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関節リウマチ(RA)

執筆者:

Apostolos Kontzias

, MD, Stony Brook University School of Medicine

最終査読/改訂年月 2017年 2月
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関節リウマチ(RA)は,主に関節を侵す慢性の全身性自己免疫疾患である。RAは,サイトカイン,ケモカイン,およびメタロプロテアーゼを介した損傷を引き起こす。特徴として,末梢関節(例,手関節,中手指節関節)に対称性に炎症が生じ,結果として関節構造が進行性に破壊される(通常は全身症状を伴う)。診断は特異的な臨床所見,臨床検査結果,および画像所見に基づく。治療としては,薬物療法,理学療法,およびときに手術を行う。疾患修飾性抗リウマチ薬は症状のコントロールおよび疾患の進行を遅らせるのに有用である。

RAは人口の約1%に発生する。女性で発生する頻度が男性の2~3倍高い。年齢を問わず発症する可能性があり,35歳から50歳が最も多いが,小児期(若年性特発性関節炎を参照のこと)または高齢期でも発症することがある。

病因

RAでは自己免疫反応がみられるが,正確な原因は不明である;多くの因子が寄与している可能性がある。遺伝的素因が同定されており,白人の集団ではクラスII組織適合性抗原のHLA-DRβ1座のshared epitopeにあることがわかっている。未知または未確定の環境因子(例,ウイルス感染,喫煙)が関節の炎症の誘発および維持に寄与していると考えられている。

病態生理

顕著な免疫学的異常として,炎症を起こした血管で滑膜表層細胞により産生される免疫複合体がある。形質細胞がそのような複合体の一因となる抗体(例,リウマトイド因子[RF],抗環状シトルリン化ペプチド[抗CCP]抗体)を産生するが,破壊性関節炎はそれらの抗体がなくても起こることがある。マクロファージもまた,初期に患部の関節滑膜に遊走する;マクロファージ由来の表層細胞の増加が血管の炎症とともに顕著にみられる。滑膜組織に浸潤するリンパ球は主にCD4陽性T細胞である。マクロファージおよびリンパ球は,関節滑膜で炎症性のサイトカインおよびケモカイン(例,TNF-α,顆粒球マクロファージコロニー刺激因子[GM-CSF],多種のインターロイキン,インターフェロンγ)を産生する。放出された炎症メディエータおよび様々な酵素が,RAの全身症状ならびに関節症状(軟骨破壊,骨破壊など)の一因となる。

血清反応陽性のRAでは,炎症の何らかの徴候が現れるよりもかなり前から抗CCP抗体が現れることを示唆するエビデンスが増えつつある(1)。加えて,抗カルバミル化タンパク(抗CarP)抗体(2)がみられる場合,抗CCP陰性のRA患者において画像所見の進行が予測される。前臨床段階からRAへ進行する過程は,自己抗体のエピトープ拡大(epitope spreading)に依存する(3)。

慢性的に侵された関節では,正常では薄い関節滑膜が増殖して肥厚し,多くの絨毛様のヒダを生じる。滑膜表層細胞は様々な物質を産生するが,それらには軟骨の破壊に寄与するコラゲナーゼおよびストロメライシンや,軟骨破壊,破骨細胞を介した骨吸収,滑膜の炎症,およびプロスタグランジン産生(炎症を増強する)を刺激するIL-1およびTNF-αなどがある。フィブリン沈着,線維化,および壊死もみられる。過形成の滑膜組織(パンヌス)は,軟骨,軟骨下骨,関節包,および靱帯を浸食するこれらの炎症メディエータを放出する。多形核白血球(PMN)が,平均で滑液中の白血球の約60%を占める。

リウマチ結節がRA患者の約30%に生じる。リウマチ結節は,柵状に配列する組織球性のマクロファージに囲まれた中央の壊死部からなる肉芽腫であり,全体がリンパ球,形質細胞,および線維芽細胞に包まれている。結節および血管炎が内臓器官に発生することもある。

病態生理に関する参考文献

症状と徴候

関節リウマチの発症は通常潜行性であり,全身症状および関節症状から始まることが多い。全身症状としては,罹患関節の朝のこわばり,全身性の午後の疲労および倦怠感,食欲不振,全身の筋力低下などのほか,ときに微熱がみられる。関節症状としては,痛み,腫脹,こわばりなどがある。ときに,本症は突然に発症し,急性ウイルス症候群に類似する。

RAは最初の6年間(特に1年目)で最も急速に進行し,患者の80%に10年以内に何らかの永続的な関節異常が生じる。個々の患者における経過は予測できない。

関節症状は対称性であることが特徴的である。典型的にはこわばりは朝の起床後に60分間を超えて続くが,長時間活動せずにいた後に生じることもある(ゲル化[gelling]と呼ばれる)。罹患関節は圧痛を感ずるようになり,紅斑,熱感,腫脹,および運動制限を伴う。主に侵される関節として以下が挙げられる:

  • 手関節ならびに示指および中指の中手指節関節(最もよく侵される)

  • 近位指節間関節

  • 中足趾節関節

  • 肩関節

  • 肘関節

  • 股関節

  • 膝関節

  • 足関節

しかし,まれである遠位指節間(DIP)関節を除いて,事実上あらゆる関節が侵される可能性がある。体幹骨は上位頸椎を除いて侵されることはまれである。滑膜の肥厚が認められる。関節包の膨隆に起因する痛みを最小限に抑えるために,しばしば関節が屈曲位で保たれる。

