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痛風

執筆者:

Lawrence M. Ryan

, MD, Medical College of Wisconsin

最終査読/改訂年月 2015年 8月
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痛風は,組織への尿酸一ナトリウム結晶の析出であり(通常は関節および関節周囲に生じる),ほとんどの場合,繰り返す急性関節炎または慢性関節炎を引き起こす。急性関節炎の最初の発作は通常は単関節性であり,第1中足趾節関節を侵すことが多い。痛風の症状としては,急性疼痛,圧痛,熱感,発赤,腫脹などがある。診断には,滑液中の結晶の同定が必要である。急性発作の治療は抗炎症薬による。NSAID,コルヒチン,またはその両方を定期的に使用することにより,およびアロプリノール,フェブキソスタット,または尿酸排泄促進薬で血清尿酸値を低下させることにより,発作の頻度が減少することがある。

痛風は,女性より男性でより多くみられる。通常,痛風は男性では中年期に,女性では閉経後に発生する。痛風は若年者ではまれであるが,30歳より前に本症を発症した場合はより重度であることが多い。痛風は家族性であることが多い。メタボリックシンドロームの患者には痛風のリスクがある。

病態生理

高尿酸血症がより重度で長引くほど,痛風が発生する可能性が高い。尿酸値は以下の理由で上昇することがある:

  • 排泄の減少(最も多い)

  • 産生増加

  • プリンの過剰摂取

なぜ血清尿酸(尿酸塩)値の高い人々の一部だけが痛風を発症するかは不明である。

腎排泄の減少は,高尿酸血症の圧倒的に最も多い原因である。これは遺伝性である場合があり,また利尿薬の投与を受けている患者およびGFR(糸球体濾過量)を低下させる疾患の患者でも発生する。エタノールは肝臓におけるプリンの異化を促進して,乳酸の生成を増し,それにより尿細管による尿酸分泌が妨げられ,またエタノールは肝臓の尿酸合成を促進することがある。鉛中毒およびシクロスポリン(移植患者に通常高用量投与する)は尿細管を損傷し,尿酸の貯留につながる。

尿酸の産生増加は,血液疾患(例,リンパ腫,白血病,溶血性貧血)ならびに細胞増殖および細胞死の速度が増加した状態(例,乾癬,細胞傷害性の癌治療,放射線療法)における核タンパクの代謝回転の亢進によって起こることがある。尿酸の産生増加はまた,原発性の遺伝性異常として起こることもあり,尿酸産生は体表面積と相関するため,肥満においても起こる場合がある。ほとんどの症例で,尿酸の過剰産生の原因は不明であるが,少数の症例で酵素異常が原因であるとされる;ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼの欠損症(完全な欠損症はレッシュ-ナイハン症候群)が原因である可能性があり,ホスホリボシルピロリン酸合成酵素の過剰な活性も同様である。

プリンを多く含む食品(例,肝臓,腎臓,アンチョビ,アスパラガス,コンソメ,ニシン,グレービーソース/ブイヨン,キノコ,ムール貝,イワシ,胸腺/膵臓)の摂取量の増加が高尿酸血症の一因となることがある。ビールにはプリンヌクレオシドであるグアノシンが特に豊富に含まれている。しかし,厳格な低プリン食の食事療法は,血清尿酸値を約1mg/dL下げるにすぎない。

尿酸塩は尿酸一ナトリウム(MSU)の針状結晶として析出し,無血管組織(例,軟骨)または比較的血管のない組織(例,腱,腱鞘,靱帯,滑液包壁),ならびに温度がより低い遠位の関節および組織周囲の皮膚(例,耳)で細胞外に沈着する。長期にわたる重度の高尿酸血症では,尿酸一ナトリウム結晶は,より大きな主要な関節および腎臓などの臓器の実質に沈着することがある。pHが酸性の尿では,尿酸塩は小さな板状結晶またはダイヤモンド形の尿酸結晶として容易に析出し,そうした結晶が凝集して尿の排出を妨げうる尿砂または結石を形成することがある。痛風結節は,関節および皮膚組織に発生することが最も多い尿酸一ナトリウム結晶の凝集物である。通常は線維性の基質に包まれており,それにより急性炎症が引き起こされなくなっている。

