(足および足関節の疾患の概要も参照のこと。)
足関節のレベルで,後脛骨神経は線維性骨性の管を通り,内側および外側の足底神経に分かれる。足根管症候群とはこの管の内での神経圧迫を指すが,この用語はあらゆる原因で起こる後脛骨神経の痛みに大雑把に適用されている。異常な足の機能,炎症性関節炎(例,RA),線維症,ガングリオン,骨折,および足関節の静脈うっ滞性の浮腫によって引き起こされる,足関節の屈筋腱の滑膜炎が寄与因子である。甲状腺機能低下症患者では,神経周囲のムチン沈着の結果として足根管症候群様の症状が生じることがある。
症状と徴候
痛み(ときに灼熱痛,およびチクチク感がある)が通常は果後部,ときに踵内側足底にあり,足底面に沿ってつま先にまで拡がることがある。痛みは立位時および歩行時に増悪するが,疾患の進行につれて安静時に痛みが生じることがあり,それが足底筋膜症との鑑別に役立つ。