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良性骨腫瘍および骨嚢胞

執筆者:

Michael J. Joyce

, MD, Cleveland Clinic Lerner School of Medicine at Case Western Reserve University;


Hakan Ilaslan

, MD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University

最終査読/改訂年月 2017年 2月
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骨と関節の腫瘍の概要も参照のこと。)

単房性骨嚢胞

単房性の単純性骨嚢胞は長管骨に発生し,小児において骨端の成長板の遠位部から始まる。骨皮質が菲薄化してその部位に隆起骨折様(buckle-like)の病的骨折が起こりやすくなり,通常はそれにより本症が認識される。通常は単純X線で診断につながる。単房性の単純性骨嚢胞は,典型的には反応性の硬化も拡張性の骨皮質も伴わない境界明瞭な病変として現れる。小さい嚢胞はときに無治療でも治癒する。小さな嚢胞を通る転位のない骨折は,治癒を刺激する可能性がある。大きな嚢胞には(特に小児で)掻爬および骨移植が必要となることがあるが,多くはコルチコステロイド,脱灰骨基質,または人工の骨代替材料の注射に反応する。反応は多様である可能性があり,複数回の注射が必要となることがある。治療を行っても,嚢胞は約10~15%の患者で残存する。

動脈瘤様骨嚢胞(腫)

動脈瘤様骨嚢胞(腫)は,通常25歳より前に発生する特発性の拡張性病変である。この嚢胞性の病変は通常長管骨の骨幹端部に発生するが,ほぼあらゆる骨が侵されうる。緩徐に発育する傾向がある。骨膜の新しい骨殻が拡張性病変の周囲に形成され,元の骨よりも幅が広いことが多い。痛みおよび腫脹がよくみられる。診断されるまでに病変が数週間から1年間存在することがある。

X線像がしばしば特徴的である:菲薄化した部位は通常,境界明瞭で偏心性である;骨膜が(風船状に)膨隆し軟部組織に進展しており,骨新生によって取り囲まれていることがある。MRIでは典型的に液面形成(fluid-fluid level)を示す。画像検査で,一部の動脈瘤様骨嚢胞(腫)様の病変が骨肉腫に類似した特徴を伴ってより不穏にみえることがあり,その場合は血管拡張型骨肉腫を疑うべきである。

病変全体の外科的切除が最も効果的な治療法である;ときに不完全な切除の後に退縮が起こる。放射線は,ときに肉腫が生じるので,できれば避けるべきである。しかし,脊髄を圧迫している外科的には完全に到達不可能な脊椎骨病変においては,放射線が第1選択の治療法である場合がある。

線維性骨異形成

線維性骨異形成では小児期に異常な骨形成がみられる。単一またはいくつかの骨を侵しうる。多数の線維性骨異形成,皮膚色素沈着,および内分泌異常がみられることがある(Albright症候群またはMcCune-Albright症候群)。線維性骨異形成の異常な骨病変は,一般に思春期に発生しなくなる。線維性骨異形成はまれに悪性化する。

X線上では病変が嚢胞性にみえることがあり,拡張性で変形を生じることがある。画像検査では病変は典型的なすりガラス陰影を示す。

ビスホスホネート系薬剤が疼痛の緩和に役立つことがある。進行性の変形,固定で治癒しない骨折,または難治性の痛みは,外科的に効果的に治療しうる。

骨軟骨腫

骨軟骨腫(骨軟骨性外骨腫)は最も一般的な良性骨腫瘍であり,あらゆる骨から発生する可能性があるが,長管骨の骨端付近に生じる傾向がある。ほとんどの場合10~20歳で発症し,単発性または多発性の場合がある。多発性骨軟骨腫は家族性の傾向がある。二次性で悪性の軟骨肉腫が単発性骨軟骨腫の患者で発生する率は1%をはるかに下回るが,多発性骨軟骨腫の患者では約10%で発生する。遺伝性の多発性骨軟骨腫の患者は,単発性骨軟骨腫の患者に比べ腫瘍が多く,軟骨肉腫を発症する可能性が高い。骨軟骨腫はまれに罹患骨の骨折を引き起こす。

画像検査では,病変は軟骨帽(通常2cm未満)を伴う骨表面からの骨の突出として認められ,突出部の下には基礎をなす骨皮質がみられない。髄腔は外骨腫の付け根と連続している。髄腔と外骨腫は融合しており,外骨腫の付け根には基礎をなす真の骨皮質はない。ときに,痛みを伴う滑液包が軟骨帽上に生じる。