急性痛風性関節炎は,外傷,医学的ストレス(例,肺炎または他の感染症),手術,サイアザイド系利尿薬もしくは尿酸低下作用を有する薬剤(例,アロプリノール,プロベネシド,ニトログリセリン)の使用,またはプリンの豊富な食品もしくはアルコールの過剰摂取によって引き起こされることがある。発作は,血清尿酸値の急増または突然の減少(より一般的)によって誘発されることが多い。なぜ急性発作がこのような一部の誘発する病態に続いて起こるのかは不明である。関節内および関節周囲の痛風結節は運動を制限し変形を引き起こすことがあり,慢性結節性痛風性関節炎(chronic tophaceous gouty arthritis)と呼ばれる。慢性の痛風は二次性変形性関節症の発生リスクを高める。

症状と徴候

急性痛風性関節炎は,通常は痛みの突然の発症から始まる(夜間が多い)。母趾の中足趾節関節が侵される(足部痛風[podagra]と呼ばれる)ことが最も多いが,足の甲,足関節,膝関節,手関節,および肘関節もよく侵される部位である。まれに,股関節,肩関節,仙腸関節,胸鎖関節,または頸椎関節が侵される。痛みは次第に激しくなり,通常数時間にわたって続き,しばしば耐えがたいほどである。腫脹,熱感,発赤,および鋭い圧痛は感染症を示唆している可能性がある。患部を覆う皮膚は緊張し,熱をもち,光沢を有し,赤色または紫色になることがある。発熱,頻脈,悪寒,および倦怠感がときに起こる。

経過

最初の数回の発作は,通常,単一の関節のみを侵し,わずか数日しか持続しない。その後の発作はいくつかの関節を同時にまたは連続的に侵すことがあり,無治療では最長で3週間持続する。その後の発作は,次第に短くなる無症状の期間をおいた後に発生する。最終的には,毎年数回の発作が起こることがある。

痛風結節

痛風結節は,ほとんどの場合慢性痛風の患者に発生するが,まれに急性痛風性関節炎に罹患したことのない患者にも生じうる。通常は硬い黄色または白色の丘疹または小結節であり,単一または複数である。様々な部位(一般的には手指,手,足,および肘頭またはアキレス腱の周辺)に発生しうる。痛風結節は,さらに腎臓および他の臓器ならびに耳の皮下にも発生することがある。変形性関節症のヘバーデン結節がある患者では,結節内に痛風結節が発生することがある。これは利尿薬を服用している高齢の女性に生じることが最も多い。通常は無痛性であるが,痛風結節(特に肘頭の滑液包中)は急速に炎症を起こし痛みを伴うようになることがあり,これは軽度または不顕性の外傷の後に多い。痛風結節は,皮膚を貫通して噴出することさえあり,尿酸結晶のチョーク様の塊を排出する。痛風結節は最終的に変形および二次性変形性関節症を引き起こすことがある。

慢性痛風

慢性痛風性関節炎は,痛み,変形,および関節の運動制限を引き起こすことがある。炎症は,他の関節で鎮静化していながら一部の関節で再燃することがある。痛風患者の約20%が,尿酸結石またはシュウ酸カルシウム結石による尿路結石症を発症する。

合併症には,二次性の尿細管間質性疾患を伴う,閉塞および感染症などがある。未治療かつ進行性の腎機能障害(最も多くは併存する高血圧症に関連し,または頻度は低くなるが腎症の他の一部の原因に関連する)によってさらに尿酸の排泄が障害され,組織への結晶沈着が促進される。

痛風患者には心血管疾患およびメタボリックシンドロームがよくみられる。

診断

  • 臨床基準

  • 滑液の分析

単関節または少関節の急性関節炎患者(特に高齢者または他の危険因子を有する患者)では痛風の診断を疑うべきである。足部痛風(podagra)および繰り返す足の甲の炎症は特に本症を示唆する。爆発的に始まり自然に消失した過去の発作もまた特徴的である。似た症状が以下に起因することがある:

