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複数の関節の痛み

執筆者:

Alexandra Villa-Forte

, MD, MPH, Cleveland Clinic

最終査読/改訂年月 2013年 12月
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関節は単に痛む(関節痛)だけの場合と,炎症(関節炎)も起こしている場合がある。関節の炎症は通常,熱感,腫脹(関節内の液,すなわち液貯留による),およびまれに紅斑を伴う。痛みは,関節使用時のみ,または安静時にも起こることがある。患者が関節痛であると説明するものが,ときに関節外に発生源(例,関節周囲の構造または骨)がある場合がある。

多関節痛(多発性関節痛)は複数の関節を侵す(単関節の痛みについては,本マニュアルの別の箇所で考察されている— 単関節および単関節周囲の痛み)。多関節障害は,異なる時期に異なる関節を侵すことがある。複数の関節が侵されている場合,様々な疾患,特に関節炎の鑑別に以下の区分が有用となりうる:

  • 少関節型(oligoarticular):4つ以下の関節を侵す

  • 多関節型:5つ以上の関節を侵す

病態生理

関節の痛みの発生源は関節内部にある。関節周囲の痛みの発生源は関節周囲の構造にある(例,腱,靱帯,滑液包,筋肉)。

関節内の発生源により引き起こされる多関節痛は以下のものから生じることがある:

  • 炎症(例,感染,結晶誘発性関節炎,RAおよび乾癬性関節炎などの全身性炎症性疾患)

  • 機械的またはその他の非炎症性疾患(例,変形性関節症,過剰運動症候群)

滑膜および関節包が,関節内の痛みの主要な発生源である。滑膜は炎症により侵される主な部位である(滑膜炎)。炎症を伴わず複数の関節を侵す痛みは,良性の過剰運動症候群の場合と同様,関節弛緩性の増大および過度の外傷に起因する可能性がある。

多関節炎は末梢関節,身体中心部の関節(例,仙腸,椎間,椎間板椎骨,肋椎の関節),またはその両方を侵すことがある。

病因

末梢の少関節の関節炎および多関節の関節炎は,単関節の関節炎に比べて,全身性感染症(例,ウイルス性)または全身性炎症性疾患(例,RA)と関連している頻度がより高い。特異的な原因を通常特定できるが( 5つ以上の関節における痛みの原因*および 4つ以下の関節における痛みの原因),ときに関節炎は一過性で診断が明確に確定する前に解消することがある。脊髄病変は,血清反応陰性脊椎関節症(脊椎関節炎とも呼ばれる— 血清反応陰性脊椎関節症の概要)を示唆するが,RA(腰椎ではなく頸椎を侵す)でも起こりうる。

急性の多関節の関節炎は以下に起因することが最も多い:

  • 感染(通常はウイルス性)

  • 全身性炎症性疾患の急性増悪(flare-up)

  • 痛風または偽痛風

成人における慢性の多関節の関節炎は以下に起因することが最も多い:

  • RA

  • 血清反応陰性脊椎関節症(通常,強直性脊椎炎,反応性関節炎,乾癬性関節炎,または腸炎性関節炎)

成人における非炎症性の多関節痛は以下に起因することが最も多い:

  • 変形性関節症

成人における慢性の多発性関節痛はRAおよび変形性関節症により起こることが最も多い。

小児における慢性の多関節の関節痛は以下によることが最も多い:

  • 若年性特発性関節炎

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5つ以上の関節における痛みの原因*

原因

示唆する所見

診断アプローチ

急性リウマチ熱

主に下肢の大関節,肘,および手関節に影響する重度の移動性の痛み

腫脹より重度な圧痛

発熱,心機能障害の症状と徴候,舞踏運動,皮下結節,および発疹などの関節外症状

レンサ球菌咽頭炎の既往

特異的な(Jones)臨床基準

A群レンサ球菌感染の検査(例,培養,レンサ球菌迅速検査,抗ストレプトリジンO抗体価および抗DNase-B抗体価)

心電図およびときに心エコー検査

異常ヘモグロビン症(例,鎌状赤血球症または鎌状赤血球形質[sickle cell trait],サラセミア)