腫瘍が大きな神経を圧迫している場合,痛みを引き起こす場合(特に筋肉に影響し炎症性の滑液包を形成する場合),成長を阻害する場合,または画像検査で悪性の軟骨肉腫への変化を示唆する破壊像,軟部組織の腫瘤,もしくは肥厚した軟骨帽(2cm超)を認める場合は,切除が必要である。拡大しつつある腫瘍が成人にある場合は軟骨肉腫および考えられる切除または生検の必要性を考慮すべきである。

内軟骨腫

内軟骨腫は年齢を問わず起こる可能性があるが,10歳から40歳の間に発症する傾向がある。通常は髄質骨内の骨幹端-骨幹部分に位置する。この腫瘍は通常無症状であるが,大きくなり痛みを生じることもある。別の理由でX線撮影が行われた際に偶然見つかることが多い。骨膜性軟骨腫は,骨の表面に生じる類似の軟骨病変である。

X線上では,腫瘍が骨内の分葉状の石灰化領域として現れる;一部の病変では石灰化が少なく,単純X線写真またはCT上のいずれかで点状の石灰化領域を伴う。骨皮質に隣接する場合,内軟骨腫は小さなendosteal scallopingを呈する。ほとんど全ての内軟骨腫は骨シンチグラフィー上で集積亢進を示すため,誤って癌の懸念が生じる。X線所見が(MRIおよびCTを含め)診断に有用なことがある;そうでない場合,および特に腫瘍(関連する関節ではなく)が痛みを伴う場合は,生検によって内軟骨腫の診断を確定すべきである。骨痛を関節痛と区別するのを助けるため,関節に注射することがある(通常は長時間作用型の麻酔薬[例,ブピバカイン]による);痛みが持続すれば,痛みは骨病変に起因する可能性がある。

無症状の内軟骨腫は生検も切除も,またはその他の治療(通常は掻爬)も必要としないが,軟骨肉腫へのまれな進行を除外するために画像検査によるフォローアップが適応となる。そのような検査を,6カ月後および1年後にもう1回,または症状が生じればいつでも行う。

多発性内軟骨腫(Ollier病)の患者および特に軟部組織の血管腫を伴う多発性内軟骨腫症(Maffucci症候群)の患者は,はるかに高い軟骨肉腫のリスクを有する。

軟骨芽細胞腫

軟骨芽細胞腫はまれであり,10~20歳で最も多く発生する。この腫瘍は骨端に発生し,増殖を続けて骨および関節を破壊することがある。

画像検査では,点状の石灰化を含む硬化性の境界がある嚢胞として現れる。MRIで認められる病変周囲の著明な浮腫が診断に役立つことがある。

腫瘍は掻爬により外科的に除去する必要があり,掻爬後の空洞には骨移植の必要がある。局所再発率は約10~20%であり,再発病変は再度の骨掻爬および骨移植で消失することが多い。

軟骨粘液線維腫

軟骨粘液線維腫は非常にまれであり,通常は30歳より前に発生する。

画像検査上の所見(通常は偏心性の境界明瞭な融解像を示し,長管骨の骨端付近に位置する)により軟骨粘液線維腫の診断が示唆される。

生検後の軟骨粘液線維腫の治療は外科的切除または掻爬である。

類骨骨腫

類骨骨腫は若年者(一般的に10~35歳)に発生する傾向があり,あらゆる骨に発生しうるが,長管骨で最も多い。類骨骨腫は痛みを引き起こしうる(プロスタグランジンを介した夜間の炎症の増加を反映して,通常は夜間に増悪)。痛みは典型的に,プロスタグランジンを標的とする弱い鎮痛薬(特にアスピリンまたは他のNSAID)によって緩和する。成長過程の小児では,炎症反応およびそれに伴う充血が,開いている成長板に近い場合,過成長および肢長差を引き起こすことがある。痛みにより筋肉を使わなくなるため,身体診察で局所筋肉の萎縮が明らかになることがある。

画像検査上で特徴的な所見は,より大きな硬化領域に囲まれた小さな透亮帯である。腫瘍が疑われる場合,テクネチウム99mによる骨シンチグラフィーを行うべきである;類骨骨腫は高集積領域として現れる。精細な画像シーケンスによるCTも行うが,これは病変の識別に最も有用である。

