前兆とその後の発作を示唆する異常な感覚について,また典型的な発作の内容について尋ねるべきである。大半の患者は全般起始発作時の記憶がなく,発作そのものの説明は目撃者から聴取する必要がある。

急激な脳全体の虚血(例,心室性不整脈によるもの)といった他の病態の臨床像も,意識消失やミオクローヌスなど,てんかんのそれと類似することがある。

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  • 急に意識を失った患者では,たとえ目撃者がミオクローヌスを報告したとしても,脳全体の虚血(例,心室性不整脈による)を考慮すること。

病歴には,初回発作とその後の全ての発作に関する情報(例,持続時間,頻度,一連の進展,発作間の最長および最短間隔,前兆,発作後朦朧状態,誘因)を含めるべきである。全ての患者に発作の危険因子について質問すべきである:

  • 先行する頭部外傷または中枢神経系感染症

  • 既知の神経疾患

  • 薬物(特にレクリエーショナルドラッグ)の使用または離脱

  • アルコール離脱

  • 抗てんかん薬のアドヒアランス不良

  • 脳起源の発作または神経疾患の家族歴

発作閾値を下げるまれな誘因(例,反復音,点滅光,コンピュータゲーム,身体の特定部位を触れる)と睡眠不足について,尋ねるべきである。

身体診察

意識消失を来した患者では,咬舌,失禁(例,衣服に付着した尿や便),または意識消失後の長い錯乱から,てんかんが示唆される。

偽発作においては,全身性の筋活動が認められ,言語刺激に対する反応を欠くことで,一見すると全般性強直間代発作が示唆されるように思えることがある。それでも,通常は以下の臨床的特徴により,偽発作を真の発作と鑑別することが可能である:

  • 偽発作は持続時間が長い(数分またはそれ以上)。

  • 発作後の錯乱を欠く傾向がある。

  • 強直相とそれに引き続く間代相という典型的なパターンが通常はみられない。

  • 筋活動の進展が真の発作のパターンと一致しない(例,片側から対側,さらに背側へと移動していく筋収縮[非生理的な進行],誇張された骨盤の突き出し)。

  • 強度が増減することがある。

  • 通常,体温を含むバイタルサインが正常のままである。

  • 患者が受動的な開眼に対して積極的に抵抗することが多い。

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検査

検査はルーチンに行うが,それらの結果が正常であっても,必ずしも痙攣性疾患は除外されない。そのため,最終的には臨床的に診断することもある。行う検査は病歴および神経学的診察の結果に依存する。

既知の痙攣性疾患があり,診察結果が正常または変化なしであれば,抗てんかん薬の血中濃度以外の検査はほとんど必要ない。外傷や感染症,代謝性疾患などの治療可能な疾患の症候がみられる場合は,追加検査の適応となる。

発作が新規発症である場合と診察結果が初めて異常となった場合は,神経画像検査が必要である。発作が新規発症であるか臨床像が典型的でない患者には,さらに血液検査(血清電解質,BUN,クレアチニン,グルコース,カルシウム,マグネシウム,およびリン濃度)と肝機能検査を含めた臨床検査も必要となる。

その他の検査は臨床的に疑われる疾患に基づいて以下のように行う:

  • 神経画像検査が正常な髄膜炎または中枢神経系感染症:腰椎穿刺が必要である。

  • 発作の原因または要因となりうるレクリエーショナルドラッグの未報告の使用:薬物スクリーニングを行ってもよいが,陽性となっても因果関係が判断できず,また結果自体も不正確な場合があるため,その実施については論議がある。

  • 潜因性てんかん:抗NMDA受容体抗体の検査を考慮すべきであり(特に若年女性では26%が陽性となる可能性がある),そこで陽性となれば抗NMDA受容体脳炎が示唆される。