  • ピロリン酸カルシウム二水和物(CPPD)結晶沈着症(ただし,CPPDは一般に,より大きな関節に生じ,痛風結節を伴わず,通常は臨床経過がより軽度である)

  • 関節障害を伴う急性リウマチ熱および若年性特発性関節炎(ただし,これらの疾患はほとんどが痛風に罹患することがまれである若年者に起こる)

  • RA(ただし,RAでは侵された全ての関節が再燃し,再燃がより長引き,全ての関節における再燃が同時に鎮静化するが,痛風では一部の関節で炎症が再燃する一方,他の関節では鎮静化する)

  • 外傷の既往を伝えることができない患者の急性骨折

  • 感染性関節炎(急性または慢性;鑑別には滑液の分析が必要である)

  • 回帰性リウマチ

  • 塩基性リン酸カルシウム結晶およびシュウ酸カルシウム結晶沈着症によって引き起こされる急性の石灰沈着性関節周囲炎

回帰性リウマチは,1つまたはときにいくつかの関節もしくはそれらの近傍における,自然に消退する繰り返す急性の炎症発作を特徴とし,痛みおよび紅斑が痛風と同程度に重度であることがある。発作は1~3日で自然にかつ完全に鎮静化する。このような発作はRAの発症の前兆となることがあり,リウマトイド因子の検査が鑑別に役立つことがある;検査はRA患者の約50%で陽性である(痛風患者の10%でも陽性である)。

滑液の分析

急性痛風性関節炎が疑われる場合,初診時に関節穿刺および滑液の分析を行うべきである。痛風とわかっている患者の典型的な再発には関節穿刺は必須ではないが,診断に疑問がある場合,または患者の危険因子もしくは臨床的特徴が感染性関節炎を示唆する場合は,関節穿刺を行うべきである。

滑液の分析では,液体に遊離するかまたは食細胞によって取り込まれている,針状で強い負の複屈折性の尿酸結晶を同定することによって診断を確定できる。発作時の滑液は炎症性の特徴を示し,白血球数は通常2000~100,000/μLで多形核白血球が80%を超える。これらの所見は感染性関節炎とかなり重なり,グラム染色(感度は低い)および培養で感染性関節炎を除外する必要がある。

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関節内の結晶の顕微鏡検査

結晶の種類

複屈折性

伸長*

形状

長さ(μm)

尿酸一ナトリウム

強い

針状または桿状

2–15

ピロリン酸カルシウム二水和物

弱いまたは複屈折性なし

菱形または桿状

2–15

シュウ酸カルシウム(まれ)

弱いまたは強い

正または不確定

両錐形

5–30

塩基性リン酸カルシウム

偏光で複屈折性を示さない

光沢がある,硬貨様,またはわずかに不整

3–65(凝集物)

*伸長が負である結晶は,コンペンセータに刻まれている遅い振動方向と平行の位置では黄色である;伸長が正であれば,同じ方向で青色に見える。

これらの結晶は,主に腎不全の患者に生じる。

血清尿酸値

血清尿酸値の高値は痛風の診断を裏付けるが,特異度も感度も低く,患者の少なくとも30%で急性発作中に正常な血清尿酸値がみられる。しかし,発作がない期間のベースラインの血清尿酸値は,細胞外の混和性尿酸プールの大きさを反映する。新たに証明された痛風患者については,ベースラインを確立するために血清尿酸値を2回または3回測定すべきである;高値(7mg/dL[0.41mmol/L]超)の場合,ときに24時間の尿酸排泄量を測定する。普通の食事を摂っている人の正常な排泄量は,約600~900mgである。

尿中の尿酸を定量することにより高尿酸血症が排泄障害と産生増加のいずれの結果であるかを示すことができ,尿酸値を下げる治療に尿酸排泄促進薬を用いている場合に有用である。しかし,尿酸排泄量によって患者のアロプリノールやフェブキソスタットへの反応が予測されることはない。尿酸の尿中排泄量が上昇している患者は尿路結石症のリスクが高く,通常は尿酸排泄促進薬は避ける。