痛みは通常近傍であるがときに関節内,ときに対称性

通常アフリカ系または地中海系の小児または若年患者で,しばしば既知の診断を伴う

ヘモグロビン電気泳動

過剰運動症候群(例,エーラス-ダンロス症候群,マルファン症候群,良性の過剰運動症候群)

多発性関節痛,まれに関節炎を伴う

反復性の関節亜脱臼

ときに皮膚の弛緩が増大

通常,関節過可動性の家族歴

マルファン症候群およびエーラス-ダンロス症候群では,若年期または中年期における大動脈瘤または大動脈解離の家族歴の可能性

臨床的評価

細菌性の感染性(化膿性)関節炎(単関節のものがより一般的)

重度の痛みと関節液貯留を伴う急性関節炎

ときに免疫抑制またはSTDの危険因子

関節穿刺

ウイルス性の感染性関節炎(パルボウイルスB19,B型肝炎ウイルス,C型肝炎ウイルス,エンテロウイルス,風疹ウイルス,ムンプスウイルス,およびHIV)

急性関節炎

通常は細菌性の感染性関節炎より重症度が低い関節痛および腫脹

ウイルスによって異なるその他の全身症状(例,B型肝炎による黄疸,HIVによるしばしば全身性のリンパ節腫脹)

関節穿刺

臨床的な適応に応じたウイルス血清学的検査(例,B型肝炎を疑う場合はB型肝炎表面抗原およびB型肝炎ウイルスコアに対するIgM抗体)

若年性特発性関節炎

関節症状の小児期の発症

少関節炎に加えてぶどう膜炎,または全身症状を伴う症状(スチル病—発熱,発疹,リンパ節腫脹,脾腫,胸水および/または心嚢液貯留)

臨床的評価

ANA,RF,およびHLA-B27検査

その他のリウマチ性疾患(例,シェーグレン症候群,多発性筋炎/皮膚筋炎,リウマチ性多発筋痛症,全身性強皮症[強皮症])

特異的な皮膚症状(皮膚筋炎),嚥下困難(全身性強皮症),筋肉痛(リウマチ性多発筋痛症),またはドライアイおよび口腔乾燥(シェーグレン症候群)などの疾患特異的な症状

臨床的評価

ときにX線および/または血清学的検査(例,シェーグレン症候群では抗SSA抗体および抗SSB抗体,全身性強皮症では抗Scl-70抗体)

ときに皮膚生検または筋生検

乾癬性関節炎

関節病変の5パターンの1つであり,RAおよび少関節炎と同様に多関節炎を含む

乾癬,爪異栄養症,ぶどう膜炎,腱炎,および指炎(ソーセージ指)などの関節外症状

臨床的評価

ときにX線

RA

小関節および大関節の対称的な関節炎

ときに最初は単関節型または少関節性

若年成人により多いがあらゆる年齢層で生じうる

末期ではときに関節の変形

臨床的評価

RF検査および抗CCP検査

X線

血清病

関節痛が関節炎より多い

発熱,リンパ節腫脹,および発疹

症状出現までの21日以内に血液製剤に曝露

臨床的評価

SLE

関節痛が関節炎より多い

発疹(例,頬部発疹),粘膜病変(例,口腔内潰瘍),漿膜炎(例,胸膜炎,心膜炎),糸球体腎炎の症状などの全身症状

女性に多い

臨床的評価

ANA,抗dsDNA,血算,尿検査,腎酵素および肝酵素による生化学検査

全身性血管炎(例,IgA血管炎[以前はヘノッホ-シェーンライン紫斑病と呼ばれた],結節性多発動脈炎,多発血管炎性肉芽腫症)

関節痛,特にIgA血管炎を伴う

しばしば多器官系に影響を与える関節外症状(例,腹痛,腎不全,肺炎の症状,鼻副鼻腔の症状,皮膚病変[発疹,紫斑,小結節,および潰瘍などがある])

臨床的な適応に応じた血清学的検査(例,多発血管炎性肉芽腫症を疑う場合のANCA検査)

適応に応じた生検(例,腎臓,皮膚,または肺)