神経画像検査(典型的には頭部CT,ときにMRI)は通常,腫瘤または出血を除外する目的で直ちに施行する。一部の専門家は,CTは後回しにしてもよく,典型的な熱性痙攣の小児では神経学的状態が迅速に正常に戻った場合には省略してもよいと述べている。

CTで陰性の場合は,フォローアップMRIが推奨される。脳腫瘍および膿瘍をより高い分解能で描出でき,また皮質形成異常,脳静脈血栓症,およびヘルペス脳炎を検出することが可能となる。てんかんプロトコルの頭部MRIでは,高分解能のT1およびT2強調冠状断像を撮影するが,これらにより海馬の萎縮や硬化を検出することができる。MRIでは,幼児における皮質発生上の奇形や成人における内側側頭葉硬化症,外傷性グリオーシス,微小腫瘍など,発作の一般的な原因の一部を検出できる。

脳波検査は,てんかん発作の診断に不可欠であり,特に焦点意識減損発作と欠神発作重積状態の診断においては,脳波が発作の最も確定的な検査となる場合がある。脳波検査では,てんかん様異常波形(棘波,鋭波,棘徐波複合,多棘徐波複合)が検出されることがある。てんかん様異常波形は,全般起始発作が起きた患者では両側性,対称性,同期性のことがあり,焦点起始発作が起きた患者では局在性のことがある。

脳波所見としては以下を認めることがある:

  • 側頭葉起源の焦点意識減損発作における,発作間欠期(発作と発作の間)の側頭葉を焦点とするてんかん様異常波形

  • 一次性の全般性強直間代発作における,発作間欠期の両側性かつ対称性の4~7Hzのてんかん様活動の群発

  • 焦点起始両側強直間代発作における焦点性のてんかん様放電

  • 定型欠神発作における,3回/秒の頻度で生じる両側性の棘徐波複合と通常は正常な背景脳波活動

  • 非定型欠神発作における,通常は2.5回/秒以下の頻度で生じる緩徐な棘波放電,および典型的には発作間欠期の背景活動の出現不良とびまん性の徐波

  • 若年性ミオクロニーてんかんにおける,4~6Hzの頻度で生じる両側性の多棘徐波複合

しかしながら,脳波検査が正常でもてんかん発作を除外することはできず,診断は臨床的に行う必要がある。発作頻度が高くない場合は,脳波検査で異常を検出できる可能性は低くなる。てんかんが既知の患者でも最初の脳波検査でてんかん様異常を検出できる割合は30~55%にすぎない。一連の脳波検査では,同様の患者の80~90%でてんかん様異常を検出できる。一般に,記録時間を延長して断眠後に測定を行う一連の脳波検査では,てんかん発作の患者でてんかん様異常を検出できる可能性が大幅に高まる。

入院下でのビデオ脳波モニタリング(通常は2~7日間)では,脳波活動と臨床的な行動を同時に記録する。利用可能な脳波検査で最も感度が高く,したがって,てんかん発作を非てんかん性発作と鑑別するのに有用である。

自由行動下脳波検査(ambulatory electroencephalography)は,患者が自宅にいながら行うことができる。これは長期間入院できない患者に発作の再発がみられる場合に有用である。

てんかん焦点領域の外科的切除を考慮する場合は,そのような領域を同定するために,てんかん専門施設での高度な画像検査が利用可能である。

  • 機能的MRIは,機能している皮質を同定し,外科的切除の指針とすることができる。

  • 脳波検査およびMRIでてんかん焦点を明確に同定できない場合は,脳波測定を伴う脳磁図検査(magnetic source imagingと呼ばれる)により,病変の局在を同定することで,侵襲的な術中マッピング手技の必要性を回避できる可能性がある。

  • 発作時SPECT(単一光子放出型CT)は,発作焦点の血流増加を検出でき,外科的に切除すべき領域を特定する上で有用である。発作時に造影剤を注射することが必要であるため,発作時SPECTを施行する場合は,長時間ビデオ脳波モニタリングのために患者を入院させる必要がある。