固定化した変形,特に屈曲拘縮が急速に生じることがある;中手指節関節からの伸筋腱の尺側への滑脱を伴う指の尺側偏位が典型的であり,スワンネック変形およびボタン穴変形も同様に典型的である( ボタン穴変形およびスワンネック変形)。関節包の伸張による関節の不安定性も起こることがある。正中神経を圧迫する手関節の滑膜炎に起因して手根管症候群が生じることがある。膝窩嚢胞(ベーカー嚢胞)が発生することがあり,それにより深部静脈血栓症を示唆する腓腹部の腫脹および圧痛が生じる。

ボタン穴変形およびスワンネック変形

ボタン穴変形およびスワンネック変形

関節外症状

皮下のリウマチ結節が,通常は初期の徴候ではないが最終的には最大30%の患者で生じ,通常は圧力および慢性的な刺激を受ける部位にみられる(例,前腕伸側,中手指節関節,後頭)。重症のRAでは,内臓の結節(例,肺結節)が生じるが,通常は無症状である。RAの肺結節は,生検を行わなければ他の病因による肺結節と鑑別できない。

他の関節外徴候には,下肢潰瘍または多発性単神経炎を引き起こす血管炎,胸水または心嚢液,肺浸潤または肺線維化,心膜炎,心筋炎,リンパ節腫脹,フェルティ症候群,シェーグレン症候群,強膜軟化症,および上強膜炎などがある。頸椎が侵されることにより,環軸関節亜脱臼および脊髄圧迫が起こることがある;亜脱臼は頸部の伸展(例,気管挿管中)で悪化することがある。重要なこととして,頸椎の不安定性は無症状であることがほとんどである。

診断

  • 臨床基準

  • 血清中のリウマトイド因子(RF),抗CCP抗体,および赤沈またはC反応性タンパク(CRP)

  • X線

多関節性で対称性の関節炎がある患者ではRAを疑うべきである(特に手関節ならびに第2および第3中手指節関節が侵されている場合)。分類基準は,RAの診断確定の指針となり,研究目的における標準化治療集団の定義に役立つ。基準には,RF,抗CCP抗体,および赤沈またはCRPの臨床検査結果が含まれる(関節リウマチの分類基準*を参照のこと)。対称性の多関節炎の他の原因(特にC型肝炎)を除外する必要がある。将来のびらん性変化を証明するため,血清RF検査を行い,手および手関節のX線像,ならびに罹患関節のベースラインのX線像を撮影すべきである。顕著な腰椎の症状がある患者では,他の診断を検索すべきである。

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関節リウマチの分類基準*

所見

スコア

評価を行うための基準:

  • 明確な臨床的滑膜炎(腫脹)がある関節が少なくとも1つ

  • 他の疾患ではよりよく説明がつかない滑膜炎

RAの分類基準は,スコアに基づくアルゴリズムである。カテゴリーAからDのスコアを加算する;definite RAに罹患していると分類するためには6以上(最大で合計10)のスコアが必要である*。

A. 関節病変

1カ所の大関節

0

2~10カ所の大関節

1

1~3カ所の小関節§(大関節の病変の有無を問わない)

2

4~10カ所の小関節(大関節の病変の有無を問わない)

3

10カ所を超える関節(少なくとも小関節が1カ所)

5

B. 血清学的検査(分類には少なくとも1種類の検査結果が必要)

RF陰性かつ抗CCP抗体陰性

0

RF弱陽性または抗CCP抗体弱陽性

2

RF強陽性または抗CCP抗体強陽性

3

C. 急性期反応物質(分類には少なくとも1種類の検査結果が必要)

CRP正常かつ赤沈正常

0

CRP異常または赤沈異常

1

D. 症状の持続期間(患者の報告に基づく)

6週間未満

0

6週間以上

1

*スコアが6未満の患者を再評価してもよい;時間の経過につれて累積的にRAの基準を満たす可能性がある。

遠位指節間関節,第1手根中手関節,および第1中足趾節関節は評価から除外する。

大関節とは,肩関節,肘関節,股関節,膝関節,および足関節のことである。

§小関節とは,中手指節関節,近位指節間関節,第2から第5中足趾節関節,母指の指節間関節,および手関節のことである。

この関節には他で特に挙げていないその他の関節を含めてもよい(例,顎関節,肩鎖関節,胸鎖関節)。

抗CCP抗体 = 抗シトルリン化タンパク抗体;CRP = C反応性タンパク;RF = リウマトイド因子。

Adapted from Aletaha D, Neogi T, Silman AJ, et al: 2010 Rheumatoid arthritis classification criteria: An American College of Rheumatology/European League Against Rheumatism collaborative initiative. Arthritis Rheum 62 (9):2569–2581, 2010.