経皮的ラジオ波焼灼術で小さな透亮帯を除去すると,ほとんどの例で永久的な軽快が得られる。ほとんどの類骨骨腫は,筋骨格系を専門とするIVR専門医が経皮的手技および麻酔を用いて治療する。頻度は低いが,類骨骨腫は外科的に掻爬または切除することもある。類骨骨腫が神経の近くにあるまたは皮膚に近接する場合(例,脊椎,手,足),ラジオ波焼灼術によって生じる熱が損傷を与える可能性があるため外科的切除の方が望ましいことがある。

骨芽細胞腫

骨芽細胞腫はまれな良性腫瘍であり,組織学的に類骨骨腫のものと類似した組織から成る。一部の専門医は,単純に大きな類骨骨腫(2cm超)とみなしている。骨芽細胞腫は男性ではるかに多くみられ,典型的には10~35歳で発生する。脊椎,下肢,手,および足の骨に生じる。緩徐に増殖する腫瘍であり,正常な骨を破壊する。この腫瘍は痛みを伴う。

Imaging is with plain films, CT, and MRI. 骨芽細胞腫の正確な診断を下すには,生検が必要である。

骨芽細胞腫の治療には手術のほか,しばしば掻爬および骨移植が必要である。病変内の掻爬によって治療された病変における局所再発率は,10~20%にも上る可能性がある。より侵襲性が高そうな病変は,外科的な一括切除および骨再建術により治療する。aggressive osteoblastomaと呼ばれる変種は,X線上においても組織学的にも骨肉腫に類似している。

非骨化性線維腫(線維性骨皮質欠損,線維黄色腫)

非骨化性線維腫は,X線上で境界明瞭な透明の骨皮質欠損として現れる骨の良性線維性病変である。非常に小さい非骨化性線維腫を線維性骨皮質欠損と呼ぶ。これらの病変は,正常なら骨化する骨の一部が代わりに線維組織で満たされる,発育上の障害である。骨幹端を侵すことが多く,最も侵されることが多い部位は,順に,大腿骨遠位部,脛骨遠位部,および脛骨近位部である。次第に大きくなり多房化する。非骨化性線維腫は小児でよくみられる。ほとんどの病変は最終的に骨化しリモデリングされ,しばしば高密度で硬化性の領域となる。しかし,一部の病変は拡大する。

小さい非骨化性線維腫は無症状である。しかし,骨の直径の50%近くを侵している病変は痛みを引き起こす傾向があり,病的骨折のリスクが増す。

非骨化性線維腫は概して,画像検査で初めて偶然発見される(例,外傷後)。典型的にはX線透過性,単独,直径2cm未満であり,骨皮質に境界明瞭な硬化性の境界を伴う細長い透亮像が認められる。非骨化性線維腫はまた多房性のこともある。

小さい非骨化性線維腫は治療を必要とせず,フォローアップの必要性も限られている。痛みを引き起こすまたは骨の直径の50%に近い病変は,病変を介する病的骨折のリスクを減らすために,掻爬および骨移植を必要とすることがある。

良性骨巨細胞腫

良性骨巨細胞腫は20代および30代で最も多く発生し,骨端に生じる。この腫瘍は局所浸潤性であると考えられている。拡大を続け骨を破壊する傾向があり,最終的には残った骨を浸食し軟部組織に進展することがある。痛みを引き起こすことがある。この腫瘍はその再発の傾向でよく知られている。骨巨細胞腫はまれに,たとえ組織学的に良性のままであっても,肺に転移することがある。

良性骨巨細胞腫は,画像検査上で拡張性の融解性病変として現れる。画像検査では,腫瘍が途切れて正常な骨梁骨が始まる所に,硬化性の縁がない境界がある。骨巨細胞腫は肺に転移することがあるため,最初の病期診断の一環として胸部CTを行う。

ほとんどの良性骨巨細胞腫は,掻爬およびメチルメタクリレートの充填により,または骨移植により治療する。再発率を減らすために,外科医は温熱(メチルメタクリレートの硬化により供給される)などの補助を用いる,または腫瘍をフェノールで化学的に処理するもしくは液体窒素で凍結することを好むことが多い。腫瘍が非常に大きく,関節を破壊する場合は,関節再建を伴う完全切除が必要になることがある。RANKL(receptor activator of nuclear factor κβ ligand)を阻害するモノクローナル抗体であるデノスマブは,良性骨巨細胞腫のうち,手術不能の可能性がある大きな腫瘍の治療に使用されることがある(巨細胞腫の写真[CT]を参照のこと)。

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