神経心理学的検査は,術前および術後に機能的障害を同定し,社会的および心理的予後とリハビリテーションの余地を予測するのに役に立つ。

予後

治療により,3分の1の患者で発作が生じなくなり,別の3分の1の患者では発作頻度が50%以上減少する。薬剤で十分なコントロールが得られる患者の約60%は,最終的に投与を中止して無発作状態を維持することができる。

てんかん発作が10年以上みられておらず,過去5年間にわたり抗てんかん薬の使用がない場合,てんかん発作は寛解したとみなされる。

治療

  • 可能であれば原因の除去

  • 意識消失が生命を脅かす事態となりうる状況の回避,またはそのような状況での対応策

  • 発作をコントロールする薬剤

  • 治療量での2剤以上の併用で発作をコントロールできない場合は手術

発作に対する至適な治療は,可能な限り原因を除去することである。

原因を是正も同定もできない場合には,しばしば抗てんかん薬(特に2回目の発作後)が必要となるが,最初の発作後の抗てんかん薬の有用性については議論があるため,リスクとベネフィットについて患者と話し合うべきである。引き続いて発作が発生するリスクは低いため,2回目の発作が起こるまで薬剤は使用しないことも可能である(特に小児の場合)。小児では,特定の抗てんかん薬において,行動面および学習面に重大な問題が生じる。

全般性強直間代発作の発作中には,衣服の襟をゆるめて頭の下に枕を置くことにより,外傷を予防すべきである。舌を保護する試みは無益であり,患者の歯や救助者の指の損傷につながる可能性が高い。誤嚥を予防するため,左側が下を向くように患者の体を回転させるべきである。これらの対応策を患者の家族および同僚に教示すべきである。

焦点起始発作は両側化する可能性があり,患者が意識を失うリスクがあるため,特定の予防策を講じておくよう助言すべきである。患者には発作がコントロールされるまで,意識消失が生命を脅かす事態となりうる活動(例,運転,水泳,登山,電動工具の操作,入浴)を控えさせるべきである。発作が完全にコントロールされたら(典型例では6カ月以上を要する),このような活動の多くは適切な安全策(例,ライフガード)を講じた上で再開することができ,患者には運動や社会活動を含めた通常の生活を送るように勧めるべきである。

米国のいくつかの州では,医師に対して車両管理局(Department of Motor Vehicles)へのてんかん患者の報告が義務づけられている。しかしながら,ほとんどの州は,無発作状態が6カ月から1年間持続した患者に自動車運転を許可している。

患者には,発作を誘発する可能性があることから,コカインやその他一部の違法薬物(例,フェンシクリジン,アンフェタミン)は使用せず,飲酒も控えるよう助言するべきである。一部の薬剤(例,ハロペリドール,フェノチアジン系薬剤)は発作の閾値を低下させる可能性があるため,可能であれば使用を控えるべきである。

家族には,患者に対する良識ある接し方を教えなければならない。過保護ではなく,陰性感情(例,劣等感や自意識について)を弱めるような思いやりのある支持的な態度を取らせるべきである;長期の病弱状態に陥る事態を防止すべきである。

施設でのケアが妥当となる状況はまれであり,重度の認知機能障害のある患者や,薬物療法にもかかわらず発作があまりに頻繁かつ激しいために他の場所では介護できない患者のみを対象とすべきである。

全身痙攣重積状態

全般起始発作および焦点起始両側強直間代発作の大半は,数分以内に自然に終息し,緊急の薬物治療は必要とならない。しかしながら,てんかん重積状態と5分以上持続する発作の大半では,発作を終結させる薬剤の投与と呼吸状態のモニタリングが必要になる。気道に何らかの問題が示唆される場合は,気管挿管が必要である。