RF(ヒトガンマグロブリンに対する抗体)がRA患者の約70%で認められる。しかしRFは,しばしば低抗体価だが(値は検査施設間で異なることがある),他の疾患の患者に生じ,それらの疾患には,他の結合組織病(例,SLE),肉芽腫性疾患,慢性感染症(例,ウイルス性肝炎,細菌性心内膜炎,結核),および癌が含まれる。低抗体価のRFは,一般集団の3%および高齢者の20%にもみられる。非常に高い抗体価のRFは,C型肝炎患者およびときに他の慢性感染症患者にみられる。ラテックス凝集法で測定したRFの抗体価1:80を超える場合または抗CCP抗体検査が陽性の場合,適切な臨床状況下でRAの診断が裏付けられるが,他の原因を除外する必要がある。

抗CCP抗体はRAに対して特異度(90%)および感度(約77~86%)が高く,RFと同様,予後不良が予測される。RFおよび抗CCP抗体の値は疾患活動性によって変動することはない。C型肝炎患者ではRF抗体価が陽性となる可能性があるが,抗CCP抗体は認められないことが特徴である。

X線では,罹患後最初の数カ月間は軟部組織の腫脹しか示されない。その後,関節周囲の骨粗鬆症,関節裂隙(関節軟骨)の狭小化,および辺縁のびらんがみえるようになることがある。びらんは最初の1年以内に発生することが多いが,いつでも生じる可能性がある。MRIはより感度が高いようであり,より早期の関節の炎症およびびらんが検出される。さらに,膝関節周囲における軟骨下骨の異常信号(例,骨髄病変,骨髄浮腫)は進行性の症例であることを示唆する。

RAが診断されれば,合併症および予想外の異常の検出に追加の検査が有用である。血算および白血球分画を行うべきである。正色素性(またはわずかに低色素性)正球性貧血が80%で生じ,Hbは通常10g/dLを超える。Hbが10g/dL以下であれば,鉄欠乏またはその他の貧血の原因の併存を考慮すべきである。好中球減少が症例の1~2%に起こり,しばしば脾腫を伴う(フェルティ症候群)。急性期反応物質(例,血小板増多症,赤沈亢進,CRP高値)は疾患活動性を反映する。軽度の多クローン性高ガンマグロブリン血症がしばしば生じる。活動期の患者の90%で赤沈が亢進する。

妥当性が確認された疾患活動性の尺度には,Rheumatoid Arthritis Disease Activity Score DAS-28およびRheumatoid Arthritis Clinical Disease Activity Indexなどがある。

新たに生じた液貯留については,他の疾患を除外するため,およびRAを他の炎症性関節炎(例,化膿性関節炎および結晶誘発性関節炎)と鑑別するために滑液の検査が必要である。RAでは,活動性の関節の炎症の間,滑液は混濁し,黄色,無菌であり,白血球数は通常10,000~50,000/μLである;PMNが一般的に優勢であるが,リンパ球および他の単核球が50%を超えることがある。結晶はみられない。

鑑別診断

以下のような多くの疾患がRAに類似することがある:

RFは非特異的である可能性があり,いくつかの自己免疫疾患でしばしばみられる;RAに対しては抗CCP抗体の存在がより特異的である。例えばC型肝炎は,臨床的にRAに類似しRF陽性である関節炎を伴うことがあるが,抗CCP抗体は陰性である。

一部の結晶誘発性関節炎患者がRAの基準を満たすことがあるが,滑液の検査で診断が明確になるはずである。結晶があればRAである可能性は低い。関節障害および皮下結節は,RAだけでなく,痛風,コレステロール,およびアミロイドーシスによっても起こることがあり,結節の吸引または生検がときに必要になることがある。

SLEは通常,露光部の皮膚病変,脱毛,口腔および鼻の粘膜病変がみられること;長期の関節炎であっても関節のびらんがないこと;関節滑液の白血球数がしばしば2000/μL未満(主に単核球)であること;二本鎖DNAに対する抗体,腎疾患,および血清低補体価を認めることにより,鑑別可能である。RAと対照的に,SLEにおける変形は通常は整復可能であり,画像検査でびらんおよび骨または軟骨の損傷がない。

RAに類似する関節炎は,他のリウマチ性疾患(例,多発動脈炎全身性強皮症皮膚筋炎,または多発性筋炎)でも起こることがあり,また複数の疾患の特徴がみられる場合もある(オーバーラップ症候群または混合性結合組織病を示唆する)。

サルコイドーシスホイップル病,多中心性細網組織球症,およびその他の全身性疾患が関節を侵すことがあり,その他の臨床的特徴および組織生検がときにこれらの病態の鑑別に役立つ。急性リウマチ熱では,関節障害の移動性パターンおよび先行するレンサ球菌感染の所見(培養所見または抗ストレプトリジンO抗体価の変動)がみられる;対照的に,RAでは時間の経過につれて侵される関節が増える傾向がある。

反応性関節炎は,先行する消化管症状または泌尿器症状;非対称性の障害ならびに踵のアキレス腱付着部,仙腸関節,および下肢大関節の疼痛;結膜炎;虹彩炎;頬部の無痛の潰瘍;連環状亀頭炎;または足底およびその他の部位の膿漏性角化症(keratoderma blennorrhagicum)によって鑑別できる。

乾癬性関節炎は非対称性の傾向があり,通常はRFがみられないが,爪または皮膚の病変がない状況では鑑別が困難なことがある。DIP関節の障害および高度に破壊性の関節炎(ムチランス型関節炎)は乾癬性関節炎を強く示唆し,また広範囲に腫れた(ソーセージ)指がみられる場合も同様である。

強直性脊椎炎は,脊椎と身体中心部の関節に障害があること,皮下結節がないこと,およびRF検査が陰性であることによって鑑別できる。HLA-B27アレルが強直性脊椎炎患者の90%で認められる。