*これらの疾患はまた少関節を侵す疾患として発症することもある(4つ以下の関節が侵される)。

関節液貯留または炎症がある患者には関節穿刺(細胞数測定,グラム染色,培養,および結晶検査とともに),ならびに通常は赤沈およびC反応性タンパクの検査を行うべきである。X線は不要であることが多い。

ANA = 抗核抗体;ANCA = 抗好中球細胞質抗体;抗CCP = 抗環状シトルリン化ペプチド;dsDNA = 二本鎖DNA;RF = リウマトイド因子;STD = 性感染症。

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4つ以下の関節における痛みの原因

原因

示唆する所見

診断アプローチ*

強直性脊椎炎

通常は身体の中心部の痛みおよびこわばり,午前中に強く,活動により軽減する

ときに末梢の大関節に液貯留

ときに関節外症状(例,ぶどう膜炎,付着部炎,大動脈弁閉鎖不全)

若年成人男性に多い

腰仙椎のX線

ときにMRIまたはCT,血液検査(赤沈,C反応性タンパク,および血算),および/または特異的な(改訂New York)臨床基準

ベーチェット症候群

関節痛または関節炎

反復性の口腔病変および/または性器病変,またはぶどう膜炎などの関節外症状

通常20代で始まる

特異的な(国際)臨床基準

結晶誘発性関節炎,典型的には尿酸結晶(痛風),ピロリン酸カルシウム結晶(偽痛風),またはカルシウムヒドロキシアパタイトの結晶により起こる

関節の熱感および腫脹を伴う関節炎の急性発症

細菌性の感染性(化膿性)関節炎と臨床的に鑑別できないことがある

ときに発熱

関節穿刺

感染性心内膜炎

関節痛または関節炎

発熱,盗汗,発疹,体重減少,心雑音などの全身症状

血液培養

心エコー検査

変形性関節症

親指の付け根,PIP関節およびDIP関節,膝,ならびに股関節により多くみられる慢性痛

ときにヘバーデン結節

X線

反応性関節炎および腸炎性関節炎

非対称性で下肢の大関節に多い関節炎

反応性関節炎:急性関節炎発症の1~3週間前に消化管感染または泌尿生殖器感染

腸炎性関節炎:慢性関節炎に消化管の病態(例,炎症性腸疾患,腸のバイパス手術)が併存する

臨床的評価

臨床的な適応に応じたSTD検査

*関節液貯留または炎症がある患者には関節穿刺(細胞数測定,グラム染色,培養,および結晶検査とともに),ならびに通常は赤沈およびC反応性タンパクの検査を行うべきである。X線は疾患経過の早い段階では有用でないことが多い。

これらの疾患は身体の中心部の病変として現れることがある。

結晶誘発性関節炎はほとんどの場合単関節型であるが,ときに少関節性である。

DIP = 遠位指節間;PIP = 近位指節間;STD = 性感染症。

評価

評価では,関節,関節周囲の構造,またはその両方が症状の原因であるかどうか,および炎症の有無を判定すべきである。関節外の症状および所見(特異的な全身性炎症性疾患を示唆することがある)を調べて評価すべきであり,特に関節の炎症がある場合に行うべきである。

病歴

現病歴の聴取では,関節痛,関連する関節症状,および全身症状の特徴を同定すべきである。重要な関節症状の特徴には,発症の急性度(例,突然,徐々に),時間的パターン(例,日内変動,持続的vs間欠的),持続期間(例,急性vs慢性),ならびに増悪因子および緩和因子(例,安静,活動)などがある。無防備な性的接触(播種性淋菌感染症による細菌性の感染性関節炎のリスクを示唆する)およびダニによる刺咬またはライム病流行地域における居住またはそのような場所への旅行について,患者に具体的に尋ねるべきである。

系統的症状把握(review of systems)は,特異的な疾患を示唆することがある関節外症状を同定するために徹底的に行うべきである( 5つ以上の関節における痛みの原因*4つ以下の関節における痛みの原因,および 多関節の関節痛における示唆的な所見)。