画像検査

骨性の痛風結節を検索するために罹患関節のX線撮影を行ってもよいが,滑液の分析によって診断が確定していれば,おそらく不要である。CPPDについては,放射線不透過性の沈着物が,線維軟骨,関節の硝子軟骨(特に膝関節),またはその両方にみられる。

尿酸の沈着は,患者が一切発作を経験しないうちであっても,ときに熟練の超音波検査技師が同定できることがある。

慢性痛風性関節炎の診断

持続する関節疾患または皮下もしくは骨の痛風結節を有する患者では,慢性痛風性関節炎を疑うべきである。第1中足趾節関節または他の罹患関節の単純X線が有用なことがある。それらのX線では,張り出した骨縁辺とともに軟骨下骨の打ち抜き病変を示すことがある(第1中足趾節関節で最もよくみられる);病変がX線で目に見えるようになるには直径が5mm以上でなければならない。関節裂隙は,典型的には疾患経過のかなり後期まで保たれる。

骨病変は,特異的ではなく診断に役立たないが,ほぼ常に皮下の痛風結節の出現に先行する。

尿酸結晶の沈着を示唆する典型的なdouble-contour signを検出するために,診断を目的とする超音波検査が行われることが増えてきているが,その感度は検者の技術に依存し,ピロリン酸カルシウム結晶の沈着との鑑別が困難な場合がある。

予後

早期に痛風を診断すれば,治療によりほとんどの患者が正常の生活を送れる。進行例の多くで,血清尿酸値を積極的に低下させることにより,痛風結節の消失および関節機能の改善が可能である。痛風は,一般に30歳以前に最初の症状が出現した患者ではより重症である。おそらく,メタボリックシンドロームおよび心血管疾患の有病率の高さから痛風患者の死亡率が増加している。

一部の患者は,治療しても十分に改善しない。通常の理由としては,アドヒアランス不良,アルコール依存症,医師による過少治療などがある。

治療

  • NSAID,コルチコステロイド,またはコルヒチンによる急性発作の終息

  • コルヒチンまたはNSAIDの連日投与による繰り返す急性発作の予防

  • 血清尿酸値を低下させることによる,MSU結晶のさらなる沈着の予防,再燃頻度の減少,および現存する痛風結節の消散(アロプリノール,フェブキソスタット,もしくはウリカーゼによる尿酸産生減少,またはプロベネシドもしくはスルフィンピラゾンによる尿酸排泄の増加による)

  • 併存する高血圧症,高脂血症,および肥満の治療ならびにときに食事による過剰なプリン摂取の回避

急性発作の治療

NSAIDは急性発作の治療に効果的であり,一般に忍容性が高い。しかしNSAIDは,消化管障害または消化管出血,高カリウム血症,クレアチニン増加,および体液貯留などの有害作用を起こすことがある。高齢患者および脱水患者はとりわけリスクが高い(特に腎疾患の既往がある場合)。抗炎症作用がある(高)用量で用いるNSAIDは実質的にどれも効果的であり,数時間後に鎮痛効果を及ぼす可能性が高い。再発を予防するために,痛みおよび炎症の徴候が消失した後数日間治療を続けるべきである。

従来の治療法であるコルヒチンの経口投与を,症状が出現した直後に開始した場合,しばしば劇的な反応が得られる;急性発作から12~24時間以内に開始すると最も効果的である。1.2mgの投与に続いて1時間後に0.6mgを投与することがある;関節痛は12~24時間後に軽減する傾向があり,ときに3~7日以内に消失するが,通常は消失に3回を超える投与が必要である。コルヒチンに耐えられる場合,発作鎮静のため,0.6~1.2mgの1日1回投与を続けてもよい。腎機能不全および薬物相互作用(特にクラリスロマイシンとの相互作用)のため,投与量の減少または他の治療法の利用が必要になることがある。