変形性関節症は,障害がある関節;リウマチ結節,全身症状,または多量のRFがないこと;および滑液の白血球数が2000/μL未満であることによって鑑別できる。手の変形性関節症では,遠位指節間関節,母指のつけ根,および近位指節間関節が最も一般的に侵され,中手指節関節は侵されることがあるが,一般的に手関節は侵されない。RAではDIP関節は侵されない。

予後

RAによって期待余命が3~7年短縮し,ほとんどの超過死亡を心疾患,感染症,および消化管出血が占める;薬物療法,悪性腫瘍,および基礎疾患が原因である場合もある。全てのRA患者で,心血管疾患のリスクを低下させるために疾患活動性をコントロールすべきである。(European League Against Rheumatism[EULAR]によるRA患者および他の形態の炎症性関節疾患患者における心血管疾患のリスク管理に関する推奨も参照のこと。)

患者の少なくとも10%が,十分な治療にもかかわらず最終的に重度の身体障害に陥る。白人および女性は予後がより不良であり,また皮下結節,高齢での発症,20カ所以上の関節の炎症,早期のびらん,喫煙,赤沈亢進,およびRFまたは抗CCP抗体の高値がある患者も同様である。

治療

  • 支持療法(例,禁煙,栄養,安静,理学療法,鎮痛薬)

  • 疾患の進行を抑える薬剤

  • 鎮痛のため必要に応じてNSAID

RAの治療は,安静と運動のバランス調整,十分な栄養補給,理学療法,および薬剤投与のほか,ときに手術による。(American College of Rheumatology's 2015 guidelines for the treatment of rheumatoid arthritisおよびEuropean League Against Rheumatism's 2013 update EULAR Recommendations for the Management of Rheumatoid Arthritis with Synthetic and Biological Disease-Modifying Antirheumatic Drugsも参照のこと。)

生活習慣対策

たとえ短期間にせよ完全な床上安静が適応となることはまれであるが,適切な安静を含むプログラムを推奨すべきである。

栄養に富んだ普通の食事が適切である。まれに,食品に関連した増悪がみられるが,RAを増悪させることが再現性をもって示された特定の食品はない。食品および食事のいんちき療法がよくあるが,控えさせるべきである。食事によるω-6脂肪酸(肉に含まれる)を摂取する代わりにω-3脂肪酸(魚油に含まれる)を摂取すると,炎症を起こすプロスタグランジンの産生が一過性に減少すること,およびおそらく腸内細菌叢が変化することにより,一部の患者において症状が若干緩和される。禁煙は期待余命を延長しうる。

理学療法

関節の副子固定により局所の炎症が軽減し,また重度の疼痛症状または圧迫性神経障害が緩和されることがある。関節痛および腫脹を軽減するために患部を冷やすことがある。踵および土踏まずをしっかり支える整形靴または運動靴が有用なことが多い;痛みを伴う中足趾節関節の後方(基部)に配するメタタルザルサポートにより,荷重負荷による痛みが軽減する。重度の変形に対しては,型取りをして作る靴が必要になることがある。衰弱を来すRAの患者の多くが,作業療法および自助具によって日常生活動作を行えるようになる。

耐えられる範囲で運動を続けるべきである。急性炎症がある間は,他動的関節可動域訓練が屈曲拘縮の予防に役立つ。こわばりの緩和を助けるために,温熱療法を行うことができる。熱によってこわばりおよび筋攣縮が軽減することで筋肉の機能が改善されるため,温水内で行う関節可動域訓練が有用である。しかし,炎症が鎮静化し始めた後の方が,より効果的に拘縮を予防し筋力を回復できる;筋肉量を元に戻し関節可動域を保つための自動運動(歩行および障害のある関節に対する特定の運動など)は,疲れるほど行うべきではない。屈曲拘縮には,集中的な訓練,ギプス固定,または次第に伸展させた位置にする固定(例,副子固定)が必要になることがある。パラフィン浴は指を温めて指の運動を容易にすることができる。

訓練を受けた療法士によるマッサージ,牽引,およびジアテルミーまたは超音波装置による深部温熱療法が,抗炎症薬の有用な補助的療法になることがある。

手術

薬物療法で効果がみられない場合は,手術を考慮してもよい。疾患全体および患者の希望の観点から,常に手術を考慮する必要がある。例えば,手および腕が変形していればリハビリテーション中の松葉杖の使用が制限され,膝関節および足が重度に侵されていれば股関節手術による便益が限られる。個々の患者に対する妥当な目標の設定,および機能の考慮が必要である;尺側に偏位した指を真っすぐに伸ばしても,手の機能が改善しないことがある。手術は疾患の活動期に行われることがある。

障害が大幅に機能を制限する場合には,人工関節置換術による関節形成術が適応となる;人工股関節全置換術および人工膝関節全置換術がほぼ常に成功している。人工股関節や人工膝関節は激しい活動(例,運動競技)には耐えられない。亜脱臼して痛みのある中足趾節関節の切除は,歩行を大いに助けることがある。母指の関節固定術により,つまむ動作が安定化することがある。重度の疼痛があるかまたは脊髄圧迫の可能性があるC1-2亜脱臼には,頸椎固定術が必要になることがある。関節鏡視下または直視下の滑膜切除術によって関節の炎症を軽減できるが,疾患活動性をコントロールできない限り一時的に過ぎない。

