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人工関節の感染性関節炎

執筆者:

Steven Schmitt

, MD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University

最終査読/改訂年月 2014年 10月

人工関節には急性および慢性感染症のリスクがあり,敗血症や種々の合併症につながり,死に至ることもある。

病因

人工関節では通常の関節よりも感染が多くみられる。感染は,周術期における関節内への細菌の播種,または皮膚感染,肺炎,歯科処置,侵襲の大きい器具使用,尿路感染症,もしくはときに転倒に起因する手術後の菌血症よって引き起こされることが多い。

術後1年以内に症例の3分の2に発生する。術後の最初の数カ月間では,原因は症例の50%が黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus,35%が混合菌叢,10%がグラム陰性菌,5%が嫌気性菌である。感染した人工肩関節では特にPropionibacterium acnesがよくみられ,その検出には長期の培養(最長2週間)が必要になることがある。5%未満の症例でCandida属が人工関節に感染する。

症状と徴候

約25%の患者には症状の発現前2週間以内に転倒歴があり,約20%には外科的修復歴がある。

一部の患者では,消失するかに見えた手術創感染があり,何カ月にもわたり順調な術後回復を示した後に,安静時および荷重負荷時に持続性の関節痛が生じている。

症状と徴候には,痛み,腫脹,運動制限などがある;体温は正常なことがある。

診断

  • 臨床基準,微生物学的基準,病理学的基準,および画像診断基準

診断には,臨床基準,微生物学的基準,病理学的基準,および画像診断基準の組合せを用いることが多い。瘻孔と人工関節との連絡も,それにより感染症の診断がつくと考えられることがある。

細胞数測定および培養のために滑液を採取すべきである。X線では人工関節の緩みまたは骨膜反応が示されることがあるが,X線は診断的ではない。テクネチウム99mによる骨シンチグラフィーおよびインジウムで標識した白血球シンチグラフィーは単純X線よりも感度が高いが,手術直後では特異性に欠けることがある。最終的に,手術時に採取した人工関節周囲組織を培養および組織学的分析に供することがある。

治療

  • デブリドマンを伴う関節切開

  • 長期にわたる全身投与の抗菌薬療法

治療は長期にわたって行う必要があり,通常は全てのセメント,膿瘍,および壊死組織の慎重なデブリドマンとともに人工関節抜去のための関節切開を含む。デブリドマンの後,直ちに人工関節の修正または抗菌薬をしみこませたスペーサーの留置を行い,その後先延ばしにした(2~4カ月)新しい人工関節の埋め込みを,抗菌薬をしみこませたセメントを用いて行う。

いずれの場合も長期にわたる全身投与の抗菌薬療法を用いる;術中培養を行った後に経験的な治療を開始し,通常はメチシリン耐性を有するグラム陽性菌(例,バンコマイシン1gを12時間毎に静注)および好気性グラム陰性菌(例,ピペラシリン/タゾバクタム3.375gを6時間毎に静注またはセフタジジム2gを8時間毎に静注)をカバーする薬剤を組み合わせ,培養および感受性試験の結果に基づいて見直す。

直ちに入れ替えたか先延ばしにした後に入れ替えたかにかかわらず,新たな人工関節の38%で感染が発生する。

患者が手術に耐えられない場合は,長期にわたる抗菌薬療法のみを試せる。固定術を伴うまたは伴わない切除関節形成術は,通常はコントロール不良の感染症の患者およびbone stockが不十分な患者に限って行う。

予防

他の適応(例,心臓弁膜症)がない状況で,人工関節を有する患者に対し歯科処置および泌尿器の器具操作などの手技に先立って予防的な抗菌薬投与が必要かどうかは,今のところ未解決である。詳細な推奨についてはwww.aaos.orgおよびwww.idsociety.org.で入手できる。

多くの施設では,鼻腔培養で黄色ブドウ球菌(S. aureus)の定着をスクリーニングしている。保菌者については,人工関節を埋め込む手術に先立ってムピロシン軟膏で定着を解消する。

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