静注用コルヒチンは,主要な毒性(通常は不適切な使用または用量に関連する)のため,米国ではもはや利用できない。

ときにコルチコステロイドを急性発作の治療のために用いる。罹患関節の吸引に続いてコルチコステロイドエステル結晶懸濁液を点滴注入すると,非常に効果的である(特に単関節の症状に対し);テブト酸プレドニゾロン4~40mgまたは酢酸プレドニゾロン5~25mgを,罹患関節の大きさに応じた用量で用いることがある。経口プレドニゾン(約0.5mg/kgを1日1回),筋注もしくは静注コルチコステロイド,または80単位の筋注ACTHの単回投与も非常に効果的である(特に複数の関節が侵されている場合)。再発を予防するため,NSAID療法と同様に,コルチコステロイドは発作が完全に消失しきるまで続けるべきである。

NSAIDまたはコルチコステロイドに加えて,補助鎮痛薬,安静,氷冷,および炎症を起こしている関節の副子固定が有用なことがある。発作中に血清尿酸値を低下させると発作を長引かせるまたは再発しやすくする可能性があるため,急性症状が完全にコントロールされるまで血清尿酸値を低下させる薬剤は開始すべきではない。急性発作が始まった時点で患者が尿酸降下薬の投与を受けている場合,その薬剤は同じ用量で継続すべきである;用量調節は発作が治まるまで延期する。

コルチコステロイド,コルヒチン,およびNSAIDが禁忌である場合,anakinraなどのIL-1拮抗薬を用いることがある。これは高価ではあるが,発作の消失を早め,他の薬剤の使用が制限されるような複数の併存症を有する患者の入院期間を短縮する可能性がある。

繰り返す発作の予防

急性発作の頻度は,コルヒチン0.6mg錠を1日1~2錠(耐容性および重症度に応じる)服用することによって減少する。発作の前兆が最初に現れたときに,追加でコルヒチン0.6mg錠を2錠服用すると,再燃が阻止されることがある。患者がコルヒチンの予防投与を受けていて,過去2週間の間に急性発作を治療するために高用量のコルヒチン投与を受けたことがある場合,発作を予防する試みにはNSAIDを代わりに用いるべきである。

長期間のコルヒチン服用中に(可逆的な)神経障害またはミオパチーが発生することがある。この病態は,腎機能不全患者,スタチン系薬剤もしくはマクロライド系薬剤の投与も受けている患者,またはこれらの危険因子のない患者に起こることがある。

発作の頻度は,低用量のNSAIDの連日投与でも減少することがある。

血清尿酸値の低下

コルヒチン,NSAID,およびコルチコステロイドは,痛風結節によって引き起こされる進行性の関節損傷を遅らせることはない。尿酸降下薬により,そのような損傷は予防可能であり,損傷がある場合は回復可能である。結節性の沈着は,血清尿酸値を低下させることによって再吸収される。血清尿酸値を低下させることにより,急性関節炎の発作頻度も減少することがある。この減少は以下によって達成される:

  • アロプリノールまたはフェブキソスタットによる尿酸産生の阻止

  • 尿酸排泄促進薬による尿酸排泄量増加

  • 重度の結節性痛風で両方のタイプの薬剤を併用

以下がみられる患者に対しては尿酸値を下げる治療が適応となる:

  • 結節性の沈着

  • コルヒチン,NSAID,または両方の予防投与にもかかわらず,頻繁なまたは生活に支障を来す痛風性関節炎の発作

  • 尿路結石症

  • 急性発作の治療に用いる薬剤(NSAIDまたはコルチコステロイド)に対して相対的禁忌である複数の併存症(例,消化性潰瘍,慢性腎臓病)

高尿酸血症は,痛風がない場合は通常治療しない。

尿酸値を下げる治療の目標は血清尿酸値を低下させることである。痛風結節がなければ,妥当な目標値は6mg/dL(0.36mmol/L)未満であり,これは飽和状態の値(正常の深部体温およびpHで7.0mg/dL超[0.41mmol/L超])よりも低い。痛風結節がある場合はその溶解が目標であり,より低い目標値が必要である。妥当な目標値は5mg/dL(0.30mmol/L)で,尿酸値が低いほど痛風結節の消失は早まる。これらの目標値を無期限に維持すべきである。低い値はしばしば維持が困難である。