RAに対する薬剤

目標は,びらん,進行性の変形,および関節機能の喪失を予防する手段として炎症を抑えることである。疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)を早期に,しばしば組み合わせて使用する。他の薬物クラス(TNF-α阻害薬,IL-1受容体拮抗薬,IL-6阻害薬,B細胞除去抗体,T細胞共刺激分子,Janus kinase(JAK)阻害薬などの生物製剤)はRAの進行を遅延させるようである。NSAIDは,RAの疼痛に対してはある程度有用であるが,びらんも疾患の進行も予防しないため,補助的療法としてのみ使うべきである。重度の多関節の症状をコントロールするため,通常はDMARDと替える目的で,低用量のコルチコステロイド全身投与(プレドニゾン10mg未満を1日1回)を加えることがある。デポ型コルチコステロイドの関節内投与により,単関節や少関節の重度の症状をも抑えることができるが,代謝への有害作用が低用量でも生じうる。

薬剤の至適な組合せはまだ明らかでない。しかし,一部のデータは,異なるクラスの薬剤の特定の組合せ(例,メトトレキサートに加えて他のDMARD,漸減速度を速めたコルチコステロイド投与とDMARDの併用,メトトレキサートに加えてTNF-α阻害薬,またはTNF-α阻害薬に加えてDMARD)がDMARDの単剤の連続使用または複数併用よりも効果的であることを示唆している。一般的に,生物製剤は感染の頻度が増すため互いに併用して投与することはない。以下は初期治療の一例である:

  • メトトレキサート7.5mgを週1回経口投与する(葉酸1mgの1日1回経口投与を伴う)。

  • 患者が耐えることができかつ効果が十分でなければ,メトトレキサートの用量を,3~5週間の間隔を空けてから最高25mgの週1回経口投与または注射まで増量する。

  • 反応が十分でない場合は,生物製剤を追加するべきであり,あるいは,メトトレキサート,ヒドロキシクロロキン,サラゾスルファピリジンの3剤併用療法も別の選択肢である。

肝機能検査の結果と血算値を綿密にモニタリングしながら,レフルノミドをメトトレキサートの代替として使用するか,またはメトトレキサートに追加することがある。

NSAID

アスピリンは有効量でしばしば毒性を示すため,RAにはもはや使用されていない。一度に投与するNSAIDは1種類のみにすべきである( NSAIDによる関節リウマチの治療)が,325mg/日以下のアスピリンを抗血小板作用による心保護作用のために服用させる場合もある。NSAIDに対する反応が最大になるには最長で2週間かかることがあるため,用量は2週間より短い間隔で増加すべきではない。可変用量の薬剤の用量は,反応が最大になるまで,または最大用量に達するまで増量してもよい。いずれのNSAIDもRAの症状を治療し炎症を軽減するが,疾患の経過は変わらないため,補助的な使用にとどまる。

NSAIDはシクロオキシゲナーゼ(COX)酵素を阻害することにより,プロスタグランジン産生を減少させる。COX-1の制御下にある一部のプロスタグランジンは体の多くの部位で重要な作用を有する(すなわち,胃粘膜を保護し血小板粘着を阻害する)。炎症によって誘導され,COX-2によって産生されるプロスタグランジンもある。コキシブ系薬剤(例,セレコキシブ)とも呼ばれる選択的COX-2阻害薬は,非選択的NSAIDに匹敵する効力を有し消化管毒性を引き起こす可能性がわずかに低いようであるが,腎毒性を引き起こす可能性が低いということはない。セレコキシブ200mgの1日1回経口投与の心血管系に関する安全性は,非選択的NSAIDに匹敵する。最大用量のセレコキシブ(200mgを1日2回経口投与)が非選択的NSAIDと同等の心血管系リスクを有するかどうかは不明である。

以前に消化性潰瘍または消化不良があった患者にNSAIDは避けるべきであるが,おそらくコキシブ系薬剤についてはこの限りでない。全てのNSAIDについて可能性のある他の有害作用には,頭痛,錯乱および他の中枢神経系症状,血圧上昇,高血圧の悪化,浮腫,ならびに血小板機能低下などがあるが,セレコキシブには著明な血小板機能低下作用はない。NSAIDは心血管系リスクを高める( 非オピオイド鎮痛薬)。クレアチニン値が腎でのプロスタグランジンの阻害により可逆的に上昇することがあり,それほど頻繁ではないが間質性腎炎が起こることがある。アスピリンによる蕁麻疹,鼻炎,または喘息を有する患者では,これら他のNSAIDでも同様の問題を生じる可能性があるが,セレコキシブはこれらの問題を引き起こすことはない。

有害作用を軽減するため,NSAIDは可能な限り低用量で使用すべきである。

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NSAIDによる関節リウマチの治療

薬物

通常の用量(経口投与)

推奨される1日最大投与量

非選択的NSAID

ジクロフェナク

75mgを1日2回または50mgを1日3回

100mgを1日1回,徐放性製剤

150mg

エトドラク

300~500mgを1日2回

1200mg

フェノプロフェン

300~600mgを1日4回

3200mg

フルルビプロフェン

100mgを1日2回または1日3回

300mg

イブプロフェン

400~800mgを1日4回

3200mg

インドメタシン

25mgを1日3回から1日4回

75mgを1日2回,徐放性製剤

200mg

ケトプロフェン

50~75mgを1日4回

200mgを1日1回,徐放性製剤

300mg

メクロフェナム酸

50mgを1日3回または1日4回

400mg

ナブメトン

1000~2000mg/日を一括投与または分割投与

2000mg

ナプロキセン

250~500mgを1日2回

1500mg

オキサプロジン

1200mgを1日1回

1800mg

ピロキシカム

20mg,1日1回

20mg

スリンダク

150~200mgを1日2回

400mg

トルメチン

400mgを1日3回

1800mg

COX-2選択的NSAID

セレコキシブ

200mgを1日1回または1日2回

400mg

メロキシカム*

7.5mgを1日1回

15mg

*この薬剤のCOX-2に対する特異性は不明である。

COX = シクロオキシゲナーゼ。

従来の疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)