抗てんかん薬による治療の開始が早いほど,発作のコントロールは良好となる。

静脈ラインを迅速に確保して,ロラゼパム0.05~0.1mg/kg(典型的には成人では4mg)を2mg/分の速度で静脈内投与すべきである。ときに,より高用量の投与が必要となる。ロラゼパムの投与後には,作用時間の長い2剤目の抗てんかん薬が適応となる。

長時間作用型の薬剤のうちどれが望ましいかを示したコンセンサスまたはエビデンスに基づくガイドラインは存在しない。専門医の多くが以下のいずれかを使用している:

  • ホスフェニトイン15~20 PE(フェニトイン当量)/kgを100~150 PE/分で静注

  • フェニトイン15~20mg/kgを50mg/分で静注

ホスフェニトインの用量は,フェニトイン当量(PE)で示される:ホスフェニトイン1.5mgはフェニトイン1mgと同等である。

これらの薬剤を使用した後も発作が持続する場合は,追加でホスフェニトイン5~10 PE/kgまたはフェニトイン5~10mg/kgの投与が可能である。

代替の抗てんかん薬としては以下のものがある:

  • バルプロ酸20~40mg/kg(負荷量)を30分かけて静注後,4~8mg/kgを経口で1日3回

  • レベチラセタム1500~3000mgを25分かけて静注後,1500mgを経口で1日2回

静脈ラインが確保できない場合は,ホスフェニトインの筋注やベンゾジアゼピン系薬剤の舌下または経直腸投与などが選択肢となる。

ロラゼパムおよびフェニトイン(または第2選択の別の抗てんかん薬)の使用後も持続する発作は,難治性てんかん重積状態と定義される。

3剤目の抗てんかん薬に関する推奨は一様でなく,フェノバルビタール,プロポフォール,ミダゾラム,レベチラセタム,バルプロ酸などがある。フェノバルビタールの用量は,まず15~20mg/kgを100mg/分(小児では3mg/kg/分)で静注し,発作が続く場合はさらに5~10mg/kgの投与が必要となる。バルプロ酸20~40mg/kg,静注の負荷投与が代替法である。

この時点で,てんかん重積状態が頓挫していない場合は,挿管および全身麻酔が必要である。至適な麻酔薬については議論があるが,多くの医師は,プロポフォール1~2mg/kgを100mg/分または,ペントバルビタール5~8mg/kg(負荷量)の投与に続いて2~4mg/kg/時での点滴を脳波で発作活動が抑制されるまで行っている。脳波検査を繰り返して再評価できるように,点滴は24時間以上継続してから停止するべきである。吸入麻酔薬はまれにしか使用されない。

初期治療後には,てんかん重積状態の原因を同定して治療しなければならない。

外傷後てんかん

頭部外傷により有意な構造的損傷(例,大きな挫傷または血腫,脳の裂創,頭蓋骨陥没骨折)が生じている場合,またはグラスゴーコーマスケール(Glasgow Coma Scale:GCS)が10未満の場合は,発作を予防するために薬剤を投与する。それらの薬剤は,受傷後1週間は発作のリスクを軽減するが,数カ月後および数年後の永続的な外傷後てんかんは予防しない。発作が起こらない限り,投薬は1週間後に中止すべきである。

発作が頭部外傷の受傷から1週間以降に始まった場合は,長期の薬物治療が必要になる。

長期の薬物療法

抗てんかん薬が無期限に必要になる場合もあるが,多くの発作型(例,大半の熱性痙攣,アルコール離脱による発作,再発しない痙攣)には抗てんかん薬による治療は必要ない。

手術

約10~20%の患者は,薬物治療に反応しない難治性の発作を示し,従来のてんかん手術が適応となりうる。脳局所の切除可能な領域に発作の起源がある場合には,通常はてんかん焦点の切除により発作のコントロールが著明に改善される。焦点が側頭葉前内側部にある場合は,約60%の患者で切除により発作が生じなくなる。外科的切除後には,抗てんかん薬の服用なしに発作がなくなる患者もいるが,多くは投薬が必要であるが,用量を減らした単剤療法となりうる。