既往歴および家族歴の聴取では,関節症状を起こしうる既知の全身性炎症性疾患およびその他の症状を同定すべきである( 5つ以上の関節における痛みの原因*および 4つ以下の関節における痛みの原因)。一部の全身性炎症性疾患は,特異的な遺伝的プロファイルをもつ家族に多くみられる。

身体診察

身体診察は適度に完全であるべきであり,筋骨格系だけでなく全ての主要な器官系(例,皮膚および爪,眼,性器,粘膜表面,心臓,肺,腹部,鼻,頸部,リンパ節,および神経系)を評価する。バイタルサインを評価して,発熱がないか確認する。

頭部の診察では,眼の炎症の徴候(例,ぶどう膜炎,結膜炎)および鼻腔または口腔の病変に注意すべきである。皮膚を視診して,発疹および病変(例,斑状出血,皮膚潰瘍,乾癬局面,紫斑,頬部皮疹)がないか確認すべきである。また,リンパ節腫脹および脾腫がないかも評価する。

心肺の診察では,胸膜炎,心膜炎,または弁異常(例,雑音,心膜摩擦音,心音減弱,胸水と一致する両側肺底部の濁音)を示唆する徴候に注意すべきである。

性器診察では,あらゆる分泌物,潰瘍,または性感染症と一致するその他の所見に注意すべきである。

筋骨格系の診察では,関節組織の圧痛を関節周囲の圧痛またはその他の結合組織もしくは筋肉の圧痛から区別することから始めるべきである。関節の診察では,変形,紅斑,腫脹,または液貯留の視診から始め,その後,触診して関節液貯留,熱感,および圧痛点を確認する。他動関節可動域および自動関節可動域を評価すべきである。関節の屈曲および/または進展でcrepitusを感じることがある。対側の健常な関節との比較が,より微妙な変化の検出に役立つことが多い。診察では,侵された関節の分布が対称的か非対称的かに注意すべきである。痛みのある関節はまた,屈曲および伸展なしに圧迫することもある。

関節周囲の構造も診察して,腱,滑液包,または靱帯の病変(滑液包の位置にある孤立した柔らかい腫脹[滑液包炎],または腱付着部の圧痛点[腱炎]など)がないか確認すべきである。

警戒すべき事項(Red Flag)

以下の所見は特に注意が必要である:

  • 関節の熱感,腫脹,および紅斑

  • 関節外症状(例,発熱,発疹,悪寒,局面,粘膜潰瘍,結膜炎,ぶどう膜炎,雑音,紫斑)

所見の解釈

最初に行う重要なことは,主に慎重な身体診察に基づき,痛みが関節,他の近接する構造(例,骨,腱,滑液包,筋肉),その両方(例,痛風の際),またはその他の構造のいずれから生じているかを判定することである。関節の片側のみ,または関節裂隙から離れた部位にある圧痛または腫脹は,関節外(例,腱または滑液包)の原因を示唆し,限局する関節裂隙の圧痛または比較的びまん性の関節病変は,関節内の原因を示唆する。屈曲および進展をさせずに関節を圧迫すると,腱炎または滑液包炎では特に痛みを生じることはないが,関節炎ではかなり強い痛みが生じる。関節の自動運動で悪化するが他動運動では悪化しない痛みは,腱炎または滑液包炎(関節外)を示していることがある;関節内の炎症は一般的に,関節の自動運動および他動運動の範囲を大きく制限する。

他に,関節に炎症が起こっているかどうかの判断が重要である。安静時および活動開始時の痛みは関節の炎症を示唆し,動かすと悪化し安静にすると軽快する痛みは機械的障害または非炎症性疾患(例,変形性関節症)を示唆する。熱感および紅斑の増大も炎症を示唆するが,これらの所見は感度が低いことが多いため,これらの所見がみられない場合でも炎症は除外されない。

長引く朝のこわばり,しばらくじっと動かないでいた後のこわばり(ゲル化現象[gel phenomenon]),非外傷性の関節の腫脹,および発熱または意図しない体重減少の臨床所見は,関節を侵す全身性炎症性疾患を示唆する。びまん性で,漠然と表現され,炎症の徴候がなく筋筋膜の構造に影響を与える痛みは,線維筋痛症を示唆する。