薬剤が血清尿酸値の低下に効果的である;プリンの食事制限はそれほど効果的ではないが,プリンが豊富な食物,アルコール(特にビール),およびノンアルコールビールの多量の摂取は避けるべきである。 インスリン値が高いと尿酸排泄が抑制されるため,炭水化物の制限および減量によって インスリン抵抗性の患者の血清尿酸値が下がることがある。低脂肪の乳製品の摂取を推奨すべきである。尿酸値を下げる治療の最初の1カ月の間に急性発作が発生する傾向があるため,そのような治療は1日1回または2回のコルヒチンまたはNSAIDとともに,無症状の期間のうちに開始すべきである。

痛風結節の消失には,たとえ血清尿酸値を低値に維持しても何カ月もかかることがある。血清尿酸値を定期的に測定すべきである(通常,必要な薬剤の用量を決めようとしている間は毎月,その後は治療の有効性を確かめるために毎年)。

尿酸合成を阻害するアロプリノールが,尿酸値を下げる治療に最もよく処方される。尿酸結石または尿砂は,アロプリノール療法中に溶解することがある。治療は50~100mgの1日1回経口投与で開始し,目標の血清尿酸値を達成するために最大で800mgの1日1回経口投与まで,またはそれ以上に増量することがある。一部の医師は,まれであるが重度の全身性の過敏反応の発生率を下げるために,腎機能不全患者では開始量を減らすよう推奨しているが,この介入の有効性を確証するデータは限られている。アロプリノールの最終用量は,目標とする血清尿酸値によって決定すべきである。最もよく用いられる1日量は300mgであるが,この用量で十分である痛風患者は50%未満である。

アロプリノールの有害作用には軽度の消化管障害および発疹などがあるが,これらはスティーブンス-ジョンソン症候群,生命を脅かす肝炎,血管炎,または白血球減少症の前兆である場合がある。有害作用は,腎機能障害がある患者でより多くみられる。一部の民族(例,韓国人[腎疾患を有する],タイ人,および漢族の中国人)はアロプリノールに対する反応のリスクが高い;HLA B*5801がこれらの民族集団におけるそのリスクのマーカーである。アロプリノールは,アザチオプリンまたはメルカプトプリンを服用している患者では,これらの薬剤の代謝を下げ,それによりこれらの薬剤の免疫抑制作用および細胞傷害作用を増強することがあるため,禁忌である。

フェブキソスタットは,はるかに費用がかさむ(米国内) が尿酸合成の強力な阻害薬である。アロプリノールに耐えられない患者,アロプリノールの禁忌がある患者,またはアロプリノールにより十分に尿酸値が下がらない患者において特に有用である。投与は40mgの1日1回経口投与で開始し,尿酸が6mg/dL未満に低下しない場合,80mgの1日1回経口投与まで増量する。フェブキソスタットは,(アロプリノールと同様に)アザチオプリンまたはメルカプトプリンを服用している患者ではこれらの薬剤の代謝を下げることがあるため禁忌である。トランスアミナーゼの値が上昇することがあり,定期的に測定すべきである。

ウリカーゼも投与することがあるが,まだルーチンには用いられていない。ウリカーゼは,尿酸をより溶けやすいアラントインに変換する酵素である。ウリカーゼの静注は一過性に血清尿酸値を大きく低下させる。尿酸を大量に減らすため,沈着した結晶が部分的に溶けるようになり,ウリカーゼによる治療例のうち最大70%で関節内放出および急性の再燃を来す。コルチコステロイドおよび/または抗ヒスタミン薬による前治療にもかかわらず,アレルギー性のinfusion reaction(患者の6.5%でアナフィラキシーおよび25~40%で他のinfusion reaction)がウリカーゼ療法によって起こることがある。

