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ピロリン酸カルシウム二水和物結晶沈着症

(偽痛風)

執筆者:

Lawrence M. Ryan

, MD, Medical College of Wisconsin

最終査読/改訂年月 2015年 8月
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ピロリン酸カルシウム二水和物(CPPD)結晶沈着症は,関節内および/または関節外のCPPD結晶の沈着を伴う。症状は多様であり,最小限であることもあれば,間欠的な急性関節炎の発作(偽痛風や急性のピロリン酸カルシウム結晶沈着症とも呼ばれる)および重度であることが多い退行性の関節症がみられることもある。診断には滑液中にCPPD結晶を同定する必要がある。偽痛風の発作の治療は,コルチコステロイドの関節内注入,またはグルココルチコイド,NSAID,もしくはコルヒチンの経口投与による。

CPPD結晶沈着(軟骨石灰化)は,症候性であれ無症候性であれ,加齢に伴ってよくみられるようになる。

無症候性の軟骨石灰化が,膝関節,中手指節関節,手関節,恥骨結合,および脊椎によくみられる。男女にほぼ等しく発症する。

病因

CPPD結晶沈着症の原因は不明である。外傷(手術を含む),低マグネシウム血症,副甲状腺機能亢進症,痛風,ヘモクロマトーシス,および高齢など,他の病態を頻繁に伴うことから,CPPD結晶の沈着が罹患組織における変性変化または代謝性変化に続発することが示唆される。

一部の症例は家族性であり,通常は常染色体優性パターンで遺伝し,40歳までに完全に浸透する。

最近の研究では,ANKタンパクが細胞外のピロリン酸の過剰産生(CPPD結晶形成を促進する)における中枢因子であることが示されている。ANKタンパクは,細胞内のピロリン酸をCPPDが結晶化する細胞外に運ぶ輸送体であると推定されている。

症状と徴候

急性,亜急性,または慢性の関節炎が起こることがある(通常は膝関節またはその他の末梢の大関節に生じる;そのため,ピロリン酸カルシウム結晶沈着症は他の多数の様態の関節炎に類似することがある。急性発作はときに痛風に類似しているが,通常はより軽症である。RAまたは変形性関節症と同様に,発作と発作の間にCPPD結晶沈着症の症状がみられない場合や,または複数の関節に持続的な軽度の症状がある場合がある。これらのパターンは生涯続く傾向がある。

診断

  • 滑液の分析

  • 結晶の顕微鏡的な同定

高齢の関節炎患者(特に炎症性関節炎)ではCPPD結晶沈着症を疑うべきである。

CPPD結晶沈着症の診断は,偏光顕微鏡検査で複屈折性を示さないまたは弱い正の複屈折性の菱形または桿状の結晶を滑液中に同定することによって確定する。急性発作時の滑液には,典型的な炎症の所見がみられるため,感染性関節炎および痛風(滑液が炎症を示す他の一般的な原因)の同時発生も除外する必要がある。感染性関節炎は,グラム染色および培養の所見に基づいて除外する。痛風は,炎症を起こしている関節から採取した体液中に尿酸結晶がないことによって除外するのが通常は最良である。分析のための滑液が得られない場合はX線または超音波検査が適応となる;関節軟骨(特に線維軟骨)に複数の線形または点状のカルシウム沈着の所見があれば診断が裏付けられるが,痛風または感染は除外されない。典型的な痛風の超音波検査所見(double contour sign)は,ピロリン酸カルシウム結晶の沈着の所見に類似することがある。

予後

急性のCPPD結晶沈着症における個々の発作の予後は通常極めて良好である。しかし,慢性関節炎が起こることがあり,神経病性関節症(シャルコー関節)に似た重度の破壊性の関節症がときに起こる。

治療

  • コルチコステロイドの関節内注入

  • NSAID

  • コルヒチンによる維持

急性の関節液貯留の症状は,関節液のドレナージおよび微晶質のコルチコステロイドエステル懸濁液の関節裂隙への注入で軽減する(例,膝関節内に40mgの酢酸プレドニゾロンまたはテブト酸プレドニゾロン)。

インドメタシン,ナプロキセン,または他のNSAIDを抗炎症用量で投与すると,しばしば迅速に急性発作を抑える。急性発作のコルヒチンによる治療は,痛風の場合と同じである。コルヒチン0.6mgを1日1回または1日2回経口投与すると,繰り返す急性発作の頻度が減少することがある。

要点

  • 無症候性の軟骨石灰化が加齢とともによくみられるようになる(特に膝関節,股関節,手関節,椎間板線維輪,および恥骨結合)。

  • 関節炎が膝関節および末梢の大関節を侵すことがあり,他の種類の関節炎に類似することがある。

  • 滑液に複屈折性を示さないまたは弱い正の複屈折性の特徴的な菱形または桿状の結晶がないか調べ,関節の感染症を除外する。

  • 急性症状に対しては,コルチコステロイドの関節内注入または経口NSAIDにより治療する。

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