関節病変の対称性が手がかりとなりうる。RAでは病変が対称性である傾向があるが,非対称性の病変では,乾癬性関節炎,痛風,および反応性関節炎または腸炎性関節炎がより示唆される。

指関節の診察で,RA( 多関節の関節痛における示唆的な所見)からの変形性関節症の鑑別に有用であるか,または他の疾患を示唆する他の手がかり( RAと変形性関節症における手の特徴の相違)が得られることがある。

末梢関節炎がある場合の脊椎の痛みは血清反応陰性脊椎関節症(強直性脊椎炎,反応性関節炎,乾癬性関節炎,または腸炎性関節炎)を示唆するが,RA(通常は頸椎の痛みを伴う)でも起こりうる。新たに発症した少関節炎に脊椎の痛みが加わると,同じ疾患の家族歴がある場合は,特に血清反応陰性脊椎関節症の可能性が高い。眼の充血および痛みならびに腰痛は強直性脊椎炎を示唆する。少関節炎を新たに発症した患者の尋常性乾癬の既往は乾癬性関節炎を強く示唆する。

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多関節の関節痛における示唆的な所見

所見

可能性のある原因

一般的な所見

腱炎の合併

RA,播種性淋菌感染症,乾癬性関節炎,痛風,若年性特発性関節炎(16歳以下で発症する場合)

結膜炎,下痢,皮膚病変および性器病変

反応性関節炎

発熱

感染性関節炎,痛風,全身性炎症性疾患(例,SLE,RA)

倦怠感,体重減少,およびリンパ節腫脹

急性HIV感染症,全身型の若年性特発性関節炎(スチル病)

口腔病変および性器病変

ベーチェット病,反応性関節炎

隆起した銀白色の局面

乾癬性関節炎

最近の咽頭炎および遊走性の関節炎

リウマチ熱

最近のワクチン接種または血液製剤使用

血清病

皮膚病変,腹痛,呼吸器症状,および粘膜病変

全身性血管炎

尿道炎

反応性関節炎または播種性淋菌感染症

指のびまん性の腫脹(指炎)および/または爪の点状陥凹を伴うPIP関節およびDIP関節の非対称な病変

乾癬性関節炎

痛風結節に加えて手のいずれかの関節における非対称性の病変

慢性痛風

PIP関節(ブシャール結節)またはDIP関節(ヘバーデン結節)の骨の腫大

第一手根中手(CMC)関節の病変

変形性関節症

レイノー現象

全身性強皮症,SLE,または混合性結合組織病

MCPおよびPIP関節の伸側面にしばしば局面形成を伴う鱗屑性の発疹(ゴットロン丘疹)

皮膚筋炎

手指の整復可能な変形(ジャクー[Jaccoud]関節症)を起こすことがある複数の指の腱の弛緩

SLE

PIP関節およびMCP 関節の対称性の病変,特にスワンネック変形またはボタン穴変形を伴うもの

RA

指の皮膚の肥厚(強指症)および屈曲拘縮

全身性強皮症

DIP = 遠位指節間;MCP = 中手指節;PIP = 近位指節間。

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RAと変形性関節症における手の特徴の相違

基準

RA

変形性関節症

関節の腫脹

一般的

滑膜,関節包,軟部組織

まれ

急性増悪(flare-up)を伴う軽度の腫脹を起こす可能性がある

骨肥大

疾患後期のみ

一般的,しばしば不規則な骨棘を伴う

DIPの病変

まれ

しばしば

MCPの病変

しばしば

まれ

ヘモクロマトーシスではMCPに重度の病変の可能性

PIPの病変

しばしば

しばしば

手関節の病変

しばしば

まれであるが,第一手根中手関節の障害(よくみられる)はときに手関節の痛みのように感じられる

CMC = 手根中手;DIP = 遠位指節間;MCP = 中手指節;PIP = 近位指節間。

Adapted from Bilka PJ: Physical examination of the arthritic patient. Bulletin on the Rheumatic Diseases 20:596–599, 1970.