pegloticase(PEG化遺伝子組換えウリカーゼ)が通常用いられる製剤であるが,非常に高価である。過剰な尿酸の沈着が完全になくなるまで,何カ月という期間から数年という期間にわたって2週間毎に投与する;しばしば血清尿酸値が1mg/dL未満まで低下する。pegloticaseは,G6PD欠損症患者では,溶血およびメトヘモグロビン血症を引き起こすことがあるため禁忌である。pegloticaseによる治療後も尿酸値が6mg/dL未満に下がらなかった場合は,pegloticaseに対する抗体および将来のアレルギー反応のリスク増加が予見される。他の尿酸降下薬がpegloticaseの無効を覆い隠すことを防ぐために,他の尿酸降下薬はpegloticaseと併用すべきではない。

尿酸排泄促進薬を用いる治療法は,尿酸排泄が低下しており,正常な腎機能を有し,腎結石の既往がない患者で有用である。通常プロベネシドまたはスルフィンピラゾンを用いる。

  • プロベネシド療法は,250mgの1日2回経口投与から始め,最大で1gの1日3回経口投与まで必要に応じて増量する。

  • スルフィンピラゾン療法は,50~100mgの1日2回経口投与から始め,最大で100mgの1日4回経口投与まで必要に応じて増量する。

スルフィンピラゾンはプロベネシドより強力であるが,より毒性が強い。低用量のサリチル酸は高尿酸血症を悪化させることがあるが,軽微にとどまる。

他の治療法

全ての患者(特に慢性的に尿砂または尿酸結石を排泄する患者)で1日3L以上の水分摂取が望ましい。

尿酸値を下げる治療および十分な水分補給にもかかわらず尿酸による尿路結石症が持続する患者に対し,尿のアルカリ化(クエン酸カリウム20~40mEqを1日2回経口投与,またはアセタゾラミド500mgを就寝時に経口投与)もときに効果的である。しかし,尿の過度のアルカリ化は,リン酸カルシウム結晶およびシュウ酸カルシウム結晶の沈着を引き起こすことがある。

腎結石を砕くために体外衝撃波砕石術が必要になることがある。

健康な皮膚部位の大きな痛風結節を外科的に除去することがある;他の全ての場合では,尿酸値を下げる十分な治療で緩徐に消失させるべきである。ロサルタンには弱い尿酸排泄効果がある。

要点

  • プリンの過剰摂取および産生増加が高尿酸血症の一因となることはあるが,痛風の最も一般的な原因は利尿薬,腎疾患,または遺伝的変異に続発する尿酸排泄の減少である。

  • 突然かつ説明のつかない急性の単関節または少関節の関節炎がある患者では痛風を疑う(特に母趾が侵されている場合,または自然な寛解を伴う突然の説明のつかない急性関節炎の既往がある場合)。

  • 滑液中に針状で強い負の複屈折性の尿酸結晶を認めることによって診断を確定する。

  • 経口コルヒチン,他のNSAID,またはコルチコステロイドで痛風の急性発作を治療する。

  • コルヒチン,他のNSAID,または適応があれば血清尿酸値を下げる薬剤を処方することによって,将来の発作リスクを減らす。

  • 患者に,痛風結節,適切な予防にもかかわらず頻繁なもしくは重度の発作,尿路結石症,または急性発作の緩和のために用いる薬剤が禁忌である複数の併存症がある場合は,血清尿酸値を減少する薬剤を投与する。

  • 通常はアロプリノールまたはフェブキソスタットを処方して尿酸値を下げる。

無症候性高尿酸血症

無症候性高尿酸血症は,臨床的痛風のない7mg/dL(0.42mmol/L)を超える血清尿酸値の上昇である。

一般に治療の必要はない。しかし,尿酸の排泄過多があり尿路結石症のリスクが高い患者には,アロプリノールを投与することがある。

データが蓄積されつつあり,高尿酸血症が慢性腎臓病の進行および青年における原発性高血圧の進行の一因である可能性が示唆されている。

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