手術には広範な検査やモニタリングを必要とするため,そうした患者の治療はてんかん専門施設で行うのが最良である。

迷走神経刺激療法

ペースメーカー様の植込み型機器(迷走神経刺激装置)による左迷走神経の間欠的電気刺激は,難治性てんかん発作がみられるが,従来のてんかん手術の適応がない患者において,薬物療法の補助として用いられる。この治療は約40%の患者で焦点起始発作を50%以上減少させる。機器をプログラムしておけば,磁石を用いて機器を作動させることで,患者自身が切迫した発作を終結させることができる。

迷走神経刺激療法の有害作用としては,刺激中の声の低音化,咳嗽,嗄声などがある。合併症は最小限である。

有効性の持続期間は不明である。

脳の反応性神経刺激

反応性神経刺激(responsive neurostimulation:RNS)システムは,頭蓋内に植え込み,脳内の最大2つの発作焦点に外科的に留置したストリップ状皮質電極に接続して使用するプログラム可能な神経刺激装置である(1 治療に関する参考文献 脳起源の発作(seizure)は,大脳皮質の灰白質で発生する無秩序な異常放電のために正常な脳機能が一過性に妨げられる現象である。典型的な発作では,意識変容,異常感覚,局所的な不随意運動,または痙攣(広範囲の随意筋に生じる激しい不随意収縮)が引き起こされる。診断は臨床的に下すこともあるが,新規発症の発作では神経画像検査,臨床検査,および脳波... さらに読む )。システムがてんかん様活動を検出すると,発作が起きる前にてんかん様活動を阻害するために発作焦点を直接刺激する。内科的治療に抵抗性を示す焦点起始発作があり,従来のてんかん手術の適応がない成人において,発作の頻度を減らすための補助的な外科療法となっている。

治療に関する参考文献

  • 1.Bergey GK, Morrell MJ, Mizrahi EM et al: Long-term treatment with responsive brain stimulation in adults with refractory partial seizures.Neurology 84:810–817, 2015.doi: 10.1212/WNL.0000000000001280.

  • 2.Geller EB, Skarpaas TL, Gross RE, et al: Brain-responsive neurostimulation in patients with medically intractable mesial temporal lobe epilepsy.Epilepsia 58 (6):994–1004, 2017.doi: 10.1111/epi.13740.

要点

  • てんかんの一般的な原因としては,2歳未満の小児では先天異常,分娩損傷,発育障害,および代謝性疾患,2~14歳の小児では特発性,成人では頭部外傷,アルコール離脱,腫瘍,脳卒中,および不明(50%),高齢者では腫瘍および脳卒中などがある。

  • 意識消失を来した患者に咬舌,失禁(例,衣服への尿や便の付着),または長時間の錯乱がみられる場合は,意識消失はてんかんによって引き起こされた可能性が高い。

  • 可能性のある原因の徴候(例,発熱,項部硬直,局所の神経脱落症状,神経筋の易刺激性および反射亢進,乳頭浮腫)について発作を起こした患者を評価し,その結果に従って検査を行う。

  • 新規発症または原因不明の発作がみられた患者には,全例で神経画像,脳波,および血液検査による評価を行う。

  • 発作の誘因を回避または最小化する方法と発作時の合併症リスクを低下させる方法(例,単独で運転や水泳をしない)を患者に説明する。

  • 抗てんかん薬が無期限に必要になる場合もあるが,多くの発作型(例,大半の熱性痙攣,アルコール離脱による発作,再発しない痙攣)には抗てんかん薬による治療は必要ない。

  • 2剤以上の抗てんかん薬を治療域で投与しても発作がコントロールできない場合は,手術を考慮する。

  • 内科的治療に抵抗性を示す発作があり,脳神経外科手術の適応がない患者では,迷走神経刺激または反応性神経刺激(RNS)システムを考慮する。

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