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好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)

(以前のウェゲナー肉芽腫症)

執筆者:

Carmen E. Gota

, MD, Cleveland Clinic Lerner College of Medicine at Case Western Reserve University

最終査読/改訂年月 2016年 2月
本ページのリソース

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(以前はチャーグ-ストラウス症候群として知られていた)は,全身性の小型および中型の血管の壊死性血管炎であり,血管外肉芽腫の存在,好酸球増多,および好酸球の組織浸潤を特徴とする。EGPAは,成人発症喘息,アレルギー性鼻炎,鼻茸,またはこれらの組合せがみられる個人に生じる。診断は生検によるものが最も確実である。治療は主にコルチコステロイドにより行い,重度の疾患に対しては,他の免疫抑制薬を追加する。

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)は,百万人当たり約3人に発生する。発症の平均年齢は48歳である。

EGPAは,血管外の壊死性肉芽腫(通常,好酸球に富む),好酸球増多,および好酸球の組織浸潤を特徴とする。しかし,これらの異常は常に併存するとは限らない。この血管炎は,通常は小型および中型の血管を侵す。どの器官も侵されることがあるが,肺,皮膚,副鼻腔,心血管系,腎臓,末梢神経系,中枢神経系,関節,および消化管が最も侵されやすい。ときに,肺毛細血管炎が肺胞出血を起こすことがある。

病因

EGPAの原因は不明である。しかし,好酸球と好中球の分解産物によって直接傷害された組織を伴うアレルギー機序が関与している可能性がある。Tリンパ球の活性化が好酸球性炎症の持続に一役担っていると考えられる。この症候群は,成人発症喘息,アレルギー性鼻炎,鼻茸,またはこれらの組合せがみられる患者に生じる。抗好中球細胞質抗体(ANCA)が,症例の約40%にみられる。

症状と徴候

症候群には以下の3段階の病期があり,これらは重複することがある:

  • 前駆期(prodromal):この病期は数年間持続することがある。患者には,アレルギー性鼻炎,鼻茸,喘息,またはこれらの組合せがみられる。

  • 第2期(2nd phase):末梢血および組織の好酸球増多が典型的にみられる。臨床像はレフレル症候群に類似することがあるが,具体的には慢性好酸球性肺炎や好酸球性胃腸炎などを呈する。

  • 第3期(3rd phase):生命を脅かす可能性がある血管炎が出現する。全身症状(例,発熱,倦怠感,体重減少,疲労)がこの病期によくみられる。

しかし,これらの病期は必ずしも互いに連続しているわけではなく,またそれらの時間間隔には大きなばらつきがある。

様々な臓器や器官が影響を受けることがある:

  • 呼吸器:喘息は,成人期に発症することが多いが,ほとんどの患者で発生し,重度である傾向があり,コルチコステロイド依存性である。副鼻腔炎がよくみられるが,重度の壊死性炎症は伴わず,破壊的ではない。患者に息切れがみられることがある。肺胞出血により,咳嗽と喀血がみられることがある。一過性の斑状の肺浸潤が一般的である。

  • 神経:神経症状がかなり頻繁にみられる。多発性単神経障害(多発性単神経炎)が最多で4分の3の患者に生じる。中枢神経系障害はまれであるが,脳神経麻痺もしくは脳梗塞所見を伴うまたは伴わない,不全片麻痺,錯乱,痙攣,および昏睡などが起こることがある。

  • 皮膚:ほぼ半数の患者で皮膚が侵される。結節および丘疹が四肢の伸側にみられる。これらは,中心に壊死を伴う柵状配列を有する血管外の肉芽腫性病変によって引き起こされる。著明な好酸球浸潤を伴うまたは伴わない白血球破砕性血管炎により,紫斑もしくは紅色丘疹が出現することがある。

  • 筋骨格:ときに関節痛,筋肉痛,または関節炎すらも生じることがある(通常は血管炎が起こる病期に生じる)。

  • 心臓:心病変は死亡の主な原因であり,心筋炎および心内膜心筋線維症による心不全,冠動脈血管炎(おそらく心筋梗塞を伴う),弁膜症,心膜炎などが発生する。主な病理組織学所見は,好酸球性心筋炎である。