(RAの治療に使用される他の薬剤の具体的な用量の情報および有害作用については 関節リウマチの治療に使用される他の薬剤。)

DMARDはRAの進行を遅らせると考えられ,RA患者のほぼ全てに適応となる。これらは化学的にも薬理学的にも互いに異なる。効果を発揮するには数週間または数カ月かかるものが多い。約3分の2の患者に全般的な改善がみられ,完全寛解がより多くみられるようになってきている。DMARDの多くは画像検査上で損傷の軽減の所見をもたらす(おそらく疾患活動性の低下を反映している)。患者にはDMARDのリスクを十分に知らせ,毒性の所見がないか綿密なモニタリングを行うべきである。

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関節リウマチの治療に使用される他の薬剤

薬物

用量

有害作用

従来の疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)

ヒドロキシクロロキン

5mg/kgを1日1回(例,朝食または夕食と一緒に)または2回に分割して投与(例,2.5mg/kg,12時間毎)

改善がみられる場合,効果がある限り200~400mgを1日1回投与

通常は軽度の皮膚炎

ミオパチー

角膜混濁(一般的に可逆的)

ときに不可逆的な網膜変性

レフルノミド

20mgを1日1回経口投与,または有害作用が生じる場合10mgを1日1回に減量

皮膚反応

肝機能障害

脱毛

下痢

メトトレキサート

週1回の単回経口投与,7.5mgで開始して最大25mgまで必要に応じて漸増

生物学的利用能の確保には,週当たり20mgを超える用量の皮下投与が最良

肝線維化(用量依存性,可逆的であることが多い)

悪心

骨髄抑制の可能性がある

口内炎

まれに肺炎(致死的となる可能性がある)

サラゾスルファピリジン*

夜500mgを経口投与,朝500mgと夜1000mgに増量,その後1000~1500mgを1日2回に増量

骨髄抑制

胃症状

好中球減少

溶血

肝炎

コルチコステロイド,関節内注射

酢酸メチルプレドニゾロン

関節によって異なる

長期使用で:まれに注射部位に感染

トリアムシノロンアセトニド

関節によって異なる

triamcinolone hexacetonide

10~40mg,関節によって異なる

コルチコステロイド,全身投与

プレドニゾン

プレドニゾロン

1日1回経口投与,用量が7.5mgを超えないように試みるべきである(重度の全身症状がみられる患者を除く)

長期使用で:

  • 体重増加

  • 糖尿病

  • 高血圧

  • 骨粗鬆症

免疫調節薬,細胞傷害性薬剤,または免疫抑制薬

アザチオプリン

1mg/kg(50~100mg)を1日1回または1日2回経口投与,6~8週間後に0.5mg/kg/日を増量,その後4週毎に最大2.5mg/kg/日まで増量

肝毒性

骨髄抑制

悪性腫瘍(例,リンパ腫,非黒色腫皮膚癌[nonmelanoma skin cancer])のリスク増加の可能性がある

シクロスポリンで,腎機能障害,高血圧,および糖尿病リスク

シクロスポリン(免疫調節薬)

50mgを1日2回経口投与,1.75mg/kgを超えない用量を1日2回経口投与

生物製剤

アバタセプト

体重60kg未満の患者に対し500mg,体重60~100kgの患者に対し750mg,体重が100kgを超える患者に対し1gを静脈内投与

または

125mg,週1回皮下投与

肺毒性

易感染性

頭痛

上気道感染(URI)

咽頭痛

悪心

リツキシマブ

ベースライン時および2週後に1gを静脈内投与(リツキシマブの各投与の際に,過敏反応を予防するためにメチルプレドニゾロン60~125mgを静脈内投与)

薬剤投与中:

  • 注射部位に軽度のそう痒

  • 発疹

  • 背部痛

  • 高血圧または低血圧

  • 発熱

薬剤投与後:

  • 感染のリスクおよびおそらく癌のリスクがわずかに増大

  • 低ガンマグロブリン血症

  • 好中球減少

IL-1受容体拮抗薬

anakinra

100mgを1日1回皮下投与

注射部位反応

免疫抑制

好中球減少

トシリズマブ

8mg/kgを4週毎に静注,1回の用量は最大800mgまで

または

体重100kg未満の患者に対し,162mgを2週に1回皮下投与した後,臨床反応に基づいて週1回に増加

体重が100kgを超える患者に対し,162mgを週1回皮下投与

感染の潜在的なリスク(特に日和見病原体)

好中球減少

血小板減少

消化管穿孔

アナフィラキシー

脱髄性神経疾患

TNF-α阻害薬

アダリムマブ

40mgを1~2週に1回皮下投与

感染(特に結核および真菌感染症)の潜在的リスク

非黒色腫皮膚癌(nonmelanoma skin cancer)

B型肝炎の再活性化

臨床的SLEを伴うまたは伴わない抗核抗体

脱髄性神経疾患

セルトリズマブペゴル

400mgを1回皮下投与(200mgの皮下注射2回として)した後,2週目および4週目にそれを繰り返し,続いて200mgを2週に1回皮下投与(または400mgを4週に1回皮下投与)

