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手の疾患の概要および評価

執筆者:

David R. Steinberg

, MD,

  • Perelman School of Medicine at the University of Pennsylvania

最終査読/改訂年月 2016年 11月
本ページのリソース

一般的な手の疾患には,様々な変形,ガングリオン,感染症,キーンベック病,神経圧迫症候群(nerve compression syndrome),非感染性の腱鞘滑膜炎,および変形性関節症などがある。複合性局所疼痛症候群(反射性交感神経性ジストロフィー)および手の外傷については,本マニュアルの別の箇所で考察されている。

手の変形

手の変形が,全身性疾患(例,関節炎)または脱臼骨折,およびその他の局所性疾患の結果起こることがある。大部分の非外傷性の局所性疾患は身体診察によって診断できる。手の変形がしっかり固まると,副子固定,運動,またはその他の非外科的治療によって著しく改善することは不可能である。

手の感染症

一般によくある細菌性の手の感染症には,爪囲炎感染した咬傷ひょう疽手掌の膿瘍,および屈筋腱の感染性の腱鞘滑膜炎などがある。ヘルペス性ひょう疽は,手のウイルス感染症である。感染症は強い持続性の拍動痛で始まることが多く,通常は身体診察で診断する。一部の感染症(例,咬傷,屈筋腱の感染性の腱鞘滑膜炎)では隠れた異物を検出するためにX線撮影を行うが,小さい物体またはX線透過性の物体は検出されないことがある。

手の感染症の治療としては,外科的手段および抗菌薬投与を行う。市中感染型および院内感染型のメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)(MRSA)の発生率上昇を考慮に入れるべきである(1)。合併症のないMRSA感染症は切開排膿で治療するのが最良である(2)。MRSAの発生率が高く感染症が重症である場合,入院およびバンコマイシンまたはダプトマイシン(静注療法用)が推奨され,同様に感染症専門医へのコンサルテーションも推奨される。外来患者に対しては,トリメトプリム/スルファメトキサゾール,クリンダマイシン,ドキシサイクリン,またはリネゾリド(経口療法用)を投与することがある。培養および感受性試験の結果によりMRSAが除外されれば,ナフシリン,クロキサシリン,ジクロキサシリン,または第1もしくは第2世代セファロスポリン系薬剤を投与することがある。

参考文献

  • 1.O'Malley M, Fowler J, Ilyas AM: Community-acquired methicillin-resistant Staphylococcus aureus infections of the hand: Prevalence and timeliness of treatment. J Hand Surg Am 34(3):504–508, 2009. doi: 10.1016/j.jhsa.2008.11.021.

  • 2.Chen WA, Plate JF, Li Z: Effect of setting of initial surgical drainage on outcome of finger infections. J Surg Orthop Adv 24(1):36–41, 2015.

手の神経圧迫症候群

よくみられる神経圧迫症候群には,手根管症候群肘部管症候群,および橈骨管症候群.(radial tunnel syndrome)などがある。神経の圧迫は錯感覚を引き起こすことが多い;(通常は検者の指先で)圧迫された神経を軽く叩くことによってその錯感覚をしばしば再現できる(ティネル徴候)。神経圧迫が疑われる場合,運動および知覚の神経伝導を正確に測定する神経伝導速度および遠位潜時の検査により確認できる。初期治療は通常保存的であるが(例,安静,職場環境の修正,副子固定,コルチコステロイド注射),保存的な処置が無効である場合または運動もしくは感覚の著明な障害がある場合は,外科的な圧迫解除が必要なこともある。

非感染性の腱鞘滑膜炎

腱鞘滑膜炎は手または手の周辺のいずれの腱も侵しうる。一般的な病態としては,指の屈筋腱炎および屈筋腱腱鞘滑膜炎(弾発指)ならびにDe Quervain症候群などがある。

評価

手の疾患は,しばしば病歴と身体所見で診断できる。

病歴

病歴には,症状と関連する可能性がある外傷または他の事象に関する情報を含めるべきである。変形および運動障害の有無および期間に注意する。障害の有無,期間,重症度,および痛みを増悪または軽減する因子を聞き出す。発熱,腫脹,発疹,レイノー症候群,錯感覚,および筋力低下などの随伴症状も記録する。

身体診察

診察には,発赤,腫脹,または変形がないかの視診,および圧痛がないかの触診を含めるべきである。自動可動域を検査し,考えられる腱損傷がないか確認すべきである。他動可動域の評価により,固定化した変形を検出でき,特定の動きで疼痛が増悪するかどうかを評価できる。ペーパークリップの両端を使用した2点識別によって感覚を検査することがある。運動機能検査には,橈骨神経,正中神経,尺骨神経によって支配される筋肉を含める。血管検査には,毛細血管再充満の評価,橈側および尺側の脈拍,ならびにアレンテスト( 動脈血ガス分析)を含めるべきである。特定の靱帯損傷が疑われる場合にはストレステストが有用である(例,gamekeeper's thumbにおける尺側側副靱帯)。誘発試験は腱鞘滑膜炎および神経圧迫症候群の診断に有用なことがある。

臨床検査

臨床検査は炎症性の関節疾患(例,関節リウマチ)の診断に有用なことがあるが,他の点では役割が限られる。単純X線およびMRIは,外傷,関節炎,およびキーンベック病の検出や,感染の原因となりうる隠れた異物の除外に有用である。MRIおよび超音波検査は,腱の構造および完全性の評価や深部膿瘍の検出に有用である。高分解能超音波検査はリアルタイムの動きにおける画像検査が可能であり,特に腱および滑膜炎を評価するために有用である。神経伝導検査は神経圧迫症候群の診断に役立つことがある。骨シンチグラフィーは,不顕性骨折の診断に関してMRIの代わりになり,複合性局所疼痛症候群の診断を補助することがある。

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