検査

次の検査が特に重要である:

  • 関節穿刺

  • 通常は赤沈およびC反応性タンパク

  • 血清学的検査

  • 慢性関節炎ではX線

新たな液貯留がある患者の大半で,感染症の除外および結晶の同定のために関節穿刺が必須である。関節穿刺はまた,炎症性の病変と非炎症性の病変との鑑別にも役立つ。滑液の検査には,白血球数および白血球分画,グラム染色および培養,ならびに偏光を用いての結晶の顕微鏡検査などがある。滑液中に結晶を認めれば結晶誘発性関節炎が確定するが,感染の合併は除外されない。非炎症性の滑液(例,白血球数1000/μL未満)は,変形性関節症または外傷をより強く示唆する。出血性の液は関節血症と一致する。感染性関節炎および結晶誘発性関節炎では,滑液の白血球数が非常に多い(例,50,000/μL超)ことがある。多関節炎を起こす全身性炎症性疾患では,滑液の白血球数が約1000/μLから50,000/μLの間であることが最も多い。

病歴および診察に基づいて特定の診断が確定できない場合,追加検査が必要になる場合がある。赤沈およびC反応性タンパクの検査は関節炎が炎症性かどうかの判定に役立つことがある。赤沈亢進およびC反応性タンパク値の上昇は炎症を示唆するが非特異的である(特に高齢者において)。数値が炎症性の急性増悪(flare-up)の間は高く,急性増悪と急性増悪の間が正常であれば,所見はより特異的である。

全身性炎症性疾患の診断が臨床的に疑われた場合,抗核抗体,二本鎖DNA,リウマトイド因子,抗環状シトルリン化ペプチド抗体,および抗好中球細胞質抗体(ANCA)に関して行う支持的な血清学的検査が,診断を下す際に補助となることがある。特異的な検査の指示は,SLE,ANCA関連血管炎,またはRAなどの具体的な診断を支持するためにのみ行うべきである。

関節炎が慢性の場合,典型的には関節損傷の徴候を検索するためにX線を行う。

特異的な疾患を特定するためにその他の検査が必要となることがある( 5つ以上の関節における痛みの原因*および 4つ以下の関節における痛みの原因)。

治療

可能な限り基礎疾患を治療する。全身性炎症性疾患は,診断によって確定する免疫抑制または抗菌薬のいずれかが必要なことがある。関節の炎症は,通常NSAIDで対症的に治療する。炎症を伴わない痛みは,通常アセトアミノフェンでより安全に治療する。副子または三角巾による関節固定は,ときに痛みを軽減することがある。炎症性関節疾患では,温熱療法や寒冷療法により鎮痛が得られることがある。慢性の多関節炎は活動低下および二次的な筋萎縮を引き起こすことがあるため,運動の継続を奨励すべきである。

老年医学的重要事項

変形性関節症は高齢者において圧倒的に最も多い関節炎の原因である。RAは最も一般的には30歳から40歳の間に発症するが,最大で3分の1の患者は60歳以降に発症する。癌は腫瘍随伴性の多関節炎を引き起こすことがあるため,新たに発症したRAが疑われる高齢者では癌を考慮すべきであり,特に,発症が急性の場合,下肢が優位に侵される場合,または骨の圧痛がある場合には考慮すべきである。骨盤帯および肩甲帯にこわばりおよび痛みがある50歳以上の患者では,たとえ末梢関節(手が最も多い)に関節炎がある場合でも,リウマチ性多発筋痛症も考慮すべきである。

要点

  • 多関節の関節痛の鑑別診断は,どの関節および何箇所の関節が侵されているか,炎症があるか,関節の分布は対称性か,ならびに関節外の症状または徴候があるかを考慮することによって,狭めることができる。

  • 慢性の多関節炎は小児の若年性特発性関節炎により引き起こされることが最も多く,慢性の多発性関節痛は成人の変形性関節症およびRAにより引き起こされることが最も多い。

  • 急性の多関節の関節炎はほとんどの場合感染,痛風,または全身性炎症性疾患の再燃による。

  • 新たな液貯留がある症例の大半では,感染症の除外,結晶誘発性の関節症の診断,および炎症性病変と非炎症性病変との鑑別のために,関節穿刺が必須である。

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