エタネルセプト

etanercept-szzs(バイオ後続品)

50mg,週1回皮下投与

ゴリムマブ

50mgを4週に1回皮下投与

インフリキシマブ

infliximab-dyyb(バイオ後続品)

ベースライン時,2週間後,および6週間後に3mg/kgを生理食塩水とともに静脈内投与,その後8週毎に注射(用量は10mg/kgまで増加してもよい)

JAK阻害薬

トファシチニブ

5mg,経口で1日2回

感染症のリスク,特に水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化

非黒色腫皮膚癌(nonmelanoma skin cancer)

高コレステロール血症

*サラゾスルファピリジンは通常は腸溶錠として投与する。

アザチオプリンを増量している間は,血算,AST,およびALTの測定値をモニタリングする。

これらは生物製剤である。

JAK = Janus kinase

DMARDを選択する際は,以下の原則を考慮すべきである:

  • DMARDの併用は単剤よりも効果的となることがある。例えば,ヒドロキシクロロキン,サラゾスルファピリジン,およびメトトレキサートの併用は,メトトレキサート単独または他の2剤の併用よりも効果的である。

  • DMARDと他の薬剤との併用(メトトレキサートに加えて,TNF-α阻害薬または漸減速度を速めたコルチコステロイドなど)がDMARDの単独使用よりも効果的となることがある。

メトトレキサートは,高用量で免疫抑制作用を有する葉酸拮抗薬である。RAで使用する用量では抗炎症性である。非常に効果的であり,効果の発現は比較的迅速である(臨床上の便益はしばしば3~4週間以内)。メトトレキサートは,肝機能障害または腎不全がみられる患者では(使用する場合は)注意して使用すべきである。飲酒は避けるべきである。葉酸の補給(1mgを1日1回経口投与)により有害作用の可能性が減少する。血算,AST,ALT,ならびにアルブミンおよびクレアチニンの値をおよそ8週間毎に測定すべきである。RAの早期に使用すれば,生物製剤と同等の効果が得られることがある。まれではあるが,肝機能検査値が持続的に正常上限の2倍以上であり,患者にメトトレキサートの使用を継続する必要がある場合には,肝生検が必要となる。メトトレキサートを中止した後に,関節炎の重度の再発が起こることがある。逆説的ではあるが,メトトレキサート療法でリウマチ結節が腫大することがある。

ヒドロキシクロロキンも軽度のRAの症状をコントロールできる。治療前および治療中12カ月毎に,眼底検査を行い視野を評価すべきである。9カ月経っても改善がみられなければヒドロキシクロロキンを中止すべきである。

サラゾスルファピリジンは,症状を緩和して関節損傷の発生を遅らせることができる。通常は腸溶錠として投与する。効果は3カ月以内に現れるはずである。腸溶性コーティングまたは用量の減量により,忍容性が高まることがある。早期に好中球減少が起こることがあるため,1~2週後およびその後の治療中約12週毎に血算を測定すべきである。約6カ月毎および用量を増加する時は必ずASTおよびALTを測定すべきである。

レフルノミドは,ピリミジン代謝に関与する酵素を阻害する。レフルノミドにはメトトレキサートとほぼ同程度に効果的であるが,骨髄抑制,肝機能異常,または肺炎を引き起こす可能性がより低い。治療開始時に脱毛および下痢がかなり高頻度にみられるが,治療の継続により消失することがある。

金化合物の非経腸(parenteral)投与は,もはや一般的には用いられていない。

コルチコステロイド

コルチコステロイドの全身投与により,炎症などの症状がその他の薬剤よりも迅速かつ大幅に軽減される。さらに骨びらんの進行も遅れるようである。しかしながら,関節破壊が予防されないことがあり,その臨床的な有益性も時間とともに減少することが多い。さらに,活動期にコルチコステロイドを中止するとその後にリバウンドが起こることが多い。コルチコステロイドには長期的な有害作用があるため,一部の医師は別のDMARDが効果を示すまでに限って機能を維持するために投与することを推奨している。

RAの重度の関節症状または全身症状(例,血管炎,胸膜炎,心膜炎)に対しコルチコステロイドを用いることがある。相対的禁忌には,消化性潰瘍,高血圧,未治療の感染症,糖尿病,および緑内障などがある。コルチコステロイド療法を開始する前に,潜在性結核のリスクを考慮すべきである。

デポ型コルチコステロイドの関節内注射は,特に痛みのある関節の疼痛および腫脹を抑えるために一時的に役立つことがある。triamcinolone hexacetonideは最も長い時間,炎症を抑える可能性がある。トリアムシノロンアセトニドおよび酢酸メチルプレドニゾロンも効果的である。あまりにも頻繁な注射は関節破壊を加速させることがあるため(ただし,このような作用を裏付けるヒトの具体的なデータはない),1つの関節に1年に3~4回を超えてコルチコステロイドを注射すべきではない。注射用のコルチコステロイドエステルは結晶性であるため,注射された患者の2%未満で数時間以内に局所炎症が一時的に増強する。感染症の発生は40,000例に1例未満に過ぎないが,注射後24時間以上経過してから痛みが生じた場合は感染症を考慮する必要がある。