  • 消化管:血管炎に起因する好酸球性胃腸炎または腸間膜虚血により,最多で3分の1の患者に消化管症状(例,腹痛,下痢,出血,無石胆嚢炎)がみられる。

  • 腎臓:腎臓が侵される頻度は,ANCA関連の他の血管炎疾患に比べ,それほど多くはない。通常は,pauci-immune(微量免疫)型(免疫複合体があったとしてもわずか)で,半月体形成性の巣状分節状壊死性糸球体腎炎がみられるが,腎臓の好酸球性または肉芽腫性の炎症はまれである。

腎臓,心臓,または神経の障害は,予後不良を示唆する。

診断

  • 臨床基準

  • ルーチンの臨床検査

  • 生検

2012年のChapel Hill Consensus Conferenceで,EGPAは,喘息および好酸球増多と関連し,小型および中型の血管を侵す壊死性血管炎を伴う,気道に病変を生じる好酸球に富んだ壊死性肉芽腫性炎症であると定義された。American College of Rheumatologyによる分類基準には以下のものがある:

  • 喘息

  • 末梢血の好酸球増多(10%を超える)

  • 副鼻腔炎

  • 肺浸潤(ときに一過性)

  • 血管外に好酸球を認める血管炎の組織学的所見

  • 多発性単神経障害または多発神経障害

4項目以上の基準が当てはまれば,感度は85%,特異度は99.7%である。

検査は,診断および臓器病変の範囲を確定し,EGPAを他の好酸球性疾患(例,寄生虫感染症,薬物反応,急性および慢性の好酸球性肺炎,アレルギー性気管支肺アスペルギルス症,好酸球増多症候群)と鑑別することを目標とする。EGPAの診断は,臨床所見およびルーチンの臨床検査結果によって示唆されるが,通常は肺または他の罹患組織の生検によって確定すべきである。

血液検査と胸部X線を行うが,結果は診断に有用ではない。血算および白血球分画を調べ,疾患活動性の指標にもなる好酸球増多を確認する。IgEおよびCRPおよび赤沈を定期的に測定して,炎症の活動性を評価する。腎疾患のスクリーニングおよびその重症度をモニタリングするため,尿検査およびクレアチニンの測定を行う。電解質濃度を測定する。

血清学的検査を行い,これにより最多で40%の患者にANCAが検出される;ANCAが検出された場合,酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)で特異抗体を確認する。ミエロペルオキシダーゼに対する抗体を伴う核周囲ANCA(p-ANCA)が最も多くみられるが,ANCAはEGPAに対して特異的ではなく感度の高い検査でもない。

疾患活動性のマーカーとして用いられているが,好酸球増多,IgE,ANCA,赤沈,およびC反応性タンパクの値によってこれが達成され,急性増悪(flare-up)が予測されるが,大きな制限がある。

胸部X線は一過性で斑状の肺浸潤像を示すことが多い。

可能であれば,最も到達しやすい罹患組織の生検を行うべきである。

治療

  • コルチコステロイド

コルチコステロイドの全身投与が治療の主力である。しかし,予後不良因子が見当たらない場合でも,コルチコステロイド単独では寛解が維持されないことが多い。多発血管炎性肉芽腫症または顕微鏡的多発血管炎に対するものと同様の一般的な治療基準を用い,臓器病変の重症度と病型に応じて,他の免疫抑制薬(例,シクロホスファミド,メトトレキサート,アザチオプリン)を加えることがある。リツキシマブによる治療を受けたEGPA患者41例の後ろ向き研究では,49%が12カ月時点で寛解状態にあり,リツキシマブによってコルチコステロイドの必要性が減少した。この結果は,他の治療法に比べて優れている。

要点

  • EGPAは,小型および中型の血管のまれな血管炎である。

  • 病期には,上気道症状および喘鳴,好酸球性の肺炎および胃腸炎,および生命を脅かす血管炎がある。

  • 病期は順を追って進行することもあれば順序が乱れることもあり,また重複することもある。

  • 腎臓,心臓,または神経が侵されることがあり,それらは予後不良を示唆する。

  • 臨床基準,ルーチンの臨床検査,ときに生検によって診断する。

  • 重症度に応じてコルチコステロイドおよびときに他の免疫抑制薬で治療し,多発血管炎性肉芽腫症または顕微鏡的多発血管炎に対するものと同様の治療基準を用いる。

  • 反応率が高くコルチコステロイドの必要性が低くなる可能性があるため,リツキシマブによる治療を考慮する。

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