免疫調節薬,細胞傷害性薬剤,および免疫抑制薬

アザチオプリンまたはシクロスポリン(免疫調節薬)による治療には,DMARDと同様の効力がある。しかし,これらの薬剤は毒性がより強い。したがって,DMARDによる治療が奏効しなかった患者に対してのみ,またはコルチコステロイドの必要性を減らすために用いる。これらの薬剤は,関節外の合併症がない限り,用いられることはまれである。アザチオプリンによる維持療法では,最小有効量を使用すべきである。低用量シクロスポリンは,単独で,またはメトトレキサートと併用した場合に効果的なことがあるが,もはや使用されることはまれである。これはアザチオプリンよりも毒性が低い可能性がある。シクロホスファミドは,その毒性のためにもはや推奨されていない。

生物製剤

B細胞またはT細胞を標的とするために,TNF-α阻害薬以外の生物学的反応修飾物質を利用できる。そうした薬剤は互いに併用しないのが一般的である。

リツキシマブは,B細胞を枯渇させる抗CD20抗体である。難治例に用いることがある。反応は遅れることが多いが6カ月持続しうる。治療コースは6カ月経過後に繰り返すことができる。軽度の有害作用がよくみられ,鎮痛薬,コルチコステロイド,ジフェンヒドラミン,またはそれらの組合せの併用投与が必要となる場合がある。リツキシマブは通常,TNF-α阻害薬およびメトトレキサートを使用しても改善がみられなかった患者に限り用いる。リツキシマブ療法は,進行性多巣性白質脳症,皮膚粘膜反応,遅発性の白血球減少,およびB型肝炎再活性化と関連している。

可溶性のCTLA-4(cytotoxic T lymphocyte-associated antigen 4)と免疫グロブリン(Ig)の融合物であるアバタセプトが,他のDMARDに対する反応が不十分なRA患者に適応となる。

anakinraは,組換え型IL-1受容体拮抗薬である。IL-1はRAの発生機序に強く関与している。感染および白血球減少が問題となることがある。毎日投与する必要があるため,使用されることは減っている。

TNF-α阻害薬(例,アダリムマブ,エタネルセプト,etanercept-szzs,ゴリムマブ,セルトリズマブペゴル,インフリキシマブ,infliximab-dyyb)は,びらんの進行を軽減し,新たなびらんの数を減少させる。全ての患者が反応するわけではないが,多くの患者が(ときに初回注射で)迅速で劇的な回復の感触を覚える。炎症が劇的に軽減することが多い。これらの薬剤は,作用を増強し,おそらく薬剤の中和抗体の発生を予防するために,メトトレキサート療法に追加されることが多い。

トシリズマブはIL-6の作用を阻害し,他の生物製剤に対する反応が不完全であった患者で臨床的な効力を示す。

トファシチニブはJanus kinase (JAK)阻害薬であり,メトトレキサート単剤または他の生物製剤に反応しない患者において経口投与され,メトトレキサートと併用されることもある。

薬剤間に多少の差はあるが,最も深刻な問題は感染症,特に結核の再活性化である。患者には,ツベルクリン反応検査またはインターフェロンγ遊離試験による結核スクリーニングを行うべきである。他に,敗血症,侵襲性真菌感染症,および他の日和見病原体による感染症などの重篤な感染症が生じることがある。TNF阻害薬による治療を受けているRA患者では,リンパ腫のリスクは増大しない(4)。最近の情報では,TNF阻害薬およびanakinraの妊娠中の安全性が示唆されている。TNF-α阻害薬は,大手術の前には周術期感染症のリスクを減らすためにおそらく投与を中止すべきである。エタネルセプト,インフリキシマブ,およびアダリムマブはメトトレキサートとの併用も単独での使用も可能である。TNF阻害薬は心不全の素因となる可能性があるため,III度およびIV度の心不全の相対的禁忌である。

治療に関する参考文献

  • 4.Leombruno JP, Einarson TR, Keystone EC: The safety of anti-tumour necrosis factor treatments in rheumatoid arthritis: Meta and exposure-adjusted pooled analyses of serious adverse events. Ann Rheum Dis 68(7):1136–1145, 2009. doi: 10.1136/ard.2008.091025.

要点

  • RAは全身性炎症性疾患である。

  • 最も特徴的な症状は,手関節ならびに中手指節関節および中足趾節関節などの末梢関節を侵す対称性の多関節炎であり,しばしば全身症状を伴う。

  • 関節外の所見には,リウマチ結節,下肢潰瘍または多発性単神経炎を引き起こす血管炎,胸水または心嚢液,肺結節,肺浸潤または肺線維化,心膜炎,心筋炎,リンパ節腫脹,フェルティ症候群,シェーグレン症候群,強膜軟化症,および上強膜炎などがある。

  • X線撮影を行うが,診断は主に,自己抗体(血清中のリウマトイド因子および抗環状シトルリン化ペプチド抗体)および急性期反応物質(赤沈またはC反応性タンパク)などの特異的な臨床基準および臨床検査結果による。

  • RAにより期待余命が3~7年短縮し(例,消化管出血,感染症,または心疾患のため),患者の10%で重度の身体障害が生じる。

  • 全ての患者を早期に,主に疾患活動性を抑える薬剤で治療すること。

  • 疾患活動性を抑える薬剤には,従来のDMARD(特にメトトレキサート),TNF-α阻害薬または他の非TNF系などの生物製剤,および免疫調節薬,細胞傷害性薬剤,または免疫抑制薬などがある。

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